全日本学生アメリカンフットボール選手権 決勝 対立命館大
2024年12月15日(日)
阪神甲子園球場
2006年以来、18年振りの日本一を目指した法政ORANGE。試合開始直後のワンプレーで相手に得点を許すと、この試合は常に相手を追いかける苦しい展開で試合が進んでいく。それでも廣瀬大洋(営4=駒場学園)や中川達也(法3=明治学院)らのTD でくらいつき、第3Q終了時点では10点差に。大逆転での優勝を目指した第4Qではあったが、点差を詰めることができず、35-45でホイッスル。
立命館大学が今年の学生アメフト日本一の座に輝いた。
これで2年連続全日本大学選手権決勝に進出も、無念の敗戦で今年も準優勝に…。2006年以来の日本一の夢は、来年以降に持ち越しとなった。それでもこの2年間、甲子園ボウルに2年連続で出場したのは法政のみ。来季こその思いで、下級生たちはこの経験を次につなげていく。
試合結果
トータル試合結果
法政大学ORANGE |
7 | 1Q | 14 |
立命館大学PANTHERS |
---|---|---|---|---|
14 | 2Q | 17 | ||
7 | 3Q | 7 | ||
7 | 4Q | 7 | ||
法政大学ORANGE | 35 | Total | 45 | 立命館大学PANTHERS |
試合得点
Q | ポジション | 選手 | 得点方法 | トライフォーポイント(以降:TFP) |
---|---|---|---|---|
1 | RB | 廣瀬大洋(営4=駒場学園) | タッチダウン(以降:TD) | ○ |
2 | WR | 中川達也(法3=明治学院) | TD | ○ |
2 | WR | 阿部賢利(営2=法政二) | TD | ○ |
3 | RB | 中川 | TD | ○ |
4 | RB | 廣瀬 | TD | ○ |
戦評
2006年以来、18年振りの日本一へ。2年連続甲子園に帰ってきた法政ORANGE。下馬評では圧倒的立命館大有利と言われていた中で、互いのプライドがぶつかり合う、今季の学生アメフトのラストゲームがキックオフ!
試合はいきなり動く。K・高城颯真(経3=法政二)のゴロキックを立命館大がリターンし迎えた、この日最初の立命館大の攻撃。立命館大陣40ヤード地点からの1&10。QB・竹田からのハンドオフを受け取った、立命館大主将/RB・山嵜が左サイドへと展開。DL・川出奨悟(営4=駒場学園)、DB・クラッセンマイケル(法3=足立学園)のタックルで止めきったかに思われたところから、山嵜が驚異的なフィジカル力をみせ、そのままエンドゾーンまで走り切りいきなりTDを許す。TFPも決まり、開始30秒足らずで7-0といきなりリードを許す展開に。すぐさま反撃に出たい法大の攻撃。こちらは、リターナーのRB・小松が62ヤードに及ぶリターンに成功。立命館大陣36ヤード地点からの攻撃となったが、ここは1stダウンでフォルススタートの反則もあり15ヤードのゲインを目指す攻撃に。4thダウンではギャンブルを仕掛け、1stダウン更新を狙ったが失敗。得点には結びつかない。ここからは立命館大の攻撃が続く。ワイルドキャット(QBの位置にRBが入るフォーメーション)による攻撃で、ロングゲインは許すものの、川出のキャリアーに対する見事なタックルで凌ぐ。それでも法大陣26ヤード付近まで攻め込まれ迎えた、1&10。相手QBがドローから放ったボールはエンドゾーン後方へ。TDかに思われたが、ここはDB・岡村裕(キャ2=佼成学園)がターゲット選手へギリギリでフィールド外へと掻き出しパスはインコンプリートに。その後は、副将/DB・南雲昇太(営4=法政二)のキャリアーに対する見事なタックルなどでビッグゲインこそ許さないものの、4thダウンでのギャンブルプレー成功などもありじわりじわりとボールを前に運ばれる。
そして、第1Q残りおよそ5分となったところで、エンドゾーン中央へのTDパスが決まり追加点を奪われる。14-0と試合の流れは立命館大に完全に傾いていた。キックオフ後のリターンはTE・佐藤祥秀(人1=佼成学園)がおよそ20ヤードをリターンし、法大陣31ヤード地点から開始。2nd&9からはWR・阿部賢利(営2=法政二)のRACで約20ヤードをゲイン。その後もRB・廣瀬太洋(営4=駒場学園)や、QB・谷口雄仁(営4=法政二)からTE・矢作一颯(法4=足立学園)への中央へのパスもあり、ドライブし続けながらボールを立命館大陣6ヤード地点まで運ぶ。迎えた、1st&goal。立て続けに、谷口からRB・中川達也(法3=明治学院)へのハンドオフで中央突破からのTDを狙うが、およそボール一つ分を残して3rdダウンに。最後は、OL陣のパスプロテクションによってできた左サイドへ廣瀬が走り切りTD!高城のTFPも決まって、第1Q残り21秒で7点を返し、14-7として試合は第2Qへ。
