【準硬式野球】第70回全日本大学選手権大会 〜全日総集編〜 受け継がれる夢 受け継がれる意志 全日を振り返る
第70回全日本大学選手権大会
2018年8月20日(月)〜25日(土)
静岡県 浜松球場、浜北球場、天竜球場、菊川球場
中京大の12年ぶりの優勝で幕を閉じた今大会。法大は、その優勝した中京大に敗れベスト8で大会を後にした。4年生は、まだ秋のリーグ戦が残っているが事実上秋は、代替わりに向けて下級生の出場が増えるため今大会で引退になる選手も少なくない。鳴川率いる法大は最後に全日で何を残していったのか、ここではもう一度それを振り返っていく。
☆全日本選手権トーナメント表
☆全日本選手権 個人成績
打撃成績
選手名 | 出身校 | 打率 | 試合 | 打数 | 安打 | 二塁打 | 三塁打 | 本塁打 | 打点 | 四死球 | 盗塁 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
鳴川宗志(社4) | 鳴門 | .500 | 3 | 12 | 6 | 0 | 0 | 1 | 5 | 2 | 0 |
鎌田航平(社2) | 鳴門 | .500 | 3 | 8 | 4 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 2 |
佐々木勇哉(社3) | 花巻東 | .385 | 3 | 13 | 5 | 0 | 0 | 0 | 4 | 1 | 1 |
三品勇人(社4) | 報徳学園 | .250 | 3 | 8 | 2 | 1 | 0 | 0 | 0 | 2 | 0 |
大石智貴(経3) | 静岡 | .222 | 3 | 9 | 2 | 1 | 0 | 0 | 0 | 2 | 0 |
石橋優一郎(法4) | 徳島北 | .182 | 3 | 11 | 2 | 1 | 0 | 0 | 4 | 2 | 0 |
八木達也(社1) | 日大三 | .143 | 3 | 7 | 1 | 0 | 0 | 0 | 1 | 2 | 0 |
乘松幹太(現3) | 新田 | .125 | 3 | 8 | 1 | 0 | 0 | 0 | 2 | 2 | 0 |
堀皓貴(社3) | 鳴門 | .111 | 3 | 9 | 1 | 0 | 0 | 0 | 1 | 1 | 0 |
以下 規定打席数(9打席)未満 | |||||||||||
中川大輔(社2) | 日大三 | .000 | 2 | 3 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
三輪達也(社4) | 桐蔭学園 | .000 | 2 | 2 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
土倉徳(社3) | 遊学館 | .000 | 1 | 2 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
大石悠月(経2) | 静岡 | .000 | 1 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
岩本大河(スポ2) | 浜松西 | .000 | 1 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
岸祐介(スポ4) | 法政 | .000 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
藤江廣祐(社4) | 法政 | .000 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
江間大賀(スポ4) | 法政 | .000 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
投手成績
選手名 | 出身校 | 防御率 | 登板 | 勝利 | 敗戦 | 投球回数 | 被安打 | 奪三振 | 四死球 | 自責点 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
竹内悠 | 藤代 | 3.67 | 2 | 0 | 1 | 9 | 7 | 5 | 5 | 3 |
尾崎海晴 | 鳴門 | 7.45 | 2 | 0 | 0 | 8 2/3 | 13 | 4 | 4 | 8 |
西村勇輝 | 日本文理 | 0.00 | 1 | 1 | 0 | 5 | 1 | 2 | 0 | 0 |
石橋錬 | 遊学館 | 0.00 | 1 | 1 | 0 | 1/3 | 0 | 0 | 0 | 0 |
阿部敏之 | 法政 | 0.00 | 1 | 0 | 0 | 1 | 1 | 0 | 0 | 0 |
渡邊勇大 | 西武台千葉 | 9.00 | 1 | 0 | 0 | 1 | 1 | 0 | 0 | 1 |
大会ハイライト
1回戦 対大阪経済大 6×−5
1回戦の相手は関西の強豪、大阪経済大学。昨年の全日ではベスト4、さらに今年の春の近畿六大学リーグでは圧倒的強さで優勝するなど、かなりの苦戦が予想された。試合は、5回まで先発竹内の好投もあり0-0の白熱した投手戦を展開。6回に失策などで先制点を許したものの、その裏に満塁から石橋優の走者一掃となる適時二塁打などで4点を取って逆転し勝負あったかに見えた。しかし最終回、竹内の後を受け継いだ尾崎が四球などで2点差を追い付かれ同点。さらには適時打を浴び逆転されてしまう。終わったかに思われた。だが、その裏2死一塁という状況から粘りに粘ってつなぎ、押し出しで同点。そして、最後は途中出場の鎌田によるサヨナラ右前適時打で初戦突破を果たした。
