【アメフト】対明大 残り32秒の逆転劇 まさかの32年ぶりの敗退

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【アメフト】対明大 残り32秒の逆転劇 まさかの32年ぶりの敗退

2018秋季関東リーグ戦
2019年9月2日(日)
アミノバイタルフィールド

今季は異例の7チームでしのぎを削りある1部TOP8。例年より一試合減ったために一試合ごとの重みが増す。しかし初戦の接戦を制したのは明大。4Q終盤に逆転をするも、ラストプレーで再度逆転を許してしまう。空席となった王者の椅子を狙うのは何も法大だけではなかった。

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初戦敗北に肩を落とす法大と勝利にわく明大

試合結果

トータル試合結果

16 7 1Q 0 14
3 2Q 7
0 3Q 0
明治大学 6 4Q 7 法政大学
 

試合得点

時間 ポジション 選手 得点方法 TFP
2 5:44 QB 野辺歩夢(キャ3) TD
4 11:28 WR 高津佐隼矢(キャ4) TD
 

戦評

照明が降り注ぐグランドに法大の校歌がとどろく。法大生の誇りを胸にオレンジの秋季リーグが始まる。

1Q序盤は法政ペースで展開するも、QB野辺からWR高津佐へのバックパス、そして高津佐からさらにレシーバーへ投げるスペシャルプレーで明大を畳みかけようとするもこれを明大DBがインターセプト。その後は両者空中線を繰り広げるも決めきれず。1Qで計3インターセプトが記録された。しかし明大のRB小泉亜斗夢のパワーランを法大ディフェンスは止めきれれず、先制点を許してしまう。
2QではLB篠原彰太(スポ4)によるパスラッシュや、相手のスナップミスにより好位置から攻撃権を得ると、法大は外フェイクの中のランで敵陣深くまで攻め込み、最後はQB野辺が自ら走りTD。その後明大にうまく時間を使われ、前半終了間際にFGを決められ3点リードを許し後半へ。

3Qでは野辺が自身の持ち味の足を生かし攻撃のリズムに乗るも、明大が小泉のラン主体から切り替えてパスとランをバランスよく使い分け、法大にオフェンスの時間を与えない。
4Q始めは敵陣からの法大オフェンス。エースレシーバー高津佐にロングとショートパスを続けて投げるも5yrdsを残し4回目の攻撃へ。ここで勝負に出た法大はギャンブルを選択するも第1ターゲットをカバーされ、更新ならず。反対に明大は敵陣でギャンブルを成功させ、法大も粘りのディフェンスを見せるもFGで追加点を入れられる。しかし甲子園の先を見据える法大は負けられない。明大のファンブルにより攻撃権を得ると、高津佐へのロングパスが決まりTD。その後のキックをK三宅俊介(キャ4)が決め、試合終了まで残り32秒で見事逆転してみせた。これで白星スタートかと思われた矢先、明大によるミドルパス成功と法大の反則により一気にFG圏内へ侵入される。試合終了間際、法大サイド観客席からの祈りは通じず、勝敗を決するFGを入れられ、会場には歓声と悲鳴が入り混じった。こうして法大の秋は黒星スタート発進となった。

前半に小泉のランで勢いづいた明大を最後まで止めきることができなかった法大。結果32年ぶりという歴史的敗戦を喫した。TOP8を制覇するにはもうあとがない法大。今日の試合の分かれ目は、ギャンブルを安定して決めきれる明大と決めきれなかった法大という点にあるように思われる。今後法大がどう修正し、強者とどう闘うのか、一アメフトファンとして期待するばかりだ。(上野翔)

監督・選手コメント

有澤玄監督

ー初戦を黒星で迎えてしまったことはどのように捉えていますか
負けたのは事実ですので、悔しい気持ちです。

ー最後決めきれなかった要因はどこでしょうか
全体的に硬くならないように、いつも通りにと思っていましたが、向こうのいいプレーだとか明治さんの勢いに気持ちが引いてしまったところがコーチも含めてあったのではないかなと思います。

ー技術面よりも精神面で持っていかれたと
気持ちの面でも(要因としては)大きいなと。

ー今日のオフェンス陣のプレーについてはいかがですか
結構向こうの勢いにやられたところも目立ちましたが、最後にはちゃんと逆転が取れてました。あとは細かく見てみないとわからないですね。

ーディフェンス陣のプレーに関しては
明大のバックがすごい良くて、ズルズルとやられることが多かったので、もう少ししっかりとタックルができればよかったかなと思っています。

ーこの夏は主に何を目標して練習をされていましたか
目標は社会人に勝とうということでやっています。夏はフィジカル、ファンダメンタルをしっかり作るということと、安全にタフなフットボールをしようということを取り組みました。

