東京六大学野球秋季リーグ戦 第3週 早大1回戦
2020年10月3日(土)
神宮球場
またしても『宿敵』にやられる形となってしまった。両先発の緊迫した投手戦が繰り広げられ、白熱した展開が続いた試合は9回表、早大が2点を先制。その2点が決勝点となり今季初黒星を喫した。法大打線は早大・早川隆久の前に散発4安打と沈黙。好投した鈴木昭汰(キャ4)を援護することができなかった。
試合結果
トータル試合結果
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 計 | H | E | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
早 大 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 2 | 2 | 11 | 0 |
法 大 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 4 | 1 |
(早大)○早川—岩本
(法大)●鈴木、三浦—大柿
[本塁打] なし
打撃成績
打順 | 位置 | 選手 | 打 | 安 | 点 | 打率 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | (9) | 宮﨑 | 3 | 0 | 0 | .000 | 三振 | 三振 | 左飛 | ||||||
H | 渡邉 | 1 | 0 | 0 | .000 | 三直 | |||||||||
2 | (8) | 永廣 | 4 | 0 | 0 | .250 | 三振 | 三ゴ | 三振 | 三振 | |||||
3 | (5) | 中村迅 | 4 | 1 | 0 | .364 | 三振 | 右安 | 中飛 | 左飛 | |||||
4 | (7) | 村田 | 3 | 1 | 0 | .364 | 三振 | 二直 | 右安 | ||||||
R7 | 片瀬 | 0 | 0 | 0 | .000 | ||||||||||
5 | (3) | 羽根 | 3 | 0 | 0 | .222 | 二ゴ | 三振 | 三振 | ||||||
6 | (6) | 佐藤勇 | 3 | 1 | 0 | .500 | 三振 | 左安 | 三振 | ||||||
7 | (4) | 齊藤 | 3 | 0 | 0 | .000 | 中飛 | 三振 | 遊直 | ||||||
4 | 高田桐 | 0 | 0 | 0 | .333 | ||||||||||
8 | (2) | 大柿 | 3 | 1 | 0 | .333 | 中安 | 三振 | 右飛 | ||||||
9 | (1) | 鈴木 | 2 | 0 | 0 | .200 | 三ギ | 遊ゴ | 二ゴ | ||||||
1 | 三浦 | 0 | 0 | 0 | — | ||||||||||
計 | 29 | 4 | 0 | .283 |
投手成績
回 | 球数 | 打者 | 安 | 振 | 球 | 責 | 防御率 | |
鈴木 | 8 2/3 | 138 | 39 | 10 | 13 | 2 | 0 | 0.55 |
三浦 | 0 1/3 | 3 | 2 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0.00 |
計 | 9 | 141 | 41 | 11 | 13 | 2 | 0 | 0.67 |
ベンチ入りメンバー
10 | 中村迅(営4=常総学院) | 27 | 渡邉雄太(キャ4=いなべ総合) | 37 | 羽根龍二(社4=日大鶴ヶ丘) |
1 | 鈴木昭汰(キャ4=常総学院) | 32 | 大柿廉太郎(法2=健大高崎) | 2 | 永廣知紀(営4=大阪桐蔭) |
13 | 高田孝一(法4=平塚学園) | 3 | 宮本隆寛(人4=健大高崎) | 7 | 村田雄大(人4=横浜) |
