【陸上競技】ユニバーシアードで金メダル!そして世界陸上へ!長田拓也インタビュー
2015年8月2日(日)
法政大学多摩グラウンド
7月8日から行われた学生世界一を決める第28回ユニバーシアード光州大会に陸上競技部から大瀬戸一馬(スポ3)は長田拓也(経3)が出場し、ともに4×100mリレーで見事金メダルを獲得。長田が200mで6位入賞を果たした。
また8月22日から開幕する世界選手権北京大会の日本代表に両選手ともリレーメンバーとして選ばれ、さらなる活躍が期待されている。
今回は長田選手にユニバーシアードでの活躍、世界選手権への思い、現在の状況などを語っていただいた。
※この取材は8月2日、 長田選手が世界選手権の代表へ選出される前に行ったものです。
4×100mリレーで金メダルを獲得
―ユニバーシアードから約1ケ月経ちましたが、当時を振り返っていかがでしたか
条件的には日本に近かったので、それほど苦に思うことはなくできました。経験としては外国人選手との力の差というのは痛感した大会だったと思います。ただリレーで優勝できたのが本当に良かったです。
―外国人選手との差というのはどういったところで感じましたか
僕の場合は200mだったのですが、前半のコーナーを抜けるあたりまでは正直戦えたかなと思ったのですが、その後直線の馬力の差というのを凄く感じました。100mのレースも見ていたのですが、正直100mで勝負したかったなと思いますね。100mなら世界との差も(200mよりは)ないのじゃないかなと思いました。
―今回初めて日本代表のユニフォームを着てのレースでしたが、代表への不安はありませんでしたか
特にはなかったですね。今回は急遽代わっての出場だったのでラッキーと思って出たので、あまりプレッシャーを感じることもなく、決勝まで行ければいいなと思っていたら、本当に決勝までいけた、という感じでした。ユニバーシアードの代表なので、まだそこまでプレッシャーを感じることはなかったですね。
―法政の選手として走ることと、代表として走ることにそれほど違いはなかったということでしょうか
どちらかというと法政のユニフォームを着てインカレとか走る方が全然プレッシャーは大きいなと思いますね。特に今年の関東インカレであったら、2部落ちというのも付いてくる話なので、そのあたりを意識して走っている大学の方がプレッシャーは大きい感じはしますね。
―光州にいる間はどんな生活をしていたのですか
100mが初日でそれに合わせて光州にいったので、200mが3日目からだったので、着いてから3日間は練習をして、2日前がレストなので選手村でゆっくりしていました。普段の寮生活とあまり変わらなかったです。
―続いて4継についての話に移ります。39秒08というタイムで金メダルを獲得されました。今回のこの結果をどう捉えていますか
タイムはあまりよくはないですね。学生記録が38秒4なのですが、それに近いくらいはいけるんじゃないか、とみんなで話していて狙っていたのですが、予選が38秒9でもう少しタイムを出したかったなというのはありました。ただ今回台風が来ていてあまり条件が良くなかったというのもありますね。アメリカが自滅してくれたのはありますけど、優勝できたのは良かったです。
―やはりこの学生記録と優勝というのはチームとしても目標としていたということですか
そうですね。学生記録に届かなくてもそれに近いところまでいけると話していたので、そういう点ではもう一回組んでみたい気持ちもありますね、本当に良いメンバーだったので。
―長田選手は法大では今年は3走を務めることが多いですが、今回2走を走ってどうでしたか
元々高校時代は2走で、大学2年の時はアンカーで、1走も今年やりましたし、基本的には僕はどこでもできると思っているので、4継を走ると決まった時にはどこでもいいと思っていました。ですが、外国人選手と直線で100mに近い形で走ってみて、100mでは戦えたんじゃないかとは思いましたね。
―長田選手が今回2走になったのはチームメートの大瀬戸選手とのバトンがあったからでしょうか
そうですね。大瀬戸はスタートが上手いので1走できますし、そうなったときに急造チームなのでバトンを合わせることを考えると、2走が良いだろうと。最終的に法大が1、2走、中大が3、4走になったのですが、本当は慶大の小池が入っていました。ですが、けがをしてしまって、そうなったときに諏訪が1走で、大瀬戸が2走、僕が3走という案もあったのですが、2、3走以外普段からやっている今の形の方が良いだろうとなって、この走順になりました。そういった点では普段と変わらない感じで良かったかなと思います。
―一緒に4継でチームを組んだ谷口選手、諏訪選手の印象はいかがでしたか
諏訪は三重で僕は愛知なので元々東海地区で一緒だったので、リレー強いのは知っていましたし、4走の谷口に渡った時点で後半強い選手なので安心感はありましたね。
