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【陸上競技】400mH・黒川和樹選手【東京オリンピック事後インタビュー】

2021年8月22日(日)

7月23日から8月8日にかけて行われた東京オリンピック。法政大学陸上競技部からは黒川和樹選手が出場した。今回は、事後インタビューをお届けする。
(インタービューはオンラインで行いました)

黒川和樹

ーはじめに、東京オリンピックを振り返っていかがですか
オリンピックの感想としては、このような状況下で走ることができたので、それに対する感謝が大きいです。競技成績に関しては、悔しいですし、もう少し自分の力を発揮できたかなと思います。

ー陸上競技を始めてから、オリンピックにあこがれを抱き始めたのはいつですか
最近までは、目標にすらしていませんでした。高校生の時はインターハイで入賞した経験があるのですが、海外選手と走ることへのあこがれはありましたが、具体的なイメージはなかったです。大学入学後に意識し始めたという感じです。

ーオリンピックを意識するきっかけとなった大会などは
昨年の日本インカレの際に、49秒19で2位でした。このタイムは、東京オリンピックの標準記録まであと約0.3秒だったので、もしかしたらいけるかなと思い、冬季練習ではオリンピックを意識して練習しました。

ーREADY STEADY TOKYO(東京2020テストイベント)では48秒68というタイムでした
冬季練習では、今の僕のレーススタイルである前半型というのを一つ意識していました。それがうまく結びついたのかなと思います。

ー日本選手権の優勝については
日本選手権では、東京オリンピックの標準タイムを突破していたということと、ランキングも1位だったので、プレッシャーもありました。そのような中でも、ほとんど自己ベストに近いタイムで走ることができたのは自信につながりました。

ー大学2年生でオリンピック出場ということに関してはいかがですか
正直、東京オリンピックに出場できるとは思っていませんでした。パリオリンピックに出られればいいな、と思っていました。

ーパリオリンピックを目指していたということでしたが、東京オリンピックに出場できるまでに急成長した要因は
一番は、法政大学に入ったことじゃないかなと思います。法政大学に入って、いい練習環境の中で、いい選手と一緒に練習することで、自分は伸びていったかなと思います。

ー高校時代の練習と異なる部分は
高校時代は基礎練習がメインでした。また、トラックも土のトラックだったので、練習の土トラックと本番のタータンのトラックで、動きがかみ合わないと感じることがありました。今は高い競技力の選手たちとタータンで練習できているので、試合を想定した練習ができているので、その点が結びついているかなと思います。

ー東京オリンピックに出場するということに関して、周囲の反応は
高校の同級生からは、「あの黒川がオリンピックか」という感じでしたね。法大の部員からは、一緒に成長してきたということもあり、「お前ならいけるよ」や「おめでとう」と言ってもらいました。

ーここからは、オリンピックのレースについてお伺いしたいと思います。まず、オリンピックでの目標は
準決勝で日本記録の47秒89を更新して、決勝に進むというのが目標でした。

ー当日のコンディションはいかがでしたか
身体のコンディションはかなり良かったのですが、動きにいまいちキレがありませんでした。アップの時から、「キレがないな」とは感じていたのですが、それがオリンピックのレースにつながってしまったのかなとは思いました。

ープレッシャー等については
プレッシャーはかなりありました。東京オリンピックは、僕にとって初めての国際大会だったので、そこについてもプレッシャーを感じていました。

ー緊張や前日の睡眠などについてはいかがでしたか
東京オリンピックは、日本選手権ほどは緊張していなくて、むしろリラックスしている感覚もありました。動きがうまくかみ合わなかったという感じでしたね。

ーレース前に苅部監督とお話したことは
僕としては、レース前の地点で動きにキレがないなとは感じていたのですが、苅部監督からは「動けているから大丈夫」というように声をかけていただきました。それについては自信になっていたのですが、本番ではあまり動かなかった、と感じています。

ー予選のレースプランは
周りの選手は、47秒台や48秒前半のタイムを持っている選手が多くいました。周囲はあまり気にしないようにして、4着以内で準決勝に行けるかなと思っていたのですが、インターバルの13歩でうまく走ることができず、周りに置いて行かれてしまいました。