14 | 水澤天(営4=広島商) | 4 | 佐藤勇基(法4=中京大中京) | 8 | 片瀬優冶(人4=法政二) |
15 | 落合竜杜(法4=常葉大菊川) | 5 | 小谷敦己(文4=倉敷商) | 25 | 野尻幸輝(営2=木更津総合) |
16 | 石川達也(キャ4=横浜) | 23 | 中原輝也(人3=尽誠学園) | 28 | 宮﨑秀太(営2=天理) |
26 | 三浦銀二(キャ3=福岡大大濠) | 24 | 齊藤大輝(人2=横浜) | 39 | 岡田悠希(人3=龍谷大平安) |
47 | 武冨陸(営1=日大藤沢) | 35 | 平柳圭汰(経4=聖望学園) | ||
22 | 後藤克基(法3=滋賀学園) | 36 | 高田桐利(営2=広陵) |
戦評
東大戦を2連勝で終え、迎えた早大戦。大学No. 1投手の呼び声高い早川隆久と鈴木昭汰(キャ4)によるエース対決は投手戦の様相を呈した。
法大の先発は前回登板で3安打1失点10奪三振と好投を見せた不動のエース・鈴木。初回、2回と得点圏に走者を置くもいずれも伸びのある直球で連続三振に抑え、ピンチを切り抜ける。対する早大のエース・早川も初回を三者連続三振と完ぺきな立ち上がりを見せると、2回までに5奪三振と圧倒的な力で法大打線を封じ込める。
序盤から快投を見せた鈴木
3回裏、1死から大柿廉太郎(法2)がチーム初安打となる中前安打を放つと鈴木がしっかりと犠打を決め二塁に走者を進める。しかし宮﨑秀太(営2)が空振り三振に倒れ、先制の好機を逃す。
5回表、先頭打者に左前安打を許すも走者の逆をつくけん制によってピンチの芽を摘み取る。しかし早川にも左前安打を許すと捕ギ野選、四球によって一死満塁のピンチを招く。この試合最大のピンチでも冷静にそしてひたむきに腕を振る鈴木は、続く打者を三振、右飛に抑え、粘りの投球を見せる。
その後も両エースの意地のぶつかり合いが続き、8回までに両投手合わせて25奪三振と驚異の奪三振ショーが展開される。そして両チーム無得点のまま最終回に突入する。
大会規定により延長戦のない今季。この回を抑えれば法大の負けは無くなる9回表を迎え、ここまで130球に迫る熱投を見せていた鈴木がこの回もマウンドに上がった。しかし、先頭打者に中前安打を浴びると、迎える打者は壮絶な投げ合いを演じてきた早川。その初球、犠打を試みた早川が打球を転がすと捕手の大柿は際どいタイミングも果敢に二塁に送球する。だが、その送球が惜しくも逸れると無死一、二塁に。さらに犠打を決められ、一死二、三塁のピンチが訪れる。ここでも最後の力を振り絞る鈴木は続く打者を三飛に打ち取り、残るアウトカウントを1つとする。最後の打者とするべく2球で追い込むと3球目、この回から代わって守備に就く高田桐利(営2)が横を抜けそうな打球に回り込み、下がりながら送球。しかし、この送球も逸れると内野安打となり、その間に三塁走者が本塁に生還。ついに均衡が崩れ、ここで鈴木は降板となる。二番手でマウンドに上がった三浦銀二(キャ3)も初球を捉えられ中前適時打を許し、この回2点を与えてしまう。何とか反撃ののろしをあげたい9回裏だったが、早川の前になすすべもなく三者凡退で試合終了となった。
気持ちを切り替え、明日の試合へ臨む
鈴木は8回⅔を138球10安打13奪三振と好投を見せるも最後に力尽きた。打線も早川の前に散発4安打13三振と最後まで攻略の糸口が見つからなかった。しかし下を向いている時間はない。今日の屈辱的敗戦を糧に明日の試合の勝利を全力で掴み取りに行くしかない。
(吉本侑樹)
クローズアップ:鈴木昭汰
空き週を挟み、神宮のマウンドに上がった鈴木昭汰は執念の投球を披露した。
試合前には相手先発・早川隆久との4年生左腕対決に「(早川は)とてもいい投手なので、絶対に点を取られないように意識していた」と気合十分。その言葉通り、鈴木は立ち上がりから150㌔に迫る直球で追い込み、変化球で打者を手玉に取る。中でも際立っていたのが走者を背負ってからの投球だ。今日の試合で奪った13の三振のうち、実に9個が走者を置いた状況で記録するなど、ピンチでも冷静さを保ち、自分のスタイルで女房役・大柿のミットめがけて投げ込む。本人も「ランナーを背負ってからも粘り強く投げられた」と語り、この試合でのテーマでもあった『攻め』の投球を身をもって示した。
