第87回日本学生氷上競技選手権大会 準々決勝 対明大 粘りを見せるもあと一歩及ばず…GWSの死闘の末、ベスト8で終幕
第87回日本学生氷上競技選手権大会 準々決勝 対明大
2015年1月7日(水)
日本製紙アイスアリーナ(北海道釧路市)
またもベスト8の壁を越えることはできなかった。2回戦までを順当に突破し、迎えた明大との大一番。「やることをやれば勝てる」という選手たちの言葉通り、常に先攻されながらも食らい付く。第3ピリオドには2点のビハインドから同点に持ち込み、勝負の行方は昨年に続いてゲームウイニングショット(GWS)へ。しかし10巡目で明大に決められ、前回大会同様に準々決勝で姿を消した。
試合結果
トータル試合結果
4 (34) |
1(13) | 1P | 1(13) | 5 (45) |
---|---|---|---|---|
0(6) | 2P | 2(17) | ||
3(15) | 3P | 1(14) | ||
法政大学 | 0(0) | GWS | 1(1) | 明治大学 |
※(カッコ内)は、シュートの本数を表しています。
ゴールデータ
チーム | ピリ | 時間 | ゴール | アシスト | アシスト | PP/PK |
---|---|---|---|---|---|---|
明大 | 1 | 06:07 | 11 大津晃介 | 6 最上義崇 | ― | PP |
法大 | 1 | 08:48 | 21 木戸啓太 | 91 中口郁弥 | ― | ― |
明大 | 2 | 08:25 | 9 永井遼 | 10 高橋祐輔 | ― | ― |
明大 | 2 | 15:13 | 22 大椋舞人 | 11 大津晃介 | ― | ― |
法大 | 3 | 06:52 | 13 松本力也 | 81 横山恭也 | 4 佐々木祐希 | ― |
明大 | 3 | 08:00 | 17 工藤翔介 | 19 上野峻輔 | ― | ― |
法大 | 3 | 10:16 | 13 松本力也 | 21 木戸啓太 | 4 佐々木祐希 | ― |
法大 | 3 | 14:52 | 91 中口郁弥 | 21 木戸啓太 | 81 横山恭也 | ― |
明大 | GWS | ― | 9 永井遼 | ― | ― | PS |
※PPは法大のパワープレー、PKは法大のペナルティキリングを示しています。
ゲームウイニングショット
大学名 | 1巡目 | 2巡目 | 3巡目 | 4巡目 | 5巡目 | 6巡目 | 7巡目 | 8巡目 | 9巡目 | 10巡目 |
法大 | 81 横山× | 21 木戸○ | 22 小原○ | 21 木戸× | 22 小原× | 4 佐々木× | 21 木戸× | 22 小原× | 4 佐々木× | 22 小原× |
明大 | 21 桂川○ | 9 永井× | 11 大津○ | 19 上野× | 11 大津× | 52 松金× | 17 工藤× | 21 桂川× | 11 大津× | 9 永井○ |
※4巡目からは法大が後攻。なお、4巡目以降はサドンビクトリー方式となる
メンバー
SET | FW | FW | FW | DF | DF |
---|---|---|---|---|---|
1 | A 22 小原日向 | 21 木戸啓太 | 10 間山慎也 | C 4 佐々木祐希 | 3 髙橋魁人 |
2 | 91 中口郁弥 | 18 西口開羅 | 13 松本力也 | 81 横山恭也 | 6 松本勝利 |
3 | 23 末廣直樹 | 89 吉村紀耶 | 11 吉田厳介 | A 88 石橋智輝 | 2 今駿将 |
4 | 61 大山翼 | 19 磯田祥平 | 71 阿部拓斗 | 8 川上朝日 | 16 畑中大季 |
※GKは#35藤田拓丸が出場。控えに#55富田哲平
戦評
第1ピリオドから試合は動く。ディフェンディングゾーンでの攻防が続くが、落ち着いたプレーで攻撃をしのぎ、隙を突いてアタッキングゾーンへの侵入を試みる。強力FW陣を擁する明大の前に、5on5ではなかなか攻撃の時間を長く使えないでいたが4分、早くもパワープレー(PP)を迎えた。FW木戸啓太(営2)がパックをキープしてゴールをうかがうなど動きを見せる。ところが6分、相手エースの大津晃介(明大)にブルーラインを突破され、最後は1対1の状態からシュート。これが決まり、ショートハンドゴールを許してしまう。それでも選手たちに焦りは見られなかった。8分に「僕が決めるしかないと思っていた」という木戸が、左サイドからシュートを冷静に決めて同点。その後も明大はシュートを浴びせるが、GK藤田拓丸(法4)が落ち着いて処理し、2点目を許さない。大津に度々ゴール前を陥れられる場面も目立ったが、1―1で最初の20分を終えた。
