【フェンシング】第74回全日本フェンシング選手権大会(個人戦) 男子サーブルで小久保が3位入賞!吉田多も16強入り! 男子フルーレでも林が8強入りするなど4種目総勢10名が出場
全日本選手権
2021年9月16日(木)、17日(金)、18日(土)
駒沢オリンピック公園体育館
3日間にわたって行われた第74回全日本フェンシング選手権大会(個人戦)。法大からは4種目総勢10名が出場。東京五輪出場者も参加する本大会で、男子サーブルで小久保真旺(営1)が3位入賞を果たすなど、法大剣士たちが躍動した。
試合結果
種目 | 出場選手 | 順位 |
---|---|---|
男子サーブル | 小久保真旺(営1) | ベスト4 |
吉田多聞(営3) | ベスト16 | |
女子サーブル | 高橋千里香(国文2) | ベスト16 |
月野敬子(国文3) | ベスト32 | |
尾﨑世梨(法1) | ベスト32 | |
男子フルーレ | 林祥蓮(文1) | ベスト8 |
中村太郎(法3) | ベスト16 | |
西口泰嵩(営1) | ベスト64 | |
北村透海(社4) | ベスト64 | |
男子エペ | 浅海聖哉(法1) | ベスト16 |
戦評
男子サーブル個人戦
大会初日に行われた男子サーブルに登場したのは吉田多聞(営1)と小久保真旺(営1)。両者2回戦からの登場となった。
2回戦では、吉田は森田諒(早大)との対決。序盤から積極的に攻めの姿勢を取り、相手に流れを奪わせないプレーを披露。見事15-9で3回戦へと駒を進めた。
昨年王者である小久保は高山幸大(県立鶴丸高)と対戦。序盤は両者一歩も引かず点の取り合いとなるも、後半では相手に一切得点を与えず15-7と快勝した。
3回戦では吉田が白井寛夢(警視庁)と対戦。「手の内が見えていたが、序盤で気持ちが焦ってしまった」と語るよう、序盤から相手に3連続で得点を許すなど、前半で大差をつけられてしまう。また、靴が壊れるというアクシデントにも見舞われるなど逆境の中での戦いに。気持ちを切り替え臨んだ後半では積極的に攻め、14-14と同点に持ち込んだ。しかし、ここでまたシューズの底のゴムが剥がれ、約3分間の中断を余儀なくされた。最後の1本勝負では果敢に攻めるも、強敵を前に粘り切ることが出来ず惜しくもベスト16で敗退となった。
小久保の3回戦の相手は尾矢陽太(中大)。序盤に連続で失点するも、その後は落ち着いたプレーを見せ着実に得点を重ねていく。前後半ともに相手に流れをつかませず、15-8と危なげなく準々決勝に駒を進めた。
準々決勝で小久保が対戦したのは、3回戦で吉田を破った白井。相手に先制されるも、その後は隙を与えないプレーで有利に試合を進めていくと、最後は3連続得点で15-9と準決勝進出を決めた。
準決勝では、東京五輪出場者の徳南堅太(デロイトトーマツコンサルティング)と対戦。強敵との対戦となったが、「絶対に勝つ気持ちで挑みました」と語るよう、前半は両者譲らぬ接戦を繰り広げた。しかし、後半では4連続で得点を奪われるなど、実力の差を見せつけられ、10-15で敗戦。「気持ちの部分で劣っているのが強く身に感じた」という小久保はベスト4で大会を去った。
メダル獲得を目標としていた吉田、大会2連覇を目標としていた小久保の両者にとって本大会は悔しい結果となった。10月、11月と大会を控えている中、さらなる飛躍に期待がかかる。
(東夏紀)
女子サーブル個人戦
大会2日目午前に行われた女子サーブルには尾﨑世梨(法1)、月野敬子(国文3)、高橋千里香(国文2)の3名が出場。
尾﨑は1回戦で村上愛夢(県立三島高)と対戦。試合を通し、相手に一歩も譲らない積極的なプレーで圧倒し、15-2と勝利を飾った。続く2回戦では、谷山鈴々花(東京女子体育大)と対戦。序盤は両者点の取り合いとなるも、終盤に4連続失点を許すなど、実力の差を見せつけられ2回戦敗退となった。
