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【フェンシング】全日本学生選手権大会4日目(2)男子サーブル 主将の活躍光り4冠の偉業達成!女子エペ 強敵に敗れベスト8

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【フェンシング】全日本学生選手権大会4日目(2)男子サーブル 主将の活躍光り4冠の偉業達成!女子エペ 強敵に敗れベスト8

全日本学生フェンシング選手権大会
2014年11月12日(水)~16日(日)
大山崎町体育館

全日本学生選手権大会(以下インカレ)4日目は男女フルーレに続いて、男子サーブルと女子エペの団体戦も行われた。最大の期待は、今年の学生タイトルを総なめしているサーブル陣の優勝だ。このインカレで頂点に立ち4冠を達成すると、2010年以来4年振りの快挙となる。最後まで王者の座を守り抜くため、選手は死闘を演じた。また、関東学生選手権大会(以下関カレ)で上位入賞を果たせず、悔しい思いをした女子エペの巻き返しはあったのか。

優勝後に胴上げされる吉田

試合結果

種目 出場選手 試合詳細 成績
男子サーブル 吉田健人(法4)丹代翔(国4)安藤光平(法3)大崎葵一(営2) 決勝○45-37日大 準決勝○45-35中大 準々決勝○45-17明大 2回戦○45-12関大 優勝
女子エペ 大石栞菜(法4)小林未来(文3)池田五月(文2)池田亜優(法1) 準々決勝●37-45日体大 1回戦○44-39関学大 ベスト8

戦評

男子サーブル これぞエース、吉田がチームをけん引し優勝!

 学生タイトル4冠を懸けた男子サーブルの戦いが幕を開ける。個人戦では主将の吉田健人(法4)が悲願の初優勝を飾り、同期の丹代翔(国4)も準優勝と好成績を残した。さらに関カレで個人戦2連覇の安藤光平(法3)を揃える布陣は優勝へ盤石だ。
 初戦の関大との試合は45-12と圧勝し、早々に準々決勝進出を決める。次の相手はリーグ戦で快勝している明大。この日も法大が終始ペースを握り、途中10連続得点を奪う力を発揮した。最終セットで吉田が相手エースの守屋に5連続失点を喫するも、大量リードを守り抜き45-17で勝利した。
 ベスト4が出そろい、ここからは実力伯仲の熱戦が予想された。中大との準決勝は吉田が先陣を切り、5-2と幸先良く流れを作る。つづく丹代と安藤も得点を重ね、6セット目までに30-23と一度も逆転を許さず試合を展開していく。しかし7セット目の丹代の場面で思い通りにポイントが決まらなくなってしまう。互いにアタックを試みるも同じタイミングで突き合い、無効のランプが繰り返される。緊迫した状況の中で、相手に4連続得点を浴びたがこのセットを締める5本目を苦戦しながら奪い、リードしたまま仲間につないだ。次の安藤も点を取り合う激しい勝負となり、一時、審判の判定に納得がいかず声を張り上げることもあったが冷静さを取り戻し、3連続得点で吉田に勝利を託す。この時点で40-31とし、勝負ありと思われたがこの準決勝、そう簡単には終わらなかった。スムーズに試合に入り最初の一本を決めるも、粘りを見せる中大が4連続得点で点差を縮める。相手に流れが傾いたが吉田は崩れなかった。遠かったこのセット2点目を奪うと、そこからは息を吹き返しアタックが冴えわたる。前進しながらの攻撃が功を奏し、見事決勝進出を決める45点目をつかみ取った。
 決勝の相手は、専大との準決勝で快勝し勢いに乗る日大。春のリーグ戦と王座決定戦では大差で勝利したものの、関カレでは接戦で制しただけに、このインカレも厳しい戦いが待っていた。勝負の鍵を握る1セット目には安定感抜群の安藤が上がる。序盤から流れを作りたいところだったが、攻撃のミスで先制を許すと「そこから焦ってしまった」と安藤は得点を奪えず予想もしていない0-5と苦しいスタートとなった。重苦しい雰囲気となり、早くも正念場を迎えたが吉田がチームを救う。欲しかった1点目を早々にスコアに刻むと、そこから連続得点で3-6と巻き返す。法大ベンチに活気が生まれ吉田を後押しすると、さらに5連続の猛攻で逆転に成功。「自分の良さをすべて出せた」という頼もしいエースは10-7でバトンを渡す。このセットだけで換算するとプラス8点を叩きだし、これ以上ない結果となった。次の丹代が15-13とリードを守ると、最初のセットで振るわなかった安藤が、先ほどの悔しさを晴らすかのような4連続得点で落ち着きを取り戻す。点差を5点に広げたが、直後に丹代が相手の激しい攻撃を受け同点に追いつかれると、そのまま逆転を許してしまう。それでも25-24と勝ち越した状況に戻すと、6セット目の吉田が圧巻の5連続ポイント。日大の選手に全く仕事をさせず、再び法大に流れをたぐり寄せる。
 その後、丹代―安藤とつなぎ40-35で最終セットを迎えると、この試合いかんなくエースの力を発揮している吉田がピストに立つ。先に点数を取られるも、仲間に目を向けうなずく。「冷静だった」と語るように焦る様子もなく、即座に切り替えて次の攻撃で華麗にアタックを決めた。そこから順調に得点を重ね、ついにマッチポイントまでたどり着くと、最後は攻めてくる相手を素早くかわし吉田に軍配。インカレ優勝、そして本気で挑んだ4冠の夢を知らせる45点目のランプが点灯し、選手は喜びを爆発させた。吉田が仲間に歩み寄ると、一瞬で歓喜の輪が作られた。1セット目で苦戦した安藤の目に浮かんだ涙が、この試合の苦しさをものがたり、また他の大会に比べ格別な優勝であることを表していた。
 試合後、丹代と安藤は「やっぱりすごい」「さすが健人先輩」と吉田を称えた。主将としてこの一年間チームをけん引し、4冠のプレッシャーもある中で完璧なプレーを披露した吉田は「学生の大会で悔いはない」と充実の表情を見せた。これから待ち受ける全日本団体では4冠の自信を胸に臨めるだろう。NEXUS、警視庁といった社会人の強豪チームにも臆することなく勝負へ挑み、5冠目を手にしてもらいたい。(宮城風子)

