【バスケ】第93回関東大学リーグ戦順位決定戦 対立大 苦難の2年間乗り越え・・・「3年分の笑顔」見せたラストゲーム
2勝先取のこのカード、勝てばラストゲームとなる法大。試合は昨日と同じく終始ペースをつかみ快勝。2部降格となった一昨年、そして3部降格となった昨年と、2年続けて最悪の形でシーズンを締めくくってしまっていたが、勝利で4年生を送り出した今日の選手たちは晴れ晴れとした表情だった。過去2年間、笑顔でシーズンを終えることのできなかった卒業生の無念を晴らすかのように「3年分の笑顔」が広がっていた。
試合結果
トータル試合結果
96 法政大学 |
21 | 1Q | 16 | 70 立教大学 |
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21 | 2Q | 21 | ||
37 | 3Q | 14 | ||
17 | 4Q | 19 |
法政大学スターティングメンバー
選手名 | 身長/体重 | ポジション | 出身校 | 得点 | リバウンド | アシスト |
---|---|---|---|---|---|---|
#14 植村哲也(文4) | 175/74 | PG | 明成 | 15 | 6 | 6 |
#13 鈴木蓮(現4) | 180/73 | SG | 東北学院 | 15 | 4 | 4 |
#12 千代虎央太(法1) | 188/75 | F | 光泉 | 2 | 1 | 0 |
#10 和田直也(法4) | 187/80 | F | 幕張総合 | 13 | 1 | 0 |
#24 鈴木悠介(法2) | 197/95 | C | 洛南 | 11 | 5 | 1 |
法政大学交代選手
選手名 | 身長/体重 | ポジション | 出身校 | 得点 | リバウンド | アシスト |
---|---|---|---|---|---|---|
#15 米山滉人(営2) | 184/83 | C | 湘南工科大付属 | 5 | 6 | 0 |
#34 濱田裕太郎(文1) | 186/75 | SG | 育英 | 6 | 1 | 1 |
#23 戸堀勇吾(文4) | 190/78 | PF | 國學院久我山 | 0 | 1 | 0 |
#16 竹内悠貴(法3) | 195/85 | PF | 西武文理 | 0 | 1 | 0 |
#30 水野幹太(営1) | 183/75 | PG | 福島南 | 8 | 1 | 2 |
#6 中村太地(法2) | 190/79 | G | 福大大濠 | 14 | 6 | 1 |
#5 玉城啓太(法3) | 175/65 | SG | 京北 | 7 | 1 | 0 |
#2 野口勇樹(法3) | 181/70 | SG | 土浦日大 | 2 | 1 | 1 |
#54 小野玲音(文3) | 178/70 | F | 法政二 | 0 | 0 | 0 |
戦評
順位決定戦第1戦で完全勝利を果たした法大ファイブ。2部9位の立大相手に連勝することで2部で戦う実力があると証明される。法政のプライドを懸けた一戦となった。
ジャンプボールを制したのは立大。法大はマンツーマンディフェンスで迎え撃った。ディフェンスが1枚抜かれてもコミュニケーションを取り、冷静にスイッチすることで対処。堅い守りを見せた。良い守りから良い攻撃へ。4年生がハーフラインあたりでカットし、速攻という展開。最上級生がボールへの執念を見せ、チームを鼓舞した。21-16。5点リードで第2Qへ。
第2Qは良いとは言えない立ち上がりだった。連続でシュートを沈められ、21-23と負け越してしまう。法大はタイムアウトを取り、建て直しを図る。両チーム、速攻を中心に点を積み重ね、互角の戦いを繰り広げた。流れを引き寄せたのは残り3分20秒の鈴木悠介(法2)のバスケットカウント。このプレーから10点を連続で得点。一時はリードを許したものの、第1Qのリードを保ったまま第2Qを終えた。
中村太地(法2)の攻撃力が爆発した第3Q。このクォーターのみでバスケットカウント、スリーポイントを含む12得点。中村の活躍により一気に点差が開いた。ディフェンスではキャプテン・植村の「前から!」という大きな声が響いた。キャプテンを中心としたバックコートから積極的にボールを取りに行く攻撃的なディフェンスを披露。攻守ともに機能し、79-51。
第4Q。十分点差が開いていたが、最後まで手を抜かなかった。残り2分になってもオールコートディフェンスで相手を追い詰める。最後は4年生和田直也(法4)がラストプレーでスリーポイントを沈め、96-70。優秀の美を飾った。
才能ある下級生が多い法大。しかし、4年生の存在が大きいことは今試合のスタッツが証明している。植村、和田、鈴木蓮(現4)、戸堀勇吾(文4)4人の合計得点は47点。合計得点の約半分を占めている。その4年生は今試合で引退を迎えた。残された選手たちは「悔しさ」を忘れず、1部への階段を駆け上がれるか。(高野茜)