月野、高橋は両者2回戦からの登場となったが、いきなりの同校対決。昨年ベスト4の結果を残している月野にとって後輩との対決は負けられない試合となった。試合序盤から、白熱した試合を繰り広げ、前半戦を8-7とほぼ互角で折り返す。しかし後半、月野は3連続で失点。逆転を許すと、高橋の勢いに飲まれ12-15で敗戦。同校対決は高橋に軍配が上がる形となった。
高橋の3回戦の相手は東京五輪出場者でもある江村美咲(立飛ホールディングス)。強敵相手に果敢に攻め先制点を上げるも、その後は相手のペースに飲まれ、攻めることができない。最後まで健闘したものの、3-15で敗戦。目標としていたベスト8にあと一歩届かなかった。高橋にとって悔しい結果となった今大会だったが、五輪出場者との対戦について「大きな経験だと考えています」と語る。将来五輪出場を目標にしている高橋にとって意味のある敗戦だったことは間違いない。
(東夏紀)
男子フルーレ個人戦
2日目午後に行われた男子フルーレ。法大からは北村透海(社4)、中村太郎(法3)、西口泰嵩(営1)、林祥蓮(文1)の4名が出場した。
1回戦からの登場となった北村透は菊元雪(龍谷大平安高)と対戦。北村透は先制点を奪取し、序盤を有利に進める。しかし、6‐9から追いつかれると、その後はペースを奪いきれず、13‐15で敗戦。法大生として出場する最後の全日本選手権個人戦は悔しい初戦敗退となった。
北村透と同じく1回戦から登場となった西口は相馬雅樹(熊本クラブ)と対戦。序盤は両者譲らぬ試合を展開する。中盤に一時引き離されるも追いつくと、14‐13とあと1本で勝利となるシチュエーションに。しかし、その後に2連続失点してしまい、14‐15で敗戦。一歩及ばず、西口は1回戦で姿を消すこととなった。
2回戦からの登場となった中村は初戦で川村京太(早大)と対戦。先制点を取られるも、中盤まで相手を圧倒し、6点差をつけるなどした。終盤に11‐10と追い上げを許すも、その後は危なげのない試合運びで15‐11で勝利した。
3回戦では三宅諒(フェンシングステージ)と対戦。中村は先制点を奪うも、その後は連続失点。試合の主導権を握ることができなかった。7‐14から3連続ポイントで反撃も、及ばず10‐15で敗戦。ロンドン五輪銀メダリストを前に白星を挙げることはできなかった。中村は昨年度に続きベスト16で今大会を終えた。
中村と同様に2回戦からの出場となったのはルーキー・林。林は初戦で四元澪(日大)と対戦した。「鹿児島の先輩ということもあり、やりずらさがあり手こずってしまった」と、試合はシーソーゲームを展開。両者譲らぬ激闘は、他のピストの全試合が終わるまで続き、最後は13‐14から林が2連続ポイントで見事に勝利。3回戦進出を決めた。
その3回戦では、伊藤拓真(上三川フェンシングクラブ)と対戦。2回戦の激闘からわずか5分程度で臨むことになり、「正直きつかった。もっと休憩が欲しかった」との言葉の通り、中盤までは劣勢となる。しかし、6‐9から4連続でポイントで逆転。その後も得点を積み重ねた。最後は相手の反撃を受けながらもかわした林は15‐14で勝利。準々決勝へと駒を進めた。
準々決勝では西藤俊哉(セプテーニ・ホールディングス)と対戦。「動き負けをしないように意識していた」と、法大OBであり、東京五輪出場を果たした強敵との勝負に挑んだ。しかしここまでの疲れが響いたか、「足を止めずに動いて勝負するはずだったが、足がつりそうになり自分のパフォーマンスができなかった」。試合の流れを引き寄せることができず、5ポイントの先取を許した。その後は反撃は見せるも追いつくことができず、8‐15で敗戦。法大の看板を背負って初めて臨んだ全日本選手権をベスト8で終えた。
ベスト8という結果について、「素直に嬉しい。自分が想定していたことが実践で起きたので対処できた」と喜びを見せる一方、「足がつりそうになり思ったプレーができなかった。そのため体力とフィジカル面の強化が課題」と振り返った。
