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【水泳】世界水泳選手権2023福岡大会独占インタビュー ~三井愛梨の2日間にわたる戦いを振り返る~

世界水泳選手権2023福岡大会
2023年7月14日(金)~30日(日)
マリンメッセ福岡A館

世界の猛者たち相手に19歳の三井愛梨(国1)が堂々たる泳ぎをみせた。7月26日、27日の女子200mバタフライ予選、準決勝、決勝に登場した三井は惜しくもメダルには手が届かなかったが世界の舞台で5位入賞。来年のパリオリンピックでのメダルに期待がかかる彼女の世界水泳での戦いを振り返る。

トビウオジャパンの一員として力強い泳ぎをみせた

三井愛梨大会結果(26日、27日)

予選、準決勝結果(女子200mバタフライ)

レース 順位 選手名 タイム 備考
予選 6位 三井愛梨(国1) 2分08秒54 準決勝進出
準決勝 7位 三井愛梨 2分07秒51 決勝進出

決勝結果(女子200mバタフライ)

レース 順位 選手名 タイム 備考
決勝 5位T 三井愛梨 2分07秒15

記事

堂々たる泳ぎでの5位入賞だった。昨年の12月に行われた世界短水路選手権以来、2度目となるシニア代表として日の丸を背負った三井。メダルには惜しくも0.57秒及ばなかったが、彼女が次なる目標として定める「パリ五輪でのメダル獲得」に向けて弾みをつける世界水泳となった。

今年4月に開催された日本選手権の200mバタフライで見事優勝し、日本代表に内定してからの日々は、日本女王として臨む世界水泳に向けて海外で経験を積む日々が続いた。5月には欧州遠征を敢行。世界の選手たちと戦うことに重点を置き、連戦を積む中で見つかった自身の課題と向き合い続けた。また6月にはアメリカ・フラッグスタッフで高地合宿もおこなった。本人も「かなり苦しかった(笑)」と振り返ったこの合宿。日頃と異なる練習環境の中でも、「特に普段以上に技術面の向上に向き合って練習ができた」と確かな手応えを掴むことができた。7月には福岡で直前合宿も消化し準備は万端。「予選、準決勝、決勝と3本レースを泳ぐこと、ベストタイムを出すこと」を掲げ、いよいよ世界の猛者たちと相見える三井の2日間の戦いが始まった。

7月26日午前中に行われた予選から三井は持ち味を発揮した。最後の50mを出場者トップのタイムでまとめ、2分08秒54の全体6位で危なげなく準決勝へと駒を進める。予選からおよそ9時間後始まった準決勝1組目の3レーンに登場した三井は、横を泳ぐオーストラリアのエリザベス・デッカーズ(4レーン)に終始ついて行く形でレースを進め、組3位となる2分07秒51のタイムでフィニッシュ。2組目の終了後、会場のビジョンに決勝進出者が発表されると会場中から大きな歓声が沸いた。全体7位で見事翌日のファイナル進出を決めた瞬間だった。

迎えた翌27日の決勝。今大会日本女子選手初となるメダル獲得に向けて、スタート後から果敢に飛ばしていった。本人も「勢いでいってしまった感じだった」と振り返るように、前半100mを1分01秒26で入ると、150m地点でも自己ベストを更新する1分33秒87のペースで残りの50mを全体の7位でターン。持ち前のスパート力を会場の大歓声が後押しし、順位を2つ上げるものの惜しくも5位でのフィニッシュとなった。タイムは2分07秒15と惜しくも自己ベストには届かなかったが、世界の舞台を大いに楽しみ、予選から決勝まで3本泳ぎ切るという目標を達成してみせた。

今回200mバタフライ世界女王となったカナダのサマー・マッキントッシュは、前半100mを三井より2秒以上速い58秒97で入ったうえ、ラスト50mのタイムも三井を上回り2分04秒06のワールドジュニアレコードを叩き出した。「前半から自分の中では突っ込んで入ったと思っていてもの、決勝の舞台では前半100mの通過が8番目であったり、前半突っ込んだ反動で後半伸びなかったことは今後の収穫になった」と自身の今後に向けての課題を三井はこう振り返る。世界の舞台でも確かに通用したスパート力をさらに生かしていくためには、前半からスピードに乗った泳ぎが必要不可欠になる。世界のトップスイマーと互角に戦ったが、上には上がいることを改めて感じる大会にもなった。

