【陸上競技】第29回出雲全日本大学選抜駅伝 4年ぶりの出雲路は途中棄権に終わる…
第29回出雲全日本大学選抜駅伝
2017年10月9日(月)
島根県出雲市
4年ぶりの出場となった学生三大駅伝初戦の出雲。法大は3区まで入賞争いを演じたが、4区でまさかの途中棄権に終わった。
試合結果
総合成績
順位 | 大学名 | 記録 |
---|---|---|
1位 | 東海大 | 2時間11分59秒 |
2位 | 青学大 | 2時間13分32秒 |
3位 | 日体大 | 2時間14分39秒 |
4位 | 順大 | 2時間15分0秒 |
5位 | 東洋大 | 2時間15分36秒 |
6位 | 神大 | 2時間15分45秒 |
7位 | 駒大 | 2時間16分12秒 |
8位 | 中学大 | 2時間16分14秒 |
途中棄権 | 法大 | ― |
法大成績
区間 | 選手名 | 区間記録 | 区間順位 | 総合記録 | 順位 |
---|---|---|---|---|---|
1区 | 坂東悠汰(スポ3) | 23分55秒 | 9位 | 23分55秒 | 9位 |
2区 | 福田兼士(経3) | 16分39秒 | 9位 | 40分34秒 | 8位 |
3区 | 青木涼真(生命2) | 25分11秒 | 4位 | 1時間5分45秒 | 7位 |
4区 | 強矢涼太(経2) | ― | 途中棄権 | ー | ー |
5区 | 佐々木虎一朗(スポ2) | 20分19秒 | 10位相当 | ー | ー |
6区 | 矢嶋謙悟(経3) | 32分7秒 | 12位相当 | ー | ー |
戦評
27.5度という気温は、秋晴れにしてはあまりにも暑かった。4年ぶりの出場となった出雲路。ちょうど1年前、箱根駅伝予選会の4位通過に始まり、坂東の10000m記録挑戦会での28分台、箱根駅伝8位、関東インカレで青木が優勝、伊勢路切符の獲得と順調に古豪復活の一途をたどっていた。今大会においても、高くない下馬評を覆しての好成績という青写真を描いていたのかもしれない。しかしチームを待っていたのは途中棄権というまさかの結末だった。
オレンジエクスプレスの車輪が狂い始めたのは法大の最重要区間と言っても過言ではない1区。4年前に8位入賞を果たした同大会でのオーダーと同じくエースを起用した。坂東悠汰(法大)はスタートから先頭集団でレースを進める。しかし6キロ過ぎに阪口竜平(東海大)が仕掛け、西山和弥(東洋大)もそれに付くと、9人いた先頭集団はばらけた。持ち味のラストスパートも影を潜め、先頭から39秒差の9位での襷リレーとなった。
しかし2区、3区で1つずつ順位を押し上げて、入賞圏内に入る。2区の福田兼士(経3)は学生三大駅伝初出場で各大学のスピードランナーと渡り合った。今年の箱根で好走を見せた青木涼真(生命2)は早大エース永山博基を捉えると、14位から猛追してきた塩尻和也(順大)に一度は抜かれるも、終盤に抜き返して7位で第3中継所に飛び込んできた。
そして4区の強矢涼太(経2)。三原卓巳(日体大)、栃木渡(順大)と共に6位集団を形成する。中盤にこの2人に離され、駒大と入賞ボーダーラインの8位争いを繰り広げていた。しかし、強矢は仲間の待つ第4中継所に襷を運ぶことはできなかった。
法大の途中棄権では15年前、2002年の箱根での徳本一善(平13年度卒=現駿河台大監督)があるが、総距離が箱根の4分の1、最長区間の6区でも10.2kmと、全日本や箱根と比較すると距離の短い出雲ではこれまで一度も途中棄権はなかった。しかし前述した通り、夏日になるほどの暑さとなった今大会。1区では中継所を目前に武隈泰貴(岐阜経大)が脱水症状で倒れ、途中棄権していた。
白襷をかけて走った佐々木虎一朗(スポ2)と矢嶋謙悟(経3)はそれぞれ区間10位、12位相当のタイム。共に初めての学生三大駅伝であったが、無念の走りとなった。
学生三大駅伝の初戦を思わぬ形で終えた法大。「今回がまだ箱根じゃなくて良かった」と福田は語った。駅伝シーズンはまだ始まったばかり、この経験を生かす場は多くある。チームの集大成の舞台である箱根7位に向けての糧としたい。
