【硬式野球】東京六大学野球秋季リーグ戦 東大戦展望
絶対に負けられない戦いがそこにはある――いよいよ最終カードとなる東大戦を迎えた。東大はここまで公式戦84連敗中の相手。ただ、今季の法大は1勝8敗と苦渋をなめている現状だ。そして互いに“勝ち点0”。最後の最後に意地と意地がぶつかり合う――両校の4年生にとってはこのカードで引退となる。それだけに何としても有終の美を飾りたいところだ。
展望
法大の初戦は石田健大(営4)が先発マウンドへ上がるだろう。先日のドラフト会議で横浜DeNAベイスターズに2位指名された左腕は、プロ入り前の最後となる試合でその実力を遺憾なく発揮する。2回戦の先発は中継ぎで調子を取り戻しつつある玉熊将一(法2)か。もしくは明大2回戦で先発を務めた鈴木貴也(人4)の可能性も考えられる。指揮官の投手起用にも注目だ。
一方、東大の投手陣は下級生の台頭が目立つ。今季頭角を現した吉川慶太郎は一時リーグ1位の防御率をマークした好右腕。現在でこそ防御率3.72だが、初戦での対戦が予想され、その攻略が勝負を分けそうだ。つづく2回戦の先発は1年生左腕の宮台康平か。規定投球回には達していないが、防御率2.53を記録している新進気鋭のルーキーだ。持ち前の制球力を武器に法大打線に襲いかかってくるだろう。中継ぎには経験豊富な辰亥由崇、白砂謙介、関正嗣などが控えており、小刻みな継投に対処していきたい。
また、今季の東大は打力が際立っている印象だ。チーム本塁打は4本、チーム打率.206とここ数年では一番の打力だろう。中でも3番を担う笠原琢志はリーグ9位の打率.313で警戒が必要だ。4盗塁を記録する瞬足を併せ持ち、出塁を許すと失点の可能性が高い。ただ警戒するのは笠原だけではない。中軸のバットもかなり振れている。4番の有井祐人は今季2本塁打を記録する長打力の持ち主。ここまでチーム一の6打点を挙げる活躍で、東大の得点源となっている。つづく山本克志も明大1回戦で柳投手から本塁打を放つなど、パンチ力を秘めた打者だ。無駄な失点を防ぐためには、上位打線の喜入友浩や飯田裕太の出塁をしっかり断ち切ることがまず大事だ。
対する法大打線はチーム本塁打が3本、チーム打率.188と東大を下回っているのが現状だ。しかし、明大3回戦で本塁打を含む3安打を放った畔上翔(キャ3)は復調の兆しを見せており、打のキーマンとして期待が懸かる。東大戦でも4番が予想され、その一振りに注目だ。気がかりなのは4年生野手陣。中でも主将の安慶名舜(経4)は打率.077、副将の伊藤諒介(キャ4)は.214と決して満足のいく数字ではない。引退となる最終カードで後輩たちへ最後の勇姿を見せ、有終の美を飾ってほしいところだ。(川添岳)
東大の注目選手
投手(今季登板した選手)
試合 | 勝利 | 敗戦 | 投球回 | 安打 | 四死球 | 三振 | 自責点 | 防御率 | |
吉川 | 6 | 0 | 2 | 19 1/3 | 23 | 8 | 12 | 8 | 3.72 |
宮台 | 5 | 0 | 1 | 10 2/3 | 10 | 3 | 8 | 3 | 2.53 |
三木 | 3 | 0 | 0 | 6 2/3 | 7 | 4 | 5 | 3 | 4.05 |
辰亥 | 4 | 0 | 1 | 6 2/3 | 6 | 8 | 0 | 3 | 4.05 |
山本俊 | 3 | 0 | 0 | 10 1/3 | 10 | 11 | 5 | 8 | 6.97 |
白砂 | 3 | 0 | 2 | 8 1/3 | 9 | 12 | 4 | 7 | 7.56 |
関 | 3 | 0 | 1 | 4 1/3 | 6 | 7 | 2 | 6 | 12.46 |
石上 | 2 | 0 | 1 | 1 2/3 | 3 | 4 | 3 | 5 | 27.00 |
野手(規定打席到達者)
試合 | 打数 | 安打 | 本塁打 | 打点 | 盗塁 | 犠打 | 打率 | |
笠原 | 8 | 32 | 10 | 0 | 2 | 4 | 0 | .313 |
山本克 | 8 | 31 | 9 | 1 | 4 | 0 | 0 | .290 |
喜入 | 8 | 30 | 7 | 1 | 2 | 0 | 1 | .233 |
有井 | 8 | 31 | 4 | 2 | 6 | 1 | 0 | .129 |
山田 | 8 | 23 | 2 | 0 | 1 | 0 | 1 | .087 |
フォトギャラリー
- 東大の3年生右腕・辰亥
- 中継ぎでの登板が予想される白砂
- チーム一の打率.313を記録している笠原
- 中軸を担う打率.290の山本克