陸上
 

【陸上】第97回日本陸上競技選手権大会 110mH優勝、矢澤航インタビュー

取材日:6月11日
場所:法政大学多摩キャンパスグラウンド

先月にモスクワ世界陸上選考会も兼ねて行われた日本選手権。男子110mHでは矢澤が見事2年ぶりの優勝を果たした。世界陸上代表には選出されなかったものの、決勝のレースで自己ベストを更新し、成長を見せつけた。そんな矢澤に、優勝した瞬間の思い、今後の目標などを熱く語ってもらった。


※取材は6月11日(火)に行ったものです

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次の世陸、五輪へは「出る」と宣言

選手インタビュー

矢澤航(社4=法政二高)

―改めて優勝おめでとうございます。優勝して2日が経ちましたが、心境はいかがですか
優勝した瞬間は、すごい喜んで、嬉しかったんですけど、今2日経って、昨日世界陸上の日本代表メンバーが発表されて、その中に自分の名前がないっていうのはすごい悔しいです。そこを目標に掲げてやってきた部分もあったので、まあ、しょうがないなっていう部分はあるんですけど、上の先輩方に続いて、自分もモスクワ行きたかったなっていう気持ちが強いです。

―嬉しい気持ちの中に悔しい気持ちもあるということですか
そうですね、昨年のフライングがあったので、同じ舞台でベストを出して優勝できたというのは評価できるんですけど、やはり記録の面を見たときに、あと100分の9秒で世界標準Bと内藤先輩の学生記録更新がかかっていたので、100分の9秒っていったら本当に1メートルもない距離なので、それを数字として見たときには素直に喜べない部分はちょっとありました。

―決勝のスタート前はいかがでしたか
すごい緊張して周りが見えなくなるんじゃないかっていう恐怖感はあったんですけど、スタート前に部の仲間がスタートの方まで来てくれて、会話したり、自分の中でも変に緊張しないで入れたので、自分の中ではいい心理状態というか、周りを見ながらできたっていうことは、よかったかなとは思います。

―レースについてはいかがでしたか
1台目に思いっきり接触してしまって、それで少し攻めの姿勢が崩れてしまったこともあって、1台目に入る時の自分の気持ちもスピード感もあまりよくなかった状態でレースに入ってしまって。前半のミスはやはり目立ってしまったんですけど、予選、準決勝共に、後半自分のなかでしっかり走れていたので、後半にいけるっていう自信というのは自分の中でありました。これぐらいの差だったらチャンスはあるんじゃないかっていうこともあって、10台目までは丁寧に丁寧に走っていって、10台目終わってからは、無我夢中で。スプリント力が武器であるので、それを活かしてゴールまで飛び込んで行ってっていう感じですね。

―ゴール直後は優勝の確信というのはあったのですか
確信としては8割くらいだったんですけど、(ゴール後に)カメラの人がついてきたので大丈夫なんだろうなっていうことと、最初にスクリーンに6レーンの選手の名前が出たときに「あれ?」ってなったときに、ゴールのところにいた自分の部の仲間や金丸(祐三=2010年卒=大塚製薬)さんが「お前が1番だ」ってずっと言ってたので、そこまでゴールの人たちが言うんだったらそうなんだなって思ってずっと待ってて、まあ、勝利の確信としてはそれなりにありました。

―勝利が確定したときの気持ちはいかがでしたか
めちゃくちゃうれしかったですね。まあ数字は後から見たら悔しいっていう気持ちはあったんですけど、勝ったっていうことは大きかったですし、東京の開催ということで、部の仲間、友人、家族が観にきてくれていたので、目の前で勝てたっていうのは相当大きいですし、そういった意味での嬉しさというのは大きかったですね。

―優勝インタビューのときに「もう、本当によかったです」と感慨深そうに言っていたのが印象的でした
そうですね、やはり去年のフライングがあって、周りからもいろいろ言われましたし、自分自身あれが陸上やっていたなかで初めてのフライングで、まさかこの舞台でやるなんて思ってなかったですし、それに対してスタートがやはり苦手意識もありましたし、シーズンを迎えるにあたって、怖いなとか結構つらい思いもしたので、そういったことをあのときにいろいろと思い出して、そういったことで出てきた言葉なんじゃないかなと思います。

―去年の全日本についてですが、フライングをしてしまって、自分のなかでなにが足りなかったと思いますか
年明けて、シーズン迎えるにあたって、昨シーズンなんであそこでフライングしたのかっていうのを考えたときに、「集中する」っていうことは結構いいこととしてとらえられてると思うんですけど、集中しすぎることはそんなによくないことだなってっていうのは反省としてあって。あのとき本当にうろ覚えなんですけど、集中しすぎて周りが見えていない状態というか、視野も狭くなってましたし、感覚自体がするどくはなってたんですけど、それの状態に入りすぎてしまったということがフライングの原因なんじゃないかなっていうことは思ってますね。考えすぎたというか、勝ちたいという気持ちが、強いことはいいことなんですけど、それがいい方向に傾かなかったのかなっていうのはあると思います。

―気持ちの面とか、メンタルの面でですか
そうですね、スタートに立って、日本選手権の決勝レベルの8人がいたとしたら、実力としてはもう互角だと思いますし、技術力であっても、走力であっても大差はないと思うので。あとはどこで勝ちたい気持ち、意地を見せられるかが勝負の決め手になるんじゃないかなとは思いました。

―その悔しい全日本から一年、ご自身でどこが成長したと思われますか
競技面でしたらハードルのフォームが大人になったというか、まとまりがあるようなハードリングになったっていうのは技術面に関しては成長したと思います。精神面に関してはあまり周りの目を意識しないようになったっていうのが大きくて。見られてるっていう自覚を持つのは大事だと思うんですけど、あんまりそれで見られてるからって言って自分の良さを消してしまうとか、そういったことをしないようになれたっていうのは大きかったんじゃないかなって思います。