監督・選手コメント
佐藤俊二 監督
―今日の試合を振り返って
来年につながるいい形で試合を終えたいと話していて、それが本当にいい形で終われたので良かったと思います。
―やはり今日の勝利は何よりも「うれしい」という気持ちが大きいのではないですか
今日は特にそうですね。今までの3部の試合は自分の中では勝って当たり前というか、淡々とやっている感じでしたが、今日に関しては本当に勝つことが大事でした。
―この1年間を総括して
去年までの良くない流れの中でシーズンが始まって、4年生がチームをつくるという自覚がない中でどんどん4年生にそういう話をして、最終的にチームとしていいチームになったなという感じです。
―その中で植村主将の存在はかなり大きかったのではないですか
植村に関しては下級生の頃からしっかりしていて、リーダーシップを持ってやっていたので、キャプテンを選ぶ際にも全員から「植村で」という話で、本人からも「自分がやります」という話でした。他の4年生は最初少しついてこれない時もありましたが、リーグ戦、特に後半戦に関してはいい形でチームとして成立していたと思います。
―そんな中で、下馬評の高くなかった4年生の鈴木蓮選手、和田選手が最終的にスタメンに定着しました
責任感持ってやってくれましたし、(鈴木)蓮も和田もすごく伸びました。リーグ戦が始まる前、自分は(二人を)ベンチに入れるかどうなのかと思っていましたが、今となっては逆にいないとチームとして成立しない、必要な選手になってくれたので、4年生の力は大学バスケでは大事だなということを改めて実感しています。
―ロスターに定着した戸堀選手も含め、これらの4年生はディフェンスやリバウンドなど、泥臭いプレーで貢献しました
身体能力がそこまで優れていない中で、チームにどうやって貢献できるかというところを理解していました。そういったプレーが結局試合の分かれ目になったりするので、彼らがいなくなる来年にもう一度その大事さを下級生に語りたいと思います。
―連続降格を喫したこの2年間でチームにあった「悪い流れ」は今季で払拭できたと思いますか
そうですね。それを払拭するためだけにこの1年間やってきたようなものなので。過去2年間に関しては悪いことがありましたが、今年は良かったので、その良かったことをしっかり刻んで、より厳しい戦いが予想される来年に向けて良い流れができたと思います。
―そういった点ではこの1年は「成功」だったと言えるのではないでしょうか
自分の力不足をいろいろと感じながらやっていたところもありました。僕も実質的に指揮をとるのは1年目ということで、勉強しながらやっていました。でも最低限2部に上がれたということと、チームの雰囲気も声かけあったり、いい雰囲気になったので、そういう意味でもこの1年は成功だと思います。
―最上級生となる3年生について
3年生はまだ自覚がないから、あとは本人たちが本当に腹の底から1部に上がりたいと思っているか、そこが大事だと思います。ここからはまた3年生が腹を割って話さなければならないと思います。(―3年生が卒業してしまうと1部リーグを経験した選手がいなくなってしまいます。そういった意味でも来季での昇格が重要ではないでしょうか)そうですね。やはり大学バスケは1部でやる価値がものすごくあると思います。その価値、環境の素晴らしさを落とし込まないといけないと思います。
―逸材の揃う下級生に期待することは何でしょうか
とにかく技術をもっともっとレベルアップさせていくことと、あとはミスをしないだとか勝つために必要なことを磨くことですね。高い技術レベルは勝つためのことを積み重ねた上で、Bリーグなどレベルの高いチームでやるときに必要なものだと思っていて、もっとベースの部分、今で言うとルーズボールやリバウンド、ターンオーバーをしないだとかですかね。勝ち続けるチームはこういうチームだということを胸に刻んで、もっと技術を伸ばしていってほしいです。僕は上手ければ勝てるとは思っていないので。
―来季に向けての抱負
(現)1、2年生を主体にやっていくチームなのは間違いないので、彼らのレベルアップですね。特に千代に関してはもっともっとレベルアップしてもらわないとと思っています。2部で勝ち続けることは難しいと思うので、全員が強い選手になってほしいと思います。
―最後に4年生にメッセージをお願いします
まずは4年間お疲れ様でした。今後人生の中でバスケットボールが中心でない生活を送る人が多いと思うので、この環境で学んだことを生かして、今度は自分の人生を「勝てる」ように、楽しんでもらえたらなと思います。
植村哲也(文4)
ー今日の試合を振り返って
