【硬式野球】東京六大学野球春季リーグ戦 早大戦展望

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【硬式野球】東京六大学野球春季リーグ戦 早大戦展望

東京六大学野球春季リーグ戦 対早大戦
2014年4月12日(土)~
神宮球場

 
※取材日
2014年3月18日(火)
早大野球部寮

ついに開幕を迎える六大学野球。法大は開幕カードで早大と激突する。有原、中村と投打の軸が強力の早大。「1点」が勝負を分ける、好ゲームとなりそうだ。強敵であるが勝ち点を奪い、優勝に向けて開幕ダッシュを目指す。

早大・岡村猛監督

展望

 石田健大(営4)の出来が今季の法政を左右しそうだ。開幕戦で互いにプロ注目の有原との投げ合いが予想され、「自分がどれだけ良いピッチングができるかに懸かっている」とエースを自負している。また空白となっている第2先発は、オープン戦で好投を続けていた玉熊将一(法2)が最有力。鈴木貴也(人4)や浅野文哉(法3)も可能性があり、誰が先発の座を射止めるのか注目が集まる。中継ぎ陣は金井和衛(人3)を中心に、リーグ戦登板経験がない投手が多いのが懸念材料。登板経験の有無が試合にどう影響を及ぼすのだろうか。また、新井諒(人1)、熊谷拓也(キャ1)、宮本幸治(営1)ら将来を有望されているルーキーの早期の神宮デビューに期待が懸かる。神長監督の投手起用にも注目が集まる。

 打撃陣の中心は4番に座る伊藤諒介(キャ4)。経験豊富な頼れる主砲の、得点圏での打撃に期待したい。中軸には畔上翔(キャ3)や金子凌也(キャ2)など打力のある選手が担うだろう。つなぐ打線で少しでも多く得点を奪いたい。今季の打線は、オープン戦で調子を上げてきた細川雅生(文3)、佐藤竜一郎(法3)、荻野祐介(経3)、田中彪(法3)など3年生が中心となりそうだ。また、甲子園連覇の経験がある水谷友生也(営1)もルーキーながら遊撃手のレギュラー候補である。

 一方、早大打線の中心は、ここまで現役選手トップの70安打を放ち、昨秋4本塁打と目覚しい活躍をみせた中村。プロ注目のスラッガーであり、打たれると打線を勢いづかせるので要警戒だ。続く中軸には昨秋リーグ5位の打率をマークした武藤が予想される。さらに試合経験豊富な茂木、河原、石井らが脇を固める打線は驚異だ。彼らの前に瞬足の重信、中澤を出塁させると、得点に直結する可能性が高くなるので注意したい。

 投手陣も磐石である。難攻不落のエース・有原からいかに得点を奪うかがカギを握る。「早稲田=有原君」と神長監督が言うように、その存在は遥かに大きい。「そんなに点を取れるピッチャーではない」と指揮官は攻略に表情を曇らせていたが、勝ち点を奪うためには打線の奮起が絶対条件である。また、第2先発には高梨、吉永ら先発として実績のある投手が有力か。内田、竹内、吉野と多様な投手が控える中継ぎ陣から、得点を奪わなければ勝ち点はない。

 昨年度の早大には、春は2連勝、秋は引き分けを挟み2連勝と負けていため、法大に分があると言える。その勢いのまま今季も2連勝を果たしたいところ。優勝を成し遂げるには、開幕ダッシュが重要なのは言うまでもない。逆襲に燃える今季の法大ナインに期待だ。(川添岳)

「失点を少なくしてロースコアで戦いたい」―早大寮取材

今季を占う開幕戦。勝利に懸ける思いの強さは相手も同様だ。有原、中村という投打の中心が明確に存在するチームで、指揮官はどのような采配をふるうのか。早大・岡村監督にお話を伺った。

岡村 猛 監督

―昨年1年間の総括をお願いします
昨年は春が4位、秋が3位ということで全く優勝に絡めず非常に悔しい1年でした。特に法政には1勝もできなかったので今年は何としても法政から勝ち点を、春秋ともに取りたいと思っています。

―今年の早稲田はどのようなチームですか
投打の中心的存在が有原、中村と4年生にいるという面では非常に心強いですが、彼ら2人では勝てないのでそれを周りの選手と連携しながらチーム力で戦いたいなと考えています。

―ロサンゼルス遠征、宮崎キャンプを振り返っていかがですか
ロサンゼルス遠征はキャンプというよりも、少ない人数で相手大学3チームと試合をするという一種の遠征で行っているのでそこで鍛えるというのではなく、「ベースボール」を学ぶという一つの目的で行いました。南郷については40名弱の選手で実践的な練習を中心にやってきて非常に天候にも恵まれ、充実した練習をできたと思っています。

―アメリカの野球に触れて選手たちは何か感じていますか
それは僕には分からないですが、僕が感じたことは戦う姿勢、ベースボールに対するひたむきな姿勢、それからやっぱり学生として規律に対する厳しい姿勢。そういう姿勢を彼らの練習、試合に取り組む姿勢を学んだと思っています。

