【陸上競技】インカレ事後特集⑤【800m編/松本純弥】

第90回日本学生陸上競技対校選手権大会
2021年9月17日(金)~19日(日)
事後取材

先月に3日間にわたって行われた日本学生陸上競技対校選手権大会(全カレ)。今回は、事後特集第五弾。800mを専門としている松本純弥選手の特集をお届けする

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800mで2位入賞を果たした松本純弥(=写真中央)。(写真提供:法政大学体育会陸上競技部)

記事

表彰台から見えた景色は、過去2大会とはまったく別のものだった。松本純弥(3)は男子800mで大会3連覇を狙ったが、東海大の飯澤千翔に競り負けて準優勝。「スパート勝負には自信があったが、彼の方が速かった」とレースを振り返る表情からは、負けん気の強さがにじみ出ていた。

大舞台で久々に最後まで優勝争いに絡んだ。シーズン前半は東京五輪を目指してやっていたが、アキレス腱の故障で十分に練習が積めず、結果は散々。東京五輪代表選考を兼ねた日本選手権では、決勝の土俵にすら上がれず「目標にまったく手が届かなかったという意味で本当に悔しかった」と明かす。

それでも、勝ちへのこだわりが前を向かせた。今夏は陸上競技部の1学年後輩、黒川和樹(2)が400mHで東京五輪に出場。7月のホクレンディスタンスチャレンジ千歳大会の800mでは、同世代のライバル源裕貴(環太平洋大)が日本タイ記録をたたき出し、実績で「離されてしまった」と感じた。松本純は今大会、優勝で再起をかけるつもりだった。

偉業はついえたが、充実感もあった。悩みだったスパートの切れ味に関しては「決勝はそこそこ動かせた」と実感。春先から痛めていた箇所もようやく完治し「クリーンな状態で試合に臨めたので安心した」と語った。

今後は、また一から体を作り直し、日本記録の更新とその先にある世界選手権の参加標準記録突破を目指す。いつか「世界陸上や五輪の決勝で海外の選手と対等に戦っていける選手になりたい」。連覇が途絶えた瞬間、新たな伝説への挑戦が始まった。(根本成)

インタビュー

松本純弥

ー 大会を終えて率直にどのような気持ちですか
優勝を目標にしていたので、2位という結果は非常に悔しいです。

― 飯澤選手にラスト勝負で敗れて3連覇を逃す形になりました
スパート勝負にはわりかし自信がありました。ただ、彼の方が速かったです。

― 大会前は前回大会優勝者としてのプレッシャーはありましたか
もちろんありましたけど、去年優勝していなくても同じように優勝を狙って走っていたと思うのでそこは気にしていませんでした。

- 決勝のレースは、主導権を握っていたように見えました
レース前は54秒程度の入りか、ハイペースのどちらかを想定していましたが、最初のバックストレートから予想以上にスローペースになりました。スローペースなら自信があったので自分でレースを作って、ラスト300mあたりからの周りのスパートに備えようと考えていました。

- スパートは絶好のタイミングでかけることができましたか
飯澤(千翔、東海大)選手と源(裕貴、環太平洋大)選手をマークしていました。

- 飯澤選手のスパートを警戒していた部分はありましたか
スローペースだったのでそこまで警戒はしていませんでした。1分48秒くらいの競り合いになれば、彼は確実に力はあるだろうと思っていました。スローペースであそこまでスパートが出来るとは思ってもいませんでした。

- 飯澤選手に前に出られたときはどのように感じましたか
ここで行ったらラスト100mはそんなに持たないだろうと思っていたので焦りはなかったです。ですが、向こうが予想以上に力を持っていました。

- 今回のご自身のラストの切れ味は、どのように評価していますか
予選と準決勝では上手くスパートが決まっていなくて、まずいかなと思っていましたが、決勝はそこそこ動かせたと感じています。

- 最後まで勝負に絡んだことを踏まえると、シーズン前半よりも状態が上がっているように見えますが、その点はいかがでしょうか
シーズン前半は、右のアキレス腱の故障と胸郭出口周辺の運動障害になっていました。夏は左のアキレス腱も痛めてしまいました。それが1ヶ月くらい前に治って、やっとクリーンな状態で試合に臨めたので安心した部分はあります。
- 6月の日本選手権頃の状態は
6月の日本選手権は怪我が一瞬治った形で臨みました。コンディションは悪くなかったですが、予選落ちという残念な結果に終わってしまいました。

- 東京五輪を逃したことについては
一つ下の黒川が東京五輪に出場したことと、自分自身が、目標としていた部分に全く手が届かなかったという意味で本当に悔しい気持ちがありました。来年は世界陸上があるのでそこを見据えてまた一からやっていきたいです。

- 6月の日本選手権頃の状態は
6月の日本選手権は怪我が一瞬治った形で臨みました。コンディションは悪くなかったですが、予選落ちという残念な結果に終わってしまいました。

- 東京五輪への意識はありましたか
もちろんありました。

- 東京五輪を逃したことについては
一つ下の黒川が東京五輪に出場したことと、自分自身が、目標としていた部分に全く手が届かなかったという意味で本当に悔しい気持ちがありました。来年は世界陸上があるのでそこを見据えてまた一からやっていきたいです。

- 日本の中距離界が盛り上がっていることについては
日本の中距離は全体的にレベルが上がってきていて、自分はそこに離されてしまったなと感じています。

- 記録の面では今後どのあたりを狙っていきたいですか
もちろん日本記録は更新したいと思っています。ですが、さらに高い所に五輪や世界選手権の標準記録があるので、そこを目指してやっていくつもりです。

- 記録を出すために必要になってくるのはどういったところですか
今シーズンは怪我で練習が積めなかったせいで記録が出ていないと思うので、怪我のしない体作りをしていきたいです。また、怪我の影響でロング系の練習が不足しているところがあるのでそういう部分を積み上げていきたいです。

- 将来的にどんな選手になりたいですか
ダイヤモンドリーグを転戦したり、世界陸上や五輪の決勝で海外の選手と対等に戦っていける選手になりたいです。

- 最後に今後の抱負を教えてください
来年は世界陸上に出場したいと思っています。あとは、インカレのタイトルも取り返したいですし、日本選手権のタイトルも取ったことがないので、日本一になってその先を目指して頑張っていきたいです。

(取材:根本成)

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