関東大学リーグ戦1部
対大東大
2022年9月11日(日)
熊谷ラグビー場
関東大学リーグ戦がついに開幕し、法大は初戦で大東大と激突。前半は相手にペースを握られ、7-19とリードされて試合を折り返したが、後半着実に点を重ねていった法大が19点を奪い、26-19で見事に逆転勝利。『大学選手権ベスト4』に向けて、まずは幸先の良いスタートを切った。
試合結果
トータル試合結果
26 法大 |
7 | 前半 | 19 | 19 大東大 |
---|---|---|---|---|
19 | 後半 | 0 |
ポイント詳細
1/1 | T | 3/0 |
---|---|---|
1/1 | G | 2/0 |
0/4 | PG | 0/0 |
0/0 | DG | 0/0 |
T:吉永、石岡 G:熊田、金 PG:熊田4 |
※前半/後半、得点者は法大のみ記載
法政大学メンバー
No. | ポジション | 選手氏名 | 学年 | 出身校 |
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1 | PR | 石母田健太 | 4 | 國學院栃木 |
2 | HO | 井口龍太郎 | 4 | 静岡聖光学院 |
3 | PR | 河村龍成 | 4 | 明和県央 |
4 | LO | 竹部力 | 3 | 大分舞鶴 |
5 | LO | 佐々木康成 | 4 | 大分舞鶴 |
6 | FL | 山下武準 | 3 | 法政二 |
7 | FL | 吉永昴生 | 4 | 東福岡 |
8 | NO.8 | 佐野祐太 | 2 | 目黒学院 |
9 | SH | 小山田裕悟 | 1 | 桐蔭学園 |
10 | SO | 熊田経道 | 3 | 大阪産業大附属 |
11 | WTB | 松田陸空 | 2 | 石見智翠館 |
12 | CTB | 金侑悟 | 2 | 大阪朝鮮 |
13 | CTB | 南部翔大 | 4 | 京都成章 |
14 | WTB | 坂田龍之介 | 4 | 東海大仰星 |
15 | FB | 石岡玲英 | 3 | 御所実業 |
16 | Re | 石川空悟 | 3 | 佐賀工業 |
17 | Re | 中野一樹 | 3 | 國學院栃木 |
18 | Re | 渡辺明志 | 2 | 佐賀工業 |
19 | Re | 渡部創太郎 | 3 | 桐蔭学園 |
20 | Re | 寺前琉達 | 2 | 目黒学院 |
21 | Re | 北川拓来 | 1 | 昌平 |
22 | Re | 高城喜一 | 3 | 金光藤蔭 |
23 | Re | 小高巧 | 4 | 目黒学院 |
戦評
今年もこの季節がやってきた。関東大学リーグ戦がついに開幕し、法大ラグビー部は初戦で宿敵・大東大を迎えた。今シーズンは3年ぶりに全試合有観客での開催となり、開幕の舞台となった熊谷ラグビー場には多くの大学ラグビーファンが集まった。
今年度は、春季大会を2位で終え、8月には3年ぶりの菅平合宿も行い、リーグ戦開幕に向けて着々と準備を重ねてきた法大。まずは初戦をしっかりと勝利し、開幕戦を白星で飾りたい。
キックオフの笛がなり、まず主導権を握ったのは大東大。開始早々から自陣に攻め込まれ、7分に先制トライを許してしまう。さらに5分後の12分、自陣ゴール前でのラインアウトからモールで押し込まれ、最後は守備が手薄になったインゴール中央にトライを決められ、開始15分で点差は12点に。なんとか反撃したい法大は39分、敵陣ゴール前でのスクラムで相手のペナルティを誘発すると、佐野祐太(2)がタップキックで素早くリスタートし、最後は共同主将の吉永昴生(4)が今季リーグ戦チーム初トライを決め、まずは1トライを返す。しかし前半ラストプレーで外国人留学生相手に再びトライを許してしまい、7-19とリードされた展開で試合を折り返す。
体格で上回る相手にも積極的にアタックしていく
ハーフタイムに「冷静なトークをチーム全体で挟んで、やることを統一できた」という法大は、後半から徐々に本来の力を発揮していく。ディフェンスでは積極的に前に出て我慢強く守ることで、相手の前進を許さない。オフェンスでは相手のペナルティを誘い、51分、59分と熊田経道(3)が長距離PGを決め、徐々に点差を縮めていく。すると64分、自陣深くまで攻めてきた大東大のパスミスをし、それを見逃さなかった竹部力(3)がこぼれ球を拾い、外で待っていた石岡玲英(3)に倒れ込みながらのパス。石岡はそのまま約80mを走り切る独走トライを決める。CKも熊田がしっかりと決め、ついに逆転に成功する。その後もチームとしてやるべきことを統一した法大は71分、83分とPGを決め、着実に点を重ねていく。後半ラストプレー、なんとか同点に持ち込みたい大東大が自陣深くまで攻め込んでくるが、法大は最後まで集中を切らさず守り切り、最後は相手のノックオンを誘い、ノーサイド。後半、見事に立て直した法大が試合巧者ぶりを発揮し、26-19で開幕戦を逆転勝利で飾った。なお、この試合のPOM(プレイヤーオブマッチ)にはチームファーストトライを挙げ、攻守に渡って活躍した吉永が選出された。
相手にプレッシャーを与え続けたことが石岡のトライに繋がった