今後について、「上にいけるように努力を続けていきたい。シニアのワールドカップや遠征でも上位に入りたい」と林。ルーキーフェンサーはさらなる高みを目指す。
(五嶋健)
男子エペ個人戦
3日目午前に行われた男子エペ。法大からは浅海聖哉(法1)が出場した。
2回戦からの登場となった浅海聖は、伊藤海之亮(専大)と対戦。「同年代の選手で、小さい頃から合宿や試合などで剣を合わせている。お互いのクセやプレースタイルを知っている」と浅海聖。その伊藤と熾烈(しれつ)なシーソーゲームを展開し、試合は両者拮抗状態に。試合が動いたのは、12‐12で迎えた浅海聖の13点目からだった。「自分が得意なフレッシュを最後にたたみ込もうと考えていました」と浅海聖は腕から相手に飛び込む攻撃・フレッシュで得点。大きな雄叫びを挙げると、続く14本目もフレッシュで得点を奪い、2連続ポイントとした。完全に流れを引き寄せた浅海聖は15本目もしっかりと取りきり、15‐12で勝利。見事3回戦へと駒を進めた。
3回戦では東京五輪金メダリストの山田優(自衛隊体育学校)と対戦。2回戦の勢いのまま臨みたい浅海聖だったが、金メダリストの壁は高かった。先制点を奪われると、試合は終始相手ムード。6連続ポイントを許すなど、相手の勢いを止めることができなかった。あと1点に追い詰められた6-14から3連続ポイントを奪うも、敵わなかった浅海聖。9‐15で敗戦し、「ナショナルチームの練習や合宿で普段からお世話になっている」という先輩から白星を挙げることはできなかった。
ベスト16という結果について、「国内ランキングで上位を目指す為には、ベスト16が最低ラインだと思っている。2回戦をしっかりと勝つことができてよかった」と話す一方、「トップレベルの選手に自分から攻撃を仕掛けて得点を取れる自信がない。トップレベルに通用するアタックを練習していきたい」と自己分析した。
3年後のパリ五輪に向けて、「3年しかないのでそこまでに東京オリンピックメダリストを追い越します」と浅海聖。『法政大学に入学し競技する』という夢を叶えた剣士は、次なる夢・パリ五輪に向けて駆け上がる。
(五嶋健)
(撮影:五嶋健、東夏紀)
選手インタビュー
小久保真旺(営1・男子サーブル)
ー今大会を振り返って
前回優勝したというのもありプレッシャーがありましたが落ち着いてプレーはできたと思います。自分としても成長できる試合になりました。
ー自身の調子は
試合当日は緊張していたので少し動きが固かったです。
ー準決勝では東京五輪に出場した徳南選手との対戦でしたが
絶対に勝つ気持ちで挑みましたが動きでの部分ではなく気持ちの部分で劣っているのが強く身に感じました。
この試合結果を機に気持ちの部分を強化していきたいです。
ーベスト4という結果について
2連覇を狙っていたのでとても悔しい気持ちでいっぱいです。
ー部の雰囲気は
成長できるようにみんな切磋琢磨し合っています。
ー今後の目標は
10月にある関カレで個人団体ともに優勝することとワールドカップで上位に入るのを目標に練習していこうと思います。
吉田多聞(営3・男子サーブル)
ー今大会を振り返って
コロナの影響で久しぶりの試合だったので緊張が大きかったです。
大きな声を出せないという異様な雰囲気もさらに緊張を煽りました。今回はベスト16でしたが、正直もっと上にいけると思っていたので、悔しい結果でした。
ー接戦となった3回戦について
相手の選手とはナショナルチームで普段から練習している相手だったのでお互いの手の内は見えていたのですが、序盤で気持ちが焦ってしまい調子が上がりませんでした。靴が壊れるハプニングもありましたが、後半は気持ちを切り替えて試合を運ぶ事ができました。最後の一本を取り切る事ができなかったのは悔しいです。
