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【陸上競技】第96回東京箱根間往復大学駅伝競走直前インタビュー 第1回 神野温子、前田理彩、塩山健一

 

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【陸上競技】第96回東京箱根間往復大学駅伝競走直前インタビュー 第1回 神野温子、前田理彩、塩山健一

箱根直前インタビュー
2019年12月15日(土)
法大多摩キャンパス

 東京箱根間往復大学駅伝競走(箱根)まで残すところあと6日。箱根を2週間後に控える今月15日に、箱根への意気込みや想いを伺った。今回は神野温子トレーナー、前田理彩トレーナー、塩山健一トレーナーのインタビューをお届けする。

 

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 チームを支える神野

インタビュー

神野温子

 ―どのような経緯で学生トレーナーになったのか
 私はもともと高校の時に陸上をやっていて怪我が多くて、気持ちとしてはもっと上の大会を目指したかったんですけど力的にはここまでなのかなと感じてしまって、でも何かサポートとして上を目指すことはまだできるなと思ったので、スポーツ健康学部にもトレーナーを目指して入りました。

―普段の仕事はどのようなことをしているか
 トレーナーとしては選手のケア、コンディショニングであったりとか怪我などが起こった場合の応急処置、故障している選手へのトレーニングを出したり、教えたりしています。

―その仕事の中で大変だなと感じることは
 選手の怪我を防ぎきれなかった時とか、もっと自分が何か出来たんじゃないかなと思ってしまった時は自分のメンタル的にも落ち込むことがあるので大変だなと感じることはあります。

―学生トレーナーをするにあたって何か勉強してきたことは
 日々勉強しています。自分は栄養のほうに興味があるのでそういったところを中心に怪我の原因が何なのかを理解していないといけないし、トレーニングが何に効いているのかというのは実際に自分でやらないとわからないところはあるので、選手に与えるものに関してはなるべく理解できるようにしています。

―選手の方に食事の面で指定したりアドバイスすることはありますか
 自分から指定することはないんですけど、例えば選手側からエネルギーがもたないとかというのを聞いた時に食事の食べるタイミングであったり、量であったりをアドバイスすることはあります。

―今まで学生トレーナーをしてきてやりがいを感じた部分は
 選手が実際に結果を出せた時ですね。例えば怪我で悩んでいた選手がしっかり走れるようになって試合で結果を残すことが出来たりした時とかですかね。

―逆に学生トレーナーをしてきて辛さを感じた部分は
 自分がもっと詰めて考えていたら防げた怪我であったり、自分の考えが足りなくて防ぎきれなかったところを考えると、それが次にはつながっていると思うんですけど辛い時はありますね。

―高校時代に陸上をやっていて今生きていることは何かありますか
 自分がこの陸上部の選手に対してわかるレベルのことは限られてはいるんですけど、基本的な感覚はどのレベルに対しても共通するところはあると思うので、自分がそういう経験をしておいて良かったなと思うことはあります。

―今までで1番印象に残っていること
 試合1つ1つはかなり思い出深いところはあるんですけど、12月10日に毎年箱根のエントリーの発表があって自分が2年生の時に怪我をしてあまり走れていなくてエントリーは難しいかなという4年生がいたんですけど、その選手がエントリーに入れなくてすごく泣いている姿を見た時に絶対に他の選手にはこのような思いをさせたくないなと思ったのが自分の中の原点になっているかなと思います。

―学生トレーナーの魅力は
 普通の職業として帯同されているトレーナーさんとは違って学生として毎日毎日選手のことを見ることができていて、自分は朝練も午後練の様子も見れているので1番選手の実態がわかるというのは魅力かなと思います。

―学生トレーナーをしてきた4年間で学んだことは
 もともと自分は人見知りでコミュニケーションを取るのは得意ではなかったので、相手の話を聞くという力はついたと思います。あとはその場で何が求められているのかというのがトレーナーには大事だと思っていて、自分の中でそれを冷静に判断することを大切にして取り組んできたのでそこの力はついたのかなと思っています。

―卒業後は
 卒業後は栄養の専門学校に行って、資格を取ってスポーツ栄養関係の仕事をしたいなと思っています。今までの経験を踏まえてよりサポートの立場を深めていきたいなと思っています。

―箱根を前にした今のチームの雰囲気は
 10月、11月の時点では4年生が怪我で欠けていたりして少し不安な雰囲気はあったと思うんですけど、富津合宿もしっかり出来ていて上向きな雰囲気になっているかなと思います。

―大会前の選手たちとコミュニケーションを取る中で意識していることは何かあるか
 自分が圧をかけないというのはもちろんなんですけど、試合前であるからこそ今の選手の状態を無理に良いように伝えず、より忠実に正確に伝えて、そこからどうしていけばいいのかというのを的確に伝えるというのはかなり意識しています。