しかし、打線は好投を続けていた鈴木を援護できず、早川の前に3塁ベースすら踏むことができなかった。鈴木自身も9回表に福本翔に中前へ運ばれると、味方のミスも絡み、ピンチを招く。2死まで追い込んだものの、3番・瀧澤虎太朗に内野安打を許し、先制点を献上。9回途中に無念の降板となった。「あの場面で打ち取り切れなかった自分のせい、詰めの甘さが自分の弱さだと思う」。完封まであと一歩に迫った左腕は、そう悔しさをあらわにした。
ただ、今日の試合で相手打線を圧倒したことは事実。この敗戦で鈴木はより一層の『覚悟』を決めたことだろう。泣いても笑っても今季がラストシーズンとなる。鈴木は懸命に腕を振って、チームのために死力を尽くすだけだ。
(加瀬航大)
選手インタビュー
鈴木昭汰 投手
ー今日の試合を振り返って
大事な試合だったので、勝てなかった、勝ちに導けなかったのがとても悔しいです。
ー1週空いての登板となりましたが、どのような調整を
オープン戦に投げてシート打撃に投げて、実戦感覚を忘れないために投げて調整しました。
ー同じ4年生左腕・早川隆久投手との投げ合いとなりましたが、試合前に意識はしていた
とてもいい投手で勝つならローゲームだと思ってたので、絶対に点を取られないようにと意識していました。
ー走者を背負いながらも、後続を断つ投球が続きました
ランナーは背負っていたんですけれど、背負ってから粘り強く投げられてました。
ー2度監督がマウンドに向かいましたが、その時はどのような会話を
「気持ちを強く持って、やってきたこと信じて投げ込め」と言っていただきました。
ー9回のマウンドに上がる際の気持ちは
あと何回とかは意識せず、必ず抑えるという気持ちでいきました。
ー惜しくも今日の試合を落としてしまいました、先発を任された鈴木選手は悔しさも人一倍だと思います
あの場面で打ち取りきれなかった自分のせいです。詰めの甘さが自分の弱さだと思います。
ー明日の試合に向けて一言お願いします
明日はしっかり今日の反省を受け止めて必ず勝てるようにしたいです。
大柿廉太郎 捕手
ー今日の試合を振り返って
早稲田に負けてとても悔しいです。
ー鈴木選手がすばらしい投球を見せました
要所要所をしっかり抑えて、とても粘りのある投球ができていました。
ー試合前、鈴木選手とどのような話を
早稲田戦は、『攻めの投球』というのがテーマでした。
ーリードで心掛けていたことは
どのような場面でも、攻めの気持ちを忘れず自信のあるボールを要求しました。
ー打席から見た早川選手の印象は
ストレートが一級品で、初球を見てびっくりしました。
ー9回表のバント処理では難しい判断となりました
あのバント処理で流れが早稲田に行ってしまったので、自分のミスで負けてしまいました。
ー明日の試合に向けて意気込みをお願いします
1勝1敗に持ち込めるように頑張ります。
佐藤勇基 内野手
ー春同様、1点を争う試合となりました
鈴木があれだけ粘って投げてくれていたので、なんとか点を取りたかったのですが取れなくて申し訳ない気持ちです。
ーチームとして早川投手の対策は
真っすぐと変化球を両方狙おうとしてもだめなのでどっちかに絞ろうという話はしました。
ーU-18の元チームメイトとの対戦でしたが意識はしましたか
そういうことは意識していなくて、対戦成績が良かったので余裕を持って打席に入っていました。
ーピンチの場面が多かったですが、鈴木投手にどのような声掛けを
ピンチで三振を取った後の次のバッターに対する初球の入りを言いました。
ー接戦を落としてしまいましたが、明日に向けての意気込みをお願いします
明日勝てばまだまだ優勝のチャンスあると思うので、絶対勝ちます!