木戸の同点弾に沸く選手
前のピリオド終了時にに課されたペナルティーキリング(PK)で始まった第2ピリオド。ここは凌ぐがその後攻勢に転じられず、なかなか点を奪えない。4分にまたもPKとなるが、法大はここで守りに入ることなく果敢に攻める。それでもアタッキングゾーンで時間を長く使うことができず、守りの態勢が続いた。すると中盤の11分に、ゴール前の空いたところにシュートを決められて1―2。15分にも失点し、連続得点を許してしまう。パックキャリアがゴールに迫るも、なかなかシュートにいたらない。徐々に明大がペースをつかむと反撃することができず、1―3と2点のビハインドで最終ピリオドを迎えることになった。
落ち着いたプレーで明大の猛攻からゴールを守る藤田
リーグ戦での明大との対戦は、いずれも2点目が遠いまま敗戦。しかし今回は違った。我慢が続いた第2ピリオドから一転して、第3ピリオドで法大が粘りを見せた。直前合宿で練習を重ねてきたという素早いトランジションで活路を見出そうとする。足を動かし続けてチャンスをうかがっていたが6分、ついに反撃が始まった。FW中口郁弥(法3)が右から攻め上がり、チャンスをつくる。パックを回すと最後はFW松本力也(人2)が左45度から決め、1点を返した。ところがそのすぐ後の8分に明大が反撃し、またも点差は2点に。得点直後の失点となったが、相手にそのまま主導権を渡すことはなかった。10分、松本力のこの日2点目となるゴールで3―4。法大の攻撃時間が増え、流れが傾き始めた。そして14分、中口の浮かせたパックがネットを揺らし、4―4の同点。残りおよそ5分でまたも試合をふりだしに戻した。残り時間で勝利をつかみたい法大は、ここから2セット回しで攻めに出る。だが残り時間で決着はつかず、延長へ。大会規定により勝敗はGWSで決められることになった。
第3ピリオドに2ゴールを決め、吠える松本力(中央)
前回のインカレ、そして春の関東大学選手権のいずれも法大はGWSで涙を飲んだ。今まで1本も決められずに敗れたが、今回は2巡目に木戸が成功させる。しかしその裏に明大もシュートが決まり、イーブンに。そして3巡目、先攻の法大はFW小原日向(営4)がシュートを決め、あとは守り抜けば勝利となる。ところが大津にシュートを決められ、サドンビクトリー方式での延長へ突入した。法大はここから木戸、小原、DF佐々木祐希(営4)を送りだすが決まらず、決着がつかない。互いに一歩も譲らない展開で、ついに10巡目へ突入した。4巡目以降明大が先攻となっていたが10巡目に決められ、法大は後がなくなる。最後の1本を任されたのは小原。しかし、相手GKにセーブされて試合終了。9年ぶりの準決勝進出はならなかった。
肩を組んでGWSの行方を見守るベンチ
それでも昨年と違ってほとんどの選手の目に涙はなく、晴れ晴れとした表情を浮かべていた。先制を許した後、そしてリードを広げられた後も見せた法大の粘り。結果は昨年までと同様だったものの、今季一度も勝てていない優勝候補相手に大接戦を繰り広げた。最後まで気持ちを切らさず戦い抜いた、価値ある1試合だったと言える。
「やり切ったという気持ちが強い」と佐々木主将。この1年間、チームの現状を打破するため自らも変化し、常に行動で示してきた。チームの練習を大幅に変え、結果を残せなかったリーグ戦後には話し合って私生活を見つめ直してチームを再び組織。「勝利」にこだわり続けた1年間の努力は結果として表れなかったが、4年生が築いたチームは新体制の基盤となるはずだ。上位の壁を破り再び法大が頂点をつかむというその役目は、次の代に託される。(熊谷優)
フォトギャラリー
- 第3ピリオドに同点ゴールを決めた中口(右)
- 試合前の円陣。チームの雰囲気は常に上向きだった(中央:佐々木)
- ドライブで何度も切り込んだ木戸
- 3Pに2ゴールを挙げた松本力
- 2アシストと得点を演出した横山
- 残りおよそ5分で一時同点弾を放った中口
- GWS2本目を成功させガッツポーズの木戸
- 3本目を成功させた小原も喜びを爆発させた