【重量挙】全日本学生選抜選手権・全日本ジュニア選手権 新チーム始動で出場者全員が表彰台に、インカレ優勝に向け出だしは好調!
全日本学生選抜選手権・全日本ジュニア選手権
2019年3月7~10日(木~日)
スポーツ総合センター(上尾市)
昨年末、前年度と比べ2つの順位を落とし4位でインカレを終えた法大。階級が新しく変わり、新チームへと移行していく今大会は。全日本選抜選手権では67kg級の古屋敷、109kg級の福本が出場し、共に優勝。新1年生となる高校生も出場した全日本ジュニア選手権では出場した選手全員が表彰台にあがる。+109kg級の宮城が世界ジュニア選手権の選考基準記録に到達するなど、幸先の良いスタートを切った。
試合結果
個人成績(丸数字は順位)
大会 | 階級 | 選手名 | スナッチ | クリーン&ジャーク | トータル | |||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
全日本学生選抜 | 67kg級 | 古屋敷 拓也 | 108〇 | 113× | 113〇 | 1位 | 145〇 | 150〇 | 159× | 1位 | 263 | 1位 |
109kg級 | 福本 龍馬 | 135〇 | 140× | 140〇 | 2位 | 165〇 | 171〇 | 177〇 | 1位 | 317 | 1位 | |
全日本ジュニア | 61kg級 | 西田 陽風 | 104〇 | 108〇 | 110× | 2位 | 131× | 131× | 131〇 | 1位 | 239 | 3位 |
96kg級 |
岡 裕智 | 135〇 | 140〇 | 145× | 1位 | 160〇 | 165× | 165〇 | 3位 | 305 | 1位 | |
102kg級 | 澤登 健太郎 | 135× | 135〇 | 142× | 1位 | 165× | 165〇 | 170× | 1位 | 300 | 1位 | |
+109kg級 | 宮城 昌義 | 140〇 | 145〇 | 150〇 | 2位 | 180〇 | 185× | 185〇 | 2位 | 335 | 2位 |
戦評
大会初日。67kg級に出場したのは古屋敷。この大会67kg唯一の出場選手で、記録を残せばその時点で優勝という状況。練習で自己新記録を狙える状態だったものの、「痛いところだらけ」だったと語る古屋敷。大会前日にふくらはぎや指を痛め、万全ではない状態だった。スナッチの108㌔をあげると次の113㌔を失敗。自己ベストの120㌔には及ばない結果だった。続くクリーン&ジャークは145㌔、150㌔と成功させると、自己記録の158㌔を超える159㌔に挑戦。しかしこれを上げることができず、トータルは263に。最上級生となる今年最初の大会を「最悪の試技」と語った古屋敷。今大会で選抜を制し、残る個人、インカレのタイトル三冠を目指す。
インカレでは「かなり調子が悪かった」と語った福本。今大会では風邪をひいている状態でそれらを感じさせない堂々とした試技を見せつけた。スナッチの記録は三度目にあげた140㌔で2位に。優勝を狙っていた福本はジャークで巻き返しを図った。165、171、177と、すべての試技を成功させた福本。「持っている力を結構出せた」と語り、トータル記録で1位に輝いた。スナッチの二本目でひじが曲がってしまい反則で失敗になったことを下らないミスだったと語る福本。新しいチームの主将として、この優勝だけでなく、チーム一丸となって目標であるインカレ優勝に向けて記録を伸ばしていくだろう。
男子61㎏級に出場したのは法大軽量級のホープ、西田陽風。優勝、そして世界ジュニアの基準を超えることを目指して挑んだ。迎えたスナッチ。104㌔からスタートさせ2本目の108㌔まで危なげなくクリア。惜しくも3本目の110㌔を上げることはできなかったが2位でスナッチを終えた。逆転優勝を狙って挑んだジャークではまさかの展開となった。スタート重量に131㌔を設定。大きく深呼吸をし、持ち上げようとするが落としてしまう。続く2本目も同重量に挑むも、またしても失敗となってしまった。3本目は何とか成功させるもジャークの2本の失敗が響き、記録を伸ばすことができなかった。総合3位でこそあるものの西田はその結果について「悔しいです」と語った。肩回りの強化という新しい課題を見つけた西田。この大会の悔しさを糧に次の大会での躍進を目指す。
男子96㎏に出場したのは岡裕智。全日本学生新人では途中けがをして悔しい思いをした岡だが、今日はスタート重量を1番重くするなど攻めの試技を見せた。スナッチは2本目まで安定して成功させ3本目で世界ジュニアの選考記録である145㌔に挑んだ。しかし持ち上げるも、落としてしまい失敗となってしまったが、スナッチは2位と大差をつけ1位で折り返した。迎えたジャーク。1本目を成功させ、2本目の165㌔に挑むも惜しくも成功ならず。3本目で同重量に挑戦して何とか成功させジャークは3位となった。スナッチで大差をつけたおかげでほかの選手が追い上げを見せるも、何とか首位をキープ。大学に入ってから初の優勝となった。しかし「自己新記録を狙う試技を目指していたので4本成功という結果は悔しいです。」と悔しさをにじませた。