昨日より入りが重かったです。それは試合前に(鈴木)蓮とも話していました。昨日40点差で勝ったので法政はちょっと気が緩むだろうし、相手もこのままやられないという思いで来ると思っていました。我慢して僕らが走れる時間帯で離せたことがいい展開につながったと思います。
ー昨年2部で2敗した相手でしたが昨年と比べ変わったところは
ディフェンスですかね。去年は「やらされている」という感じだったんですけど今年は選手たち自身にディフェンスをやるっていう意識がありました。さらにインサイドが成長したので中でも点を取れるようになりました。ディフェンスが中を意識して、外も楽に打てるようになるという展開が多かったです。その成長がチームの成長に通じたと思います。
ー昨日同様、植村選手の得点が目立ちました
プレーに迷いがなかったですね。最後だったので僕もポイントガードだけど攻めるプレーをしようと思いました。4年の最後は自分のプレーを思い切り出そうと思っていたので。空いていたら打つ、相手が寄ったら(パスを)捌くっていうシンプルなことが思い切りできました。
ー順位決定戦に対する思いは
リーグ戦前から「入れ替え戦がなくて良かったね」とは絶対に言われたくなくて。今年は3部で4位以内に入れれば自動昇格っていう条件だったんですけど、だからって順位決定戦で負けたくなかったです。順位決定戦を入れ替え戦だと思って「絶対勝って終わろう」と思っていました。過去2年間、先輩たちは負けて引退してしまいました。先輩たちとはコートで一緒にいる時間が多かったので先輩たちの気持ちも背負って戦おうと思いました。
ー同期への思いは
今年は同期だけでのミーティングも何回も重ねました。その度に他の4年生も練習の雰囲気とか作ってくれました。最上級生になって自覚が芽生えて、チームをまとめようとしてるのが僕だけじゃなかったのでたすかりました。本当に最後にいいチームになれて良かったと思います。
ー最上級生、さらにキャプテンとして過ごした最後の1年間を振り返って
僕は最上級生になったらキャプテンとしてチームをまとめるんだって下級生の頃からやっていたのでキャプテンになったからどうこうっていうのはないです。でも、過去2年間のように負け続けるっていう悪い伝統を僕の代では避けたかったので絶対変えてやると思って1年間死にものぐるいでやりました。
ー2部の立大相手に快勝しました。これから2部で戦っていく後輩への期待は
今回、2部のチームに2勝しましたが3部で3敗しています。3部で負けた相手と来年も戦うと思うので悔しさは絶対忘れてはいけないと思います。能力もあってすごいメンツも揃っているチームだとは思うので、いかに油断せずに日頃の練習から課題を突き詰められるかだと思います。誰がまとめるかは分からないですけどみんなで支えあっていければって思います。
ー応援してくれていた方々へメッセージをお願いします
僕が入ってから負け試合の方が多かったと思います。それでも会場に来て応援してくださる方々がいたからこその今回の勝利でした。みなさんのおかげで4年間無事にバスケットボールできました。本当に感謝しています。
水野幹太(営1)
ー今日の試合を振り返って
今まで法大は入れ替え戦で2連敗してて、悪い形で終わっていたので、それをキャプテンの哲さん(植村)が「勝って終わろう。来年に繋げたいし、自分達も勝ちたいから」と言っていました。それを意識できたのが良かったと思います。
ーどのような気持ちで最終戦に臨んだか
4年生がラストだったので、4年生がいい気持ちで終われるようにしたかったので、その勢いで後輩たちが頑張れたのかな、と思います。
ー4年生の引退試合でもありました
チームとしては勝って終わるというのが法政をこれから勢い付けるための鍵になりますし、そういう流れに持っていきたかったです。練習中でもキャプテンをはじめ4年生が声をかけてくれたので、自分達もそこで勢いにのれたのではないかなというのがありました。その勢いのまま来年も勝っていきたいな、と思います。
ー自身の役割をどのように設定してプレーしていましたか
ガードなので、周りの人を生かしてあげるっていうのももちろんなんですけど、でも自分で点を取っていけないと、2部や1部で戦えないので。そういうところで「自分が点を取って」っていうので周りの選手に合わせられればいいかな、と思います。
ー来年は2年生となります
学年的には2年生はまだ下級生の方なので。最近はターンオーバーも多かったので、それを減らして、あとはもっと体をつくって、色んなプレーができるようになればと思います。
ー2部相手に点差を開けての勝利でした。来年はどうなると思いますか
今年は4年生の力が本当に大きかったです。来年も4年生の力が強いと思うので、その4年生たちと一緒に自分達が盛り上げていけば、全然勝てないということはないと思います。来年は全員で戦っていきたいです。