【陸上競技】箱根駅伝直前特集 第4回 悔しさを胸に 挑む3年生 阿部、鹿嶋、細川
2016年12月12日(月)
千葉県富津市
いよいよ箱根駅伝が間近に迫ってきた。今回は、今月前半に行われていた合宿期間中に監督、選手に箱根への意気込みや思いを語っていただいた。
第4回は阿部泰久、鹿嶋隆裕、細川翔太郎。前回味わったそれぞれの悔しさを糧に、今年力をつけてきた3年生にお話を伺った。
※この取材は12月12日に行ったものです。
選手コメント
阿部泰久
ー現在行われている合宿について
この合宿はロードに慣れることが目的で、それをしっかり把握した上で練習ができているので調子は上がっていると思います。
ー改めて予選会を振り返って
走りの面では17kmまでいいペースでしたけど、残りの3kmでスタミナ切れでペースが落ちてしまい、チームとしては通過していい雰囲気だったですけど、自分の走りの上では後悔が残りました。だからといって準備不足だったとは思いたくないし、ただ単に力不足だったと思います。でもチームとして戦うのは初めてだったので、自分の走りが予選会4位につながってとても喜びを感じることのできた予選会だったと思います。
ー予選会では多くの2年生が活躍されました
そうですね、本当にしっかり走ってくれました。悔しい気持ちはあんまりないですけど、チームとして走ってくれていると思うと負けてられないなと思います。
ー前回の箱根はエントリーメンバーには入りましたが、出場することはできませんでした
去年は6区の補欠ということで、田中優大さん(平27年度卒)が走ることになっていました。当日までは諦めていなかったですけど、翌日からは素直に自分の弱さを自覚して、これから自分がどうしたら箱根で走れるかを考えて監督と練習の意図の相談などをしました。自分なりに夏合宿も予選会も体の状態をしっかり作って練習も試合もできているので、今年の本戦走れたらチームとして走ることを重く自覚して、目標のシードに向けて貢献したいと思います。
ートラックでは3000mSCをメインに走られていますが、トラックとの兼ね合いは
正直自分の中では、トラックとロードの気持ちの切り替えはできていてますが、ただ身体は3000mとハーフでは全く距離も違いますし、やっぱり使う筋肉や1試合での疲れの感覚も違うので、3000mSCが素直にハーフの結果に結びつくかはわからないですけど、どちらにしてもチームに貢献する意味では、変わらないと思います。けどトラックレースが終わってから、長い距離に移行するとなったときに、非常に苦戦した部分はありました。
ー予選会では6区を走りたいとおっしゃっていましたが
そうですね。6区のみならず任された区間は何があっても自分の力を最大限に発揮したいと思います。それでも強い根拠はないですけど、6区が自分の中ではやれるのではないかなと感じています。そういうのが自信になると思うので。
ーメンバーには同じ3000mSCの青木選手も選ばれました
彼とは部屋も一緒だし、同じ小金井キャンパスの学生で、地元も近いので、色々と話すこともあります。でも単純に下級生なので、負ける訳にもいきません。彼が頑張っていたら自分ももっと頑張らなきゃいけないし、彼も引き下がる男ではないので、2人で高め合えれば、チームの力になると思います。
ーエントリーメンバーの中では注目している選手は
土井ですね。自分の中で、彼の走り方がすごく好きで、彼の走りを見ていただけたら分かると思うのですが、すごく力の抜けた走りなのに進むところがすごくうらやましいというか、自分が獲得したい力の1つなので、彼を見ていただけたらと思います。
ー4年生はこれが最後のレースとなりました
今回エントリーされているのは4人ということで、足羽さんはキャプテンとして、いろんなとこに気を配ってくれて。城越さんもすごく一生懸命ですし、坂田さんに関しては、よく喋ったり、お風呂入ったりしますし。生澤さんは何より同じ栃木県出身の選手で、お互いの高校がライバル校で戦ってきた仲だったので。最後となると寂しいですけど、同じチームである以上、どの学年でも一生懸命戦って、いい結果を出して、笑って卒業していただけたらなと思います。
ー最後にファンにメッセージをお願いします
自分は常日頃から“いつも通り”という言葉を掲げて、この陸上に取り組んできました。そこをしっかり見ていただいて、今まで自分が何やってきたを想像しながら見ていただけると、すごく陸上競技がよく見えてくるのではないかと思います。ぜひ応援のほどよろしくお願いします。
