• HOME
  • 記事
  • フィギュア
  • 【フィギュアスケート】インタビュー全文公開!全日本フィギュア・渡辺倫果が7位「信念やプライドを掲げてやってきた」

【フィギュアスケート】インタビュー全文公開!全日本フィギュア・渡辺倫果が7位「信念やプライドを掲げてやってきた」

全日本フィギュアスケート選手権2025
2025年12月19日(金)~21日(日)
@国立代々木第一体育館

2026年2月に開幕するミラノ・コルティナ五輪をかけた熱い戦いが、国立代々木第一体育館で行われた。19日の大会初日には男女ショートプログラム(SP)が行われ、渡辺倫果が3A(トリプルアクセル)を決め、SP6位。3日目である21日にフリースケーティング(FS)に挑戦。スケート人生20年をかけた渡辺らしい”力強い迫真の演技”には会場からはスタンディングオベーションが巻き起こり、総合7位を獲得した。

試合結果

選手名(学部・学年) 総合順位・得点 SP順位・得点 FS順位・得点
女子 渡辺倫果 7位・211.52 6位・71.36  5位・140.16

戦評

渡辺倫果

「フリーで20年間のすべてを出し切れるように覚悟を持ってやりたい」SP直後には渡辺の決意を感じる言葉が放たれた。彼女は、今シーズン世界でたった一人のSPとFSで合わせて計3本の3Aを入れる構成に挑戦した。演技そして取材からも垣間見えたスケート人生20年をかけた戦い。彼女の中での覚悟をみせたFSだった。

2本のトリプルアクセルを着氷した渡辺

そんな彼女がFSに選んだ曲は『JINー仁ー』冒頭3A-3Tの大技コンビネーションジャンプに見事着氷し、2本目の3A。高さ・スピード・着氷の流れがきれいに揃い、1.94と高い出来栄え点(GOE)を獲得した。SPと合わせての3本の着氷に会場からは拍手喝采。後半には回転不足と判定されるジャンプもあったが、表情や動きが崩れることはなく、3Aを2本組み込む高難易度の構成と、持ち味である表現力を存分に発揮し、まさに渡辺倫果らしい力強い『JINー仁ー』を魅せた。

SP・FSともに全てのジャンプの着氷に成功させ、会場からはスタンディングオベーション
涙があふれ出し崩れ込む渡辺

ミラノ・コルティナオリンピックの選考がかかった今大会。彼女は代表入りを目指し、この20年をかけてきた。五輪選考対象のグランプリシリーズでは中国大会を2位、スケートアメリカでは3位と表彰台。自身2度目となるグランプリファイナルへの進出を決め、着実に五輪への道を歩んできた。彼女の心に決めた思いが、今シーズンで3Aを3本という形で、自分のものにしたのだった。来年の五輪への出場には届かなかったものの、夢に溢れる彼女のスケート人生には目が離せない。

 


インタビュー

ーー今の率直なお気持ちは
今はすごく複雑な気持ちでいっぱいです。実を言うと、今シーズンで引退を考えていたのですが、まだまだやれということなのかもしれないです。一旦考えて、来シーズンやるのであれば、もうあと4年はやりたいという思いはありますので、オリンピックに向けて、また自分の夢が叶う日まで、信念を貫き通していければいいのかなと考えています。

ーーどのような気持ちで今日を迎えたか
この 20年間のスケート人生の中でも、本当にすごく頑張ってきたと思います。それこそ引退も考えていたということもあって、信念やプライドを掲げてやってきた今大会でした。自分の納得のいく演技はできたとは思うんですけれども、ただそれにまだ点数がついてきていないので、少し複雑な気持ちではありますが、また気持ちを整理して考えていきたいと思います。

ーー試合前、中庭先生にはどのような言葉を
今日、ホテルを出るときに母親から「4分間で後悔はしてほしくない。だから最高の4分間を見せてきてほしい」と言われたので、それと同じことを、「最高の4分間を見せてきます」と中庭先生には伝えました。

ーー2本の3Aについて
特に2本目のアクセルはすごく良かったと思いますし、本当に自分のプライドを賭けたこのフリープログラムでしっかりやることができたので、その点については良かったかなと思います。

ーープライドは本当に見せられた演技だったのでは
達成感はありますし、何よりこうして沢山のバナーや応援してくださる皆様の心に残った演技ができたなと確信しておりますので、そういったところで、まだまだやるべきなのかなと考えてはいます。一旦周りの方々にお話をして、どうしていくかは今後決めていこうかなと思います。

ーーこれだけ気持ちが揺れ動く中で、五輪への思いは
20年前にトリノ五輪をテレビで観て、この大会がすごい大会なんだということを教えていただきました。同じ大会に出たいという想いを込めて、3歳の頃の私の夢を追いかけて、早20年ではあるんですけれども。20年間良い意味でも悪い意味でも、犠牲にしてきた20年だったと思いますし、私の人生というのはスケートとともにあるものだと思っていますので、夢を叶えるまでは終われないなという思いがあります。

(撮影・戦評:田中望恵、取材:髙瀬真帆)

関連記事一覧