関東学生アメリカンフットボールリーグ 第7戦 対立大
2024年11月10日(日)
横浜スタジアム
前節で2年連続の優勝を決めた法大。今節は昨年成し遂げられなかった全勝優勝を懸けて、立教大学と激突した。試合は序盤からミスが重なり、相手にリードを許す苦しい展開に。それでも高城颯真(経3=法政二)のFGで反撃を開始すると、須加泰成(営3=足立学園)の今季初TDに加えて廣瀬太洋(営4=駒場学園)が圧巻の4TD。見事逆転に成功し、38-20で勝利。最終戦を白星で飾り全勝優勝を果たした!
試合結果
トータル試合結果
法政大学ORANGE |
0 | 1Q | 3 |
立教大学RUSHERS |
---|---|---|---|---|
10 | 2Q | 7 | ||
7 | 3Q | 10 | ||
21 | 4Q | 0 | ||
法政大学ORANGE | 38 | Total | 20 | 立教大学RUSHERS |
試合得点
Q | ポジション | 選手 | 得点方法 | トライフォーポイント(以降:TFP) |
---|---|---|---|---|
2 | K | 高城颯真(経3=法政二) | フィールドゴール(以降:FG) | ー |
2 | WR | 須加泰成(営3=足立学園) | タッチダウン(以降:TD) | ○ |
3 | RB | 廣瀬太洋(経4=駒場学園) | TD | ○ |
4 | RB | 廣瀬太洋 | TD | ○ |
4 | RB | 廣瀬太洋 | TD | ○ |
4 | RB | 廣瀬太洋 | TD | ○ |
戦評
前節で優勝を決めた法大。リーグ最終戦は昨年成し遂げられなかった全勝優勝を懸け、立教大学と激突した。
試合は立大のキックオフでスタート。しかしこれがアウトオブバウンズとなると、法大は5ヤード下がっての蹴り直しを選択。これをRB小松桜河(文3=日大三)がリターンし、法大最初の攻撃は法大陣46ヤード地点から開始。RB中川達也(法3=明治学院)のランプレーで前進するも、立大陣46ヤード地点からの3rd&2の攻撃がパス不成功に終わり、4thダウンの攻撃でパントを選択。しかし中村季音(営3=駒場学園)のパントはタッチバックとなり、立大の攻撃は立大陣20ヤード地点からスタートすることに。それでも立大陣26ヤード地点からの3rd&4の攻撃で、髙橋和音(法4=海陽学園)が相手のパスを見事インターセプト。今季ディフェンス陣をけん引してきた男にこの日もビッグプレーが飛び出し、再び攻撃権は法大へ。立大陣30ヤードから始まった攻撃はWR高津佐隼世(キャ3=佼成学園)と中川のランプレーもあり、立大陣12ヤード地点まで前進する。しかしここで迎えた2nd&6の攻撃。QB 谷口雄仁(営4=法政二)がRBの位置に入った高津佐へのパスを狙うも、これを相手にインターセプトされてしまい、攻撃権を取り戻されてしまう。立大陣41ヤード地点からの攻撃は立大RB星野真隆(4年)のランプレーを止められず、法大陣40ヤード地点まで前進され迎えた2nd&7の攻撃。立大のパス不成功かに思われたが、法大にパスインターフェアの反則があり、反則地点の法大陣29ヤード地点で1st&10として試合再開。立大はその後の4thダウンの攻撃でFGを狙うと、25ヤードのキックをきっちり決め0-3。先制点を許す展開となる。キックオフ後の、法大の攻撃は法大陣19ヤード地点から。谷口からWR須加泰成(営3=足立学園)へのパスや、RB 廣瀬太洋(営4=駒場学園)の20ヤードをゲインするランプレーが飛び出し、立大陣49ヤード地点まで前進する。さらに迎えた1st&10の攻撃でTE 矢作一颯(法2=足立学園)へのスクリーンパスにより18ヤードをゲインし、立大陣31ヤード地点まで進んだところで第1Qが終了。0-3と3点ビハインドで第2Qへ。
第2Qは法大の攻撃、立大陣30ヤード地点から3rd&9でスタート。するといきなり廣瀬が谷口からのスクリーンパスをチップしてしまい、浮いたボールが相手DBの胸元に収まり、そのままランによるリターンを許し、立大の攻撃は法大陣17ヤード地点からとなってしまう。ランプレーによるゲインを重ねられ、迎えた法大陣14ヤード地点からの2nd&7の立大の攻撃。ここで立大のパスは不成功となるも、法大がオフサイドの反則を取られて5ヤードの罰退。続く法大陣9ヤード地点からの2nd&2の攻撃で、星野にランプレーによるTDを決められてしまう。さらにTFPも沈められ0-10。立大ペースで試合は進んでいく。立大のキックオフで再開後の法大の攻撃は、法大陣37ヤード地点から。須加への2度のパス成功やWR 山本健二朗(情3=日大二)へのパス成功などWR陣が安定したパスキャッチを見せ、1stダウンを3度更新し、立大陣25ヤード地点まで前進する。しかし1st、2ndダウンでの攻撃がともにパス不成功に終わり、3rd&10の攻撃でWR 宮﨑航也(文4=千葉日大一)へのパスが成功するも1stダウン更新までは6ヤードを残すことに。