―1年生だと河田さんと中園さんがエントリーされていると思うんですけど、その中で中園さんは初めてになると思いますが
 中園はすごく真面目な選手で自分のケアに対しても気を遣ってやっていて、それでいて練習においてもしっかりこなせているのでかなり本番でも力を発揮してくれるのではないかなと期待しています。

―箱根ですることは
 選手に付き添っていつも通り選手がパフォーマンスを発揮できるように、ストレッチであったりとかちょっと水分補給に対してのアドバイスをするであったりとか、選手がいつも通り出発できるようにしています。

―残りの期間でサポートしていきたいこと
 全てではあるんですけど、選手にはいつも通りを心がけてもらって、いかに箱根にベストを持っていけるかというのを選手のケアの面であったりとか栄養の面であったりとかに対して、先を見据えたアドバイスが出来ればなと思っています。

―最後に、大会前の選手の皆さんにメッセージをお願いします
 本当にここまでみんなチーム状況としては大変だったりしたとは思うんですけど、本当に頑張ってきたというか、1つ1つ丁寧にやってきた姿というのはずっと見てきたので、本当に本番は悔いのないように、持っている力を全て出せるようにいつも通り頑張ってほしいと思います。

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神野温子(かみの・あつこ)

前田理彩

ートレーナーになった経緯はなんですか
 高校までは他の競技に取り組んでいたのですが、自分が怪我をした経験もあって、サポートをする側に回ってみたいという気持ちがありました。法政大学に入学をして、陸上部の見学をした際に多くの学生トレーナーの先輩方が活動している姿を見て、それで刺激を受けて陸上部の入部を決意しました。

ーどんなところに刺激を受けましたか
 トレーナーと聞くと漠然と、とりあえずサポートという印象があったのですが、見学の際に見た先輩方の活動は、選手のケアをしたりトレーニングの指導を行ったり、また選手と1対1の会話でコミュニケーションを取っていて、そうした様子に惹かれました。

ー普段の仕事は何をしてますか
 部活の時間はマッサージで選手のケアをしたり、怪我をしている選手に対して補強トレーニングのメニューを組んでいます。また、選手の練習をグラウンドで見たりもしています。

ートレーナーとして心がけていることは何ですか
 病院や治療院とは違って、実際に競技をしている現場での対応をしているので、選手と1対1になった際には、しっかりと目を見て、選手がどう感じているのかを気にするようにしています。

ー陸上部でのトレーナーの役割はどのようなものだと感じてますか
 監督は練習を組んで選手の走りを見て、マネージャーは練習での記録を計測したり、事務作業が多いのですが、トレーナーは選手の心と身体に対するアプローチができると思います。1対1となる場面が多いので、その際にコミュニケーションをとって、選手の様子を監督やマネージャーに伝えたりする役割だと思います。

ー今まで苦労をされた経験はありますか
 法政大学の陸上部は選手の人数が多いので、それだけの人数に対応するのが大変だと感じたことはあります。

ートレーナー活動のどういったところにやりがいを感じてますか
 選手たちとは1年中、週6日一緒に活動をしているのですが、ずっと一緒に過ごしていく中で、少しずつ信頼関係が生まれてきて、会話も弾むようになってくると、選手が自分に慣れてきてくれてるなと感じます。選手たちとコミュニケーションが取れることがやりがいだと感じています。

ー印象に残っていることはありますか
 インカレや箱根駅伝など大きな大会でも選手と帯同させてもらっているのですが、試合では、普段の生活や練習で見ている選手たちとは別人のように切り替わって、かっこいい姿を見せてくれます。さらに、優勝や区間賞を取って帰ってくる姿を見ていると刺激を受けます。

ー大学卒業後は何をされますか
 鍼灸師の資格を取れる学校に3年間通う予定です。将来は現場でのトレーナーをやるかはまだ分かりませんが、治療に重きを置いたトレーナーをやりたいと思っています。

ー陸上部に入って学んだことはなんですか
 プロの治療を行う方とは違って、私たちは資格は持っていませんし、学校の授業で学んだ知識しか持っていません。しかし、自分が持っている知識を選手に対してどうやって活かすのか、その日に学んだ事をどうやって実践していくかを考えて行動していくことが今後のための練習になっていると感じています。

ー箱根駅伝が近づいてきた中でチームの雰囲気はどう感じてますか
 この前メンバー発表がありましたが、主力選手が漏れてしまい、チームとして安心、安全とは言えない状況にあるとは思います。しかし、下級生、特に3年生が頑張ろうとしてくれている雰囲気をものすごく感じます。そうした雰囲気はメンバー内でもメンバー外でもあって、3年生の勢いが4年生を支えてくれているのではないかと思います。

