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【硬式野球】11月号特集 宇草孔基の中学時代に迫る!~墨田シニア・相曽一幸監督インタビュー全文~

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【硬式野球】11月号特集 宇草孔基の中学時代に迫る!~墨田シニア・相曽一幸監督インタビュー全文~

2019年11月9日(土)
サンケイスポーツセンターグラウンド

 法大不動のリードオフマンとしてチームをけん引してきた宇草孔基(営4)。その中学時代の恩師である墨田シニア・相曽一幸監督に取材を敢行した。所属当時の様子や、不調に陥った時の秘話など宇草に関する話はもちろんのこと、墨田シニアのモットーや相曽監督自身の野球観についても語っていただいた。今回は11月18日発行のスポーツ法政新聞第247号でのインタビュー記事に載せきれなかった全文をお届けする。

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墨田シニアに独占取材を敢行した

相曽一幸監督インタビュー

—宇草選手が指名された時の率直な気持ち
うれしかったですよ。初のプロ野球選手なんで頑張ってくれたと思いますよ。

墨田シニアに宇草選手が入られた経緯
まず墨田リトルリーグというのがありまして、母体としては墨田シニアと同じ母体なんですけれど、当時はまだ4期生だったんですよね、孔基の場合は。本人も墨田シニアに上がってくるか、他のシニアに行くのはすごい悩んでいて、最終的に墨田シニアを選んで入ってきてくれて、そういう経緯だったんですよね。

墨田リトルから上がってきたときに片岡監督から伝えられていたことは
日ごろから仲良くやっているので(特にはないですね)。

それでは墨田リトルでのプレーを見てという感じですね
始めのころは墨田シニアを立ち上げたとき、墨田リトルの選手が全員上がってきてというチーム事情だったんですけれど、2、3年とやっていくにあたって墨田リトルから違うシニアに行く子供たちが増えたんですよね。そういうことで同じ組織としておかしいということで、そこで片岡監督にも協力していただいて、必然と墨田リトルの方から上に上がってくるようになったのは6期以降からですかね。

宇草選手が入団して2年後のこと
それぐらいからは上がってくるようになりましたね。だから孔基の時の4期の選手はてんでバラバラでやっぱりほかのシニアに行く人も多かったと聞いています。

宇草選手が入団した時の印象
んー、記憶なんですけれど、ひょろっとして運動神経がいいのかなという程度で、普通の選手ですね。

宇草選手が希望していたポジション
本人はキャッチャーをやりたいということで、始めはシニアに上がってきたときは外野をやらせたんですよね。ライトのポジションをやらせたり、様々なポジションを守らせました。正レギュラーになったのは2年生の春からキャッチャーとしてやれるようになりました。

そこからはキャッチャー一筋
いや、一筋じゃないですね。1学年が10人前後なんですよ。そういうチーム事情からピッチャーをやってもらったり。外野をやってもらったり、キャッチャーをやったりですね。公式戦についてもやっぱりピッチャーが手薄なので、ピッチャーをやるケースも多かったですね。

思い出深いエピソード
んー、そうですね。孔基は基本的に真面目なので、やっぱり墨田リトルからシニアにあがってきて始めて野球を覚えたというか。リトルリーグというのは基本的に投げる、打つという野球盤の野球なんですよ。リードもなければけん制もないというのがリトルリーグ、だからシニアに入ってきて野球を覚えたのかな。そういう貪欲なところがある所が良かったんじゃないですかね。

常総学院高に進学を決めた経緯
墨田シニアでは親子面談をして、孔基の希望にそって進学を決めたというのが、そういう事情で、本人から常総学院に行きたいと、第1志望でね。私もそれを聞いて実力的にも学力的にも十分足りてるからいいんじゃないかということでした。常総学院はうちのシニアからも何人か行っていましたので、そのようなこととうちのスタッフにも常総出身のコーチがいるので、そういうのも含めてですね。あとは常総学院の監督をやっている佐々木監督も私と同期という繋がりを考えた上で甲子園常連高に挑戦してみなということで送り出したんですね。基本的には特待生という条件で行かせてもらえたのでそれは良かったんじゃないですかね。