女子エペ 終盤に失速し準々決勝敗退

 関カレこそベスト8止まりに終わった女子エペであるが、戦力は充実している。インカレ個人戦で準優勝となった池田五月(文2)、ベスト4の大石栞菜(法4)を擁し、上位進出を目指した。
 初戦は関西学大との対戦。トップを務めた池田五が2点リードのまま、大石栞にバトンを渡すと、大石栞の攻勢で105と序盤、いい流れで試合を組み立てていく。しかしその後はリズムを崩される。池田亜優(法1)は相手に4つのシングルランプを灯され、差を縮められると、池田五で同点とされ、さらに再び池田亜がピストにあがるが逆転を許してしまう。そのまま1点ビハインドの緊迫した展開で3回り目、まず池田亜があがる。ここまでは自分らしいプレーが見せられなかったが、ここでは巧みな剣さばきを見せ、5連続でポイントを奪い逆転に成功。その後、追いつかれるも最後回りの大石栞が怒とうの攻めを見せた。6連続ポイントで突き離し、1点奪われた後はまたも6連続で奪い、一気に勝負を決めた。
 ベスト8入りを果たすと準々決勝では日体大と激突した。この試合からは攻撃力が光る小林未来(文3)を投入し、難敵に立ち向かった。立ち上がりはその小林は果敢に攻め、まずリードを奪う。続く大石栞、池田五もなんとかリードを保ち、我慢比べが続いていく。試合が動いたのは6セット目の大石栞。いきなり相手の3連続シングルポイントで逆転を許してしまい、ここにきて追いかける展開。なんとか大石栞は1点ビハインドで食い止めるが、その後池田五、小林を突き離され、7点ビハインドで最後回りの大石栞に託された。まず連続でポイントを奪い、流れを作るも日体大のエース、全日本覇者でもある堀川も対応してくる。交互にポイントを取り合うが、その後は堀川に突き離され敗戦。関カレ同様、インカレでもベスト8止まりとなってしまった。
 今季、リーグでは1部昇格を逃し、関カレとインカレでもベスト8と、個人の実力とは釣り合わない結果が続いている。2週間後に迫る全日本ではなんとか法大の意地を見せ、今年の集大成となる試合で上位進出を果たしたい。(芳野史征)
 

選手のコメント

吉田健人

4冠を達成した今のお気持ちは
本当に嬉しいとしか言えないです。めちゃくちゃ嬉しいです。

準決勝、決勝は接戦となりましたが
準決勝の中大戦は自分らしいプレーが出せずに少し焦りました。でも決勝では自分でも驚くくらいにすごく冷静で、負ける気は全然しなかったです。

