【フェンシング】全日本学生選手権大会5日目 女子サーブル常勝軍団へ、2大会連続V!男子エペは劇的勝利で決勝進出も王者に届かず
全日本学生フェンシング選手権大会
2014年11月12日(水)~16日(日)
大山崎町体育館
ついに最終日を迎える全日本学生選手権大会(以下インカレ)は、男子エペと女子サーブルが登場。先日の関東学生選手権大会(以下関カレ)で慶大に敗れベスト4に終わった男子エペは、この日の準決勝で慶大と再戦が実現し、激戦を繰り広げる。そして、関カレの団体戦で優勝を果たし、インカレの個人戦では1位2位を独占して最も勢いに乗る女子サーブルも、熱い戦いを展開していく。
種目 | 出場選手 | 試合詳細 | 成績 |
---|---|---|---|
女子サーブル | 木村毬乃(法4)栗本ひかる(社3)福島史帆実(法1) |
決勝○45-42中京大 準決勝○45-36専大 2回戦○45-43東女体大 |
優勝 |
男子エペ | 吉沢有紀(文4)藤倉陸(社3)村越優希(文3)中村豪(人1) | 決勝●31-45日大 準決勝○43-42慶大 準々決勝○45-29近大 1回戦○45-38同大 | 準優勝 |
戦評
女子サーブル
楽な試合は1試合もなかった。それでも「誰かが失敗しても誰かが取ってくれる」(福島)と言うように各選手がフォローし、試合を組み立てていった。まさに実力にチーム力を携えた充実の戦力でインカレ制覇となった。次に目指すは全日本。木村は「ベストパフォーマンスを出せれば優勝できる」と自信をのぞかせた。2年前、全日本の舞台で史上初の3位入賞。このときの快進撃をもう一度、いやこれを超える最高の結果を目指し、女子サーブルチームの大躍進が見たい。(芳野史征)
男子エペ 準決勝で緊迫の一本勝負へ
藤倉がベスト4に進出したものの、他選手は悔しい結果となった個人戦。団体戦では今季、日大がリーグ、王座、関カレを全て制しており、独壇場となってしまっている。このインカレでは、法大が一矢報いたいところだ。
1回戦の同大戦。中盤までリードを許し、初戦から苦戦を強いられる。しかし4年生の吉沢の活躍で、逆転に成功し、辛くも1回戦を突破する。
準々決勝は近大との対戦。第3セットの藤倉の連取などで、序盤からリードを奪う。初めてのインカレを戦う中村も臆することなくプレーし、45-29と快勝。関西勢に連勝して準決勝に進んだ。
準決勝は慶大との対戦。関カレの準決勝では接戦の末、法大を破り、決勝でも日大と激闘を演じた実力を持つチームだ。第1セットで吉沢が5-3と先行するも、1年生の中村が苦しみ、第4セットを終えて、14-16とビハインドで中盤へ。第5セット、吉沢が積極性を見せる。相手の剣を恐れることなく攻め、22-21と逆転に成功。その後も藤倉、中村が連続失点を許さず、何とか僅差のリードを維持していく。すると第8セットに藤倉が均衡を破る。5連取を奪って、36-31と流れを法大に引き寄せ、アンカーの吉沢に勝負を託す。しかし最終セット、5点を追う慶大による、死にものぐるいのアタックを受ける。まさかの6連続ポイントを奪われ、逆転を許してしまう。ここからは時間にも追われる戦い。39-40から二度の同時突きで、41-42と場内は徐々に熱気を帯びていく。このままタイムアップとなれば法大の敗戦。そんな焦りも生じる場面、吉沢は単独で42点目を奪い、土壇場で再び同点に追いついた。ここで、持ち時間の3分が経過。試合は一本勝負に持ち込まれる。ベンチメンバーは吉沢を信じることしかできない、しかしそんな後輩たちにはキャプテンの背中は大きく見えたはずだ。吉沢はその期待に見事に応え、勝利を意味する一本を奪った。キャプテンの大仕事が法大を決勝に導いた。
決勝の相手はここまで順当に勝ち進んできた日大。今季4度目の栄冠を狙う相手の足元をすくうことはできるか。第1セット、吉沢が日大・山田に対し5-4でリードして終える。しかし、ここからは苦しい展開。第3セットで藤倉は日大・成田を相手に、1ポイントも奪えぬまま、5連取を許し、8-15のビハインドに。中盤に入ってもリードを縮めることができない法大。すると第7セット、中村が再び成田に5連続ポイントを奪われ、23-35と優勝は大きく遠のく。続く藤倉、吉沢も粘りも届かず敗れ、悲願のインカレ制覇はならなかった。
やはり強かった日大、決勝では王者の実力を味わう結果となった。それでも準決勝では、一本勝負を制し、見せつけた法大の意地。その場面を戦った吉沢は、これが最後のインカレとなった。今季、タイトルを獲得することはできなかった男子エペ。しかし、ここまでチームを引っ張り、幾度もキャプテンらしいプレーを見せてくれた。そんな先輩の無念を晴らすのは来季、最上級生となる藤倉、村越の2人、そして1年生ながらレギュラーとして出場し続けた中村だ。試合後、「自分がこれからもっと強くならなければ」と中村は決意を口にした。来季こそ日大を倒し、頂点に立つ。(高津勇佑)
選手のコメント
木村毬乃×栗本ひかる×福島史帆実