男子102kg級には澤登が出場。スナッチとジャーク世界ジュニア選手権の選考基準記録であるトータル322㌔を目標にスナッチを142㌔、ジャークを170㌔に挑戦するものの、失敗。選考基準記録には届かなかったものの、スナッチの135㌔、ジャークの165㌔のトータル300㌔で1位に輝いた。期待の1年生として活躍した今年度。新チームの戦力としてインカレ優勝に貢献するだろう。
男子+109kg級に出場したのは宮城昌義。安定した試技を見せた。スナッチは140㌔からスタート。宮城自身が目標にしていた150㌔まで成功させて2位でジャークへ。ジャークは1本目180㌔を成功させるも、2本目185㌔を惜しくも落としてしまい失敗となった。しかし、3本目で同重量を成功させ2位をキープ。結果、準優勝となった。記録においても世界ジュニアの選考記録を超え、「自分の中では満足している」と喜びを見せた。
(小島周、須藤大樹)
監督・選手インタビュー
平良 朝順 監督
—今大会の総括をお願いします
選抜選手権と全日本ジュニア、選抜は二人とも優勝でジュニアは全員が表彰台でその中の優勝二人と。今年初めの大会としてはまずまずだったのかなというふうに思っております。
–62㌔級の西田選手のついて
古屋敷は今年ものすごく調子が良かったんですが、疲れが出たのかな、本調子ではなかったけど試合に出て。本来であれば不本意な記録、結果ではあるけれど、悪いなりにはよかったのかなと思います。
–69㌔級の古屋敷選手、大城選手について
福本も最後の調整の段階で足首を痛めて調整の途中でストップしたんですけど、まさか177まで上げると思わなかったし、そのおかげで逆転して優勝して。あのメンバーだと3番手くらいの実力だったのですが、最後まで諦めず自己ベストまで持っていって。彼も悪いなりには良い結果で、なおかつ優勝したので今回は言うことはないと。だらけることはないようにと注意はしてますけど。
–77㌔級の渡邉選手について
西田も調子が良かったり悪かったりと。彼は一番メンバーの中で優勝できると踏んでいたのですが3番になってしまって。高校生に負けたというのが本人が一番悔しいと思いますがこちらとしても不本意でしたね。
–105㌔級の澤登選手、福本選手について
岡は調子良かったね。インカレが終わってから今年一番伸びた選手で、調子も良くて。順当な結果、記録と思います。
–+105㌔級の野中選手、宮城選手について
澤登はね、調整のスタート重量をあげるときは良かったのけど、アップ重量という最後の練習で前日に熱を出して体調を崩したというのが305というトータルの結果に繋がって。本人は322の世界ジュニアを狙っていたので大変残念がっていました。体調を崩すということについてを、高い授業料ではありますが今後に役立ててほしいです。
–105㌔級の澤登選手、福本選手について
宮城は良かったね。スナッチ150のジャーク185という重さを初めてあげましたし、ハードルは333という世界ジュニアの代表としてもクリアしましたし。彼は日本代表になるんじゃないかな。階級の順位としては2番目でしたけどその下の階級で該当者がいないので世界ジュニアで日本代表になれるんじゃないかな。欲を言えばきりがないので、今の記録がまずまず良くやったという感じですね。
—今大会は部としてどういった位置付けで臨みましたか
選抜選手権に出場した選手はタイトルを狙う。ジュニア選手権に出場した選手は世界ジュニア選手権の日本代表になるためのハードルとして、規定がありますからね、そのハードルを超えて日本代表となるということがこの大会での目標でした。そういった意味で宮城はよく頑張ったし、選抜選手権に出た二人もタイトルを取ってまだ喜ぶレベルではないけどその目標はクリアできたから良かったと思います。
—新階級となりましたが変わったことなどはありますか
いえ、特に変わったことというはないですね。みんな同じ条件なので。
—次の大会へ向けて
今度は大阪羽曳野で個人戦があるので、今回出場してない選手はそれに合わせて調整してるので各自タイトルを取れるように頑張って自己記録を目指す。対抗戦のメンバーに選ばれるように頑張ってもらいたいです。なんとしても勝たないと。勝たないともう忘れられちゃうから(笑)。
古屋敷 拓也
—今日の調子
3週間前までは調子が良くて、スナッチ120㌔ジャークは158㌔の自己新が出るくらい良かったのですが、それからふくらはぎを肉離れしたり手の親指をねんざしたり手首痛めたり。痛いところだらけで今日を迎えました。試技の結果としてそのまま出てきたという感じです。
