フェンシング
 

男子エペ団体、無念のベスト8 全日本学生選手権/フェンシング部

全日本学生選手権(全日本学生個人選手権/全日本大学対抗選手権)
2011年10月24日(月)~28日(金)
会場:駒沢屋内球技場

 今季すでに主要大会で3冠を成し遂げている男子エペ団体。リーグ戦、王座決定戦、関カレで、幾度となくドラマを作り上げてきた。今季負けなし――だからこそ、勝たなければならないプレッシャーが大会を追うごとに大きくなっていたことは確かだ。それでも、目標は変わらない。インカレ3連覇をかけ、無敗の王者が挑む。

fen zennihon2-1
今季初の敗戦に崩れ落ちる…

試合結果

個人成績(大会2日目)

種目選手名順位備考
 男子エペ  吉沢 有紀①   9位  
   辛島 裕太④  17位  
   田村 晋平④   28位  
   菅野 慶嗣③   45位 予選敗退 
   吉田 玲②  50位 予選敗退

団体成績(大会4日目)

種目選手名結果
 男子エペ団体 辛島裕太④、吉田玲②、吉沢有紀①、鈴木理来② ベスト8 
 得点詳細 1回戦 37-36中京大、2回戦 ●37-38早大  

*エペ
 
エペの有効面は全身。3種目のなかで唯一「攻撃権」がなく、そのため慎重にお互いの動きを見極め、一瞬の隙を突かなければならない。選手がにらみ合い、牽制し合ったまま3分が過ぎるのもエペならでは。「突き」のみでポイントを争う。また、選手が同時に突いた場合は「同時突き」として両者にポイントが認められる。

吉沢、8強にあと一歩まで迫る

 9月末に行われた関東学生選手権(関カレ)では、1~3位を総なめし、圧倒的な強さを見せつけた男子エペ個人。関カレの結果も受けて、”優勝”の期待も高まっていた。

 しかし、関カレ優勝者の吉田玲がまさかの予選落ちし、準優勝の辛島は、予選をトップで通過するも初戦敗退。思わぬ苦戦を強いられる。
 
 そんななか、1年生の吉沢がベスト16となった。初戦、序盤から一進一退の白熱した展開が続く。相手が攻撃に来た一瞬を突き、7ー5と僅かにリードを広げる。しかし、その後は同時突きが続くと、相手に追い込まれ10ー11と逆転される。残り時間がわずかとなったが、ここからの吉沢は強かった。まずは、1点を返し同点とすると、残り30秒の中で2連続ポイントを挙げ、13ー11とついに逆転へ。相手にも1点奪われたが、最後はポイントへの執念を切らさず、同時突きを決め、14ー15と初戦突破した。
 2回戦、序盤、5連続でポイントを奪い主導権を握る。しかし、相手も4連続でアタックを決め、8ー7とわずかなリードで最終セットへ。相手の足元を狙った突きが決まり、2点差と離すも、ここから相手の猛攻が始まる。俊敏な動きで4連続得点を奪われるとあっという間に逆転を許す。しかし、吉沢も攻めの気持ちを貫き、4連取すると再び逆転へ。その後、一点ずつ取り合うと、14ー13と吉沢が勝利まであと1点と迫る。だが、相手に追いつかれ1本勝負へともつれ込む。最後は、吉沢が突きに攻めた所で、相手のアタックが入り、14ー15と敗れ、悔しいベスト8入りを逃した。

果たせなかった5冠の夢

 思い起こされるのは、2009年。男子エペ団体がフェンシング最高の舞台・全日本選手権を制し、主要大会5冠を達成したあの年のことだ。
 今季のエペにはその期待が残されていた。法大のなかでは唯一3冠を成し遂げており、インカレでも頂点に立ち、全日本で5冠の栄光を掴みに行くはずだった。

 ディフェンディングチャンピオンの法大。だが、王者からその栄冠を奪うべく、強気に向かってくる相手に初戦から苦戦を強いられた。
 1回戦の相手は中京大。序盤から拮抗した点の取り合いとなると、”挑戦者”として勝利への意識が強い相手に思い切り攻められ、攻撃が後手に回ってしまう。最終セット、最後の1点を託されたキャプテンの辛島。だが、初戦敗退することは許されない。向かい合い、攻めの姿勢を崩さず相手のスキを突くと、法大側のランプが点灯する。接戦の危ない試合となったが、ここぞと勝負所の強さを見せつけた。
 そして、ベスト4をかけ、最大の山場である早大を迎える。お互い一歩も譲らないまま、試合は一進一退の攻防戦に。優勢となったのは、わずかなリードを保っていた法大。2点のリードをもらって勝負の行方は辛島が握った。だが、相手は世界選手権代表でもある萩原(早大)。実力の差はあるが、ここは団体戦。気持ちの強さと勝利への執念が身を結ぶことになる。
 しかし、萩原に追い詰められ、37-37でタイムアップ。運命の1本勝負に。思えば6月の王座決定戦、同志社大と交えた決勝戦でも1本勝負だった。幾度となく、この緊張の勝負を制してきた男子エぺ。辛島の顔に焦りが浮かぶも、気合の咆哮とともに、マスクを被る。萩原の強いアタックに、引きながらも剣を突き刺した辛島だったが、判定は萩原だった。その場で崩れ落ち、ベンチメンバーも動揺の色を隠せない。しばらく立ち上がれない辛島に歩み寄り、声をかけにいくメンバーたち。今季、男子エペ団体が初めて負けた瞬間だった。