ーその取り組みは今日の試合で反映されましたか
けが人はほとんど出ていないので、その意味ではタフなフットボールをできたと思います。

ーこの夏の間に成長したと思う選手はいますか
ロースター制ということで、そこに向けて選手全員が頑張ってくれていたと思います。

ー次戦の日体大戦に向けての意気込みをお願いします
今日負けてしまいましたが、応援して頂いている皆さんに自分たちがしっかりと取り組んでいる姿を見せれるようにしたいと思います。日体大さんも強いですが、頑張りたいと思います。

寺林翼(文4)主将

―初戦敗戦となってしまいましたが今の心境は
負けたのは変わらないのでそこだけしっかり受け入れて、リーグ戦はまだ終わったわけではないので次の試合をどう戦うのかを考えるだけですね。

―試合開始前に、チーム内で今回の試合展開をどのようにするかなど話していたことはありますか
明治もしっかり準備してきていて、自信のあるプレーをいっぱい持っているのはわかっていたので、それをしっかり止めよう、というのがディフェンスの方針でした。オフェンスもしっかりフィールド使って攻めようとなっていたのですが、普段通りにはいかなくて、という感じでした。

―試合前に相手のオフェンスで警戒していた選手などはいましたか
やっぱり、RBの福田夕斗選手と、小泉選手の2人ですね。

―小泉選手に前半では多く走られてしまいましたが、ハーフタイムでどのような対策を立てましたか
ちょっとうちが考え過ぎていて、変に複雑に守ろうとしてしまったところで変に段差が生まれてしまったので、ハーフタイムではシンプルに役割からしっかり守ろうということで守り方を変えた結果、しっかり止まるようになったと思います。

―明治大学全体としての印象はどうでしたか
一人一人の勝利への執念が強いチームで、1プレイ1プレイを凄い激しく戦ってくるチームでした。

―次戦(日体大)に向けての意気込みをお願いします
元々オフェンスのパスチームが強いチームだったのですが、今年は結構ディフェンスも強くて、パスチームもさらに精度を上げてきています。なので、ディフェンスはしっかりとそのパスに対してどう止めるかを考えて、オフェンスは強いディフェンスに対してしっかりフィールドを上手く使って出せるように対策していきたいと思います。

吉田郁(人4)

ー今日の試合を振り返って
ディフェンスもタックルミスが多く、やはり止められるところで止められていないのが多く出された原因で、負けたのも変わらないので、そこをしっかり改善して次に臨みたいと思います。

ー相手はランで攻めてくることが多かったが
やはり向こうの武器というのが、強いパワーランなので、向こうも自信を持ってランプレーをやってきたので、そこを止められなかったのが勝敗に関わってきたなと思います。

ーロスタックルを決めていたが
しっかり役割を守ったうえでロスタックルを決めることができたので、そこは良かったと思うのですが、やっぱり自分たちが仕留めきれていないところがあり、ロスタックルをしても、結局タックルミスしては意味無いので、そこを突き詰めていかなければならないと思います。

ーディフェンスラインの全体的な出来は
ディフェンスラインに関しては、結構うまくできていたと思うのですが、そのうまくできたところよりもさらにうまくできないと、やっぱりタックルできないので、そこをもっと上げていかないといけないなと思います。

ー副キャプテンとしてどのような声かけをしたか
初戦なので、やっぱりみんな緊張していると思うので、とにかく思い切りやろうと。緊張はしているとは思うのですが、しっかり自分の出せる実力を出そうという声かけをしました。

ー次の試合に向けて
今回は負けという形になったのですが、次だけではなく全て勝ってライスボウル行きたいので、とにかく勝ちます。

篠原彰太

ー今日の試合を振り返って
デフェンスとしてはそんなに悪くなかったと思いますが、まだまだ甘いところがあることが改めて認識できました。

ー敗戦について
昔にも第1戦で敗戦してから、その後全勝して甲子園ボウルに行った代もあるので、気持ちはまだ切れてないです。ここから勝てると思っているので、しっかり修正していきます。

ーリードされる展開が続きましたが
あまり気にはしていなかったです。しかし、結果が結果なのでそれが全てだと思います。

ーチームの雰囲気は
みんなが楽しめている感じがしていたので、悪くなかったと思います。

ー副将として声を掛けたりは
そこが気になっている部分でした。自分自身も今日がデビュー戦であまり周りが見れていなかったので、もう少しチームのことを見て行動できた部分は気になっています。

ー次の試合に向けて
敗戦はしましたが、これから挽回していくので今後も応援宜しくお願いします。

野辺歩夢

ー初戦敗退をどう受け止めていますか
単純に悔しいという事と初戦負けてもあと勝てばいいので切り替えないとダメだなと思います。負けは負けなので、そこまで自分自身としては悲観はしてないです。