ースタートラインに立った時の気持ちは
不安が大きかったです。ただ、東京オリンピックに出場させていただけることを誇りに思って、走ろうと思っていました。

ー予選2組を走った早大の山内大夢選手が準決勝進出を決めました。山内選手の走りを見て、刺激になった部分はありますか
山内さんは、49秒21で予選を通過していました。スタート前も山内さんと目が合って、「(準決勝)行けるよ!」みたいな感じで言われたのですが、行けなかったです。

ー無観客開催についてはいかがでしたか
開催していただいたこと自体に感謝しなければいけないと思っています。観客がいてもいなくても、やるべきことは走るということだけなので、そこについては、特に何も感じなかったです。

ーオリンピックスタジアムの感触はいかがですか
走りやすいと感じています。自己ベストもオリンピックスタジアムで出たので、相性はいいなと感じています。

ー法政の400mHの新エースという肩書を担っていると思うのですが、そこについてはいかがですか
歴代の為末大さんや苅部俊二監督からハードルの法政は続いてきているので、しっかりとその波に乗れるようにしたいです。また、大先輩である為末さんの日本記録を更新するのが目標です。

ー日本記録更新のために必要なことや重要なことは、どのようなことだとお考えですか
レースの前半は為末さんと同じくらいで走れているのですが、その分、後半の失速が1秒近くあります。そこをどれだけ埋められるかが課題になると思います。

ーここからは、競技以外のことについてお伺いしたいのですが、選手村でのエピソードなどはありますか
選手村のメインダイニングには、世界各国の料理があって、それらは全部おいしかったですね。カジュアルダイニングのほうに日本食がありました。他国開催のオリンピックだと、味噌汁等が飲めないといったこともあると思うのですが、カジュアルダイニングのほうでは日本食を食べることができて、安心するなという感じはありました。

ーどこの国の料理が一番印象に残っていますか
初めて羊の肉を食べたのですが、癖があって、印象に残っています。

ー選手村に関して、設備などで驚いたことはありますか
基本的に何でもあって、銀行もコンビニもウエイト場もあって、設備は完璧でした。感染症対策も十分にされていて、すごいなと感じました。

ー選手村で仲良くなった選手はいらっしゃいますか
このような状況だったので、交流等はあまりすることができませんでした。僕も予選の次の日にすぐ帰ったので、ほかの選手と話したりすることはあまりなかったです。

ー法大出身の金井大旺選手もオリンピックに出場されていました
金井選手は今年で引退されるので、頑張ってほしいなと思っていました。また、法政の関係者ということで、一緒に練習させていただく機会などもあり、安心感のようなものもありました。

ーパリオリンピックについては
パリオリンピックは3年後ですが、今の記録では全然通用しませんし、今の世界の400mHの標準がかなり上がってきていることもあり、日本記録でも決勝に残れない可能性もあります。タイムとしては、最低でも47秒5くらいは出しておきたいと思っています。

ーメダルなどに関しては
今回のオリンピックでは、400mHの世界記録が更新されて、メダルを獲得した選手が全員世界記録の上位3人という形になりました。次元が違うなとは思うのですが、コンディションやこれから強くなることを考えれば、自分も食い込めるのかなと思います。

ーオリンピック終了後からの気持ちの変化は
オリンピックが終わってからは、もう終わったことなので、気持ちをしっかり切り替えて、日本インカレがあと1か月ほどで始まるので、そこに向けてしっかり調整していければと思っています。

ー現在重きを置いている練習などは
オリンピックに調整していた分、筋力や走力が落ちてきているので、そのへんをもう一度上げていって、さらにパワーアップした形で日本インカレに臨めればと思っています。

ーファンに向けての言葉はありますか
応援してくださっている方々、ファンの方々、支えてくださる両親や監督にはいつも本当にお世話になっています。ありがとうございますと伝えたいです。

(取材:大井涼平・根本成)


黒川は次なる目標を語ってくれた

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