【硬式野球】東京六大学野球春季リーグ戦 対早大展望
東京六大学野球春季リーグ戦 対早大戦
2016年4月30日(金) ~
神宮球場
4試合にわたる激戦を制した法大。次なる相手は昨年の春秋王者・早大だ。今カードで勝ち点を落としたチームはリーグ制覇に黄信号がともるだけに、互いに負けられない。中盤に差し掛かるリーグ戦。なんとしても勝ち点を奪い、さらに勢いに乗りたいところだ。
展望
今年の早大を象徴するのが磐石な投手陣。昨年の春秋連覇、大学日本一に貢献した投手王国は今年も健在であり、チーム防御率1.29とリーグトップを誇る。その中で先発が予想されるのは、エース大竹耕太郎と竹内諒。大竹は抜群の制球力と緩急で打者を手玉に取る技巧派左腕で、竹内は伸びのある直球で押すタイプ。特に竹内は今季2試合に先発して失点はわずか1と好調だ。さらにブルペンにはルーキーながら6勝を挙げた小島和哉、投げた試合全てで勝ち投手になった北濱竣介、貴重なアンダースロー吉野和也などが控えており、投手陣攻略は困難だ。
一方の早大打線は昨年ほどの破壊力はないものの、東大2回戦で11安打8得点を記録しており侮れない。注意すべきは現在4割越えの高打率をマークしてる真鍋健太。一方、主軸を担う石井一成、中澤彰太はまだ本領を発揮できていないが、このコンビが勢いづくと早大打線が一気に活気づくだけに、警戒が必要だ。
法大の先発投手は熊谷拓也(キャ3)と玉熊将一(法4)が予想される。熊谷は先発した2試合ともに苦しい投球が続き、いまだ未勝利。エースの復調が優勝に不可欠であり、難敵相手に快投を見せてほしい。一方の玉熊は立大戦で完投を含む4連投の大車輪の活躍で勝ち点奪取の立役者となった。投手陣のリーダーがさらなる活躍を見せるだろう。
打線はリーグトップの高打率を残しており、好調さを見せている。現在首位打者の森川大樹(営4)を筆頭に、上位を担う大西千洋(キャ2)、小林満平(法2)と柴田圭輝(文4)、金子凌也(キャ4)の主軸がうまく噛み合い得点を量産している。立大3回戦では水谷友生也(営3)が逆転3ランを放つなど破壊力抜群。切れ目のない打線で相手投手にプレッシャーをかける。
ここまで、対照的な戦いぶりをみせてきた法大と早大。共に勝ち点1で並んでおり、互いに負けられない試合になる。開幕3週目にして全勝のチームはなくなり、春季リーグ戦の優勝争いは混戦模様。一歩前に躍り出るのはどちらか。今こそ「負けない野球」を見せて、悲願のリーグ優勝へまず一歩近づきたい。(渡辺拓海)
早大寮取材
高橋広 監督
—グランドスラムまであと一歩でしたが、昨年を振り返っていかがですか
私自身1年目で、在任期間中にリーグ優勝できればと思ってやってきたのがいきなり優勝できたわけですから、一年を通しては申し分ない一年だったと思っています。けれど最後に決勝戦の接戦で負けた(明治神宮野球大会。決勝で亜細亜大学と対戦し延長14回1-2で惜敗)というのは、残念さ、悔いが残った一年でもあります。実際は3つのタイトルを獲得できましたけど、最後の試合がそうだったのでね。どうしてもイメージは負けたことばかりが残っています。
—決勝戦の印象を、改めて振り返っていただけますか
非常に接戦で好ゲームでしたね。ほとんど早稲田有利で展開していた試合で、あと一本でればという状況でした。早稲田が十中八九勝利の可能性があった試合だけに余計に悔しさが残りました。まったく歯が立たなくて、防戦一方で延長で負けたのなら仕方ないなと思えるんですけど、勝てるチャンスはあったし、どちらかというと早稲田ペースの試合だったと思います。非常に残念でした。
—リーグ戦を迎えるにあたって、どのようなことを行ってきましたか
メンバーが入れ替わりますのでね。去年のチームの主力が抜けて、次の選手たちが経験がないものですから。ポジションで言えばピッチャー、ショート、センターと残るので、いわゆるセンターラインで言えば5つのうち3つが残るので、安泰かなと思える部分もあるんですけど、一番の要であるキャッチャーが変わりますのでね。ピッチャーは同じなんですけど、キャッチャーが代わるとまた違ってきます。そこらがリーグ戦戦ってみないとわからない要素です。