とは言え、次戦の全日本まで残り1ヶ月を切っている。今回エースとしての仕事を全うできなかった坂東は全日本でも序盤での起用が予想される。今大会の雪辱を晴らしたい。また、チームもエース頼りの体質から抜け出さなければならない。最後に法大が学生三大駅伝に出場した2013-14シーズンでは、エース西池和人(平25年度卒=現コニカミノルタ)が出場した出雲では入賞を果たしたが、故障で欠場した箱根では50秒差でシードを逃した。翌年度には箱根駅伝予選会でもエースの穴を埋めることができずに落選。チームはあっという間に低迷した。今回の2区、3区で見せたように、エースが力を発揮できなくとも、他の区間で巻き返し、貯金をつくることができれば、チームは安定した成績を残すことができる。 全日本での法大の目標は8位入賞。結果を残すことはできなかったが経験値を蓄えたオレンジエクスプレスは、ここで止まるわけにはいかない。(小島雄太)
※10月10日追記 陸上競技部の発表した情報によると、途中棄権した強矢は第4中継所の約500m手前で、熱中症により倒れ、大会から一夜明けた10日も治療を受けているとのこと。一刻も早く回復することを願ってやまない。
選手インタビュー
坂東悠汰
―今大会の個人の走りについて
区間賞というのを目標にして挑みましたので、順番がすごく悪くて法政のエースとしてチームに流れをつくるという立場なんですけれども、それができなくて後続もあまりいい流れで走ることができなかったのはすごく申し訳ないです。
―暑い中でのレースでしたが
自分の中では暑いコンディションというのは苦手ではないんですけれども、上手く走れなかったというのは暑い気象条件の中で走れなかった自分の力のなさや、コンディショニングの面であったりピーキングの面で力が足らなかったのかなと思います。
―1ヶ月前の日本インカレからの調子は
疲れは多少ある中でも、夏合宿最後の三次合宿でも練習を消化できましたし、そんなに調子自体は悪くないと思っていました。
―レース前の監督からの指示は
少しスローというか、ハイペースにはならないと思うから後ろで力を溜めて、持ち味のラストを生かして走れば区間賞は狙えると言われました。
―4年前はご自身が憧れとおっしゃっていた西池選手が1区を走りましたが
やっぱり同じ区間で、同じエースとして走れたのは嬉しく思いますけれども、自分は流れをつくれなかった。でも西池さんはチームにしっかりと流れをつくったおかげでチームも入賞していましたので、そこがまだまだ自分と西池さんとの差かなと感じます。
―次にチームについて、途中棄権という結果に終わりましたが
今回自分がいい順番で襷をつなぐことができなかったことも影響していると思いますし、しっかりとチームとして暑さに対する対策ができていなかったのが、今回の途中棄権につながっていると思います。強矢を責めるのではなくて、チームとしての結果ですので、しっかりと修正してこの後の全日本や箱根につなげていきたいと思います。
―今大会は4年生不在のレースでしたが
やっぱり4年生がいないと、自分たち3年生が引っ張っていかないといけないですが、4年生の力というのは必要ですし、全日本、箱根と必要になってくる存在ですので、しっかりと合わせてきてほしいなと思います。
―来月の全日本での目標は
チームとしての目標は8位と決めていますので、それに向けて一丸となってやっていきたいと思います。
―個人としての目標は
区間賞というのは自分として目指したいところですので、そこをしっかりと見据えて、今日の走りの悪かったところを修正して臨みたいと思います。
福田兼士
―今大会の個人の走りについて
個人としては最低限のことしかできてないかなって走りでした。
―暑い中でのレースでしたが
やっぱり走る前にしっかり水分補給は心がけて、途中で脱水症状にならないようには気をつけていました。
―レース前に監督からの指示は
監督からはじっくり攻めていこうっていう話がありました。
