【硬式野球】秋季リーグ直前インタビュー⑲~髙村祐助監督~

髙村祐 助監督

ーーここまでのオープン戦を通してのチームの仕上がりは
最後の方は、少し大雑把な試合になってきてしまって。夏の関西遠征から始まって、そこからオープン戦の中で春よりは少しずつ色々な部分が変わってきた選手もいるし、なかなかそこから変われない選手もいるし、というところがあります。

ーー助監督としてベンチに入ってみて自身の変化は
皆さんにそれをよく言われるんですが、野球がプロから大学と変わっただけで根本的な自分の考える部分っていうのは、そんなに変わらなかったかなと思います。レベルは全然違うところはあったにせよ、ここの1点とか、ここの1球とか、 ここの打席の結果とか、勝ち負けとかっていうところの部分は、野球はそう変わらないんで。その基本のところというか、自分が考えてるところというのは変わらず(ベンチに)入れたし、その部分が一番勝敗が分かれた部分であったかなと思いますね。

ーー今春チーム防御率1.93の投手陣の頑張りについては
いや、頑張ったと思うんです。みんな頑張ってるとは思うんだけど、やっぱり今言った通りで、野球って点取りゲームなので。だから、(与える)点数が少なければ少ないほど勝つ確率は高くなってくるし、でも0対0では勝てるわけでもないし。どうやって点数を与えないかというところに行きつかなくちゃいけなくて、そこがアマチュアの一番難しいところでもありますね。(まだまだ失点を防げるところがあったのか)防げるところがあるのは非常に感じました。だから、1点差ゲームが4試合くらいあって、そこで勝ち切れる部分はあったのかなと。(継投のタイミングは迷ったか)いや、それは全然迷わなかったです。

ーー安達壮汰投手(営4=桐光学園)はこれまで未登板ながらリリーフとしてフル回転したが
いやもうオープン戦で、「なんで投げてなかったのかな」と思ったぐらいだったんで。各年代によって上級生とかがいたので入れなかったのかなと思いますが、本当によく頑張ってくれたし、いい経験をしたし、それが自分の引き出しになってるんじゃないかなと思います。

ーー春以降のチームの取り組みについては
チーム全体として春の悔しさをどういう風に選手が思って、夏やったかなということがとても大切で、でもなかなか、毎日そういう風な気持ちで進められるかと言ったら、やっぱり人間ってそういうわけではないので。そこの切り替えで、スイッチを入れるタイミングをみんながどういう風に入れてくれたかというところが、一番大切な部分だったかなと。

ーー投手、野手問わず選手から話しかけられる場面をよく見るが
みんな野球でも冗談でも、色々話しかけてくれます。その話す機会で、大事な話の時には、野球の話だとしたら、ちゃんとしっかりと答えられるように、という意識はもうずっと一緒で。こういう指導をしているところでは、その時に疑問があった時に、しっかりと疑問に対して答える、でも答えているだけじゃつまらなくて、自分で考えることも大切だということも区別はしています。(きっかけはあったのか)そんなのはなくて。野球をやっていて自分がそういう風にずっとやってきたというのもあるし、誰かに言われたからとかではなくて、それが自分のスタイルです。

ーー篠木健太郎投手(営4=木更津総合)は代表も経験して、一段レベルが上がったように見えるが
自分の中で進むところは分かっているのでね。ファームに関しても色々なところでチャレンジしているところがありますが、それも悪い方向に行ってないから、 ちゃんと自分の方向を定めながらやっているかなと思います。(課題などは与えたか)今はそこまでです。あまりにもこっちに(法大)いる機会は少なかったから、体調の方だけ。ずっと遠征が続くきつい中で、先発じゃなくて、中の方に入ったことでピッチングスタイルの変化もあるし、そこにアジャストして、こっち(法大)の方に入れるかや体の状態、そっちの方が心配でした。

ーー吉鶴翔瑛投手(営4=木更津総合)に関しては順調か
本人も悩んでいることが多いかなと思います。ただ何を言ってもリーグ戦が始まるのでそこで本人がどういう風な投球をみせてくれるかだけです。(課題は)本人にはいろいろ伝えたんですけど、本人がどう感じたのかです。