(取材:渡辺拓海)
阿部泰久(あべやすひさ)
95年6月29日生まれ。168cm・52kg。栃木県・佐野日大高出身。理工学部3年。
自己記録:5000m、14分40秒98。10000m、30分22秒19。ハーフマラソン、1時間4分56秒。
前回はエントリーメンバーに入るも出場ならず。今年の予選会ではチーム内7位の成績を残した。
鹿嶋隆裕
ー現在の合宿はいかがですか
僕は直前合宿に参加するのは初めてで、最初は少し不安でしたがやってみたら今までのこの1年間しっかりやってきたことが力になっているなと感じることができました。箱根につながるような良い練習もできているし、いい合宿になっているなと思います。
ーメンバーに選ばれた感想は
ひとまずうれしいという気持ちはありますが、箱根でシードを取ることを目標にみんなでやってきたので、ここはまだ通過点だと思います。絶対外してはいけない、箱根を走るまでは本当に喜んではいけないなと思います。
ー鹿嶋選手はけがで苦しい時期もありましたね
そうですね。チームから離脱する度に悔しくて、でもその度に先輩やコーチが励ましてくれて、自分が落ち込んでいるときも「あきらめるなよ」って言ってもらえて。僕より僕に自信を持ってくれているというか(笑)。そういういい先輩やコーチに恵まれて苦しい時期を乗り越えてくることができました。
ー鹿嶋選手にはスローガンの「悔しさを忘れない」という言葉がピッタリですね
まさにその通りで、その言葉が自分の中にずっとあって、悔しさを感じる度に19位という順位を思い出して「もう絶対あんな悔しい思いはしたくない。ここで自分が変えてやるんだ」という気持ちでやってきました。その気持ちが今につながっていると思います。
ー先日の上尾ハーフではご自身としても結果を残すことができましたね
そうですね。上尾もですが、本来なら実際に考えていたプランは夏合宿を全部こなして、予選会もしっかり走って、その流れで本戦と考えていたのですが、夏合宿の途中で右足の大腿骨を故障してしまって、合宿から離脱してしまいました。その時は、「箱根も厳しいのかな」って思ったのですが、「いやここであきらめたら去年と一緒だ」と考え直して上尾ハーフを最後のアピールチャンスとしてエントリーさせてもらって、64分30秒は絶対切って、なおかつ学内トップで走って、自分は箱根も走れると監督にアピールしようと思っていました。合宿を離脱してからもコツコツ行った補強や体幹とか動き作りも全部箱根につながっていると、上尾ハーフは絶対走れると思って、それであの結果が出たので、自分が頑張ってきたことを証明できたと。自信になりました。
ー今までのけがや悔しさも全てが箱根につながっているということですね
そうですね。けがもなかったら今の自分もないと思うので、本当に全てが今につながっていると思います。
ー今年の夏合宿は厳しかったと伺いましたが
自分は故障で抜けてしまいましたが、けがから復帰して久しぶりに練習したとき、周りがここまで仕上がっているのかと思いました。そこでまた悔しさも感じましたが、でもそのくらいやっていないとシードは取れないと思いましたし、後は自分がしっかり走ればシードを取れると確信しました。
ー3年生のエントリーは鹿嶋選手を含め3人でした
それはよく同期でも話すのですが、下級生にも力がありますし、4年生にも引っ張ってもらっているので、3年生が今力もないし、存在感も薄いと。昨日もダウンしているときに細川と話していたのですが「絶対箱根を走って3年生の存在感をアピールしよう」といつも言っているので。ようやく自分もアピールできる場所まで来れたので、3年生としては1人でも多く走って、来年のチームを引っ張れるぞというところをアピールしていきたいです。
ー鹿嶋選手としては来年のエースになりたいという想いもありますか
そうですね。自分が引っ張っていきたいとは考えています。箱根でも1区を走りたいと考えていますけど、自分にはまだその力がないので、来年もしっかり力をつけて1区争いに挑戦したいと思います。
ー1区を走ることに必要な資質はどのようなことだと思いますか
1区は近年ハイペース化が進んでいるので、スピードを身につけることが一番大きいかなと。トラックシーズンでも活躍できるようにしっかり春先から積み上げていきたいと思います。今は箱根が近いですし、箱根のような区間20km以上あると「なかなかトラックで結果を残して走れる選手がそのまま箱根を走れるわけではない」と坪田監督からもずっと言われてきました。「お前は20km以上の距離で勝負するんだぞ」とも言われていたので、この1年間は本当に最後の最後まで力まず走れるような粘りを重視してきました。なので、来年はこの粘りにスピードを加えていくことに挑戦していきたいと思います。