ここで法大はFGを選択し、着実に点差を縮めることを狙う。キッカーはK 高城颯真(経3=法政二)。立大は負けたらプレーオフ進出が絶たれることもあり、応援団は激しいブーイングでプレッシャーをかける。それでも高城が39ヤードのロングFGを見事に決め3-10。立大のキックオフリターンをLB 須藤晟也(経4=法政二)の見事なタックルによって止めると、その攻撃も凌ぎ攻撃権は再び法大に。法大陣45ヤードからの1st&10の攻撃で、廣瀬の中央から右に流れるランプレーで14ヤードをゲイン。さらにパスによるゲインも重ね、立大陣21ヤード地点まで前進する。続く1st&10の攻撃では右に流れた谷口から中央で待っていた矢作へのパスが通り、立大陣3ヤード地点へ。迎えた3rd&goalの攻撃で谷口から須加へのパスが通りTD!須加はリーグ最終戦にして、嬉しい今季初TDとなった。その後のTFPも高城がしっかり決めて10-10と法大が同点に追いつく。キックオフで再開後の立大の攻撃は立大陣30ヤード地点から。星野のランプレーに苦戦するも、法大陣31ヤード地点まで攻め込まれてしまう。それでもDL 川村達哉(文4=明治学院)のノーゲインに抑えるタックルや、髙橋のロスタックルなどがあり、法大陣37ydまでLossさせ、FG圏内から出すことに成功。第2Q終わりに勝ち越されるピンチを無失点で切り抜けたところで第2Qが終了。10-10とタイスコアでの折り返しとなった。
立大のレシーブで始まった第3Q。法政陣37ヤード地点からの攻撃は、4th&5まで相手オフェンスを抑え込む。ここで相手キッカーは49ヤードのFGにトライ。これがギリギリ決まり、後半開始早々10-13と再びリードを許す展開に。反撃したい法大の攻撃は法政陣32ヤード地点から。谷口から高津佐へのパスで1stダウンを2度更新し、立大39ヤードから迎えた1st&10。谷口からのハンドオフでボールを受け取った廣瀬が、Line陣がこじ開けたフィールド中央を力強く突破しTD!高城のTFPも決まり、17-10と法大はこの試合初めてリードを奪うことに。しかし、互いに点を取られたら取り返す展開が続く。リターン後の立大の攻撃は、立大陣35ヤード地点から。星野のランにより着実にボールを運ばれると、法政陣11ヤードまで進み迎えた1st&10。またまた星野へハンドオフでボールが渡ると、右サイドを突破されそのままランTD。TFPも決まり、第3Q残り約3分で17-20と再びリードは立大に。反撃に出たい法大だったが、試合再開でオンサイドキックを選択した立大の作戦が見事にハマる。法政陣46ヤード地点で立大が見事にボールをリカバー。立大の立て続けの攻撃が始まり、3回のダウンで9ヤードゲインされ迎えた4th&inch。これ以上離されたくない法大は、DL陣の意地のディフェンスが実り1stダウンの更新を許さず相手に流れを渡すことなく攻守交代。続く攻撃で、最初のプレーで8ヤードをゲインし試合は最終第4Qへ。
スコアは17-20、立大陣47ヤード地点からの法大の攻撃で再開された第4Q。この試合幾度となくゲインを重ねてきた、中川、廣瀬のランで、立大陣3ヤード地点まで前進し迎えた1st&goal。谷口から、エンドゾーン右へと走りこんだ高津佐をターゲットとしたパスは不成功に。続く2度の攻撃は決め手を欠き、立大陣5ヤード地点で迎えた4th&goal。同点を狙ったFGが成功かに思われたが、ここでフィールド上にマーカーが。しばらく審判団による協議が続くと、このプレーは相手ディフェンス陣にパーソナルファウルがあり、先程の5ヤードの半分、エンドゾーンまで3ヤード地点から法大の攻撃がやり直しに。立大陣3ヤード地点からの1th&goal。廣瀬のランで2nd&inchとすると、ハンドオフで谷口から廣瀬に渡ったボールをそのまま押し込みTD!TFPも決め試合時間残り約8分で24-20とし、法大は再逆転に成功。変わって立大陣33ヤード地点からの立大の攻撃は、須藤のインターセプトで早々に反撃の芽を摘むと、ここから試合の流れが一気に法大に傾く。法大の攻撃は中川のランを中心にゲインを重ね、立大陣34ヤード地点へ。迎えた1st&10、ハンドオフでボールを受け取った廣瀬が、左サイドへと走り込み今日3本目のランTD!31-20とすぐさま追加点を奪うことに成功する。その後、さらに廣瀬の60ヤードのランTDも決まり勝負あり。ファイナルスコア38-20と勝利し、リーグ戦を7戦全勝の完全優勝で締めくくった。
これで正真正銘の関東王者として、堂々とプレーオフに進出となる。昨年見ることのできなかった全国頂点からの景色を見るべく、残り3戦彼らの進撃はまだまだ続く。
全日本大学アメリカンフットボール選手権のプレーオフ初戦となる準々決勝は、11月16日に行われる2回戦、九州大と中京大の勝者と対戦。11月24日日曜日、福岡県久留米市にある久留米総合スポーツセンター陸上競技場にて正午にキックオフ!(記事:野田堅真、白戸大貴)