ーー安達投手は今夏フォークの軌道に取り組んだとのことだがその成果は
もう一つ本人にとって山になるボールが、今後のためにも、上のカテゴリーにいくのにも必要な部分が必要だったので。 そこを本人がちゃんと感じて、レベルを上げようとしたことはすごいいいことだと思います。そのボールができたら、また1つ幅が広がる投球もできるかなと。

ーー山城航太郎投手(キャ4=福大大濠)はフォークの精度も上がり安定感も増しているが
まだまだです。もっともっといい確率のボールを増やしてほしい。でも、どんどんチャレンジしている。そうやって投げていかないと、結果的に分からないので、自分で投げながら感じて、感じたことをどのように修正してるかが大事ですね。

ーー野崎慎裕投手(営3=県岐阜商)は安定感抜群の投球をみせているが
すごく順調です。 このまま、故障の箇所が一番心配なので本人がどういう風にケアしていくかが大切です。(故障のケアは教えるか)聞かれたら答えられるようにはしています。

ーー成長株を挙げるとしたら
野崎ですね。そんなに投げてない中でここまで順調にきてて、投球内容もやっぱりいいので。(具体的にどういうところがいいのか)全体的に球の質が高くて、変化球でもカウントがしっかり取れているところもあるし、ボールの力もあってゾーンの中で勝負できるっていうのが一番大きいです。

ーーリーグ戦期間中でも学生は一気に成長すると思うが
失敗しても成功しても、投げることによって選手は成長しているので。ただ、その成長の度合いが違くて、失敗に対して本人が引いてしまうのか、そこで引かないでそのまま上を突き進むのかというところになってくる。これは本人の気持ちが強い弱いというところも出てきます。メンタルの部分も成長しながらレベルが上がっていくんだと思います。これは学生だけじゃない。もうどこの世界でもそうだと思います。やっぱり一つ何かをクリアした時には必ず選手が上がってくる。これが早い選手と、遅い選手と、上がらない選手に分かれてくるんです。一概に同じような場面を与えたからといって、選手が同じように伸びることはない。あとは選手がどういう風に思ったかというところです。それに対してどういう風なアプローチになったかというところが大事です。

ーー4年生は一度も優勝を経験していないがそこに対する思いは
それはあります。4年間の中で優勝できないで卒業していくのではなくて、やっぱり、優勝して卒業させたい。1回でもいいものを経験させたいです。今後の人生の中でも、勝つとこの喜びはまた違うので。最後の秋、優勝、勝つ野球をどれだけできるかです。

ーーリーグ戦は厳しい戦いが続くが
1試合1試合どういう風に勝って、2つ勝つためにはというところをしっかりと(指導者は)考えるので。学生たちもその2つを、どういう風に勝つか、1つ負けたとしてももう1勝どうやってつかみ取るかを、しっかり学生たちが切り替えながら、思いを強く出しながらやっていけたらなと。

ーー開幕戦の日は神宮で観戦されていたが、他大学の印象は
やっぱり春とは全然違います。早稲田は優勝したことによって雰囲気も全然変わっているし、 チーム全体のグラウンドの姿勢とかも全く違いました。やっぱり勝つと、色んなものが上がっていくんだなと感じました。

ーー開幕カードの立大の印象は
慶應に勝ち点取ったっていう、今まで勝てなかったところが勝てたというところで、チームが1つまたレベルが上がっていると思います。いい雰囲気になってると思いますし、その中でどれだけ2勝できるかですよね、簡単にはいかない試合だと思います。

ーーファンの皆様に一言
4年生が最後のシーズンになるので、その4年生の「意地」っていうものが、必ずグラウンドで出てくれると、出ないといけないと思います。やっぱりどれだけ神宮のグラウンドで躍動して、1球に対して、みんながその1球を追い求めていってくれるかだと思うので、そういう大切な1球を、応援してくれる方たちにも、しっかりと見てほしいなと思います。

(取材・矢吹大輔)

髙村 祐(たかむら・ひろし)
1969年9月2日生まれ
栃木県出身・宇都宮南(甲)→法政大学→近鉄(92年~04年)→東北楽天(05年)
コーチ歴:東北楽天(2007年~2015年)→ソフトバンク(2016年~2023年)

硬式野球部の写真はスポーツ法政新聞会の公式インスタグラムにも掲載しております。ぜひご覧ください。

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