ー鹿嶋選手にとっての箱根とは
小学生の時に見た箱根に憧れを抱きました。それが僕の陸上の原点ですね。
ー最後に、箱根への意気込みをお願いします
箱根でシードを獲得するために全てやってきたので、残り少ない日々はできることだけを丁寧にやり、集中して走れば力通りの走りができると思うので、前回の悔しさを晴らせるような走りをしたいです。
(取材:原口大輝)
鹿嶋隆裕(かしまたかひろ)
95年7月5日生まれ。173cm・58kg。岡山県・倉敷高出身。経済学部3年。
自己記録:5000m、14分31秒49。10000m、29分55秒79。ハーフマラソン、1時間4分00秒。
予選会はメンバー外だったが、11月の上尾ハーフでは自己ベストでチーム内トップに入り猛アピール。
細川翔太郎
ー現在行われている合宿について
調整合宿という名目ですけど、練習も積めているので、後は調子を合わせるだけかなと思っています。
ー細川選手自身で最近特に取り組んでいることは
筋トレはほぼ毎日トレーニングセンターで行っていますね。体幹とスクワットなどを行っています。
ー現在のチームの雰囲気は
昨年よりも良い感じですね。昨年は張り詰めていましたけど、今年は集中しつつも落ち着いていると思います。みんなが余裕を持ってやれていますね。
ー改めて予選会を振り返って
よくあんな急ピッチで仕上げて走れたなとは思っています。けが明けで合宿もそんなにこなせてなくてあの結果だったので、自分の中ではよくやれたなと思っています。もうちょっと練習を積めたら上位の方に来れたのかなと思う部分はありました。
ー2年生の活躍が目立ちましたが
3年生がふがいないなと。来年は1,2年生の勢いに潰されそうですね。自分も故障ばかりで、練習を続けているのが阿部しかいないので自分たちはふがいないなという感じしかしないです。
―前回の箱根は5区を走りました
前回は走り終えて辛かったの一言しか出て来ないです。山登りはきつかったです。想像以上でしたね。
ーどの辺りで辛さを感じましたか
小涌園までに相当力を使っちゃって、その後でも登り道が続きますし、そこから気温も低くなって。寒くてきつくて二重苦でしたね。
ー沿道の歓声については
山の中でも人が途切れないんですよ。それだけ注目されているのだなと思いました。
ー他大学の5区の選手についてはどのように感じましたか
神野大地選手(青学大=現コニカミノルタ)と自分とは地力が違うのかなと。平地でも自分は1分ぐらい違うので、そこの差もあるかなと思いました。あと日大のD・M・キトニー選手(現カネボウ)は前々回はそうでもなかったですけど、前回は登りについてきたので、地力と適性と経験の3つなのだなと感じました。
ー今年はけがで全日本大学駅伝の予選会も出場できず、チームも悔しい結果に終わりました
自分が出ていればという思いはありました。でもそこを任せるしかない不甲斐なさというのもあって、悔しかったです。
ー箱根で走りたい区間は
やはり5区ですね、そこしか悔しさを知らないので。悔しさを晴らしたいのもありますし、やっぱり負けてしかもタイムが悪いままで終わりたくないので、またやりたいです。
ー前回の経験も活きてくると思いますが
そうですね。今回は経験も活きますし地力もついたと思うので、後は適性をつけるだけですね。
ー5区に向けて取り組んでいることは
坂ダッシュですね。練習が終わった後に2,3回入れています。
ー4年生はこれが最後のレースとなります
悔いの残らないようなレースにしてもらいたいと思いますし、自分たちも支えてあげられるようなレース展開にしていきたいです。
ー最後にファンへのメッセージをお願いします
どの区間になってもしっかり役目を果たすのでどうかよろしくお願いします。
(取材:渡辺)
細川翔太郎(ほそかわしょうたろう)
96年3月3日生まれ。171cm・56kg。長野県・大町(現大町岳陽)高出身。経済学部3年。
自己記録:5000m、14分41秒12。10000m、29分22秒54。ハーフマラソン、1時間4分1秒。
前回の成績は5区、区間13位。予選会は万全ではない中で臨んだが、チーム内4位と主力としての意地を見せる。