【硬式野球】「春季リーグ戦開幕直前特集~継承」 第1回 青木久典監督
2016年3月13日(日)
法政大学川崎総合グラウンド
逆襲の春の訪れだ。長らく遠ざかる王座奪還へ闘志を燃やす法大ナイン。リーグ戦開幕を直前に控え、士気を高める彼らの現在の心境を伺った。第1回は法大野球部監督就任2年目を迎える青木久典監督。現在のチーム状況や今期の意気込みを語っていただいた。
青木久典監督
―冬からこの春にかけて、ウエイトトレーニングに取り組んできたと聞きましたが、その意図は
筋肥大です。どうしても1年間を耐えうる強靭(じん)な筋力というものはなかなかなく、それがけがになってしまう人間もいるので、けがをしない体づくりのためです。あともう一つはパフォーマンスを上げるための筋力強化です。そのために筋肥大をさせました。
―いよいよ開幕も迫ってきていますが、現在の心境は
プラスにとらえると、今とても課題が出ていて、それをつぶすだけの時間があるので、逆にありがたいと思っています。(課題とは)投手も野手も両方ですけど、今の時期は野手の課題が多く出ています。例えば打球判断が悪く、1点が取れるはずだった場面で取れない。競った試合で落としてしまうといったようなことですね。見えるところですから、もう少し野手がしっかりしないといけないです。
―これまでのオープン戦を振り返っても、目に付くのは野手のミスですか
そうですね、野手のほうかなと。もちろん投手の点の取られ方とかもあるんですけど、ここ何試合かは比較的投手のほうが頑張っているのかなという印象です。前半は育成しなければいけないという風に考えていたので、力関係なしに使っていました。その中で力がない選手に関しては打たれて大量失点をしていたんですけど、投手を厳選して使っていくようにするとそこそこ試合になってきたので、そうなれば野手のほうが奮起して点を取ってあげなければいけないと思います。
―オープン戦には1年生も多く出場しています。1年生の活躍ぶりいかがですか
よくやっていると思います。
―今年は普段内野を守っている大崎選手や原田選手を外野手として起用しています
常々「2ポジション3ポジションできるようにしておきなさい」と言っています。もしかしたらチームにけが人が出たりと様々な状況が出てくると思うので、その時でも戦力を落とさずにできるように、今のうちに準備して怠らずにやっています。
―これまでのオープン戦のチームの仕上がりは
いろいろな意味でたくさんの選手を使ってきた中で、試合には負けていますけど原因がはっきりしているので、そういう意味では順調に来ているのかなと思います。あとは振り込んでいる時期でもあるので、体が疲れている中での試合で競った試合ができているのはいいのかなと思います。あと1カ月で何をしなければいけないかというと、もう少しここ一球の執着心であったり。一球の淡白な部分があったり、がめつさがまだまだないかなと思います。軽く感じるときもあるので、もう少し突き詰めなければいけないと思います。
―振り込むことについてはオープン戦期間中も続けている
今週やって、来週もやるんですよ。実際に打ち込んでいます。メンバーを厳選して、時間で振り込ませたりしています。振っている奴に関して500、600以上は一日に振っていると思います。
―現時点での開幕スタメンは固まりつつあるのでしょうか
何名かは決まっています。あとは対戦相手によっていろいろ変わってくると思います。足を使っていかなければいかないのか、それとも打力を重視したメンバーのほうがいいのか、試しているところです。
―冬の期間からオープン戦を含めて、練習で徹底していることは
まだできていないですけれど、ベースランニングをうるさく言っています。例えばフライだったら、アウトになっても二塁ベースまでの全力疾走であったりなどです。普通は一塁までの全力疾走と言いますが、フライは二塁まで行けと言っています。
―投手陣の仕上がりについて
まだまだ調子を上げてきてほしい選手はいますが、順調に来ている選手もいます。谷川もロングリリーフで試したり、計算できるかなと思いますね。
―先日、投手コーチに元近鉄バファローズの真木将樹氏が就任しました
どうしても僕一人でやるには限界があると思いますし。まずは組織を作らなければいけないということで、メイングラウンドで組織のプレー、野球でいえば内野外野の連携プレーなどまずしっかり確立するのが大事だと思っています。去年はそっちに重点を置いたんですね。それだとどうしても投手の専門的な部分が見れない。ピッチングが見れても、トレーニング関係などの強化系の練習ではどうしても別のほうに行ってしまいますから見れないと。あとは、専門的な人間がいたほうがより的確に詳しく教えてもらえるのではないのかと。僕自身も勉強になるし、学生にとってもいろんな意味で勉強になると思うので、真木は適任だと思ってお願いしました。
―今季のリーグ戦を戦うにあたって、投打のキーマンは誰になるのでしょうか
投は熊谷がどれぐらい勝ち星を挙げてくれるかというところだと思います。打のほうは主軸を担う柴田圭輝(文4)や金子凌也(キャ4)、その次に誰が出てくるのかという部分です。主軸を打てる人間が鍵になってくると思います。
―開幕戦で対戦する慶大の印象はいかがですか
アメリカンスタイルでやっているチームですから、乗せないことだと思います。
―開幕までの期間に重点的に取り組みたいことは
あとは試合で戦術や戦略を、選手に場面ごとにどのようなサインがあるのかというのを確立させるのが僕の役目かなと。もう一つは選手を打順ごとに機能するように経験を積ませることです。適材適所で起用していく上で材料が必要なので、オープン戦では数パターンのスタメンを試しました。だいぶ材料はそろったので、選手がやりやすいように慣れさせようと思っています。
―春季リーグ戦への意気込みを
本当に優勝しなければいけないと思っていますし、4年生はスーパースターがいないんですよ。ただその分チーム一丸というか、学生野球らしい子が集まって自分に食らいついてきてくれているので、この年代の4年生に優勝を味わわせてあげたいという思いがものすごく強いです。この年代は仲が良いです。言い合えるし、変なプライドもないので、「この場面はこれで良いんですか」というような話もしてきます。個々の力はなくても、まとまりがいいのでチームとしての力はあると思います。学生スポーツなので、そういう時に優勝して、団体スポーツは個々の力だけではないということを植え付けたいと思っています。
“勝”青木久典監督
プロフィール
青木久典(あおき・ひさのり)
1973年2月16日生まれ
三重県出身・三重高校→法政大学→たくぎん→本田技研鈴鹿→サンワード貿易
富士大学のコーチ、監督を経て14年1月より法政大学野球部の助監督に。15年1月から監督に就任。
今後の掲載予定選手
森川、金子凌、柴田、米田、玉熊、中川、谷川、森、水谷、熊谷、清水二、宮本、大崎、水海、森田、菅野、大西千、川口、小林、中村浩、原田、舩曳、伊藤士、宇草、福田光、高野主務、金藤学生コーチ