―今回の全日本、予選で出した自己ベストを決勝でまた更新しました。それについてはいかがでしょうか
試合を迎えるにあたって、自分自身のけがとたたかってまして、出る出ないっていうのもぎりぎりになって決めて、自分の中では、うまくいって準決勝にいけるかなーぐらいの仕上がりでレースに臨んだんですけど、そういったなかで、スタートもしっかり決まって、レースも思い通りにできて、ゴールした時に2年ぶりにベストがでたので。やっぱこの1年間いろいろと苦しかったこともありましたし、2年ぶりにベストが出たっていうことの嬉しさもあったので、予選は本当にいい形で次につなげられたのでよかったです。

―決勝に関してはいかがでしたか
決勝に関しましては、あれだけ自分の中で大きいミス(ハードルの接触)だなって考えられることがあったので、ああいったことがありながらのベスト更新っていうことはまだまだ上を目指せるっていう証拠ですし、課題はたくさん残っていますし、この13秒59っていう数字が自分のなかではベストかもしれないんですけど、世界的にみて全然まだまだたたかえる数字ではないっていうのがあるので、ベストは本当にうれしいですし、あの舞台で出せたったっていうのは本当に自信にはなるんですけど、満足はできてないです。

―今回の優勝と2年前の優勝とで違うと感じたところはありますか
そうですね、2年前は自分自身勝ったかどうかもわからなかったですし、勝てると思ってその試合には臨んでいなかったので、どっちかというと「勝ってしまった」優勝だと思うんですよ。ただ今年は、自分自身勝てるという力もありましたし、勝ってやろうっていう気持ちが、まあ予選の段階では準決勝までいけたらいいなっていう感じだったんですけど、予選が終わった段階で、これはもう勝ちにいかなきゃっていう強い思いがあった中での勝利だったので、そういった面では大きく違った優勝なんじゃないかなとは思います。

―関カレの方で苅部監督からスタート直後から1台目までの歩数を8歩から7歩に減らしてるとお伺いしたのですが、それもベスト更新の要因になっていたりしますか
7歩に変えたことによってけがが誘発されたんだと思うんですけど、7歩に変えたことによって、確実に自分が苦手であった後半の局面でしっかり相手を追うことができるって言うのが新たな武器としてでてきたので、そういった面でしっかり関東インカレの決勝で13秒72っていう数字を出せたのは自身にもなりましたし、この7歩がこの7歩が自分の武器になっていくんじゃないかなっていうのが今回の日本選手権でも感じたのでこれからも7歩でやっていきたいとは思ってます。

―まだこれから高めていくという感じですか
そうですね、世界的に結構主流にはなってきてるんですけど、まだどこが限界なのかっていうのもわかってはいませんし、日本選手で7歩でやってるっていう選手があまりいないので、そういった面ではまだ開発段階の技術じゃないかなっていうことで、自分にも期待してますし、7歩の技術が世界的にも上がっていくっていうことは期待しています。

―きっかけというは何かあったのですか
去年の全日本インカレの前にけがをしてしまって、棄権するってなった時に自分自身のハードルをゼロから組み立てようと思って、そのときに監督から前から7歩にしてみたらっていう提案があったので、じゃあこの一冬取り組んでみて、だめだったら8歩に戻せばいいし、うまくいったら7歩でやってみようっていう提案はあったので、挑戦という形で始めました。

―13秒50というB標準突破というのもみえてくるかとおもいますが
世界選手権の派遣にはもう間に合わないので、今シーズンは世界選手権ではなく、アジア選手権と東アジア選手権っていう大きい舞台があるので、その試合と9月の全日本インカレで、13秒50は学生記録でもあるので、学生記録を更新したいっていうのは目標として大きくあります。

―手ごたえはいかがですか
そうですね、たぶんできるって思ってますし、4年間のうちに学生記録を更新するっていうのが最低限の目標であったので、はい、やります。

―今回世界陸上にOB3人が選出されましたがそれについてはどう思われますか
金丸さんに関しては圧巻の走りというか、練習の段階であまりいい状態とは言えず、本人が一番不安だったと思うんですけど、その中であの決勝の走りを目の前でされたので、3日目の僕と小林(雄一=2012年卒=NTN)さんと岸本(鷹幸=2013年卒=富士通)さんもやるしかないなっていう気持ちにもさせてくれましたし、案の定僕の直前で岸本さんが優勝して、直後に小林さんも自己ベストで世界陸上内定っていう形になったので。やはり彼らは偉大な先輩ですし、これからも追いかけていくべき存在であり、競技は違うんですけど、どっかで必ず追い抜いてやろうっていう気持ちは持ってますね。

―その先輩方と世界の舞台に一緒にということはお考えになってたりはするんですか
そうですね、2年後にある世界陸上と、3年後にあるリオ五輪ではあの方々に追いついて、一緒に日の丸掲げて走りたいなっていうのはあるので、これは叶えたいというか、何々したいとかそういうのではなくて、叶えるって決めてる夢なので、それは絶対に達成できるように頑張っていきたいと思っています。

―近い大会がアジア陸上(7月3~7日)ですが、目標をお聞かせください
2年前にも神戸でアジア選手権があってそこには出場できたんですけど、そのときは体調を大きく崩してしまって、予選落ちという形になって、周りのスタッフの方々に迷惑をかけたので、そのことを踏まえてリベンジはしたいと思ってます。タイムとしても。せっかくいい舞台で走れるので、ベストは更新したいと思ってますし、その時に学生記録が更新できるのであればしたいとは思ってます。

―ありがとうございました

 

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