【シンクロ】世界水泳ブダペスト シンクロTR.FC銅メダル獲得記念 河野みなみインタビュー
2017年8月21日(月)
法政大学多摩キャンパス
7月にハンガリー・ブダペストで行われた世界水泳に、河野みなみ(スポ3)がシンクロナイズドスイミング日本代表の一員として出場。チームテクニカルルーティン(TR)とフリーコンビネーション(FC)の2種目で銅メダルを獲得した。今回はそれを記念して、世界での経験やキャンパスライフについてお話を伺った。
※今回掲載している競技中の写真は全て世界選手権のものではなく、4月に行われたジャパンオープンのものです。
初めて立った世界の舞台
―世界水泳での演技を振り返って
初めて日本代表に選ばれて、初めての世界水泳でした。今までとは違ってメダルを取る難しさや世界の厳しさを実感することになった試合でした。
―世界の厳しさとは
シンクロは表現スポーツで、競泳や陸上のようにタイムで競うわけではないです。強い国を印象で覆していかないと上にはいけないと思います。
―日本代表は本番の会場での練習を数多くこなしてましたが、プールによる違いはあるのですか
普段は屋内が多い中、外プールだったので昼はすごく暑くても夜はすごく寒いです。今回は予選が夜で決勝が昼だったので、気候に慣れることが必要です。また夜はライトアップされた中で演技で光の加減で水の反射を違って見えてくるので、環境に慣れることが大事でした。
―世界で戦っていく心がけていることは
日本の良さを忘れないことです。会場に行くと他の国に惑わされて焦る気持ちも出てくるので、今までやってきたことを試合で発揮できるようにしたいです。
―ライバルと言われるウクライナに対する意識は
ウクライナは背も大きくリフトの上手な国なので、日本が張り合うためには持ち味である足の質や強さを全面的にアピールできるようにしてます。
―日本代表に選ばれたときの心境
井村(雅代HC)先生の合宿はリタイアする人が出てくるくらい厳しいと聞いていたので付いていけるかという不安が大きかったです。
―代表選考では背が低いことで減点され(1㍍65未満は㌢ごとに1点減点)苦労も多いと思いますが
ずっと身長減点のある中で選考会を受けてきました。減点があっても大きい人には負けないくらいの技術を持つしか選ばれるには方法がないので、大きい人には負けたくないという思いで戦ってます。シンクロでは足技をするとき高さが重要になってくるのですが、大きい人とチームを組むと背の大きい人は足が長いので、小さい人はその分高さを出さないとそこだけ低く見えてしまうので高さは大きい人より出て当たり前の部分という感じです。
―井村HCはどんな人ですか
とにかく練習時間が長くすごく厳しいです。自分に弱い人が嫌いみたいです。
―指導の特徴は
できるまでやる。力は使わないと付かないという考えなので、追い込んでへとへとになるまでやって初めて力が付くとおっしゃってました。
―井村HCの指導できつかったものは
いっぱいきつかったです(笑)。ウォーミングアップで泳ぐのにもタイム制限がきつかったり、呼吸制限があったのはしんどかったです。トレーニングもハードです。1分間ぶら下がりなど根性使って忍耐力を鍛えるメニューが多かったです。
水面から勢いよく飛び出す(左から2番目が河野)
シンクロと仲間
―日本代表の選手たちはどんな方ですか
チームも12人いたら8人しか泳げないので仲間だけど敵でもある、チームワークも大事だけど個々のライバル意識はありますね。
―同じアクラブ調布所属の大澤友里子選手や小俣夏乃選手と共に選出という形になりましたが
3人とも同い年で仲がいいので、3人でいつも一緒にいました。すごく心強かったです。しんどくなってきたときに不満やストレスも溜まってくるが、言い合える相手がいるのは良かったです。
―世界で戦うことを意識したのはいつからですか
高校生の時に16歳から18歳のジュニアの代表に選ばれてジュニアの世界大会に初めて出た時だと思います。
―シンクロナイズドスイミングがアーティスティックスイミングに変わることになりましたが
正直なところ変わってほしくないと思いました。絶対に広まらないし、通じなくなると思うので長くて言いづらくて、略し方も分からないです(笑)。
―シンクロを始めたきっかけは