ヘッドコーチ・選手インタビュー
矢澤正治ヘッドコーチ
ーー今日の試合の感想とリーグ優勝について
まずは非常に運が良かったなというふうに思っております。今シーズン7試合やってきたわけですが、必ずしも自分たちの力だけで勝ててきたかと言われたらそうではないと思います。やはり楕円のボールの転がる方向が違ったら、試合の結果が変わっていた可能性も大きくある訳で。その中でも勝利の女神が微笑んでくれたことは、本当に運が良かったと思っております。とはいえしっかりと勝ち切ったたことに関しては、非常に収穫があります。学生のみんなにはこれを励みにもっと大きなところを目指して、やっていって欲しいですね。
ーー昨年と同様、優勝を決めての最終戦になったと思うが、この試合はどのようなモチベーションで臨んだのか
今年に関していうと、甲子園ボウルまで全10試合あると考えた時に、僕らにとって今日の試合はその第7戦に過ぎないわけです。今日はリーグ最終戦という節目ではありましたが、こちらも全10試合を見据えてのチーム作りをしています。10試合のリーグの7つめの試合で手を抜くかといったらそんなことはないと思うんです。それと、そもそも1試合12分×4Qでやると、150から160プレーくらいで試合は終わってしまいます。僕からすると、この限られたプレー数しかない中で手を抜くのはありえないなというモチベーションの中で今日の試合に臨んでいました。選手のみんなも目の前のプレーに全力で挑むことしか考えてないと思います。
ーー今日の試合、随所に法政らしさが垣間見えたが
法政らしく、自分たちのプレーを100%発揮することって本当に厳しいことと思うんです。よく、ミスってもいいから全力でいけみたいな指導者もいると思うんですけど、これってかなり難しくて。守って簡単なプレー、成功しやすいをすることは容易いことだと思うのですが、それでも結果が分からないプレーに対してフルスイングする勇気が1番重要、法政らしさだと思っています。1試合の中で相手が誰であれ、この意識が2時間半の中でどれくらいできるのかで試合の善し悪しを判断しています。いいプレーであっても、プレーしている11人が全員力を発揮できていることなんてほぼほぼないと思ってます。
ーー関東でのリーグ戦7試合を通して、チームが大きく変わったと感じた部分
もともと開幕の記者会見の時に、リーグ戦が終わった段階で、リーグ開幕時と比較してあと時の自分たちがまだまだだったなと思えるチーム作りをすることが、このリーグ戦を通してのシナリオでした。そういう意味では、予定通りとはいえませんが徐々にチームが変化してきていることは感じております。学年とか役割関係なく、選手みんなが2時間半の中で力を発揮し続けることができるようになってきたと思いますね。
(合同記者会見にて)
DL/主将・山田晋義(営4=日大鶴ケ丘)
ーー今日の試合の感想とリーグ優勝について
勝てたという結果に関してはすごく嬉しいの一言です。でも、特に前半はオフェンス、ディフェンスともに、まだできたなっていうのが正直な感想です。リーグ戦全部含めて、法政の力を100%出した試合は正直まだないと思っています。これからどんどん相手も強くなるので、100%自分たちの力を出すのは本当に難しい。いかに100%に近付けられるか、いかに試合を想定して練習して100%に近付けられるか、というのが今後自分たちに残された課題だと思います。その部分を練習から意識して、プレーオフは絶対勝っていきたいと思っています。
ーー今日の試合ほぼほぼフルメンバーで試合に臨んでいたように見られたが
昨年は負けてしまって、東日本決定戦に1個黒星をつけて行ったというのは、何か違うっていうのは正直ありました。なので、今日は自分自身も本当にフルで頑張りました。勝てたので良かったです。
ーー関東でのリーグ戦7試合を通して、チームが大きく変わったと感じた部分
桜美林との開幕戦では、今年どうなるんだろうと感じました。春はタケ(谷口雄仁)がいなくて、強いOLが怪我をしていて、そして負け続けて…。自分はどうしたらいいんだろうってすごく悩みました。その後、タケが帰ってきてリーグ戦の初戦を迎えました。その試合で勝ってから、一試合一試合重ねるごとにチームが一つになっていきました。その理由は別に四年生がやったとか、そういうことではないです。学年関係なく、全員が自分の役割に徹したんです。1年生のOL、4年生のOL、1年生で出てるディフェンスもいます。チームがどんどんまとまっていって、形になったという風に感じます。
ーー甲子園ボウルに向けての意気込み
自分たちが挑戦者だとは全く思っていないです。昨年、大差をつけられて負けたという意見もあると思いますが、私たちは法政オレンジのそれ以下でもそれ以上でもない。法政のフットボールをとにかくやり続けます。目の前のプレーに集中して、結果を積み重ねていく。もちろん勝つ気で、強気でいかせていただきます!
