日本学生選手権
2021年10月7日(木)〜10日(日)
東京辰巳国際水泳場
大会3日目は男子200㍍個人メドレーで宮本一平(4)がインカレ初優勝。女子800m自由形では中島千咲代(2)が自己ベストを更新して7位入賞を果たした。女子200m自由形に出場した柴田夏海(4)は予選で9番。「最後の大会として悔しい結果に終わってしまった」と語った。
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3日目ハイライト
男子200m個人メドレー
4度目のインカレでようやく金メダルを手にし、「よっしゃあ!」と喜びを爆発させた。宮本は「結果にこだわる」よりも、「各種目でいい泳ぎをすることだけを心がけて臨んだ」。無欲の泳ぎでインカレ初優勝をつかみとった。
勝因は1泳法目のバタフライだった。普段は26秒台中盤のラップを刻むが、今回は初めて25秒台でターンした。100㍍の時点で、先行逃げ切り型の松本周也(中京大)との差を最低限にとどめたことで、3泳法目の平泳ぎですぐさま逆転。最後の自由形も懸命な泳ぎでトップを守り切った。
元々は平泳ぎが専門だったが、大学2年次に個人メドレーに東京五輪出場の可能性を見出し、種目を転向した。転向後間もなく迎えた2019年のインカレは200㍍で3位、400㍍では2位に入り頭角を現した。
満を持して臨んだ今年4月の東京五輪代表選考会は4位で落選。夢は潰えたが、3年かけて日本トップレベルで戦えるまでに成長した。
最後の自由形を克服したいー。インカレでは19年大会も20年大会もラスト勝負で敗れた。だから、今夏は自然の水域で10㌔を泳ぐオープンウォータースイミングのレースに出場し、徹底的に泳力と精神力を鍛えた。自由形で長距離を泳ぎ込む中で、フォーム改良に着手。宮本は「ここ1、2ヶ月で泳ぎ方が変わったからこそ、最後抜かされないで粘り切ることができた」と語った。
1分58秒54は20年2月以来の自己記録更新。「ベストが出たことはすごくうれしかった」と喜んだが、宮本は200㍍がメインとは考えていない。「勝負していきたい種目は400㍍個人メドレーです」。
翌日に行われた本職の400㍍は、300㍍をトップで折り返すも、最後に逆転されて3位。「率直に弱いなと感じた」。2冠達成を逃し、手応えと悔しさの両方を味わった大会になった。まずは、日本の頂点、そしてその先の世界へ。高い壁を越えるための日々が、またスタートした。(根本 成)
女子200m自由形
柴田は「今までで1番いい練習をして、1番追い込んで挑めた」という。目標であったメダル獲得には及ばなかったが、柴田の最後の勇姿は、後輩たちの目にしっかりと焼き付いたはずだ。
女子800m自由形
中島は8分47秒94の自己ベストで7位入賞。前日に行われた400m自由形でも自己ベストを更新した。
篠田は惜しくも自己ベスト更新はならなかったが、全体12位に入り得点を獲得した
選手インタビュー
宮本一平
ー インカレ初優勝が決まった瞬間はどんな気持ちでしたか
最後の年で、今まで獲ってなかった金メダルを獲得できたことはすごく嬉しかったです。高校生の時に平泳ぎで金メダルを獲ってから、ずっと獲れていなかったこともあって、最高でした。でも自分自身は400mをメインとしてやっているので正直、200mで金メダルを獲れるとはあまり思っていませんでした。
ー 中京大の松本選手に勝つために考えていたプランは
会場でのインタビューでも言ったように、今回はタイムや結果ではなくて、各種目いい泳ぎをすることだけを心がけて臨みました。結果だけにこだわっていたら、力みが出てしまうと考えていたからです。特にこの2ヶ月くらいは、いかに楽に泳げるかという部分を追及してやってきていたので、今回のレースでもやってきたことが生かせるようにという思いでした。
ー 自分の泳ぎに徹していたのですね
まず200mでは、最初のバタフライで後ろからになることは想定していました。なので背泳ぎから平泳ぎで楽に泳ぎながらも、追いついて抜かして、そして最後のクロールはしっかり耐えることができたと思います。
ー 予選、決勝ともに最初の100mをベストの時よりもかなり速く入りました
一番はバタフライのラップが、初めて25秒台で入ることができたので、そこが大きかったと思います。ストローク数は変わっていなくて、でもタイムは上がっていました。25秒台で入れたからこそ、あまり差が付かず、55秒台の入りができたと思います。
ー 前半の入りの強化はやっていましたか
強化してきたのは、それぞれの50mの後半の部分のタイムを上げるといったところです。200mにしろ400mにしろ、どの50mでも後半を意識することをずっと取り組んでやってきて、それがしっかりレースに表現することができました。
ー 課題だった最後の自由形の泳ぎは振り返っていかがですか
7月にオープンウォーターに出場してから、クロールの泳ぎ方を変えたり、粘るという練習をやってきました。ここ1、2ヶ月の間で泳ぎ方がガラッと変わったので、変わったからこそ、200mでは最後抜かされないで粘り切ることができたと思います。400mにしても、今までは心が折れていた所がありましたが、今回は折れないで最後まで踏ん張ることができました。
ー 一気に58秒5まで来ました
ベストが出たことはすごく嬉しかったです。200mでもインターを突破できたことは、400mに向けての自信にはなりました。今回の結果で、200mはベストタイムで表すと日本で3番手になったので、今回のように自分のレースが出来れば、戦っていけるのかなと思います。ただ、自分の中ではやはり400mがメインと考えています。
ー 400mの結果はどのように感じてますか