送り出した時、どのような選手になるというのは
初めから、高校1年生の秋ぐらいから1番を打てるような選手だから、外野手として使ってもらいたいというのはこっちから希望を出して、その通り本人も1年の秋から試合に出られるようになって。ただ常総学院の佐々木監督の意向は大型内野手ということで、本人もそれで内野に挑戦して、セカンドを守るようになって、センバツ行けるようになったということだったんですけれどね。そういう意味では孔基なりにも挑戦はしたんじゃないですかね。

内野を守ったのは高校が初めて
初めてですね。やったことないと思います。下手ですから(笑)。

U-18日本代表に選ばれた時に宇草選手からは
別段ないですかね。素直な子なので、前向きに。シニアでいつも教えていたことはね、『下を向かないで前を向いてやる』。それを忠実に守っている、今もそういう形でやってますのでね。それがどんどん技術の向上にも繋がっているんじゃないですかね。

法政大学に入学し、その活躍を見て
色々相談もありました、バッティングのことに関してとか。よくLINEで映像とかも送ってきて、それを見て「どうですか」という話もいただいて、「こうじゃないの」というような話もしながら試行錯誤して自分で作り上げてきているものなんだろうなと思いますね。ただ、3年生の秋だったかな、前ぐらいかな、夏のオープン戦ぐらいの時に映像送ってきた時に見た時は、「もう少し押しこんで振り切るようなバッティングをしないとプロじゃ大成しないよ」という話をして、本人も「そういう打ち方をするとつまってしまうのでだめなんです」という話だったんですけれど、「それじゃあプロ行っても2、3年でクビになっちゃうんじゃないの」という話をしました。それから本人も考えて努力したんだと思います。

確かに、3年秋に宇草選手はリーグ戦で大活躍を見せました、それは相曽監督のアドバイスのおかげもあると思います
いや、そんなことないと思いますよ。誰のおかげという事じゃなくて自分が練習をしてきたことを結果として出しただけなんで。ただやっぱり、自分が納得しなきゃ練習はやらないんでね、それはもう本人のいいところなんじゃないですか。青木監督からの意見も取り入れ、色々な人からの意見も取り入れ、全て受けいれた中で自分も良いものが生み出せるようにどうしたらいいかというのを常に考えてやってる選手だから、それが結果的によかったんじゃないですかね。

色々な方々の意見を受けて今の宇草選手があるということですね
そうですね。

それはシニアの時も
基本的に野球偏差値というか、野球を覚えるという取り組む姿勢は彼なりに良いものを持っていて、墨田シニアの時代では副キャプテンをやらせたんですよね、キャプテンじゃなくて。やっぱり私の考え的には将来、キャプテンになる器だなと、高校でも大学でも。ただ、中学の時というのは反抗期も重なるので、縁の下の力持ちでどこまでやれるのかなというのを見てみたくてね。それで副キャプテンをやらせたんですけれど、それに対してもやっぱりキャプテンを支えながらチームのことを思いながらそういうふうにやれる選手でしたね。そういうことが中学の時に役に立ったのかなと思います。高校でキャプテン、大学で副キャプテンをやって、そういう所にも結びついていると思います。彼の素晴らしいところですよね。

ドラフトの時にかけた言葉、逆にかけられた言葉
春のリーグ戦の時に、最終戦だったかな。ヒット2、3本打てば首位打者を取れる、そういう所だったんですけれど、LINEのやり取りだったんですが、安本(竜二、営4)くんがホームランを5本打っていたのでね。「あと2本打てば追いつくぞ、思い切って3本狙ったらどうなの」と。「ここで首位打者なんか取ろうと考えてやっているんだったら野球人生終わっちゃうよ」と。そのぐらいの言葉をかけたら最終戦ホームラン1本打って、(通算)4本打ったのでその時に、「あぁ、こいつはもうドラフト1‎⁦位か2位で抜けるな」と思っていました。春終わってから1回グラウンドに来てくれて、「これでプロも1位か2位抜けで行けるよ」という話をしたら本人からは「いや、無理です無理です。1位2位なんか無理です」と自身無さそうに言ってましたね。でも私は「もう1位2位で抜けるから心配する必要は無い」と言ってましたね。「あとはもう着々と技術を上げて、練習するようにしたらどうだ」という話をして、本人も「分かりました!」という感じでここから帰っていったんですよね。