ー箱根駅伝まではどのようにサポートをしていきますか
 選手たちは、自分でコンディションを整えているので、トレーナーの仕事はそこまで多くはないのですが、選手の中で噛み合わない感覚があるようでしたら、すぐに対応をしていきたいです。また、スタッフ側が落ち込んだような雰囲気をしていると、選手に伝わってしまうので、常に笑顔で接して、選手たちが安心して当日走れるような雰囲気作りも大切にしていきたいです。当日は各中継にトレーナーが配置されるので直前まで選手の様子を見たり、走り終わった選手のサポートも行います。

ーファンの方には選手のどのようなところを見てほしいですか
 他の大学と比べると上下関係がある中でも、お互いの仲の良さがいいと思います。そうした選手たちの笑顔のタスキリレーを見てほしです。選手間の仲の良さはファンの方にとっても魅力に感じると思うし、仲の良い部分が法政らしさでもあるので是非タスキをつなぐ瞬間を見てほしいです。

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前田理彩(まえだ・りさ)

塩山健一

 ー普段はどのような点から選手をサポートしているのですか。
 怪我の予防や、怪我からの復帰のため、リハビリやケアなどを中心に行っています。

ー具体的な仕事内容を教えてください。
 ケアは、簡単に言えば体のコンディショニングです。体の動きをよくしたり、疲労をうまく抜けるように、筋肉をほぐしたりします。リハビリは、物理療法の治療器具がそろっているので、それを上手く利用します。また、怪我の要因となる、機能低下した部分をトレーニングし、治しながら、傷害の予防にも努めています。

ートレーナーになろうと思った経緯は
 僕自身が中学時代に陸上をやっていて、その時にお世話になった方の影響です。将来は、誰かを支える立場になりたいな、と思いました。

ーご自身の競技経験が活かせることはありますか。
 走りに関する、選手の表現が理解できることです。たとえば、「ここが痛い。」「ここに違和感がある。」「こういう動作が気になる。」のように言われたときに、走れていた経験があるので、「こういうことかな。」という理解につながります。トレーニングに関しても、自分がやっていた経験があるので、「こういう動きをするとより効果が上がる。」といった『共感』ができる部分は大きいです。

ー選手への精神的なサポートという面で、意識していることは
 去年の箱根でサポートさせていただいた時は、いつも通り接することを意識しました。もともと、テンションの上げ下げの少ない「落ち着いているね。」と言われるキャラなので、試合前の緊張や不安を感じている選手に、いつも通り接することで、安心を与えられるようなサポートをしたつもりです。

ーチームの中でのご自身の立ち位置・役割は
 一番は、チームの方向性を意識してトレーニングやケアをしていく、ということです。アスレチックトレーナーの方針を理解し、方向性を整えられるようにしています。僕もできることはどんどんやっていきますが、独立しているわけではなく、あくまでチームの一員です。チームとして同じ方向を見てやっていけるように意識しています。

ートレーナーのやりがいを教えてください。
 やはり、すぐに変化が見られたときは、やってよかったなと思います。ケアをした後、選手に「めちゃめちゃ良くなりました!」と言ってもらえると嬉しいです。他にも、「ベストを出せた!」や「今日、調子よかった!」と言ってもらえることもやりがいです。

ー今までで、印象に残っていることは
 去年の箱根前の空気です。ポイント練習などでも、ピリッとした雰囲気があり、「あ、箱根モードになったな。」と強く感じました。トレーナーとして箱根駅伝に関わるのが二回目ということもあり、僕自身もスイッチを箱根モードに切り替えることができました。また、周りが箱根に懸けてきた、ということも伝わってきたので、強く印象に残っています。

ー今シーズンのチームの成績を見て、どう思われますか。
 良くはないと思いますし、箱根も楽な戦いにはならないと思います。本番では、ミスなく10人が走れるよう、上手くいくといいな、と思います。

ーこの一年で飛躍が見られた選手は
 鎌田選手です。夏合宿の走りを見ていても、強いな、と思いましたし、自分で考えながら、管理もしながら、上手くやっているのかなと思います。

ーチームの今の状況について教えてください。
 やはり4年生の怪我が多く、佐藤敏也選手のメンバー漏れもありましたが、逆に、いい意味での危機感が出ているように感じます。どのようにしたらまとまるか、結果が良くなるかについて、4年生がチームをまとめて引っ張っています。

ートレーナーとして、法政大学の強みは
 他の大学との比較が分からないので何とも言えませんが、物理療法器具が充実していると感じます。また、トレーニング環境もそろえていただいているので、様々なことに取り組める状況が整っていると思います。あとは、選手がそれらの環境や僕たちトレーナーを上手く利用し、強くなっていけるか、ということがポイントになってくると思います。

ーファンにメッセージをお願いします。
 選手の皆さん頑張っているので、引き続き応援をお願いします。

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塩山健一(しおやま・けんいち)

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