ー今大会の目標と結果について
前回の全日本選手権はコロナの影響で出場することができずに、2年ぶりだったので、メダル獲得を目標にしていましたが、思うような結果がでませんでした。
ー現在の課題は
メンタル面での弱さが試合に出てしまうことが多いので、実力でメンタルをカバーできるようにしたいと思います。
ー今後の目標は
今後もシニアのランキングの試合があるので国内ランキングを上げられるように勝ち進めるように練習を重ねたいです。
高橋千里香(国文2・女子サーブル)
ー今大会を振り返って
現在流行しているウイルスのこともあり、約2年ぶりの出場でかなり緊張しましたが、大きな舞台で試合をすることができてよかったと感じています。
ー同校対決では意識することがありましたか
勝つことだけを考えていました。
ー3回戦では東京五輪出場者との対戦となりました
オリンピックを目指している身として、オリンピックの直近の大会で東京五輪出場者と対戦できたことは大きな経験だと考えています。
ー今大会の目標と結果について
今大会はベスト8を目標としていましたが、結果は14位でした。
ー現在の課題は
自分自身の体について知ることと、メンタルトレーニングです。
ー今後の目標は
インカレで個人、団体共に優勝することです。
将来の目標はオリンピックに出場して金メダルを取ることです。
林祥蓮(文1・男子フルーレ)
ー全日本選手権を振り返って
近い大会で目標にしていた大会でナショナルチームの人を倒すことができ、よかった。ずっと勝てずに、何度も対戦相手の動画を見て研究した。それをイメージと練習で大会当日発揮できたと思う。また良いところと反省点が出た。
ーベスト8の結果について
シニアの大会で初めて8に入り、素直に嬉しい。自分が想定していたことが実践で起きたので対処できた。1本勝負も気持ちで負けなかったため勝てたと思う。
ー疲れについて
(四元選手は)鹿児島の先輩ということもあり、やりずらさがあり手こずってしまった。(3回戦は)正直きつかった。もっと休憩が欲しかったです。
ー準々決勝について
(西藤)俊哉くんとするときは、動き負けをしないように意識していた。足を止めずに動いて勝負するはずだったが、足がつりそうになり自分のパフォーマンスができなかった。
ー課題は
足がつりそうになり思ったプレーができなかった。そのため体力とフィジカル面の強化が課題だと感じた。技術面では負けている感じはなく、もっと自分の技の応用や正確性を向上していきたい。
ー今後の意気込み
もっと上にいけるように努力を続けていきたい。シニアのワールドカップや遠征でも上位に入りたい。
浅海聖哉(法1・男子エペ)
ーベスト16という結果について
国内ランキングで上位を目指す為にはベスト16が最低ラインだと思っているので2回戦をしっかりと勝つことができてよかったです。
ー2回戦の伊藤選手との試合について
伊藤選手は同年代の選手で、小さい頃から合宿や試合などで剣を合わせています。お互いにクセやプレースタイルを知っているので、自分が得意なフレッシュを最後にたたみ込もうと考えていました。結果的にこの戦略が勝利につながりました。
ー3回戦の山田選手との試合前は親しげにお話しされていたと思います
ナショナルチームの練習や合宿で普段からお世話になっており、いつもボコボコにされています。
ー今大会で見つかった課題は
トップレベルの選手に自分から攻撃を仕掛けて得点を取れる自信がないので、トップレベルに通用するアタックを練習していきたいです。
ー法大を選んだ理由は
兄や父が法政だったことと、フェンシングを小さい頃から続けていますが、今日に至るまでに多くの法政大学OBや関係者の方に支えてもらっていたので、この法政大学に入学し競技することが自分の夢でした。
ー今後の意気込みをお願いします
パリオリンピックまで3年しかないのでそこまでに東京オリンピックメダリストを追い越します!