立命館大の攻撃で試合再開。法大陣29ヤード地点から1st&10。山嵜、そしてもう1人の立命館大の強力RB・蓑部の両名が、3回のドライブで法大陣8ヤード地点までボールを運ぶ。パスと、QBドローが決まり残すは1ヤード。3rd&inchの攻撃は、南雲がエンドゾーンギリギリで相手RBを止め、4thダウンへ。しかし、最後は力で押し込まれ、21-7と再び立命館大のリードが14点となった。点の取り合いの様相がさらに強くなってきた中で、法大オフェンスも負けじと魅せる。キックオフ後の攻撃は、法大陣41ヤード付近から。ここでQBはQB・齊藤空大(法3=駒場学園)にスイッチ。2回のドライブで、ドローとスクランブルを使い、自ら7ヤードをゲイン。
そして3rdダウンでは、谷口、齊藤空がともにフィールド立つシーンが(ドラゴンフライと呼ばれるフォーメーション)。ここは副将/OL・牧野海舟からのスナップを齊藤空が受け、副将/WR・高津佐隼世(キャ3=佼成学園)へとパス。しっかりと1stダウンを更新し、着実にゲインを重ねる。立命館大陣36ヤード地点からの1st&10。廣瀬へのハンドオフからのランでいきなり1stを更新すると、続く攻撃でも、ドロー気味に後ろへ展開した谷口から矢作への右サイドへのパスが通り、1stダウンを更新。立命館大陣9ヤード地点まで攻め込み迎えた、1st&goal。廣瀬がハンドオフから8ヤードゲインし、残った1ヤードを最後は3rdダウンでRB・中川がエンドゾーンへと運び切りTD!
前半残りおよそ7分で、21-14と再び詰め寄る。しかし、次の立命館大の攻撃でFGを決められ、24-14とその差が広がる。この後、前半の試合の流れを大きく動かすビッグプレーが。キックオフプレーで立命館大が取った選択は、オンサイドキックだった。お手本のようなオンサイドキックを決められ、再び攻撃権は立命館大にわたる。立命館大陣46ヤード地点からの1st&10。ここはWRへのロングパスを決められ、およそ20ヤードをゲインされる。しかしこの後は、DL・中村季音(営3=駒場学園)のパスディフェンスとキャリアーへのタックル、3rdダウンでDL・川村達哉(文4=明治学院)にもパスディフェンスが生まれ、4thダウンでこの日初めて立命館大はパントフォーメーションをとる。しかし、ここで簡単に攻撃権を渡してくれないのが立命館大。パントフェイクからボールを受け取った選手がそのまま右サイドから中央へ走り込み、ファーストダウンを更新。さらに法大陣29ヤード地点からの攻撃では、3rdダウンでWRが法大陣25ヤード付近でパスを受け取ると、そのまま右サイドへと走り抜けTD。TFPも決まって31-14と、完全に立命館大に流れが傾いていた。しかし次の法大の攻撃で魅せたのは、2人のWRだった。WR・宮﨑航也(文4=千葉日大一)はキックオフリターンで20ヤードをリターンすると、続くドライブも谷口から宮﨑へのロングパスが決まりさらに前進。
さらに、立命館大陣33ヤード付近からの攻撃は、廣瀬のランと高津佐へのパスが決まり迎えた3rd&2。スナップを受け取った谷口がそのまま後ろへドローすると、エンドゾーン右側へと回り込んだ阿部をターゲットにしたパスが。上手く反転しながら阿部がキャッチしそのままTD!前半残り1分を切ったところで、貴重過ぎるほどの得点に成功。TFPも決まって、21-31とその差を10点にして試合を折り返すことになった。
第3Qは、RB・小松桜河(文3=日大三)が相手のキックオフを17ヤードリターンして開始された。いきなり谷口から宮﨑へのパスが通り、29ヤードをゲイン。さらに立命館大陣39ヤードからの1st&10で廣瀬のランプレーにより28ヤードをゲインし、立命館大陣11ヤードまで前進する。1st&10で中川のランプレーにより前進するも2nd&5の攻撃がパス不成功に終わり迎えた3rd&5。ここで谷口から阿部にパスをするも弾いたところをLB・大谷にインターセプトされ、攻撃権が立命館大へと移ってしまう。立命館大の攻撃は立命館大陣13ヤードから。RB簑部の2度のランプレーにより立命陣27ヤードまで前進され迎えた1st&10。ここでこの試合に苦しめられ続けてきたRB・山嵜に43ヤードをゲインされるランプレーを許し、法大陣30ヤードまで前進される。それでも1st&10の攻撃で、川村がファンブルリカバー!