広島東洋カープに2位指名という結果、監督は広島は宇草選手に合っていると思われますか
やっぱり印象的にはね、今侍ジャパンで4番を打っている鈴木誠也(広島東洋カープ)。これは荒川シニアという隣のシニア出身なのでね。鈴木誠也がいた時にはうちの選手が1期生だったんですよね。そういう縁もあって、中学の時から知っている選手だから。そういうふうに考えると中学時代の鈴木誠也と宇草を比べたら雲泥の差で、鈴木誠也の方が全く上なんですけれど、常に私は子供たちにも(鈴木に)追いつけ追い越せってよく言うんですけれど、そういう部分からすると少しづつ追いついてきて、着実と差は縮まってるように思っていて、これから宇草がどれだけ頑張ってくれるか分かりませんけれど、追い越す日も来るんじゃないのかな楽しみにしています。

宇草選手が墨田シニアに指導しに来ることは
子供たちによく言うのは「ふてくされたら終わりだよ。素直に受け入れて頑張ろうよ」というようなことを言いますね。

改めて宇草選手の性格を監督から見て
どうなんですかね、真面目ですね、素直だし。文句のつけようがないんですけれど、あえて言えばもう少し『欲』を持ってほしいですね。ちょっと『欲』が少ないというか、それはやっぱりねチームリーダーをずっとやってきたこともあるんだよね。だからもう少し自分のことだけを考える時間も作った方がいいかなと。そういう時間は作っていると思うんだけれど、これからはプロなんで、もう少し自分の時間を多く使ってやってもらいたいなと。

プロへ行く宇草選手へ
スタートラインに着いたばっかりなのでね、2、3年でなんとかポジションを取れるように頑張ってもらえたらなと。あとはけが無くね、やってもらえれば結果は出るかなと思うので、けが・病気、それだけには気をつけてやってもらいたいなと思います。

付け加えてで申し訳ないのですが、宇草選手が故障した時にかけた言葉は
足の故障だとか、今年の秋のリーグ戦の股関節の疲労骨折とか色々聞いているんですけれど、中学の時から言っているんですけれど、野球選手でけがをしていない選手なんていないから、何らかの故障をしながらも試合に出続けるそういう力をつけなきゃだめだと。そういう意味では本人も野球偏差値が高い子だから、痛くても痛いとは言わないで何となく自分の今できるプレーをしっかりやろうということで取り組んでいるんだろうと思うんだけれど、そういう中で、けがにも強い選手になっていければなと言う願いを込めてね。あとはもう自分がどう成長していくということだろうと。そこで何となく分かってくれればいいかなと言うふうに思いますね。

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時折笑みを浮かべながら取材に応じてくださった相曽監督

相曽監督:そういえば…
—はい
宇草はよくこの河川敷の土手を走ってましたよ。やっぱり、毎日50本から100本は走ってるんですよね。土日祝日がシニアの練習日なんですけれど、宇草は必ずこの土手に来ると、もう走りたくないですって言うね(笑)。

特に苦手だった練習メニュー
基本的には中学から野球を覚えているので、盗塁をしてセーフになった記憶もないから。だから、公式戦も練習試合もいわゆる、『何度でも失敗しながら』次のステップへ進む、そういうのがうちの野球なので。色々野球を覚えたというのは中学からだったと思いますよ。ここで野球を覚えたから常総でも堂々と野球ができたし、そういう面では本人もこのシニアで育ってよかったなというのは思ってるんじゃないですかね。