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劇的なサヨナラ勝利となった初戦
2回戦 対北星学園大 12-1
2回戦の相手は、北海道地区から出場した北星学園大学。法大は、1回戦でのサヨナラ勝利の勢いそのまま2回に5点を先制すると、その次の回にも鳴川がライトスタンドに飛び込む右越え3点適時本塁打など6点を追加。序盤から試合の主導権を握る。また先発の1年生西村は、直球と変化球を巧みに使った落ち着いた投球で相手打者に的を絞らせない。5回を被安打1でリリーフ投手にマウンドを譲った。結局、3回までに大量12得点と勝利を確実にし終盤はレギュラーメンバーを温存。7回コールドの圧勝で3年ぶりの準々決勝進出を決めた。
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2回戦で本塁打を放つなど活躍した鳴川
準々決勝 対中京大 7-0
準々決勝は、東海地区から勝ち上がってきた中京大学。同大学は、昨年の全国高校軟式野球選手権を制した中京学院大中京(2016年まで中京)出身の選手や甲子園の常連校である中京大中京出身の選手が多数在籍するなど、名実ともにかなり強敵だと言えた。法大は、中1日でエース竹内が先発。しかし、相手の強打に屈し序盤で2点を失うと3回から尾崎にスイッチ。それでも流れは止められず12安打を浴び7失点で完全に投手陣が崩壊した。一方、味方打線も相手投手陣の前に、走者を三塁にすら進めることができず散発3安打。最後は、4番石橋優が一ゴロに倒れ全日を準々決勝敗退という形で大会を後にする事になった。また中京大学は、この後も実力を発揮し12年ぶりの全日優勝で日本一を奪還した。
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最後にスタンドへの一礼で全日を終えた
Pick Up
〜大会総括〜 来年は必ず、鳴川率いる4年生が残した経験と悔しさ
近いようで遠かった。4番石橋優一郎(法4)が一ゴロに倒れたと同時に法大ナインの夏が終わりを告げた。法大は、1,2回戦をサヨナラとコールド勝ちで勢いそのまま迎えた準々決勝、中京大戦。ところが、先発のエース竹内悠(社4)がピリッとしない。序盤から2失点で、まさかの2回で降板。続く尾崎も強力中京大打線の前に5失点と法大自慢の2枚看板が完璧に打ち込まれてしまった。一方、これまで好調だった打線も相手先発、村松廉太の前に放った安打は2本。投打ともに全く歯が立たなかった。試合後、本間隆洋監督は「完敗ですね」と圧倒的な相手の実力に白旗を揚げた。
それでも堂々のベスト8に確かな成長の跡がある。「消化不良だった」。今大会直前に毎年新潟の胎内で行われる強化合宿で思うような練習が積めなかったと話したのは本間監督。オープン戦でも、リーグ優勝したチームとは思えないほど負けを重ねた。また現地入りしてからも大会前とは思えないような緊張感のなさ。そして迎えた開会式。締まりのない入場行進が今の法大を表していた。これを見て開会式後、監督はナインに激怒。このままでは負けてしまう。主将の鳴川宗志(社4)は、主力の4年生を集めてミーティングを行なった。
激怒され迎えた大阪経済大との1回戦。9回表に2点差をひっくり返され1点ビハインドで迎えた9回裏2死一塁。絶体絶命だった。しかし、そこから驚異的な粘りで大逆転となるサヨナラ勝利。まさにミラクル。この試合前、法大に大きな『変化』があった。試合前のウォーミングアップ。リーグ戦では見られないほどに選手一人一人が大きな声を出し、集中力を高めていた。昨日のミーティングから4年生が先頭に立って、とにかく大きな声でチームの雰囲気を作り出していたのだ。「チームが一体となった」。サヨナラの場面を鳴川はそう振り返る。まさしく開会式までの重苦しい雰囲気を覆し、チームが一つになった勝利だった。
「お前ら変わったよな」。敗退後、全日最後のミーティングで本間監督は選手たちにそう述べた。ベスト8に終わった今大会。しかし、あの1回戦での『変化』がなければここまで勝ち上がる事がなかったのは間違いない。振り返れば最弱世代と謳われ、リーグ優勝すら難しいと言われる時期もあった。それでも試合ごとに成長を見せ、日本一にあと3勝。手の届きそうな位置までたどり着いた。しかし、最後に見せつけられた全国の壁。「まだまだ実力不足」と監督が語ったように、あらゆる面で相手よりも劣っていた。
ひと夏の終わりは、ひと夏の始まり。一週間後に迫った秋季リーグに向けて監督は『個々人のレベルアップ』と『大会中に見せた試合前の雰囲気作りの継続』を誓った。そして最後のリーグ戦となる4年生には「後輩のために財産を残してくれ」と来年の日本一奪還へ向け、リーグ戦での戦い方を試合内外で指導するように願い出た。悔しい幕切れとなった全日。だが、リーグ戦の優勝、1回戦の勝利がなければこの悔しさは味わえなかった。鳴川率いる4年生が残した経験は大きい。あと3つ。まだまだ限りなく高い壁かもしれない。それでも多摩の地で力を蓄え、今度はあの舞台で優勝旗をつかみ取った選手たちを見られるはずだ。
(記事:具志保志人)
フォトギャラリー
- スポーツ法政号外「オワリはじまり号」
- 劇的なサヨナラ打は、今大会1番の名場面
- 綺麗な放物線を描いた鳴川の本塁打
- 今大会味わった悔しさを物語る1枚
- ベンチは鎌田のサヨナラ打で喜びが爆発
- シリーズ男でチーム内首位打者となった鎌田
- 尾崎は、この悔しさをバネに来年は胴上げ投手になっている事を期待したい
- エース竹内は無念の降板もあったが、秋リーグでも投手陣の手本となってくれるはずだ