予選はすごく楽に泳げていました。自分の中では全力を出していない泳ぎでの15秒台だったので、4月の選考会よりもいい泳ぎをしている感覚がありました。ですが、決勝になったら、レース前にさまざまな気持ちが入り混じって自分のパフォーマンスができなかったです。自分の前に清花が優勝したことで緊張もありましたし、前日の200mで優勝したことでホッとしていた部分もありました。
ー ゴールした時はどんな気持ちでしたか
率直に言うと弱いなと感じました。田渕選手や本多選手、井狩選手、寺門選手に比べるとクロールが圧倒的に遅いので、平泳ぎでもっと差を付けておかないと負けてしまうことは分かっていました。その差を埋めるためにも前半でもう少し行きつつ、平泳ぎで差を付ける必要がありました。ゴール後は悔しい気持ちもありましたけど、最後粘れてメダルを獲れたので良かったなと思う部分もありました。
ー チームの結果について思うことは
女子は初日、2日目から勢いに乗っていて、総合で5番になりました。一方の男子は13番ということで、正直これが今の法政の実力だったのかなと思います。自分自身はインカレをすごい楽しめたと感じていますが、会場にいる皆の雰囲気は、あまり楽しんでいないように感じました。今回上手く自分のパフォーマンスを発揮できなかった選手やレギュラーに入ることができなかった選手には、来年はインカレまではしっかり頑張ってもらって、インカレでは思う存分楽しんでほしいと思います。4個メでは3枠ありましたけど、その中で1年生の神偉雄がしっかり点数を取ってくれたのは嬉しかったです。自分自身はまだ競技を続けるので、これからもアドバイス等で皆の役に立てればいいなと思います。
ー キャプテンとしての1年間を振り返って
正直、竹鼻幹太と一緒にやっていなかったら、このチームを作ることはできなかったと思います。僕が学校で練習をしていない分、学校練の皆には、僕のことを信じてもらえているのかなと思うことがありましたが、その中で幹太が学校練をインカレまで引っ張ってくれたので感謝しています。4年生の代は、女子が皆クラブ練で、マネージャーもいなくてという形で、後輩たちにはすごく迷惑をかけていると感じていましたが、最後は後半たちがすごく感謝の気持ちを伝えてくれたので、主将として1年間やってきて良かったなと思いました。
柴田夏海
―大会を振り返って
自分自身の目標はベスト更新や、メダル獲得だったけど、結果として9番目で予選落ちで、最後の大会としても1個の大会としても悔しい結果に終わってしまいました。
―リレー種目での気持ちの切り替えは
個人は駄目だったんですけど、チームのために3つリレーも泳ぐ立場だったので、個人の結果を挽回しようという気持ちにして出場しました。
―最後となった800mフリーリレーについて
本当は出るはずの子が骨折してしまったりハプニングがありましたけど、1,2年生の子がベスト出してくれて、思ってたよりいい結果でよかったです。
―チームを引っ張る立場として
800mを得意にしてる子だったりして、後輩の2人はレース前に怖いって言ってましたけど、400m個人メドレーで優勝した柏崎さんがいて、自分も200mが得意なので、1泳として後輩が安心して泳げるようにと思って泳ぎました。
―金メダルが出てチームの雰囲気は
1日目はなかなか波に乗れなかった状況でしたけど、宮本の優勝から柏崎が続いて、後輩がベスト出したりして、雰囲気は良かったと思います。
―大会を総括して
個人としては悔しい思いしかないです。4年生として結果で引っ張りたかったのでチームに申し訳ないですし、個人としても最後のレースだったのになという思いです。でもチームは、女子は5位でリレーも去年決勝に残れなかったのが残れたりして、声をかけあってみんなで乗り越えられた大会でした。
―4度目のインカレでした
4年を通して法政のためにという思いは変わらないです。1番上でチームのためというのはもちろんでしたけど、自分の最後のけじめとしていい結果を出さないとという気持ちもありました。
―レース前の心境は
22年間続けてきた水泳なので、最後の実感はわかなかったけど、最後だからこそ今までで1番いい練習して、1番追い込んで挑めました。
―今年1年を振り返って
タイムも出ずに苦しい時期で、水泳が嫌だと思ってしまった1年でした。でも法政のレベルの高い同期がいて最後まで頑張ろうと思えたので、苦しかったけど、充実した1年でした。
―法政での4年間を振り返って
あまりいい思いをできずの4年間で、つらかったです。努力をしても自分はダメなんじゃないかと思ってしまったりしましたけど、うまくいかなかったからこそ、そういう時にどうしたらいいかや、どういう気持ちで臨めばいいかを学べて、人間性の部分で成長できた4年間でした。
―大会を終え今の心境は
実感はわかなくて、1週間後からまた練習始まるんじゃないかというような気持ちもありますけど、やり切ったという達成感もあります。
―法政で学んだことは
先輩や同期や仲間に恵まれて、タイムがでなくても応援してくれたり、タイムが出れば自分のことのように喜んでくれたマネージャーさんや監督がいて、法政に入ったからこそ最後まで真剣に水泳に向き合えました。
―同期の存在は
本当に仲良しで、休みの日も遊ぶくらいでしたけど、水泳には人生をかけていて真剣に取り組んでいる子たちばかりで、学校練クラブ練で分かれているけど、それぞれの目標に対して応援できる存在で、刺激ももらったし、心強い存在でした。
―後輩へメッセージ
結果が出ない4年間だったからこそ、最後までやり切る大切さを感じたので、途中で投げ出すことなく、親や監督など自分が頑張れる環境を整えてくれる人たちに感謝して、どんな結果であってもやり遂げてほしいと思います。