―向こうの名門大学にも勝利されていましたが
ただアメリカのリーグの試合の最中ということもあって、多少メンバーも全員がレギュラーではないなかでやっていたので、勝ったり負けたりというのはあまり大きなウェイトは占めていないですね。ただ彼らのベースボールに取り組む姿勢というのを非常に学んできて、それぞれの大学の歴史と伝統というものにも直接触れることができましたので、良い勉強ができたと思っています。

―今のチームの状態はいかがですか
昨年四番を打っていた小野田がまだけがから復帰できていないですが、昨秋シーズンを休んでいた茂木が戻ってきたので、まだ1、2名けがで出遅れがありますが競争も激しく、非常に充実した練習になっていると思います。

―これまでのオープン戦について
向こう(ロス)で3試合、こっちで2試合、投手を中心にできるだけ失点を少なくということで取り組んでいますのでディフェンスをしっかり堅くして戦っていきたいと思っています。(今年は)有原を中心とした投手力と、投手だけでは失点を防ぐことはできないので守りとを連携しながら、できるだけ失点を少なくしてロースコアで戦いたいと考えています。

―昨秋はなかなかタイムリーが出ないという場面もありましたが、打線に関して今年はいかがですか
チャンスは作れどタイムリーが出ない、ということですね(笑)。良いピッチャーに当たればそう簡単に得点することはできないということで、そこはやっぱりできるだけ失点しないようにして、チャンスがあれば、という相手のミスを待って、辛抱しながら戦っていきたいと思います。

―先ほどからお話にあがる有原選手ですが、監督からご覧になって昨秋成長したと思われる点は
力を抜くことを覚えたということでしょうね。力まなくなったというところが一つの成長だと。力まずに低めに低めにボールを集めるということができたので、防御率も良かったのではないかと思います。

―今年はもちろん大黒柱としての働きを期待されていると思いますが、有原選手に求めておられる役割というのは
基本的に彼が1戦目に投げるというのが恐らくこちらの構想なので、先勝していくということでしょうね。先勝して上手くいけば連勝、悪くてもまた中1日で彼が抑えてくれるということを我々ベンチは期待しているということなんですけどね。スタミナをしっかり蓄えられるように練習してほしいと思っています。

―打の中心である主将の中村選手について
主将になって自分が先頭に立って引っ張るという強い決意が本人にあると見ています。そういう形でリードをしてくれているので、非常に頼もしいと感じています。声を出して誰よりも早くグラウンドにいて、誰よりも遅くグラウンドから出ていくということですね。けがもなくしっかりトレーニングはできていますので、良い時もあればヒットの出ないときもありますけど、彼がスターティングメンバーで出ているときは中心的に守りであったり打撃であったり走塁であったり、精神的支柱になりながらリーダーシップを発揮してくれているので頼もしく思っています。

―今日のオープン戦(3月18日・JX-ENEOS戦)は1番で起用されていましたが、今年の中村選手の打順については
これから色々トライをして色々なオーダーをやっていきます。リーグ戦になれば一つのオーダーだけで戦えるわけではないので。調子が上がったり上がらなかったりという選手も出てくるでしょうから、十数試合の短期決戦でとにかく色々オーダーを変えたり選手を変えたりしながら戦う準備をこれからしていきます。

―有原・中村両選手以外についてはいかがですか
茂木が戻ってきたというのと、武藤が昨年の秋に3割を打ったという経験は非常に大きいと思います。あとは2年生の石井、中沢、竹内、吉野。そのあたりがフレッシュな戦力として頑張ってくれることを期待しています。

―新入生については
1年生は選手の層が薄ければ食い込んでくるという可能性もあるかもしれませんが、上級生がしっかり働いてくれればなかなか下級生は春のリーグ戦はあまり出る機会はないかもしれませんね。ただ、調子が出なかったりすると1年生にもチャンスは出てくると思います。

―今年の法政大学の印象について
まだ他校の研究まで手が回っていないので何とも言えないですが、やっぱりずっとここ2年ほど中心にやってきた河合君や西浦君という二遊間のコンビが抜け、キャッチャーの木下君が抜け、船本君も抜けたということで、戦力的にこちらの知らないような新たな戦力が出てくる可能性があるので、そういう面では戦々恐々としています。どういうチームになるのかな、と。第一週から対戦する予定になっているので、これから法政大学を研究していこうと思っています。

―有原選手、石田選手の対決が予想されます
同郷・同学年でお互いに意地もあるでしょうし、できるだけ良いピッチングをして良いゲームになればと思っています。

―今年の目標と意気込みをお願いします
目標は常にリーグ戦の優勝、日本一というのが我々の目標ですが他校も、東大も力をつけてきていますし油断できるような相手はどこもいないので、とにかく早稲田らしい早稲田の野球をして戦い、勝ちたいと思っています。

(取材:熊谷優)

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