• HOME
  • 記事
  • 陸上
  • 【陸上競技】世界選手権 自身2度目の世界大会で準決勝進出!

【陸上競技】世界選手権 自身2度目の世界大会で準決勝進出!

世界選手権

7月16日から7月25日にアメリカ・オレゴンで行われた世界選手権。法政大学からは黒川和樹が出場した。初の海外レースとなったが予選は50秒02(4着)に入り、着順で突破。迎えた準決勝は49秒69(6着)で決勝進出はならなかったが、大きな経験を積んだレースとなった。今回は帰国後に行った苅部監督、黒川のインタビューをお届けする。


写真提供/月刊陸上競技

インタビュー

苅部俊二 監督

―世界選手権での黒川選手の走りを振り返って
去年、東京オリンピックを経験してそれが初めての世界大会だったのですが、緊張と練習が上手く積めず、消極的なレースをしてしまいました。今回はその経験を生かして、東京の失敗を繰り返さないように前半から自分のレースをしようと話していました。完全ではなかったですが、それができて準決勝まで行けたので収穫はあったと思います。

―黒川選手は初めての海外レースだったと思います
海外に行くこと自体も初めてだったので、環境のストレスはあったと思います。そういう状況についての話はしていましたが、体験してみないとわからないものなので、それを経験できたことは彼の中で非常に意味のあるものだと思います。来年、再来年とまた世界大会があるのでそれに向けてのステップとしてはいい大会になりました。

―レース後に黒川選手と話したことは
決勝進出を目標にしていたので、それがかなわなかったのは残念な結果でしたが、準決勝では1レーンという一番走りづらいレーンでしっかりと走ってくれました。決勝には届きませんでしたが、準決勝を走れたことは自信につながったと思います。

―決勝に進むために必要になってくることは
まずは走力ですね。ハードリングは世界でもトップクラスの技術を持っていると思いますが、世界はハードルを飛んでいるにも関わらず45、6秒で走っている状況で、彼は400mを45秒では走れないですし、46秒も出るかどうかという感じです。いくらハードリングが上手くても、ハードルがない状況で47秒かかる選手が400mHを46秒で走るのは不可能なので、走力を上げる必要があります。また、走力を上げるとそれに伴うハードリングも身につけなければなりません。走力を上げるのは少し時間がかかるので、この冬期にしっかり走れるようにしていければと思います。あと、もう一つはハードルの歩数です。1台目まで21歩で、そのあと13歩でいくのですが、その13歩と21歩がうまくかみ合っていないところがあるのでそこをもう少し修正しないといけないですね。

―世界との差は走力が大きいのでしょうか
走力が一番大きいと思います。ハードリングだけで見れば、黒川は世界のトップに引けを取らないと思います。ハードリングは世界記録を持っているワーホルムより黒川の方が上です。ですが、走力が全く違うのでそこで差がついてしまいますね。今回優勝したブラジルのドスサントス選手は身長が190cmくらいで、走力もあってハードリングも上手いです。黒川は今後、彼のレースパターンや走力を参考にしていくことになるかなと思っています。

―今後のビジョンは
本来は海外に行かせてあげたいのですが、なかなか海外には行けない状況です。ユニバーシアードも中止になってしまって、海外でのレース機会も失われてしまっています。海外で経験することは非常に大切なことで行かせてあげたいんですけど、今ある状況の中で先ほど話したような課題をクリアしていくことになります。また、400mHはずっと同じ足で(ハードルを)飛んでいると疲労がたまるので、両方の足で飛べないといけないのですが、逆足がまだ少し未熟なのでそこも練習しなければいけないです。来年はアジア選手権があるので、まずはアジアでチャンピオンになって、ブタベストの世界選手権に向かっていくことになります。その前にできたらヨーロッパで1、2戦やって、本番を迎えたいというビジョンがあります。

(取材:齋藤彩名)

黒川和樹

―大会を振り返って
決勝に残りたかったというのが正直な感想です。予選での走りがあまり良くなくて、その反省を準決勝で上手く生かすことはできたのですが、それでも決勝には及ばず、力不足を感じました。

―東京五輪と比較して
五輪では本来の走りができず、不完全燃焼で終わってしまいました。しかし今回は、準決勝で自分の思い描いているレースができ、五輪から成長した部分だと思います。

―その要因は
練習では今まで通りです。ですが木南記念やセイコーゴールデングランプリなどで、海外の選手と走る機会を設けていただいたので、ただ走るだけではなく、「自分から攻めた走りができるか」、「後半どれだけ離されないで付いていけるか」ということを意識しながらレースに臨んでいた結果だと思います。

―予選、準決勝と世界トップレベルの選手たちと走って
後半がとても強いです。そこをしっかり走ることができないと、通用しないと実感しました。

―そういった選手たちに食らいつくために
後半のスピードを維持する力が大事だと思ったのと、試合に向けてコンディションを整えていくことが重要だと感じます。

―監督からは大会期間中、どのような声掛けを
プレッシャーをかけてくるタイプではないので、「上手く走れてるよということ」や「動かせてるよ」ということを言って下さいました。

―東京五輪と異なり、海外での大会となりました。その点での難しさは
時差ボケはあまりなかったと思いますが、少し早く起きてしまいました。また、ご飯が口に受け付けなくて、あまり食べられなかったです。僕は痩せてしまうと試合であまり力を発揮できないタイプです。それがあって、少し響いてしまったなと思います。今後は持ち込める日本食を持っていこうと思いました。

―ご自身のTwitterでは、決勝の順位予想をされていました。根拠などがあればお聞きしたいです
直感でした(笑)。ですが予選、準決勝の走りの力感であったり、ドスサントス選手が勝つだろうな、勝ってほしいなというのはありました。

―今後の目標を
日本インカレでは、まだ優勝したことがないので優勝したいです。まだ今季ベストが出ていないので、秋は記録を狙える試合は狙って行き、自己ベストを更新したいです。それは世界陸上の標準記録を突破できることにもなるので、そこへ向けて頑張っていきたいと思います。

―日本記録については
今季も狙ってはいたんですけど中々遠いので、今年中に狙うというよりは、冬季で積み直して、来年に狙う形になると思います。

(取材:大井涼平)

関連記事一覧