宇草選手の『意見を吸収して、自分のものにしていく』という力は墨田シニアで培ったもの
私自身が横浜高校を出ているので、横浜高校の(元)渡辺元智監督の野球しか知らないわけですよ、私も。その教わってきたことを自分の失敗をいかに失敗させたくないという思いで指導に当たっているだけなので、基本的にはどうやったら失敗を少なくできるか、そのために失敗を多くしてもらわないと理解できないわけですよ。そういう意味での中学生なので、いっぱい失敗をしていっぱい学んで次につながっているというのが孔基だと思います。孔基以外の他の選手もそうですけれど、中々野球を知ってる知らないという話をした時に、ただ打って投げて走ってとやっているだけじゃ野球は覚えないのでね。そういうのは宇草はここで勉強したんじゃないですかね。よく練習試合とかで(宇草が)「監督さんの言ってることをみんな覚えようよ」と言ってましたもんね。そういうことが野球の声というか、そういうことに繋がって、自分の物にしていった、そんな子ですよね。良いものはどんどん取り入れて、どんどん声に出して、どんどん行動に起こしてそういうタイプの子です。頼もしいっちゃ頼もしいです。

頼もしい存在ですね
うちの特徴としては、初球のストライク見逃したらこの土手1日走ってもらうよ(笑)。

積極性ですか
初球、自分の真ん中に来てる狙い球を見逃している時点で代打送っちゃいますからね。そういう部分で打席に入った時の準備、狙っているボールを振り切る。それがセンバツの時のプレイボールホームランにつながっているんじゃないかなと、普通の選手ならヒットですよ。でもあそこでホームラン打てた、それは中学生からやっていた『準備』があそこに出たんじゃないかなと思います。そういう面では孔基なりに、準備していてそういう結果が出たということ。本人はどんどん前向きにやれているんじゃないかなと思いますよ。プロ野球選手になるのが夢だったと言ってましたので、体がもう少し大きくなればね、メジャーもいっていい選手になれる、そういうところまで期待したい選手の1人ですね。

宇草選手が墨田シニアに入団された時の身長
160cmあったか無いかぐらいじゃいですかね。中学3年の時に私ぐらいの身長だから172、3cmぐらい、夏で。夏終わってから高校入る時にちょうど180cmぐらいだったんですよ。だから、7、8cm伸びたんじゃないかな、8月以降、3月までの間。

中学生は身長が伸びたり、先ほどもおっしゃった反抗期など、指導する面で壁も出てくると思います、そのような中で選手を指導する上で相曽監督が意識していること
『選手、みな平等』。うまい選手、下手な選手関係なく、平等。うちは1年生から3年生まで同じ練習なんですよ。3学年一緒に混ざってやっているので、1番きついのが1年生になるんですよ。でもそれは高校に行っても同じことじゃないですか。それを中学からやっているだけであって、平等に扱っているからこそ選手達がひねくれない、下手な子もうまい子も。うまい子は特に『天狗』になりやすいので、その『天狗』にならないというか、「『天狗』になっちゃいけないんだよ」というのを中学の時に教えていかないと、高校でダレちゃうような子になっちゃうから。監督の私もそうですけれど、コーチ陣も含めて、そういうのは経験者としてねやってきたことなのでね。子供たちに教えてあとは、高校大学とやって、頑張ってもらえればなと思います。後は中学の時は特に親子で向き合って、会話を多くして。孔基についてもお父さんお母さん達の理解があって、よく会話をして、宇草のお母さんが今うちのシニアのOB会長をやってくれていて、そういうふうに向き合ってやってきてる結果がこうなってる(プロに進む)のじゃないかなと思います。

親御さんの支えあってのもの
絶対でしょうね。後は野球を楽しむ、楽しくないんですよ、野球って、うまくできないと。でもそこを頑張って頑張っていくと楽しくなってくるという。それが少し分かってきたんじゃないですか、高校3年ぐらいから「あっ、野球って楽しいな」って。そこに気づくには、野球の知識もそうなんですけれど、技術的なこともね、ある程度身になってこないと楽しさって分からないんですよ、野球ってスポーツは。そこに行き着くまでに(楽しさを)分からないで野球を辞めて言っちゃう人も沢山いるのでね。孔基については楽しくやれているという本人の言っている言葉を信じればどんどん、上を目指せる選手になってきてるのかなというふうには思いますよね。