ー本日の調子はいかがでしたか
春けがして、色々な面で不安がある状態で臨みましたが、そんなに悪くはなかったかなと思います。久しぶりの試合で怖さがありましたが、後半からは消えてきて思い切ったプレーができるようになったかなと思います。

ーその怖さはタックルによるものですか
そうですね、けがしたので。あとは単純にQBとしてチームを引っ張らなければいけない存在で上級生として自分自身がやらなきゃなというプレッシャーの面での怖さもありました。

ー本日は1・2年生QBと代わる代わるプレーしていましたが
膝のけがや自分の実力不足で一人で引っ張っていけないことによるチームからの不安があったので、それぞれのQBの足りないところをお互い補いながらやっていこうというチーム方針です。

ー野辺選手から見て他の2名のQBの動きは
勝本将馬(社3)は法政の伝統であるオプションプレー(プレーの選択肢が複数あり、プレー中に相手の動きで即座に有利なプレーをチョイスする)をこなせるQBで、足も早くラインを抜ければ一発で持っていける力があります。小田賀優介(営1)は一年生ながらに本当に努力家でプレー面もアメフト以外の私生活でも、後輩ですけどリスペクトできるところがたくさんあります。いい刺激を受けるQB陣です。

ー勝本選手の得意とするオプションプレーが法政としては比較的少なかったように見受けられましたが
勝本が最初にオプションしたときにちょっと出なさそうだなという判断で、今回は控えるように切り替えました。ビデオを見ないと分かりませんが、あのままやってたら個人的には出たのではないかなという印象です。次の試合も自分と勝本と小田賀の味の違う3人のQBでやっていきたいと思います。噛み合っていないとか誰が悪いとかではないので、問題はないと思います。

ー本日の試合ではジェットスウィープ(中央に走り込むレシーバーへの手渡しによるオープンラン)やそのフェイクを中心に組み立てられているように見えましたが
スカウティングの段階で明治ディフェンスが中に人数を集めていたので、フィールドを広く使っていくようにジェットスウィープを絡めたプレーをやっていきました。

ーハーフタイムで明治ディフェンスの情報を精査した上で、後半の攻め方の方針は
攻め方に関しては間違っていないと思っていて、出るとこは出たし出ないところは出ないでしょうがないと。ただ噛み合っていないというか、悪くはないけど敵の選んだプレーの相性の運がなかったり、僕たちが戦術で悪いというよりは、そういう面で出ないこともありました。そこを実力で打開できなかったのが敗因なのかなと思います。

ー今後その運のような要素で不利になった場合のチームとして打開するには何が必要だと思いますか
僕たちはフィジカルで勝つって言ってるように、アメフトは戦略も大事ですが1対1で勝ってたらそんなこと関係ないので、シーズン中ですけどフィジカルで勝つということを今後もぶれずにやっていきます。他の大学にもフィジカルや1対1で勝つというところでやっていきたいと思います。

ー試合1プレー目や、最後のTDパスでは高津佐選手をターゲットとしていましたが
学生界でもトップで、投げたら取ってくれるので、お願いしますと言った形で投げてます。

ー逆転前の4Qのシリーズでギャンブル(攻撃権を更新するか失うかの勝負の分かれ目)失敗となりましたが
練習からTE川村さんも信頼できるレシーバーで、そこをターゲットとしてプレーに入りましたが、相手に読まれてしまっていました。そこで川村さんに投げて決めていれば自分が1対1の勝負で勝ったという形になりましたが、勝負所から逃げてしまってロールして投げ捨てしてしまいました。ここが今回の試合で後悔する部分かなと思います。

ー明治ディフェンスに対して2TDという結果に対して
自分の実力不足だなと思いますね。ディフェンスはよく守ってくれていたので、取れる部分はたくさんあったのかなと思います。

ー次戦に向けて
もう負けれないので、一所懸命に勝っていきたいです。ただ、僕たちは勝利至上主義というか勝ちにこだわりすぎて大事なものを見失わないようにしたいです。フットボールを単純に楽しむ上で勝利を手に入れたいと思います。

 

フォトギャラリー

  • DSC 0505 R初戦敗北に肩を落とす法大と勝利にわく明大
  • DSC 0435 R今年こそ甲子園と声援を送る法大サイド
  • DSC 0045 R好リターンをみせたRB小林颯希(法3)
  • DSC 0143 RアクロバティックなTDで魅せた野辺
  • DSC 0086 R粘りを見せた法大ディフェンス
  • DSC 0205 Rギャングタックルで相手に進撃させない
  • DSC 0150 R野辺と高津佐のホットラインでTDをもぎ取る
  • DSC 0464 R劇的逆転のキックを決めた三宅
 

 

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