決勝前の心境は
決勝前は適度な緊張をしていて、みんなで試合前に円陣を組んだ時に気合を入れてスイッチを切り替えました。

2セット目、0-5の場面で出場し逆転に成功しましたがあの場面を振り返って
自分の良さをすべて出して連続得点できたと思います。途中、フレーズ(審判のジャッジ)で逆だと思うことはあったんですけど気にしないで、自分のプレーをやり続けられたところが良かったです。

焦ることはなかったのですか
そうですね。今日は全然焦らなかったです。

それは決勝の最終セットでもですか
冷静でした。ただの5本勝負としか考えなかったです。

チーム全体の動きとしては
丹代にもう少し頑張ってほしかったですけど、安藤のポイントで何点も奪うところがありました。安藤は審判の判定に納得いかないところもありながら腐らず5本を取ってこれたのは良かったと思います。みんなで勝つことができました。

インカレ優勝はやはり特別ですか
特別です。去年優勝して、どの大会よりも去年に続いて優勝できたことは嬉しい気持ちが大きいです。

試合後は仲間から胴上げされていましたが
結構怖かったです(笑)でもすごく嬉しかったです。

決勝では“キャプテンの意地”というのを見せたと思いますが
自分ではキャプテンとしてそこまでチームに貢献できてきた感じはしないですけど、逆に自分はのびのびできて良いプレーができたと思います。

個人団体2冠に輝いた最後のインカレを終えて
今年の学生の大会ではもう悔いはないなと思います。いい4年間でした。

全日本に向けて
せっかく4冠もできているので全日本も優勝を狙えるメンバーだと思うので、しっかりここで気を抜かずに練習して、全日本制覇していきたいです。

丹代翔

優勝を決めた時の気持ちは
4冠を取れて本当に良かったなというのと、キャプテンの吉田健人はやっぱり凄いなと思いました。

決勝を振り返って
準決勝までは、自分の中で今までにないくらい調子いいなと思っていました。でも決勝で当たった日大には、関カレの時に自分個人がやられたという苦手意識があったので、それでメンタル的にも一気に崩れてしまったというのが個人的にはありますね。

準決勝までと比べて緊迫した試合展開でしたが、チーム全体で焦りなどはなかったですか
最初に安藤が0-5とやられて、でもすぐに(吉田)健人がまくって流れを持ってきたのに、自分がイーブンではありましたけど相手に流れをやってしまったというのはあったので、自分の課題はメンタルだなと。しっかりやれば技術的には勝てる相手だったので、気持ちを強くもって、何をするのかを決めて、試合に取り組めたらなと思いました。

最後のインカレですが、どのような思いで臨まれましたか
最後なので、悔いの無いようにやりたいというのはありましたね。結果は置いておいて。

サーブルチームへの思いを聴かせて下さい
吉田健人、安藤光平という強い2人がいるので、4年生として盛り上げようと。結構仲も良くて、リーグ戦の頃から4冠を目指してやってきたので、本当に皆で頑張ってこれて良かったなと思います。

全日本に向けて
5冠が懸かっていて、警視庁とかネクサスとかナショナルチームの選手が入っているチームと準決勝くらいで当たると思うんですけど、そこに4人が一つの気持ちを持って、一丸となって倒しにいきたいと思います。

安藤光平

優勝した今のお気持ちは
本当によかったです。4冠達成できて。自分は情けない試合をしてしまったので4年生に感謝したいです。

春から目標にしていた4冠を達成しましたね
前期は大分、余裕をもって点差を広げて全試合勝っていて、心に余裕があったのですが、大会を重ねることにつれて、4冠を意識し出してどうしてもプレッシャー増えて、その中で関カレ、インカレは接戦になっていい経験になりました。

プレッシャーや接戦を乗り越えてつかんだものはありましたか
今大会、審判のフレーズが厳しくて、それを含めてサーブルという競技だと思いますが、今回それを強く実感しました。怒っても仕方ないですし、今後に生きると思います。

試合内容についてですが、準決勝の中大戦について
中大の実力は高いので、1回戦、2回戦と比べても簡単に勝てないと思っていました。自分が大分審判の判定に納得しなくて、冷静さを欠いたらペースも乱れるのでよくないと。その中でも、いつも通り勝てたのは大きかったです。

決勝戦については
僕が1試合で0‐5で1点も取れずに帰ってきて、全部自分のミスで、何もできなかった印象です。(吉田)健人先輩、さすがでした。

トップバッターで05という内容でしたが、自身のプレーができなかった理由は何だったのでしょうか
最初の1点目で僕が仕掛けて、それがたまたまミスになって相手のポイントになっただけで、形は悪くなかったと思いますけど、5本しかないので、そのミスに対して異常に焦ってしまって、15本なら気にしなかったですけど、気にしたのが原因だと思います。