楽しくやるというのは
大事。1番下手な子を教える時は試合に出すんですよ。下手な子って試合に出して三振すると悔しいじゃないですか、そうするとバットを振るようになるんですよ。でもそういう経験がないとバットを振らないのでね。だからうちはうまい選手は逆にホームラン打ったら「お前はもう走り込みしろ」とね(笑)。体力の強化ということで、そうすると次のステップに向けていくわけですよ。

課題をひとつづつクリアしていくということですね
そう、だから全員同じことをやらせるんだけれど、全員違うことをやらせている。

練習メニューは平等だけれど与える課題は違う
そうなんですよ、全員違う。じゃないと同じ子じゃないんだから無理じゃない。ただ全体でやる練習というのは、仮に10周走らせる練習があるとして、足揃えて10周走る、これは息が合わないとできないから。そういう練習もあるけれど、基本的には個人練習とはまた違うんだけれど、練習の中身の課題については個々に違うということですよ。そこで、力がないものが力をつけてきて、力がある子がまた力を上げてくれば底辺が上がって来るわけなんですね。底を上げてこないと野球も上達してこないですし、試合をやれば勝ち負けも自ずとついてくるし、試合にも勝てない。試合に勝てばみんな楽しいわけだから、そういう所でモチベーションをつけさせてあげるしかないだろうなと考えています。でも宇草は本当にみんなから、同級生もそうだけれど、先輩後輩にも恵まれているからね。そういう部分も良かったんじゃないのかな。中学時代なんかは同級生たちと話したりしていても、常に1番じゃないからね。2番、3、4番とかそういうぐらい、走りにしても。トップにいない。やっぱりうちのチームで4番を打っていた子なんかは同じ左バッターでも川にボンボン放りこんじゃう人がいたんだけれど、宇草なんか川まで届かないからね。チーム内でも抜けた選手が1人2人いたおかげもあるよね。

刺激し合って
そうそう。

高校大学でも実力が上の人がいて、それが宇草選手を強くした
と思いますね。本当に素直な心を持った子だからね。ああいう子はなかなかいないですよ、私も(シニアを指導して)13年になるけれどやっぱり13年経っても数えるぐらい、4、5人ぐらいしかいないね、ああいう子は。後は体が大きくなってきているというのは魅力だよね。中学の時は平均的で魅力なんて全くないわけよ!(笑)。

(笑)。平均よりちょっと上ぐらいですか
いや、全部標準、抜けてないからね。

それは走力も
抜けてない。それは本人に聞いてもらえれば分かるけれど、普通。標準。ただね、お父さんお母さんは(身長が)大きいんですよ。だから172、3cmしかなかったんだけれど、常総学院に行くと言った時点で、「あ、孔基は180cmを超えられる選手だな」って思ったのですよ。その読みを思ってね、「じゃあ常総に行って勝負をしてみな」と言ってあげたんだよね。そしたら高校に入る前に180cmになったのでね、理想通りで。

相曽監督の思い描いたように宇草選手は常総学院高に入学された
うん、そうですね。だからその辺がお父さんお母さんからもらった体なんだなと思います。お会いしたことないですか、お父さんお母さんに。

ないですね、本当に大きい方なんですね
お父さんが180cm越えでしょ、法政でバレーボールやっていたんですよ。お母さんはどこかの社会人チームでバスケットボールやっていたんですよ。お母さんなんか全日本にも選ばれてやっていたって聞いてますよ。

話は変わってしまうのですが、墨田シニアの目標
今、一学年の選手の50%が大学で野球をやってもらえる選手を育成しようと、それがスタッフの目標ですね。だいたい15人いたら7、8人は大学でやってもらう。そういうのが今の目標です。今だとね3割ぐらいなんですよ、大学でやる子が。15人いると5人しかやらないのね。