—重点的に行ってきたのは捕手の育成ですか
育成といっても今の陣容しかないので、補強としては次入ってくる学年はキャッチャーはいい人材が入ってきてくれるんですけど、その子たちがいきなり1年の春に使えるかと言うと非常に難しいと思います。ピッチャーや野手は1年の頭から使えるんですけど、要である以上はピッチャーの球を捕るだけじゃダメなのでね。チームを掌握するところとか、心理的に把握して、リードしていくという部分において1年生はよっぽどじゃないとできないのでね。秋になればまた違いますけど、春の段階では現有戦力のキャッチャーで乗り切ってくれなきゃ困ると思います。
—リーグ戦を戦うに当たって、軸に据える選手はいますか
とりあえずピッチャーは去年の主力で投げた連中がみんな残って、現状でも大きなケガや故障はないのでそこが中心になります。野手は入れ替わって、打線は去年のチームでも春は打てて秋はまったく打てないという状況が起こりますので、打線は基本的にはあまり期待せず、投手が残ってる以上は野手が守りを固めて、まずは負けない野球。点を取るのではなくて、取られない野球を主にしていこうと思っています。
—石井選手を主将に抜擢した経緯は
経験者でもあるし、中澤(彰太)と2人でどちらかというと石井の方が統率力があります。内野の方が投手に声をかけやすいし、ピンチでも試合においてキャッチャーや内野の方が主将としてまとめやすいので、そういうところで決めました。
—レギュラーが去年と大きく入れ替わりましたが、今年はどのような野球をしていこうと考えていますか
投手を中心とした守りの野球にならざるを得ないと思います。攻撃したいとか、そういうことを言ってもできないと思いますね。予想に反して打ってくれたら上等ですが、去年だって今の時期に打てるとは予想してなかったんですよ。開幕してみるとすごい打ってくれた。でも同じメンバーなのに秋はまったく打てなかったと。打線というのは、水モノですよね。
—ご自身も早大野球部を率いて2年目ですが、指導にあたってどのようなことを心がけていますか
最初からそうですけど、基本を忠実にやるということ、いわゆる派手なプレーとかじゃなくて、できることをきっちりやるプレーですね。一つ一つ丁寧に、もちろんそれは基本が中心になりますからね。そういうところをちゃんとやって試合に臨むとおのずとミスは出ないし、負ける要素も少なくなってくるので、勝ちが転がり込んでくるんじゃないかなと考えていますね。
—最後に今季の目標をお願いします
それはもう優勝ですね。目指すは優勝です。
石井一成 主将
—昨年のリーグ戦を振り返って
優勝を経験できたということは貴重なシーズンになりました。まあ優勝できたのは4年生のおかげなので、自分たち3年生はちょっと足を引っ張ったりしていて迷惑をかけた部分が多かったです。やっぱり4年生の存在っていうのが大きいなと思いました。
—去年の高橋監督になって初めての野球はどんな野球でしたか
非常に考え方がシンプルで、とてもわかりやすくて。選手たちも納得して試合に取り組めたと思います。試合の勝ち方についても「1点勝っていればいい。ピッチャーが抑えればいい。バッターは点取ればいい」と。それだけなのでプレーに集中できて、自分のプレーができたかなと思います。そういった点では選手を奮い立たせるというか、やる気にさせるのはとても上手いと思いますね。
—4年生の穴を感じることは
試合に出ていたのが自分と中澤とか、あとはピッチャーなので、その2人で引っ張っていかなきゃいけないっていうのはあるんですけど、試合出てた奴らが少ないので、神宮の雰囲気というものを伝えるのはちょっと難しいですね。実際にグラウンドに立たないと雰囲気というものを感じづらいと思います。それを伝えるのがちょっと難しいので、練習において自分で試合をイメージして入れていない人が多いのかな、と。
—主将に就任しましたが、責任感やプレッシャーを感じることは