相手に完全には流れを渡さず、攻撃権を取り戻す。続く法大の攻撃は法大陣25ヤードから。高津佐へのパス成功や齊藤空のランプレーなどで前進するも、法大陣44ヤード地点で4th&2となったところでパントを選択。この試合両チーム通じて初めてとなるパントを中村が蹴り、攻撃権は立命大へ。立命陣10ヤードからの攻撃となるも簑部と山嵜に3度のランプレーで計59ヤードのゲインを許し、法大陣31ヤードまで前進されてしまう。続く1st&10の攻撃でQB・竹田からWR・大野へのパスを通され、TDを奪われてしまう。その後のTFPも決められて21-38とリードを広げられる。
再開後の法大の攻撃は法大陣20ヤードから。1st&10でいきなりWR・須加泰成(営3=足立学園)のRACにより31ヤードをゲインし、立命館大陣49ヤードまで前進する。さらに中川へのランプレーと高津佐へのパスにより1stダウンを更新し、立命館大陣30ヤードまで前進する。続けて高津佐へのパスにより立命館大陣9ヤードまで前進し迎えた1st&goal。まずは中川のランプレーにより4ヤードをゲイン。続く2nd&goalでまたも中川が中央を突き抜けるランプレーによりTD!TFPも高城がしっかりと沈め、28-38と点差を縮める。
高城のキックオフで試合が再開されるとクラッセンマイケルのタックルにより14ヤードのリターンに抑える。立命陣20ヤードからの攻撃となるも度重なるランプレーにより敵陣47ヤードまで前進される。それでも続く1st&10の攻撃で相手のパスをDB・小田隼士(キャ4=箕面自由学園)がインターセプト!ビッグプレーで法大に攻撃権を取り戻す。
続く法大陣28ヤードからの1st&10の攻撃をノーゲインに抑えられたところで第3Qが終了。28-38と10点差で試合は最終第4Qへ。
第4Qは法大陣28ヤード、2nd&10で法大の攻撃で開始するも宮﨑へのパス不成功もあり、4th&7となったところで中村がパントを蹴り、攻撃権は立命館大へ。立命館大陣20ヤードからの攻撃は南雲のタックルなどもあり前進を許さず。4th&2になったところでこの試合初めて立命館大がパントを蹴り、攻撃権は法大へと移る。法大陣25ヤードからの攻撃は1st&10で谷口から高津佐へパスは不成功となるも、立命館大にパスインターフェアの反則があり15ヤードの罰退となる。法大陣40ヤードからの攻撃は廣瀬の2度のランプレーにより1stダウンを更新し、迎えた立命館大陣49ヤードでの1st&10。ここで谷口がQBサックをされ8ヤードロスしてしまう。それでも2nd&longの攻撃で中川の中央から右に流れるランするオプションプレーにより17ヤードをゲイン。続く3rd&1の攻撃がパス不成功に終わり、4th&1となったところで法大はギャンブルプレーを選択。廣瀬の中央を通るランプレーによりギャンブルプレーが成功すると、立命館大陣30ヤードまで前進する。さらに谷口から左サイドへの宮崎のパスが成功し、立命館大陣19ヤードまで前進し迎えた1st&10の攻撃。廣瀬がランTDを決め、さらにTFPも成功!35-38と一気に3点差まで詰め寄り、会場の雰囲気は法大ムードに。
しかしその後のキックオフでオンサイドキックをするもこれが失敗に終わり、続く立命館大の攻撃は法大陣44ヤードからとなってしまう。簑部のランプレーなどがあり法大陣28ヤードまで前進されて迎えた2nd&8。ここで立命館大にWR・仙石がランをするスペシャルプレーを遂行されてTDを許してしまう。さらにTFPも決められて35-45と再び10点差に広がる。なんとか追いつきたい法大は再開後の攻撃で中川のランプレー、廣瀬、阿部へのパス成功により立命館大陣49ヤードまで前進する。続く1st&10の攻撃で谷口のパスをインターセプトされてしまい、そのままTDかに思われたが、その前に法大に反則がありTDは取り消しに。それでも立命館大に攻撃権が移ると、この時点で時間は残りわずかだった。立命館大がニーダウンを繰り返して時計の針を進められて、試合終了。35-45で敗れ、悲願の日本一にはあと一歩届かなかった。
これで2年連続全日本大学選手権決勝に進出も、無念の敗戦で今年も準優勝に…。2006年以来の日本一の夢は、来年以降に持ち越しとなった。それでもこの2年間、甲子園ボウルに2年連続で出場したのは法政のみ。来季こその思いで、下級生たちはこの経験を次につなげていく。(記事・野田堅真/白戸大貴、撮影・野田/木村未緒/白戸)