『走り勝つ』というテーマを掲げて臨んだ開幕戦。前半こそ外国人留学生を中心とした大東大の攻撃に苦戦したが、ハーフタイムにチーム全体で意思統一したことが、後半の逆転劇に繋がった。FW、BK共に試合終了まで足を止めることなく“走り勝ち”、まさに法政らしい『ランニングラグビー』を体現した試合となった。
他会場では、法大と同時刻にキックオフした東海大と東洋大の一戦で、東洋大が番狂わせを起こし、4連覇中の絶対王者が開幕黒星スタートと波乱の開幕となったリーグ戦。そんな中でも新宮孝行監督が「私たちはチャレンジャー」と冷静な口調で語るように、一戦一戦に集中し、全力で戦うことがひとつひとつの勝利に繋がる。5年ぶりの大学選手権出場、そして『大学選手権ベスト4』という目標に向け、法大ラグビー部の戦いはまだ始まったばかりだ。
(記事・写真:板倉大吾)
記者会見
新宮孝行監督、吉永昴生(4年・FL・東福岡)、石岡玲英(3年・FB・御所実業)
—試合を振り返って
新宮監督:大東さんの留学生をすごくマークしていたんですけど、思いのほか強く、前半うちのチームも若干浮き足立っていたところもあったんですけど、一発で仕留めなければいけないタックルに対して一歩二歩も前に出られて、リズムが狂ってきて食い込まれてしまうという状況が続き、前半で19点と僕の中では3トライ以内に抑えるというのを目標としているので、これ以上取られたらとは思ったんですけど、後半に入って選手の動きを見ている中で、疲れていないなと感じたのと、逆に大東さんの方は足が止まっている感じだったので、テンポアップしていって相手をしつこく倒して疲れさせようということをして、プレスを重ねて、結果的にはナイスゲームだったんですけど、まだまだ一対一のところでタックルに出るというところなどで修正していかないといけないとは感じました。
吉永:監督が言ったように、前半は厳しい試合になったと思うんですけど、今回の試合のテーマとして「走り勝つ」を掲げていたので、後半で相手が疲れてきたところをこちらが走り勝って、点数を重ねていくという部分で勝利できたので嬉しく思います。
石岡:前半、緊張からなのか選手全員が一つ以上の仕事をやろうという焦りから自分達がやりたいこと、やってきたことを上手く発揮できずに大東文化さんの個の力に引いてしまって、トライされてしまうシーンあったんですけど、そこで焦らずに選手の中で「今まで決めてきた自分達の強みでしっかり戦っていこう」という冷静なトークを前半終わった後に全員で挟んで、やることを統一できたというのが後半から自分達が前に出て大東さんにプレッシャーを与える、相手を前に出させないという元々やりたかったことが上手く機能してきたというのがこの試合の1番の勝因だったのかなと感じました。
—後半巻き返せるだけの自信はどのようなところから出てきたのか
吉永:私たちが行ってきた練習として、走り込みを行ってきた中でキツイ状況でも頭を動かす、ラグビーの中でどれだけ頭を動かせるかという練習をしてきて、今回の試合では前半は相手もフレッシュな状況で個の力でやられてしまったんですけど、後半相手が疲れてきた中で自分達が頭をフレッシュにして、FWが良い仕事をして勝てたというのが良かったのかなと思います。
石岡:「走り勝つ」というところで、大東文化さんは前に圧力をかけて来る1人1人個の強いチームだったんですけど、そこに対して自分達は前に走って、相手に前に出させないという部分で、BKも相手にボールを動かさせないというところで無駄にでも前に出てまた帰って来てもう1回前に出るという感じで走り勝つという、相手に常にプレッシャーを与え続けるという部分で練習してきたこともあり、また練習で外国人留学生がいるようなポジションに違う色のビブスを着させて、そこに対してよりプレッシャーを与えていくという、キャリーが強い相手に対してもよりプレッシャーを与えて前に出る走りを意識してきたので、そこが自信になって後半からやり直せる良い基盤だったのかなと感じています。
—今日に試合でのコミュニケーションの部分は昨年末や春シーズンと比べてどうだったか
吉永:今回の試合でトライを取られてしまってインゴールで話す機会が多かったんですけど、そう言った部分で今まで以上に自分達がやってきたことを詳しく確認できるような状況だったので、そいった部分ではよく話せたと思います。
—最後7点差になってからは、どのような気持ちでプレーしていたのか
吉永:7点差になってからは1トライ1ゴールで同点になってしまうので、まず敵陣でプレーをしてボールをキープする、相手にアタックをさせないということを意識していました。
石岡:点数が7点差になってからは、大東文化さんは勢いに乗ると自分達のやりたいことを実行してきて前に前に出てくるチームだったので、それをさせないために規律の部分、オフサイドやブレイクダウンなどの部分を犯すことなく、相手に対して前に出るというベースは変えずに規律という部分はしっかり守っていくというところを徹底して声掛けしていました。
—(東洋大が東海大に勝利し)リーグ戦は波乱の雰囲気がしますが、今季の目標は
新宮監督:自分達の方から「ベスト4に行きたい」と言ってきたので、そこはブレません。東海さんであろうが東洋さんであろうが私たちはチャレンジャーなので、今日もはっきり言って大東さんがすごい得点能力のあるチームにも関わらず、これだけのディフェンスができると、しかしまだまだ改善するべきところはあるので、一歩一歩ベスト4に近づいていきたいと思っています。