もちろん去年よりは良い成績をということを目指してやっていてますので、自分と中澤を中心に引っ張っていかなければという思いでいっぱいですね。
—ご自身の目標は
投打においてチームに貢献できるようなプレーをしたいなと思っています。
—今年のチームカラーは
とても明るいなという印象ですね。去年も明るかったですけど、今年も明るいチームだと思います。元気のある印象です。
—それはどんなところで感じますか
練習していてもそうですし、声出す奴も多いですし。個性的な奴らも多いので、かなりチームの士気は上がってきていると思います。
—練習を見ていて、投手陣と野手陣でどのような雰囲気で練習しているのですか
ピッチャーもこの時期、頑張って走り込みをやってますし、投げ込みもやっているので、かなり体的にもしんどい時期だと思います。けがが怖くて、キャンプに行ったり実戦が多くなってきて、無理してけがされても困るので、そこは調整しながらやってもらいたいですね。野手陣も走り込んだり、振り込んだりしているのでかなり体力的にはきついですが、状態が上がってきている人が多いので、沖縄キャンプで実戦を積み重ねて試合感を感じとってもらえればいいかなと思います。
—昨年、法大と対戦しての印象は
自分個人としては打てなかった印象が強いので、悔しいところが第一ですかね。いいチームなので、気を抜かず今年も戦っていかなければいけないなというイメージです。
—森川主将の印象は
面白い奴で、仲いいです。ほんと面白い奴ですけど根は真面目なので、リーダーシップがあるなと感じますね。
—ご自身はどんな主将ですか
自分はどうですかね(笑)。全然頼りないキャプテンだと思いますけど、これからもっとキャプテンとしての仕事というか、自覚と責任を持ってやっていかなければいけないなという思いです。
—今年のチームと個人の目標
チームはやっぱり4冠目指してやっていくことはもちろんですけど、そんなに大量得点で勝つチームでもないと思うので、一人ひとり繋いで、「線」になって戦っていければいいかなと思います。
—個人の目標は
タイトルもそうですけど、チームがピンチのときとか、「ここで1本出たら楽」というときに1本出せるような、勝負強いバッティングができたらなと。守備でも、ここぞという場面でしっかり守れるようなプレーヤーになっていければいいなと思っています。
早大予想オーダー
打順 | 位置 | 選手 (学年=出身校) | 率 | 本 | 点 |
1 | (9) | 三倉 (3=東邦) | – | – | – |
2 | (4) | 真鍋 (4=早稲田実) | – | – | – |
3 | (8) | 中澤 (4=静岡) | .094 | 0 | 2 |
4 | (6) | 石井 (4=作新学院) | .265 | 0 | 2 |
5 | (3) | 立花 (4=千葉英和) | – | – | – |
6 | (2) | 吉見 (3=早稲田実) | – | – | – |
7 | (7) | 八木 (3=早稲田実) | – | 0 | 0 |
8 | (5) | 木田 (4=成章) | – | – | – |
9 | (1) | 大竹 (3=濟々黌) | .000 | 0 | 0 |
早大 主な投手陣
選手 (学年=出身校) | 試 | 勝 | 負 | 回 | 振 | 防 |
大竹 (3=濟々黌) | 5 | 1 | 1 | 24 1/3 | 13 | 2.22 |
竹内 (4=松阪) | 3 | 0 | 0 | 8 | 6 | 4.50 |
吉野和 (4=日本文理) | 3 | 1 | 0 | 14 2/3 | 4 | 3.07 |
北濱 (3=金沢桜丘) | 3 | 3 | 0 | 10 2/3 | 5 | 0.84 |
小島 (2=浦和学院) | 7 | 3 | 0 | 30 | 19 | 2.40 |
フォトギャラリー
- 主将としてチームをけん引する石井
- 早大のエース・大竹
- 第2戦先発が予想される竹内
- 石井とともに主軸を担う中澤