―長田選手にとって今回一緒に走った3選手はどういった存在でしたか。やはり頼りになるチームメートといった感じだったのでしょうか
そうですね。大瀬戸が1走なら大丈夫だろうとは思いますし、諏訪が強いのも知っていますし、谷口も絶対に逃げ切ると思っていたので、正直アメリカが予選でいなくなった時点で勝てるチームだなと思っていました。
―ここからは個人の話に移らせていただきます。今回は200mに出場して20秒90というタイムで6位でした。この結果をどう捉えていますか
僕の中では意外と走れたと思っていたのですが、走れているつもりなのに後半離されていく感じというのが、差なのかなと1番感じましたね。後は準決勝を4着で通って決勝1レーンになっちゃったのですが、外国人選手の強い選手は2次予選までは手を抜いて、といいますか(力を)隠して、準決勝で1本走ってそれで決勝に行くという感じで走っていました。その点では僕はいっぱいいっぱいで走っていたので、1次予選は多少余裕を持っていたのですが、表彰台に上った選手に比べると力を出していたと思います。それで準決勝の組のバランスが崩れて、全体5番くらいのタイムだったのに1レーンになってしまいました。イタリアのシードレーンで走っていた5位の選手には勝てたんじゃないかと思うので、そのあたりも外国人の選手との違いを感じました。
―こういったところが国際大会で走ることの難しさなのでしょうか
そうですね。それは本当に感じました。世界陸上とかになればもっと顕著に出てくるのではないかと思います。今回は周りが準決勝で出してくるという心構えが足りなかったので、次にこういう機会があればこれを生かせるので、そういった点では経験できて良かったですね。
―台風が来ていたこともあり悪天候でしたが走りには影響はありましたか
特にはなかったとは思います。ただ走れていたつもりなのに離されてしまいました。風を考えれば正直悪くないタイムだと思うのですが、その中でも上位選手はシーズンベストや自己ベストを出していて、風関係なく走れていました。日本人はけっこう風とか条件気にしたり、それに左右されたりもあると思うのですが、そのあたりは僕の中でも納得できないといいますか、普段だったらこの風で1レーンで、と納得してしまうと思うのですが、外国人選手はシーズンベストとか出しているので、今度から決勝でベストやシーズンベストを出す、とうのを今度から意識していきたいですね。
―日本選手権後の取材でユニバーシアードの選手のレベルがわからないと言われていましたが、実際に走ってみて周りの選手のレベルはいかがでしたか
思ったよりは高くはなかったけど、それでも外国人選手の勝負強さを感じましたね。ぎりぎり決勝にいけるかどうか、と思っていたのですが、思ったよりも強い選手が出ていなくて、ベストやシーズンベストを見ても、決勝にはいけるだろうと思っていました。ですが、それでも上位陣は100mで9秒台出していたり、200mではベストが20秒0の選手もいて、上と下がかなり離れている大会でしたね。国によってどう選手を出してくるかが違っていたと思います。
―以前目標のタイムを20秒50と言われていましたが、やはりこのタイムは意識して狙っていたのですか
意識はしていましたけど、2次予選が終わった段階で出ないな、と思っちゃいました。脚のハムがずっと痛くて騙しだましやっている状態で、調子も学生個人、日本選手権と終わって落ち気味だったので、その中では決勝に残れたのは良かったのですが、内容はあまり良くなかったと思います。
―脚はいつ頃から痛めていたのですか
関東インカレあたりから少し痛くて、去年肉離れしたところなのですが、ここ最近だと練習でも痛い状態ですね。先週トワイライトと実学対抗が終わって一区切りついたので、ここで治そうといったところですね。
―ユニバーシアードを4継と200mを合わせて改めて振り返って、得られた経験や掴んだものは
世界との差が自分の中では多少見えた大会だったので、世界陸上の追加発表もあるので(8/4に追加発表があり、リレーメンバーに選出)個人は無理だと思うのですが、来年リオ五輪で個人で出るのが目標なのですが、出たら出たで、今回見て、走った経験は絶対にいきると思うので、まずは今シーズン中にリオ五輪の標準(100mで10秒16)を切りたいなと思います。
世界選手権、そして五輪へ
―先ほど言われていたトワイライトと実学対抗の100mに出場されましたが、タイム、順位などいかがでしたか
実学はスタートが意外と良かったですね。ユニバーシアードから帰ってきてあまり時間がなかったのですが、(大会が続き))調整ばかりで体力も落ちている気がしていたので、距離を積んで補強でも追い込むといったアプローチをしていったら、意外と200mから100mのスピードに切り替えられました。それもあって良いレースができたのですが、後半ふくらはぎがつったような感覚があって、後半がいつもよりキレなかったのが反省ですね。10秒16も狙えたレース展開でしたし、勿体ないとも思ったのですが、一応セカンドベストの10秒23も出せました。今まで10秒2台がなかったので、とりあえず2台が出せて安心しました。7、8割くらい、合格点はあげられるレースだったと思います。