 初の敗戦を喫し、ショックを隠せない。3冠を達成してきた強さへの誇りは、少しずつきしみを立て、チームの力を奪っていった。選手の口から出た「油断」という言葉。それがすべてを物語っているのかもしれない。
 だが、勝ち続けた功績と実力は本物だ。1本勝負を逃したからと言って、勝負所の強さを失ったわけではない。敗戦したことで、改めて王者の重みをうかがい知ることとなったインカレ。相手はがむしゃらに向かってくる。それをどう対処し、勢いが相手のチームに回ってしまったときに再び自分たちのものに出来るか。インカレでは、今まで見せてきた自分たちのペースでの試合運び、勢いの持って行き方をうまく確立できていなかったかのように思える。
 個人・団体ともに納得のいく結果とならなかった男子エペ。王者から一転、”挑戦者”へ――再びの頂点、最高峰の頂を目指すため、今一度立ち上がる。

選手の試合後のコメント

辛島裕太選手(4年)*取材は大会4日目

―今日の試合を振り返って
1試合目からみんなの気持ちが浮ついてたのが出てしまって危ない試合をしてしまって。何とか勝てたんですけど。2試合目は気持ちが切り替えられなくて、油断してた部分もあり…。良くない展開でした。

―気持ちが浮ついてたというのは
今までが上手くいきすぎてて…。他を上から見てたんじゃないかなって。

―最後は1本勝負でしたが
絶対に取る気持ちはありました。でも正直びびってしまって、先に相手に1本取られてしまいました。

―全日本へ向けて
必ず取り返して、あと1ヶ月死ぬ気で練習するので、応援よろしくお願いします。

吉田玲(2年)・吉沢有紀選手(1年) *取材は大会4日目

ー団体戦を振り返って
吉沢:もてる限りの力は出したので、後悔はしていないです。
吉田:後悔しかないですね。
吉沢:実は後悔しかないです。

ー3冠してきて、プレッシャーはありましたか
吉田:プレッシャーはありましたね。

ー1回戦から苦戦を強いられた印象がありましたが、チームとしての調子は
吉田:3冠しているだけあって、次も取らなくちゃ行けなかったんですけど、早稲田戦が山場だったので、その先を見過ぎて、(1回戦は)こちら側のチームは結構油断してしまっていて、あっちは自由にやっていて。それで序盤からペースを握られて最後ギリギリだったので、全日本は勝ちたいです。

ー全日本に向けて気を引き締めて行かなくてはならない部分もあると思いますが、一ヶ月ある中でどう改善していくか
吉沢:僕はこの一ヶ月でインナーマッスルを鍛えます。
吉田:今までは自然にチャレンジする側だったので、思い切りやれていたんですけど、守る側になったので、守る側になったときの動きですね。自分は個人戦でもそうなんですけど。あとは一本勝負を落としてしまったので、その練習をしようと辛島先輩とも話しました。

ー王座では同志社大との一本勝負を制しての優勝を掴みましたが、今回は悔しさが残りました
吉田:今回も一本勝負になったときに、勝ったと思ったんですよ。
吉沢:辛島先輩なら勝つと思った。
吉田:さすがにそんな甘くなかったです。

ーずっと勝ち続けていて、悔しさはあると思んですが、この敗戦は成長する一つのきっかけになったのでは
吉田:初負けだったので、負けるなんて考えてもなかったので、ショックでもないし、よくわからないです。(まだ受け入れられない?)そうですね。
吉沢:これはこれで良いと思います。

ー個人戦の結果はそれぞれ振り返っていかがですか
吉沢:個人戦は僕は一本勝負で負けたので、一本勝負の練習をします。
吉田:カンカレで(タイトルを)取ってたので調子に乗ってましたね。周りに警戒されて、どうにでもなれって感じで来るので、それの対処がやってなくて。自分も初めて挑戦される側に回ったので。フルーレは経験あるんですけど、エペは対処が分からず、という感じでした。個人は良いんですけど、団体勝ちたかったです。

ー最後に全日本へ向けて
吉沢:ベスト4……じゃなくて優勝で。
吉田:ここで自分たちのせいで辛島先輩を負けさせてしまったので、最後は辛島先輩に法政入って良かったなと思ってもらえる様に、優勝はわかんないですけど、やりきりたいです。勝ち切りたいです。

 

フォトギャラリー

  • fen zennihon2-1今季初の敗戦に崩れ落ちる…
  • fen zennihon2-2エペキャプテンの辛島
  • fen zennihon2-3一本勝負を前に、気合を入れなおす(辛島)
  • fen zennihon2-4関カレで優勝も悔しい結果となった吉田
  • fen zennihon2-5後輩・吉沢の勝利に笑顔で向かい入れる(吉田)
  • fen zennihon2-6ルーキーの吉沢が個人ベスト16入り
  • fen zennihon2-7初戦、勝利を挙げ吠える吉沢
  • fen zennihon2-8辛島を息を呑んで見守る(奥左から吉沢・吉田・鈴木)
 

 

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