2024年パリ五輪でのメダル獲得に向け、三井愛梨の翔TIMEは続く。(野田堅真)

 

インタビュー

三井愛梨

ー今回の世界水泳に100点満点で点数をつけるとしたら何点か
80点ですね。

-その理由は
ベストタイムこそでなかったんですけど、収穫が結構あったことと、世界水泳という大きな舞台でしっかりと戦えたことは良かったことだと思っています。

-具体的にどのような収穫があったか
レース展開や自身の泳ぎに関しては、前半から自分の中では突っ込んで入ったと思っていても決勝の舞台では前半100mの通過が8番目であったり、前半突っ込んだ反動で後半伸びなかったことは今後の収穫になりました。また、これまでの課題がまだまだ修正できていないなという再確認もできた大会でした。

-特に決勝の舞台は前半から突っ込んで入っていたが、レース前の心境は
決勝のレースは150mまではベストタイムで入ることができました。レース前は何も考えずって言ったらダメなんですけど(笑)、勢いでいってしまった部分はあったと思います。

-今大会は予選と準決勝のインターバルがとても長かったが、どういった対策をしていたのか
予選の時間は普段の日本選手権などの大会と同じくらいの時間からのスタートだったんですけど、準決勝はだいたい3.4時間遅く始まることは事前に分っていることなので、夜の遅い時間に泳ぐことを想定して調整合宿の際にその時間からメインの練習を始めるなどの対策はしていました。

ー泳ぎたいと言っていたマッキントッシュ選手と泳いでみて
場所的に見えもしなかったんですけど(笑)。ただレースが終わってやっぱり凄い強かったなと思いました。

-1ヶ月前のインタビューで「現段階での調子は?」と尋ねた時に「まぁまぁまぁ(笑)」と答えていたが実際はどうだったか
実を言うと、フラッグスタッフの合宿から帰ってきて1週間くらい経った時(インタビュー当時)からすごく調子が上がってきていて、福岡に入る直前の合宿もすごく調子は良かったです。ただ福岡に入ってからは、環境の変化が原因とは言い切れなですけど、少し調子を落としてしまったなと感じてはいました。

-自国開催の世界水泳の雰囲気はどう感じたか
去年の12月に世界短水路選手権の代表を経験した時も、世界の舞台での声援はとても大きかったですし、今回の福岡と同じように地元のオーストラリアの選手が出てきた時の歓声はより一層すごいなと感じていました。今大会はさらに規模が大きくなり、豪華な演出などもあって、日本人の選手が出てきたときの歓声の大きさには驚きました。予選から大きな声援をもらったので少し緊張するなとは思っていたんですけど、準決勝、決勝ではその声援をプレッシャーに感じるのではなくて、自分の力に変えて泳ぐことはできたんじゃないかなと思います。

-日本選手団の一員として望んだ今大会。他の選手との交流はあったか
本多灯(日大)選手からはとても刺激を受けました。銅メダルを獲得したレース(200mバタフライ)の泳ぎからもそうなんですけど、その後の応援の合間にお話しする機会があってとても勉強になりました。

-世界水泳後はどのような点に重点を置いて練習しているのか
世界水泳の舞台を経験して見えてきた課題もありますし、世界水泳前から意識して取り組んでいた前半から突っ込んでいく泳ぎの練習も意識して続けています。また前半速くなるとどうしても後半タイムが伸びなくなるので、そのあたりのバランスも意識して練習しています。

-2024年のパリ五輪での目標は
メダル獲得です。

-法大の一員として臨むインカレ。目標は
法政大学の一員として挑むインカレなので、しっかりとチームに貢献して点数を持ち帰れるようにしたいです。そのなかで200mバタフライは優勝は譲れない種目になると思いますし、100mバタフライの方でも優勝目指していけたらなと思っています。

-最後に今回の世界水泳応援してくださった方たちにメッセージを
いつも応援していただいて、私の記事を読んでいただいてありがとうございます。まずはインカレ、そして来年のパリ五輪に向けて頑張っていくので今後とも応援よろしくお願いします!(取材・編集/野田堅真)

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