―坂東選手から9番手で襷をもらいましたが、その時の心境は
自分としては大学入って、坂東と襷リレーがしたいって思っていたので嬉しかったです。
―チームは途中棄権に終わりました
今回がまだ出雲で良かったって言ったら変ですけど、箱根じゃなくて良かったっていう思いはあって。これから箱根まで時間があるので、熱中症とか脱水症状にはならないように気をつけていきたいと思います。
―4年生がいない中でのレースでしたが
箱根では4年生の力が必要になってくると思うんですけど、出雲は自分とか初出場の選手の経験積みかなっていう部分もあったので。
―1ヶ月後の全日本の目標は
まずはチームとしては入賞を目標にしてきているので、入賞できるようにしたいと思います。
―個人としての目標は
個人としては、今回区間9位だったんですけど、区間5位以内には入りたいなと思っています。
青木涼真
―今大会を振り返って
チームとしては棄権もあり、反省点が色々ある試合だったかなと思います。
―ご自身のレースを振り返って
区間エントリーを見たときに自分より格上の選手が沢山いて、その中でどう戦っていくのかというのは考えていて。それでも暑さというのもあり自分がいつも通りの走りをすれば、そんなに悪い順位にはならないかなと思って走っていたので、そういう点ではしっかり走ることができて自信につながりました。
―格上の選手たちと走ることについて緊張はありましたか
あんまりレースで緊張するタイプではないので緊張というかやばいなと。チームに迷惑をかけないようにというのはありました。
―後ろから迫っていることは感じていましたか
今回は後ろから来たのが塩尻さんで。もう沿道からの塩尻さんの応援が聞こえたらもうこれはやられるって。それでも自分のリズムを崩さないように、これは負けても仕方のない力量の差だとは思っていたので割りきって走りました。
―後半はあまり急ぎすぎずという形だったのでしょうか
失速するのだけが怖かったので自分の走りができるようにということを意識していました。
―今大会に臨むにあたって調子はいかがでしたか
以前はうち上がってしまっていた練習も余裕を持ってこなせたりなど今までで一番調子が良いというか自分なりに手応えを感じていたので、ある程度やれるんじゃないかなと思っていました。
―調子が良かったとのこともあり、区間4位タイという結果でしたが
区間4位というのは自分の力では普通じゃ届かないようなことだったなと思っているので、良かったなと思います。だけどやっぱり走り終わってみると欲が出るというか、あと1秒でも速ければ単独で4位、2年生でもトップになれたので。今回暑さでペースが落ちてしまったというのも少しあると思うのですが、タイムは25分切るというのを目標にしていたので、自分の中では嬉しさ半分ともっとやれたという悔しさもあります。
―暑さでペースが落ちたとのことですが、レース前からペースは落とした方がいい等監督から何か指示はあったのでしょうか
いや。今回は自分でどう状況判断できるかというのを見たいと言われていたので、特に指示はなくて。3区は中盤に橋を渡ったりアップダウンがあったので、そこを中心にどういうペース配分をしていくかを考えていました。
―9月のインカレでは3000mSC、今月からは駅伝が始まりましたが、夏はどちらを中心に練習していましたか
3000mSCの練習は特に試合の1週間前しかやってなくて。ほとんどチームに混ざって駅伝に向けた練習をしていました。
―最後に、来月の全日本大学駅伝に向けて意気込みを
全日本はまだどこを走るのかとかも全然見当がつかないので、とりあえず自分が任された区間はしっかり区間上位で走って、チームのタイムを稼ぐ側の選手になりたいです。
フォトギャラリー
- 白襷で無念のフィニッシュとなった矢嶋
- エース坂東は役割を果たすことができなかった
- ついに本領を発揮し始めた福田
- 青木はチーム内最高の区間順位
- 強矢は中盤まで粘走も悔しい途中棄権に
- 学生三大駅伝を白襷でデビューとなった佐々木
- 表彰を見つめる選手たち
- 今大会には応援団も駆けつけた