元々クラブで2歳から水泳教室に通っていて、シンクロか競泳かどちらをやるかという誘いが来ました。クラシックバレエもやっていて表現することは好きだったので、シンクロを選びました。
―クラブでの練習はどのようなことを
プールに音響もあるので合わせるところは合わせてやってます。
―練習がある日の1日のスケジュールは
学校がある日は5時から8時過ぎとかで練習してます。休みの日は午前午後の2部練やプールでの練習時間外も陸で合わせられるところも考えて合わせたり、決めごともみんなで集まって決めてます。
競技後観客に手を振る(中央が河野)
アスリートの知られざる素顔
―法政大学に入った理由
家から電車で1本で行けて、スポーツ健康学部というスポーツ課がしっかりとあるところです。加えて水泳部のプールの施設もちゃんとしていて、あまり学校に行けないことも理解して下さる先生が多かったという面で決めました。
―スポーツ健康学部での勉強内容は
コーチングや機能解剖学が必修であったり、体のことやスポーツのこと、またスポーツビジネスの勉強もしています。その中でコーチングコースを専攻しています。
―将来的には教える側にということも考えられてますか
あんまりそういうのは考えてないです。ヘルスはATになりたい人向けで勉強が難しそう。ビジネスは個人的に難しそうに思って、消去法でコーチングにしました(笑)。コーチングコースを選んでいてもその他のコースからもたくさん取らないといけないので、あまりコースは関係ないかなと思います。色んな事を勉強させてもらってます。
―普段の大学生活は
同じクラスの子と仲良くしていて、休んだ時も授業のことを教えてくれたりプリント持っててくれてたりしてます。
―ちょうど世界水泳がテストの期間に被りましたが
レポートで考慮してくれる先生もいれば、テスト一発の授業はテストなので、ボロボロでしたけど一応受けに行きました。
―スポーツ健康学部まで通うのは遠くないですか
遠いです(笑)。でも歩くのは嫌いなので絶対にバスを待ってます。
―スポホウのことはご存知でしたか
体育棟に置いてあるのを見かけたり、Twitterも見たりしてます。
―世界水泳から日が経ちしたことは
遊んでました。クラブは今、全国大会や国体に行く選手もいて一番忙しい時期です。なので全国大会に行く子を教えに行って手伝ったり泳いだりしてますが完全にオフです。
―オフの過ごし方は
寝てます。昼までずっと寝たりします。友達と遊んだりします。大学の友達ともたまに遊んだりするが予定が合うのはシンクロの友達なので、一緒に夏休みらしいことをしてました。海行ってBBQして浴衣着て花火見たりしました。今回は世界水泳が7月中に終わったので、8月の夏休みが丸々空きになったのがありがたいです。結構遊んでます。
―今後の目標は
身長の低い人が代表に入ることが厳しくなってきているので、今年代表に入れたのも奇跡だと思ってます。今後はメンバーの入れ替わりとかも激しくなっていくと思います。インカレでは代表に入った大学生の中で勝てるようにするのと日本選手権を制覇できるように次の大会に向けて頑張っていこうと思います。
―2020年の東京五輪への意識は
大きな目標を見るよりはまずは次の試合次の試合という考えです。
―応援して下さる方へメッセージを
いつも応援して下さってありがとうございます。自分はシンクロでいい演技をして良い結果を残すことが恩返しになると思うので、普段支えてくれるみんなによかったと思えるような演技をしていけろように頑張ります。
法政大学に通いながら文武両道を目指している
プロフィール
河野みなみ(こうの・みなみ)
1996年8月15日生まれ。東京都出身。玉川学園高等部から法大に入学。スポーツ健康学部3年。アクラブ調布所属。今年の世界水泳ブタペストが日本代表初選出。第92回日本学生選手権ソロ競技優勝。今年9月に行われた第93回大会でも準優勝に輝いた。
フォトギャラリー
- メダルを手に笑顔を見せた
- 広大な多摩キャンパスをバックに
- 気さくに話していただいた
- 法政大学の学生として文武両道を目指している
- 演技前は堂々と入場した(右が河野)
- きれいにそろった技を見せる日本代表(左から2番目が河野)
- 勢いよく水面から飛び出す(左から2番目が河野)
- 演技後、観客に手を振る(中央が河野)