(合同記者会見にて)
QB/オフェンスリーダー・谷口雄仁(営4=法政二)
ーー今日の試合の感想とリーグ優勝について
試合前半、自分自身はツーインターセプトをされてしまって、ディフェンスに迷惑をかけましたし、試合の流れも良くなかったと思います。その一方で、全員が慌てることなく点数を重ねていって、最後に逆転することができたのは、すごく大きな収穫だと考えています。
ーー最優秀選手賞の受賞について
昨年大きな怪我をしまして、春シーズンの最初は自分の力で歩けない状況でした。そんな中、年明けからトレーナーやドクターの皆さんがリハビリにわざわざ来てくださりました。そこからチームメイト、ファンの方、両親の声掛けもあって、リハビリに集中することができ、秋の初戦に間に合わせることができました。春の試合を通じて、あまり動けない自分を守ってくれるOL、パスを取ってくれるRB、TE、WR、みんなのおかげで取れた賞だと思っています。慢心することなく、今後も自分のプレーを積み重ねていき、日本一になることを固く決意してプレーし続けたいと思っています。
ーー今日の試合ほぼほぼフルメンバーで試合に臨んでいたように見られたが
自分は、試合が一番成長できる環境という認識があります。矢澤さんが自分を下げる選択をせず、勇気を持って出場させてくださった。このチャンスをいただけたことに、本当に感謝しています。その中で結果を残すことも大切ですし、怪我を絶対にしないというのは矢澤さんの選択を正しかったと証明するためにも絶対条件でした。そこは覚悟を決めて出場しました。
ーー関東でのリーグ戦7試合を通して、チームが大きく変わったと感じた部分
慶應戦の前半に逆転したドライブから、かなり雰囲気が変わりました。これがオフェンスのターニングポイントだったと感じます。この慶應戦でリーグ戦通じて初めてのリードを許しました。オフェンスのピットの中では、いつも通りやれば想定通りだし大丈夫という会話をしました。最終的に逆転して前半を終えて、後半最初のドライブで流れを持ってこようという話をしました。そして後半できっちり得点を重ねて、そのまま勝利というゲームでした。今日の試合もそうですが、オフェンスが上手くいかなくても、相手はいつも通りプレーしてきます。一方で自分たちもいつも通りの力を発揮すれば、結果は自ずとついてくる。淡々と1プレー1プレーに向かえば、オフェンスとしてスコアを積み重ねられるという成功体験を得られました。精神的な強さもその時に得られたと思います。積み重ねていくことで成長していくと感じました。
ーー甲子園ボウルに向けての意気込み
自分は挑戦者かなと思っています。今まで関西のチームに対して、4年間勝ってきていないですし。ただ、多くて2試合、関西のチームと当たれるチャンスをいただけて、本当にワクワクしています。自分がこの3週間、長くて5週間の間、高いレベルのフットボールの環境に身をおけることに本当に感謝しています。いつも通りフットボールを本当に楽しんで勝ちたいと思っています!
(合同記者会見にて)
RB/廣瀬太洋(営4=駒場学園)
ーー今日の試合を振り返って
序盤にミスをしてしまって、自分のせいでチームが負けてしまいそうだったので、取り返したいと思ってプレーしていました。
ーー4本のTDを振り返って
個人技で取れたTDは1本も無かったので、オフェンス全体としてTDという結果を残せて良かったと思います。
ーー全勝優勝できた要因は
皆んなが強くて、アメフト好きが多いからだと思います。
ーーどういった気持ちで、リードを許していた4Qに入ったか
チーム全体として0-0のメンタルでプレーしようと、声掛けをして入りました。
ーープレーオフに向けての意気込み
へまをしないように頑張ります。
(取材・松野要)