—今日の結果をどう感じますか
ここ最近中では最悪の試技をした感じがします。
—新チームの目標など
去年は4位という不甲斐ない結果で監督、先輩、OBの方々にすごい申し訳ない気持ちになっていたのですが、新チームとしてもうすぐ1年生も入ってくるので、今年の全日本大学対抗(インカレ)は優勝しなくてはならないと思っています。
—新階級になった影響など
去年は69kg級で出場してましたが、2kg落として出場しました。練習ができていなくて体重がうまく落とせず、サウナやお風呂で体重を落としたのですが、最後のジャークの159kgを、(設定する重さを)一気に上げてしまったというのもあると思うのですが両足をつってしまって、立とうと思っても立てませんでした。
—減量が影響しているということでしょうか
67kg級初めてなので、練習していなかったからこうなったと思います。これからはうまく調整していかないとインカレで67kg級を任せてもらえないと思うのでこれからもっと頑張りたいと思います。
—今後の目標の記録
監督には、スナッチ130、ジャーク170と言われているのですが、今の段階だとスナッチ128、ジャーク168を目指していて、ジャーク168kgは大学新記録なので頑張りたいと思っています。
—今日の67kg級では対抗の選手がいませんでしたが、重量を設定する目安などは
どんな記録でも一本あげれば優勝だったので、いろんな場所を痛めていたので下げて設定したのですが、油断もあったかもしれないと思っています。
—次の試合に向けて
次の試合は4月下旬の全日本学生個人なのですが、自分はまだ就活があるので、調整がうまくいかないかもしれませんが選抜、個人、インカレを三冠したいので頑張りたいと思っています。
福本 龍馬
ーインカレから今日までのコンディションとしては
インカレよりは全然良い感じに調子持ってこれたんですけど、まだ万全で感じではないです。結果は良かったんですけど、結果までの練習の状態が万全ではなかったので、もう少し調子を上げていきたかったです。でも1番だったので満足です。
ー今年から新階級に変わりましたが
前が105で今は109で4㌔の差があるのでもっとこれから体重増やして力をつけてインカレで優勝できるように頑張っていきたいなと思います。
ー新チームが始動しましたが
雰囲気は良い方だと思いますよ。よくわかりませんが(笑)。
ーそのチームの目標は
もちろんインカレの団体で優勝することです。
ー今日の試技を振り返って
スナッチは自己新が出るくらい軽かったです。2本目に右ひじが曲がっていたので反則になってしまいました。あれはちょっとくだらないミスだったかなと思います。そこは結構悔しいです。ジャークは今持っている力は結構出せたと思うので満足です。
ーインカレでは不調でしたがどのように立ち直りましたか
足が弱かったのでスクワットとデッドリフトという練習を重点的にやって最初の引き出しを軽くするような練習をしていたら調子が上がっていきました。
ー今日の試技の満足度は
80点くらいです。スナッチの2本目失敗したのが少し減点で、優勝はできたんですけどどっちも自己新は更新できなかったのでそこが減点です。
ーマスクをしていらっしゃいますが
風邪をひいてかなり体調が悪いです。
ー競技への影響は
意外と大丈夫でしたよ。
ー次の大会に向けて
次は5月の大阪で行われる全日本個人なのでそこでも優勝できるように頑張ります。
西田 陽風
岡 裕智
ー今日の試技を振り返って
スナッチの3本目とジャークの2本目を落としてしまって4本成功でした。そこがちょっと自分の中では確実に6本を取るという形だったので悔しいです。
ースナッチの3本目では落としてしまった時、頭に当たっていましたが
全然大丈夫でしたよ。救護の方が手厚くリカバーをしてくれました。あとは自分の気持ちです。
ー優勝という結果ですが
スタートリストを見た時にほぼ確実に1位になれると確信があったわけではないんですが、重量的には優勝できるような重量差でした。そこを確実にしつつも自分の自己新記録を狙えるような試技ができたらなと思っていたんですけど、4本成功という結果になってしまったのでそこは先ほども言いましたが悔しい気持ちです。
ー大学に入ってから初の優勝ですが
優勝自体は高校3年生の国体の時に経験しているのですが、国体の時はライバルとかもかなりいて、今回の場合はスタートの時点でわかっていたような試合だったのでそこまで優勝という実感というか、義務といことの方が強かったです。自分では確実に(優勝を)取らなければいけないという気持ちがあったので大学初めての優勝だから喜ぶということよりはほぼ義務を果たせたという感じです。
ー今大会の目標としては