高校で辞めてしまう
もう高校で辞めますという子が多いですね。高校いってベンチに入る子も多いんだけれど、大学はもういいといって離れていっちゃう子がいて、そこをなんとかね。

宇草選手の出身は区でいうと
墨田区、向島。

そこからだとシニアまでは車での送迎ですか
中学3年になってからは自転車。1時間20分かけるんじゃないかな、ここまで来るのに。うちは中学3年生の4月になると自転車通いになるので、高校行くまでずっと自転車。

足腰も鍛えられますね
練習の一環なんですよ。中学1、2年生はちょっとね、暗くなって帰ると危ないから。ただ中学3年生で、極端にいえば高校1年生だという見方で(子供たちを)考えれば高校生ってみんな自転車通学じゃないですか。ここら辺の都立高校とかだと自転車でグラウンドにいって、自転車で帰る。そういう部分を考えれば中学3年生でしっかりした野球を教わってきているんだから、できなくはないというようなそういう考えの下でね、親の了解を得ながらやっていますけれどね。

最後に宇草選手や法大、そして広島ファンの方へ向けて
やっぱりファンあってのプロ野球ですからね。1人でも多くのファンを捕まえられるように。広島に行きましたけれど、東京出身ですからね。神宮だとか、東京ドームだとかそういう所で試合ができるのだから、東京のファンを連れて満員の席で野球をやって欲しいなというのが願いですかね。それが叶えられる選手だと思ってます。将来は(鈴木)誠也と3番4番のクリーンアップを打てるようなそういう選手になっていってほしいと思います。

—ありがとうございました!

(取材:加瀬航大 撮影:山﨑有馬)

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相曽一幸(あいそ・かずゆき)
墨田リトルシニア監督。高校時代は名門・横浜高に入学し、渡辺元智監督(当時)の下でプレー。『選手平等』をモットーにプレー面だけではなく、生活面でも様々な指導を行い、未来のプロ野球選手育成に尽力を注いでいる。

田中隼人選手(現主将)インタビュー

一率直な宇草選手の印象
宇草さんは歳も離れていて直接プレーを見る機会はなかったんですけど、この前の法政大学さんと明治大学さんの試合を見に行かせていただいて、その時に初球からどんどん振っていたり、副キャプテンとして周りに声をかけていたりして野球に対して熱心な方なんだなと思いました。

一宇草選手のプレーを見ていて影響を受けたことは
宇草さんは足も速くて初球からどんどん積極的なプレーをしていて、[自分は高校が宇草さんと一緒なので]そこをしっかり同じようにできればいいなと思います。

一グラウンドに宇草選手がきたときにかけられた言葉は
宇草さんはいつも来てくれたときに「練習はいずれ終わる」という言葉をかけてくれていて、その言葉のおかげでどんな辛い練習があっても練習はいつか終わるからという気持ちで頑張っていました。

一来てくれたときの宇草選手の様子は
いつも明るくて、積極的に自分たちに話しかけてくださってすごく優しくしてもらっています。

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宇草の印象について語る田中選手

一宇草さんはプロ野球選手になられましたがいずれ自分もという思いは
いずれかは宇草さんと同じように大学に行って同じ道を進みたいなと思っています。

一自分の目指している選手像は
自分はそんなに打球を遠くに飛ばすタイプではないのでしっかり1球1球集中して単打で打率を上げて、守備は守備範囲を広くするためにも短距離等のトレーニングをしっかりやっていきたいと思っています。

一高校に向けてオフに取り組みたいこと
体力トレーニングですね。自分は線が細いのでジムとかに行って体を大きくしていこうとしています。

一宇草選手に聞いてみたいこと
宇草さんはすごく足が速くて盗塁とかも決めていたので盗塁のスタートの仕方とかは聞いてみたいです。

—ありがとうございました!

(取材:吉本侑樹 撮影:山﨑有馬)

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