―優勝おめでとうございます。今のお気持ちいかがですか
木村:嬉しいです。
栗本:嬉しいです。
福島:嬉しいです。
3人:笑
―関カレからの2冠となりました
木村:あまり実感はないですけど、関カレ、インカレを取れたのは初めてのことだったので、目標でしたし学生の中では関カレ、インカレを取れるようにみんなで練習してきたのでそれが叶って本当に嬉しかったです。
栗本:2冠は初めてのことで、団体取れてよかったです。
福島:自分は個人戦出ていないので、団体では結果を残したいと思って頑張りました。
―インカレでの法大女子サーブル制覇は何十年ぶりか史上初のことになりましたが
木村:2回目です。初代以来の何十年ぶりの快挙なので、その快挙がこの3人で達成できて、今までサーブル専門が3人揃ったことなくて、その中で結果が出せて嬉しかったです。(福島を見ながら)最後回りを初めて、インカレで任せたんですけどやりきってくれたので、頑張ってくれました。
―死闘となった決勝戦を振り返って
木村:あの回りはよかったと思いますし、最後(3点差から登場し1点差に)必ず追いついて回したかったですけど、それができなかったのは悔しかったですけど、そこから相手の雰囲気が乱れたみたいなので、少しは流れを変えられたと思って、そこからいい流れでポンポン点が取れて、点差も離れてくれましたし、(福島)史帆実も5本締めてくれたので、いい流れで優勝を決められたと思います。
栗本:ちょっと途中(第6セット)で11点くらい取られてしまって、一気に逆転されてしまって、そのあとの最後回り「きっちり取ろう」という思いで福島に回せるように40本目まで必死に頑張りました。
福島:自分は最後回りだったんですけど、プレッシャーも感じず、普通に試合ができたのでよかったと思います。最後はちょっとピヨりました(笑)。
2人:笑
福島:一本ほしさに焦りましたね。
木村:その中でも実力は出し切ってくれたと思うのでいい試合だったと思います。
―福島選手は王手をかけてから5連続でポイントを失いましたがその時の心境は
いや、でも自分もう44点取っていたので、まくられててもそこまでは焦らなかったです。あと1点ならなんとかなるだろうって思っていました。「どっか突くだろう」と(笑)。
―その最後の時、お二人はどんな気持ちで見守っていましたか
木村:44になった瞬間に、自分もあと点差なら「どっか突いてくる」「1点は突いてくる」っていう気持ちで見ていたので、何でもいいからコントル(アタック)でもいいから、変なのでもいいので突いてくれるのは知っていたので、こっちで祈るだけでした。応援していました。突いてくるとは思っていたので負ける気はしなかったです。みんなその気持ちで最後回りはしていたと思うので、それが伝わってよかったです。
―木村選手は3回りの一番手として、逆転された直後にピストにあがりましたが
もう点差があるのも分かっていましたし、相手に行くしかないと思っていました。ここで自分がなるべく縮めることによって、あとの2人(栗本、福島)が楽に試合ができると思って、追いかける展開じゃなくてイーブンで回したかったけど、最後一本自分勝負しに行って、叩きにいこうと思ったんですけど、そこは相手のシングルだったので。でも自分が攻めたことによって、この2人もやる気があがったと思いますし、結果的に点差が縮まってよかったです。
―そのあとを継いだ栗本選手は2回り目での挽回を込めてでしたがどのような心境でしたか
本当に2回り目を挽回する気持ちとともに、先輩が1本差までつけてきてくれたので、そこから取って、次に回さないといけない気持ちで頑張りました。
―福島選手は準決勝、決勝と連続で最後回りを務めましたが
普通に試合ができました。あまり周りのこととか気にしなかったですね。最後の中京大の試合は(栗本)ひかる先輩が点差を開いて自分に回してくれたので、これはいけると思って、ありがたかったです。
―今回のサーブルチームでよかったところを教えてください
福島:誰かが失敗しても誰かが取ってくれる、という感じですね。ちょっとくらいまくられても焦らないですね。
2人:そうそう、そんな感じですね。
―常に明るい雰囲気で試合をしていた印象でしたが
木村:私生活からこの3人で練習が多いし、各々のこと分かっていると思うので、そういうところで楽しんでやればいけるとそれぞれが分かっていたので、だからこそ明るい雰囲気でできて、最後すごくいい雰囲気でできたので中京大戦に関してはとてもいい盛り上がりだったと思います。ベンチ、コーチ陣も盛り上げてくれて、本人もやりやすかったです。負けていても明るかったです。
―木村選手にとって最後の学生大会ということでやはり特別な意気込みで挑んだ大会だったのでしょうか
栗本:関カレも優勝していたので、この後インカレ、全日本も団体優勝するためにここ一つなんとか優勝しておきたい気持ちで臨みました。
福島:もうなにより優勝したかったです。
―木村選手は個人との2冠となりました