世界ジュニアの選考記録というのがありまして、その選考記録がトータルで317㌔なんですね。それで、自分は今までの大会で317㌔の10㌔下くらいまではいってないので世界ジュニアには選ばれないんですけど、その記録を超えることでアジアジュニアとか日本代表になれるような大会に選考される可能性もかなり高くなってくるのでその選考記録を目標に挑みました。
ー惜しくもその世界ジュニアの記録には届きませんでしたが
スナッチの145㌔は練習不足ですかね。あとは自分の練習の仕方とかでしょうか。量であったり質であったりとかの面で足りなかったのかなと思います。質を高めるようにこれから練習しなきゃなという課題が見つかる試技になりました。
ー今の自己ベストは
今年度の国体でスナッチが140㌔、ジャークが168㌔になりました。
ー10月の全日本新人ではけがをされましたが
練習ができないような状況であったので他の選手のサポートであったりとかを重点的にできるようにしていました。
ー今大会に向けて重点的に練習してきたことは
重量を本数できるようにするとともに、デットリフトを自分の最高目標としている、今で言えば世界ジュニアの選考記録を目指して、スナッチであれば145㌔、ジャークが173㌔、トータル318㌔を超えられるようにやってきました。
ー今日のコンディションは
まぁまぁですね(笑)。自分の家族がいたのでいろいろと自分をリラックスさせてくれるとかケアをしてくれました。自分のことを考えて行動してくれたので感謝してます。
ー今後に向けて
次の全日本個人はやっぱり世界ジュニアの選考記録を狙っていきたいです。自分は金メダルを今回もらってますけど、世界ジュニアの記録を超えつつもその記録を安定して取れて、それでいて日本代表として世界の大会に出れるような選手になっていきたいです。
澤登 健太郎
—今日の調子
悪く無いかなという感じです。
—ここ最近の練習で自己ベストをあげられたりは
ありませんでしたが、狙いたいという感じです。
—スナッチ、ジャークの重さを決める目安など
世界ジュニア選手権の基準があったのでそれをあげられるように目指しました。
—現在の自己ベストと目標の記録
スナッチ137kg、ジャーク170kgぐらいです。今回の試合はは目標はトータルで322kgを取るつもりでいたのでスナッチ142のジャーク180ですかね。
—新チームの雰囲気など
先輩たちが自分たち後輩を気にしてくれていて、すごいまとまりがあって対抗戦もいけそうな雰囲気があると思います。
—今大会が今年最初の大会だと思いますが、出だしとしてどうでしたか
もう試合の結果の通りですね。
—この大会は自分の中でどういう位置付けでしたか
もう世界ジュニア選手権に出るつもりでやりました。
—次の大会へ向けて
次もダメな試合にしないように頑張ります。
宮城 昌義
ー今日の試技を振り返って
スナッチはだいぶ良かったんですけど、ジャークの2本目でクリーンがあんまり良くなくて落としてしまったというのが反省点です。それ以外はだいぶ良かったです。
ー今大会から新階級となりましたが
自分は+の階級なのであんまり影響は出なかったです。
ー今大会の目標は
目標の重量はスナッチ150㌔、ジャーク190㌔で設定していて、スナッチはいけたんですけど、ジャークで190キロ取れなくなってしまいました。でも世界ジュニアの基準記録を取れることができたので良いかなと思います。
ー結果としては準優勝ですが
まだまだ自分の力がわかれてないのがはっきりわかった大会でした。もっとこれからも練習していって横山太偉雅(九国大)に勝てるように頑張りたいと思います。
ー今日のコンディションは
今日はだいぶ良くて、いつもだったら体が動きにくいとかあったんですけど、今日はそれがなくて良い感じでした。
ー今大会に向けて意識して練習したことは
この大会に向けてはただ単に基準記録を取ることを目標にやっていたので、どれだけ重い重量を普段の練習で触れるかを重点的に置いていました。デットリフトとかスクワットでも重い重量を追い込むことを意識して練習していました。
ー世界ジュニアの選考記録を超えましたが
久しぶりに世界大会があるのでその記録を超えたいなと頑張っていてプラス2㌔で超えられたのでだいぶ自分の中では満足しています。
ー次回に向けて
まずはけがを治すことです。そこから記録を伸ばすということが今の目標というか自分の大学の中での1番の目標になるのかなと思います。
フォトギャラリー
- 新階級67㎏級のタイトルを制した古屋敷
- 古屋敷と共に選抜選手権に出場した福本もタイトルを制した
- 3位で表彰台に上ったものの悔しさをにじませた西田
- 岡は世界ジュニア選手権の記録を見据えていた
- 成功率は低かったもののしっかり優勝した澤登
- 会場の期待に応えるように満足のいく試技を見せた宮城
- 法大は出場者全員が表彰台に上り、幸先の良いスタートを切った