―トワイライトゲームスでは大瀬戸選手も出場し、大瀬戸選手が優勝、長田選手は2位という結果でしたが
勝ちたかったですね。あれは本当に悔しかったです。実学で良かったスタートがうまくできなかったのですが、何とか川面さんと谷口には勝ちたいなと思っていて、そこが世界陸上のリレーメンバーの選考にも関わってくると思うので、自分の中でそこをモチベーションにしていました。実学でも川面さんに勝つことを最低限の目標にしていたので、そこは最低限クリアできたのですが、トワイライトはスタートで失敗して自滅してしまいました。大瀬戸と競る良いレースができたなと。そう考えるとトワイライトは本当に良くないレースでしたね。
―世界陸上の代表の発表も近いですが、代表に選ばれたときの目標は
まずはリレーで走る機会をもらうことですね。走れたら、世界リレーでも日本は銅メダルを取っていますし、桐生君は抜けていますけど代わりに高瀬さんもサニブラウン・アブデル・ハキーム(城西大城西高)も入るでしょうし、全然遜色のないメンバーだと思うので、もしも僕が入って使ってもらえたら37秒台、日本記録も狙えると思いますし、37秒台とメダルが目標ですね。
―お話にもあったハキーム選手が活躍していますが、長田選手よりもさらに若い世代のこういった活躍は意識していますか
そうですね、意識はしていますし、僕自身去年ハキームとベストが同じくらいで、今年ブレイクして。僕も今年タイムは伸びましたが、今はちょっと負けている状態なので、年は僕の方が上ですけど、速くなったタイミングは近いと思っているので負けたくないなと思っています。年下ですし。ただ200mは速いですね。でも100mでは負けたくないです。
―今年ブレイクしたことで注目度も上がっていますが、こうして注目されることはモチベーションに繋がったりするのですか
そうですね。世界へともよく聞かれるようにもなったので。レース後にもインタビューとかもけっこう受けるようになって、今までと環境が違う感じにはなっていますし、今年は世界とか日本代表とかも意識するようになりました。
―また現在は法大では強化練習期間ということですが、具体的にどういったことをしていますか
距離を長めに走って、乳酸を出すような練習であったり、坂を走ったりと筋力・体力を戻す練習をしています。ここまで調整が続いていたので、ここで体力を戻す練習をしています。補強もかなりやっていますね。
―今のこの練習が今後どう繋がると思いますか
10秒19で走った時が関カレから1ケ月ほど空いて、その時も距離を積む期間で距離を走った後にあのタイムが出ましたし、この間の実学も走り込んだり補強をしたりした方が自分は走れるんじゃないかと考えて練習を積んで走った結果がセカンドベストだったので、そう考えると今の期間は大事だと思いますし、全カレでの目標を達成するためにも今の期間はしっかりやり遂げたいなと思っています。
―改めて今現在目指しているタイムや目標などは
タイムは10秒16と20秒50のリオ五輪の標準です。どちらかというと100mで切りたいです。 200mは3人、藤光謙司さん(ゼンリン)、高瀬慧さん(富士通)、ハキームが強いですし、飯塚翔太さん(ミズノ)もいますし層が厚いので逆に100mの方がチャンスはあるかなと思うので、今は高瀬さんしか切っていないので、桐生祥秀君(東洋大)はすぐ切ると思いますけど、早めに切って周りにアピールというか、プレッシャーをかけたいなと思います。タイトルでいったら全カレは個人種目で優勝ですね。100mでも200mでも優勝が欲しいです。後は国体出るので、個人種目で日本選手権のリベンジのつもりでやりたいです。
―今年活躍をされて、長田選手期待している最後に法大ファンも多いと思いますが、ファンに向けてメッセージを
もっと記録を伸ばせるように頑張ります。良ければ10秒0台、9秒台もチャンス狙えるくらいまでいけるように、頑張りたいと思います。
(取材:佐々木岳)
長田拓也(ながた・たくや)
愛知県・豊川高校出身。
自己ベスト:100m 10秒19、200m 20秒63。
今シーズンの主な個人成績:関東インカレ 100m2位、200m優勝/学生個人選手権 100m優勝/日本選手権 100m5位、200m4位/ユニバーシアード200m 6位
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- 取材に応じる長田
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