【硬式野球】「秋季リーグ開幕直前特集~凌駕」第1回 青木久典監督

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【硬式野球】「秋季リーグ開幕直前特集~凌駕」第1回 青木久典監督

2016年9月2日(金)
法政大学野球部寮

「優勝を知らない世代」が必ず有終の美を飾る。最後に法大がリーグ戦を制したのは12年の秋。現在のチームにその歓喜を知る選手はいない。3位に終わった春の悔しさを胸に過ごした3か月。「優勝したい」と選手たちは口をそろえる。その努力の成果を発揮し戦い抜いた先にリーグ制覇、そして天皇杯が見えてくる。

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青木久典監督

青木久典監督

ーオープン戦をこなしてきましたが、現在のチーム状態はいかがですか
課題というのは日々あることなんですけど、それをその日のうちには潰せているので、そんなに大きな課題は今のところないかなと思います。細かなところですかね。次の塁を狙えたんじゃないかとか、あそこであの守備はないんじゃないかとかそういうことかなと思います。収穫の部分のほうが多いのかもわかりませんね。バッテリーが一番の課題でしたけど、春のリーグを経験できなかった選手が投げたとしても、それなりのゲーム展開に持っていけています。「この選手でもこういうピッチングができるんだ」と思えたのが収穫かなと思いますね。

―1年生投手を試すのではなく戦力として起用している
彼らも戦力になってもらわないと困るので、どういう使い方をするか真木コーチと話をしながら、オープン戦初期は先発で使ってみたり、中盤、終盤になったら中継ぎで使う、もっと言えばランナーを出している場面であえて使ってみる。そこでどういう仕事ができるのか、どういうプレーをするのかを見極めてオープン戦をこなしてきました。見えてきたものもありますね。

―1日の国学院大戦までDH制を採用していました
スタメンを固定できていないというよりも、この3か月で1番はバッテリーの強化、2番目の強化は野手の底上げというのを考えていました。野手は試合を経験する中で育てていきたい、底上げしていきたいという部分でDHを使っていました。あとはリーグ戦に投げる投手が実際打席に立って、バッティングなり犠牲打ができるかという、打線が機能するかどうかを試しました。リーグ戦で先発を担う選手以外が打席に立つかといえば、そうは立たないと思うのでね。それよりもDH制を使って野手の底上げに時間を割いたほうがいいのかなと。自分なりのプランを持って戦ってきました。

―改めて、春季リーグ戦を振り返っていかがですか
明治戦の1勝、勝ち点が取れなかったために優勝ができなかった。あそこで勝ち点を取っていれば、もし明治さんと勝ち点が同じなら計算すると勝率でうちのほうが上回っているんですよね。勝ち点を取る取らないというのがものすごく大きかったと思います。その原因を追究した時、自分なりに1番は投手なんですよね。決勝点が押し出しだったりとか。そこはしっかりとしたピッチャーを作らないといけない。じゃあもう一つは何かといったら、結果的に打率はランキングのベストテンにたくさん入ったんですけど、得点圏の打率はどうなのかというと低かった。”ここ”というところでヒットが打てていない。そこでの勝負強さをつけなきゃいけないことで、うるさく言ってきたつもりです。

―春季リーグ戦が終了したときに「もう少し野球を突き詰めないと優勝はない」という話がありました
それを踏まえて北海道キャンプでは野手の底上げを掲げて、バントやエンドランを徹底しました。 どうしても法政はそれなりの資質の選手が来るんですけど、自分の技量だけでやってしまうところもあるんじゃないかなと。でもやっぱり野球というのは、いい選手が集まったからといって強いわけじゃないし、チームのつながりも大事です。そういう意味では細かな部分、犠牲打、ここで決めてほしい時のエンドランだったりとかが、春を振り返るとなかなか決めたいときに決まってなかったんですよね。これがしっかり決まるまで突き詰めようと思ったので、それは時間を長く費やしました。

―1番の課題はバッテリーというお話がありましたが、現在の投手陣の状態は
正直に言うと良くも悪くもという感じです。未知数なところもあるので、期待半分、心配半分かなと思います。

―春季リーグ戦で主に登板した玉熊投手らに続く投手の台頭は
オープン戦でも登板した1年生投手やそのほかの投手も先発をできるような訓練はしてきました。今はゲームの途中からでも行ける準備もしていますから、それらが機能してくれるとありがたいなと思います。

―投打のキーマンを上げるならば
投手は今のところ菅野かなと思いますね。打に関しては4番を打っている柴田かなと。ただ柴田ばっかりに頼るわけにもいかないので、今日(9月2日のオープン戦で)4番を任せた中山も、新戦力としては期待したいですよね。

―開幕に向けて、選手たちに求めていきたいところは
4年生に最後優勝して卒業してもらいたい。そういう意味で下級生たちは優勝させるぞという強い思いを持って戦ってもらいたいなと思うし、常勝軍団をまず作り上げるために、自信を持って初戦から臨んでもらいたいという思いがありますね。

ーラストシーズンを迎える4年生に期待することは
この4年生は監督が3人目なんですよね。いろんなことがあった4年生だと思います。ただ本当に学生としても野球人としても素直な選手が多い。主将の森川を筆頭になんとか私に食らいつきながらやってきてくれてるので、本当に優勝して卒業してもらいたいと素直に思いますね。この4年生たちと一緒に長く野球やりたいなと思います。

ー秋季リーグ戦でカギを握りそうなカードは
全てカギになると思います。その中でも入りが1番大切なので、初戦の早稲田から勝ち点を取る取らないでやっぱり変わってくる。春は慶應で落としても優勝戦線には残りながら、結果的にダメだったんですけど、開幕を取れば全然違うと思うので初戦ですね。

—リーグ戦の意気込みをお願いします
監督という立場として、4年生に一度も優勝を経験することなく卒業させてしまうのは申し訳ないし、4年間汗水を流してきてるわけだから。そういう意味では彼らに笑顔で卒業してもらいたい。楽しい思いをしてもらいたいと思うので、ものすごく自分の中では緊張感が漂っています。いろんな意味で危機感を感じながら。そういう思いで臨みたいし、1戦1戦に神経を張り巡らせながらやりたいと思います。

(取材:井手一樹)

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“絶対全て勝つ”青木久典監督

プロフィール
青木久典 (あおき・ひさのり)
1973年2月16日生まれ
三重県出身・三重高校→法政大学→たくぎん→本田技研鈴鹿
→サンワード貿易
富士大学のコーチ、監督を経て14年1月より法政大学野球部
助監督に。15年1月から監督に就任

 

今後の掲載予定選手
森川、柴田、谷川、玉熊、大崎、熊谷、清水二、長谷川、
森、大西千、菅野、上條、川口、小林、中山、向山、森脇
、伊藤士、宇草、内沢、相馬優、福田光、舩曳

   

 

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