個人は取りにいくつもりで4年目の集大成なので、集中して、足も止まることも少なくて、ベストパフォーマンスが出せたと思います。団体も足も止まったりとか決めて入れなかったりとか多かったので、状態としては絶不調だったんですけど、2人がいる、っていう強さが自分の中ではあって、団体も優勝できると思っていました。その中でも何かできることを考えて、5本絶対取るようにしてきましたし、それで回したことが2人の結果につながったと思います。個人戦とはプレーが違ってしまうことがありましたけど、団体戦もベストプレーが出せてよかったです。全日本も続くのでラストこの3人で締めくくれるようまた調整して、新たな気持ちでやっていきたいと思います。
―全日本へ向けて意気込みお願いします
木村:全日本もみんな優勝する気なので、3人とも目指しているとことは全日本優勝です。簡単に言えることではないですし、相手も強いところたくさんあるので、ベストパフォーマンスを出していかないと勝負できない相手になっていくので、これをいかにあと2週間で修正していくか、でもベストパフォーマンス出せればいい勝負できる且つ優勝出来るメンバーだと思っているので、あと2週間ケガなく、ベストを出せるように調整していきたいと思います。
栗本:2年前、史上初の3位を取ったので、それを超える勢いでメンバーも揃っているので、全日本も優勝狙っていきたいと思います。
福島:全日本は学生だけじゃなくて、社会人とかの強豪が出てくるので、挑戦者の気持ちで自分の試合ができれば勝てると思うので頑張りたいです。
吉沢有紀
―最後のインカレを終えた今のお気持ちは
正直悔しかったですけど、個人戦が良くなくて(ベスト16)団体戦も不安だったんですけど、悔いの残らないようにはできたかなと思います。
―準決勝では関カレで敗れた慶大との対戦となりましたが
絶対に負けたくなかったのでリベンジできて良かったです。
―リードした状況で最終セットに入りましたが
最初点差がある時は、点数を取られないようにしようということばかり考えて、守りに入りすぎてしまいました。追い付かれて気持ちを切り替えることができましたが、最後もっと強気でいけたらなと思います。
―一本勝負を制した時は
本当に嬉しかったですし、ほっとした気持ちが強かったです。
―決勝では王者の日大との対戦でしたがどのような対策を
今まで何回も対戦してきたのでイメージはできていたんですけど、向こうの方がこの試合では上だったなと思います。
―改めて日大の強さはどんなところですか
ひとりひとりレベルが高くて誰がきても点が取れるスタイルだったので、そういう力があるのは強いなと思います。
―準優勝という結果について
関カレでは「やらかした」という感じだったので、できれば関カレも決勝にいって日大と対戦してインカレに臨みたかったです。
―1年生の中村選手が奮闘しましたが先輩から見ていかがでしたか
自分も1年生の時から試合に出させてもらっていて、4年になってあの時の経験が生きてきたので、そういった意味で将来に期待したいです。
―個人戦を振り返って
予選から正直、集中力がなかったかなと思います。トーナメントに入ってからは弱気になっていたかなと。全然普段通りの動きができませんでした。
―最後の団体戦となる全日本に向けて
優勝します。
中村豪
―今日のご自身のプレーを振り返って
1年生ながら出させてもらって、自分がやりたいことはやらせてもらいました。
―準優勝という結果について
先輩たちとこのメンバーで春からやってきて、優勝は一回もできていないので、優勝したかったんですけど。準決勝も決勝も、自分はスコアで見るとマイナスで、足を引っ張ってしまっているので、自分がこれからもっと強くならなければと思います。
―日大はやはり強かったですか
そうですね。今まで優勝を取られていたので、気持ちの面でも負けていて、それが相手の連取にもつながってしまったと思います。
―準決勝の吉沢選手の一本勝負をどのようにご覧になっていましたか
ただ吉沢先輩を信じて、ランプがつくのを待っていただけですね。
―初めてのインカレでしたが、どのような思いで臨まれましたか
関カレでは不甲斐なかったので、インカレでは見返してやろうという気持ちだったんですけど、やっぱり先輩たちには敵わないなというのを実感しました。
―吉沢選手は最後のインカレとなりますが、どんな先輩でしたか
ピンチの時でも逆転して勝ってきてくれる、自分の中では本当に頼りになる先輩です。
―1年間法大のフェンシング部で過ごしてみていかがでしたか
普段は良くわからないことをやっているなと思っても、やる時はしっかりやってくれる良い先輩たちばかりでした。
―今後の目標は
まずは日大を倒すことを考えて、練習していきたいです。
フォトギャラリー
- 個人と団体を制覇した木村
- 高い修正能力を見せた栗本
- インカレでは13年振りの頂点となった
- 準決勝で一本勝負を制した吉沢
- 何度もチームに流れを呼んだ藤倉
- 大きな期待を受ける中村
- 5日間のインカレは笑顔で幕を閉じた