安藤選手が苦しむ中、4年生の吉田、丹代両選手のプレーをどう見守っていましたか
この試合を作ってくれたのが4年生の先輩方で、本当に頼もしいです。来年、自分が最上級生なのであのような先輩になれるようにしたいです。

4年生の最後の学生大会で優勝できたことはやはり格別なのでしょうか
本当に嬉しいです。ずっとこのメンバーで1年戦ってきたので。僕が1年生のときに4年生の先輩方が3冠していて、インカレで4冠がかかっていて、その試合で法政が先にマッチポイントをかけていたんですけど、そこから逆転負けして、4冠を落として、その時に僕はベンチにいて、とても印象に残っています。その時のOBの方(水谷一貴氏:H25年卒)がいらっしゃって、そのことも含めても嬉しいですね。

優勝が決まり、歓喜の輪ができる中、安藤選手の目には涙が光っていました
嬉しかったのもあるのですけど、もう途中0‐5にされたときに、「やっちゃった」「この試合もし負けたら僕のせいだな」と思ってしまって。でも健人先輩たちが巻き返してくれて、ほっとしたら涙が出ました。

インカレで味わった苦しい経験を糧に今後どうしていきたいかなど目標はありますか
当然来年は、関カレ2連覇して、(個人戦)インカレ取れていないのは納得していないので、関カレ3連覇はもちろんですけど来年はもっとインカレに集中したいです。今年は関カレが終わってから、膝とか背中とか色んなところをケガしてしまって、満足に練習できなくて準備不足もあったので、もっとインカレに照準を合わせていけたらいいです。どうしてもどの大会に対しても全力になりすぎちゃうので、来年はインカレに合わせていきたいです。団体戦も当然、日大はメンバーが変わらないのでそのメンバーに新しい代でどう戦っていくか色々考えながら頑張りたいです。

男子サーブルの4年生とできる最後の大会、全日本選手権に向けて意気込みお願いします
もっと格上が出てくるので、その中でどう食らいついて、最後勝つか。我慢強さとか技術だけでなく、気持ちの強さが大事になると思います。戦力的に他の社会人の方と比べても劣っているかもしれないですけど、勝つ可能性がまったくないとは全然思わないので。その可能性を少しでも高めていけるように、残りの時間練習していきたいと思います。

大石栞菜  

フルーレ団体の直後にエペの試合となりましたが
思ったよりは動けました。腕が上がらなくてきつかったんですけど、トレーナーさんたちの協力もあって頑張れました。

準々決勝の日体大戦を振り返って
最初の小林の貯金を使って接戦になったのかなと。自分が中盤で(得点を)ほしがってしまいました。最初にすごい点を取られて追いついたけど、そこで終われば良かったのにもう一本ほしがって点を取られて、初めて相手は点数的に上になってしまいました。もう少し我慢すれば良かったかなと思います。関カレと一緒で最初が良くて、終盤からだめになるいつものパターンかなと思いました。

4日連続の出場となりましたが疲れはありますか
昨日はフルーレの後輩たちに少し休ませてもらえたので、(4日間は)しんどかったですけど学生最後の大会を良い形で締められてよかったです。                             

―最後のインカレを終えて今のお気持ちは
正直(4年間)早かったなと思いますけど全日本もあって、自分はフェンシングを辞めないのでひとつの思い出としておきます。

今大会特に印象に残っていることは
エペの個人戦ですかね。ベスト8がけの試合では、苦手だった高校の後輩の子(横井七恵・日大3)に勝ったり、8に入ってから早稲田の山根(司)に勝ったり自信になりました。池田(五月)に負けたのは悔しかったですね(笑)

頼もしい後輩ですね
そうですね。団体戦でもそれが出てくれればいいんですけどね(笑)

全日本に向けて
フルーレもエペも優勝を狙えると思っているので、ひとつひとつ頑張っていきたいと思います。

 

フォトギャラリー

  • 吉田は決勝で輝きを放つ
  • 苦戦しながらも役割を果たした丹代
  • 果敢に攻撃を仕掛ける安藤
  • 4日連続の出場となった大石栞
  • 日体大戦の第1セットで健闘する小林
  • 団体戦では悔しい結果となった池田五
  • 初戦に出場した1年の池田亜
 

 

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