【馬術】第50回関東学生章典障害飛越競技 網重、出田はともに本領発揮ならず…
第50回関東学生章典障害飛越競技
2015年6月25日(木)
日本中央競馬会馬事公苑
第50回関東学生章典障害飛越競技が行われた。法大からは網重志保(経4)、出田匠(経4)の2選手が出場。網重は33位、出田は40位と振るわなかった。網重は全日本の出場権を手に入れた。
試合結果
第1回走行
選手名 | 馬名 | 順位 | タイム | 総減点 | 備考 |
---|---|---|---|---|---|
網重志保 | 法永 | ー | 68秒48 | 4 | |
出田匠 | 法泉 | ー | 68秒47 | 12 |
第2回走行
選手名 | 馬名 | 順位 | タイム | 総減点 | 備考 |
---|---|---|---|---|---|
網重志保 | 法永 | 33 | 86秒07 | 28 | |
出田匠 | 法泉 | 40 | ー | ー | 2反E |
戦評
第1回走行、23番目に走行した網重と法永は、落ち着いた雰囲気で開始のアナウンスを待っていた。序盤からミスなく飛越するも、水壕障害で後脚が着水。「もともと水壕が苦手な馬。次の障害への影響も考えて無理に勢いをつけて飛ばせることはしなかった」(網重)と、想定内の減点だった。水壕以外の障害をパーフェクトで終え、68秒48の好タイムでフィニッシュ。
29番目走行の出田・法泉コンビだったが、直前練習では一度も障害を飛ぶことができず、汗だくで走行に入る。それでも最後の三障害を除いてノーミス。無事ゴールを果たした姿を見て監督は「本番では飛んでくれて良かった」と安堵の表情を見せた。
網重の第2回走行は打って変わって厳しい立ち上がりとなった。二つ目の障害を失敗すると人馬の呼吸が合わなくなり、その焦りからミスが続く。終盤には反抗もあり、記録はタイム86秒02、総減点28に終った。
出田は第1回走行より安定した走行を見せる。しかし第一回走行最後の連続障害の二つ目で反抗。「一度反抗したらもう飛ばない」と試合後に出田が語った経験通り、2反抗で失権となってしまった。
両選手とも持てる力を出し切ることはできなかった。しかし、同じ馬で一日に二度走行するという厳しい条件で網重は全日本出場を決め、出田はこの大きな大会で法泉をゴールへ導いた。これらは必ず選手たちの、そして馬たちの更なる成長につながっていくはずだ。(伊藤華子)
水壕障害で着水する網重と法永(第2回走行)
コメント
網重志保 主将
-第1回走行を振り返って
馬も人もある程度緊張して集中力をもあったので、課題はありましたが、自分の中では「できたかな」と思っています。
-失点は水壕だけでした
この馬(法永)は水壕が苦手なので、そこは課題です。でも、あの水壕をちゃんと跳んでしまうと、おそらく次の垂直障害に影響が出るので「ガッと押して跳ばせよう」とは思っていませんでした。
-水壕の着水はある程度割り切っていたということでしょうか
そうですね。
-ちなみに、今まで水壕に挑んだときはどうだったのですか
2年生のときに水壕をやったときは、1走行目はちゃんと跳んだのですが、2走行目は踏み切る位置が遠かったので着水しています。
-今日は落ち着いていました
そうですね。一番納得のいく走行だったと思います。
-馬場に入ったとき脚を掻いていましたね
「えっ!?ここで!?」ってなりました。完全に集中力無いなと(笑)でも、私が1年生のころはカリカリしすぎていたんです。馬場の中に入ったら別馬のように変わっていたので。今はだいぶ落ち着いてできています。
-気性が変わったきっかけなどはありますか
前に乗っていた人の乗り方が(自分と)違っていたので、たぶん馬が合わせてくれて、変わっていったのかなと思います。私はあまり馬を怒ったりしないですし、ピリピリさせることもできないので。
-網重さんに対応していったのでしょう
そうですね。あとは、年も重ねてどんどんナチュラルに(笑)でもたまに気を張っているときもあって、鳥が飛ぶだけでもびっくりしてしまいます。油断はできないですね。
-第2回走行はいかがでしたか
完全に人と馬の集中力が切れてしまいました。焦りのほうが出てきてしまって、それが馬にも伝わってしまいました。それが落下につながり、最後のダブル(連続障害)前の反抗という結果になってしまったのかなと思います。これからは1日に2回走行するときの集中力のつけ方を課題にしていかなければならないなと思います。
-1日2回走行する大会はどれくらいあるのですか
学生戦はこれ(今大会)くらいですかね。一般(学生以外も出場する大会)のときは(高さの異なる障害種目に出場するなど)エントリー次第で1日2回走行になることはあります。法永は高齢なので、一日2鞍は使わないようにしています。だからこういうときに体力面の課題が出てきてしまうのかなと思います。
-焦りが出て失敗につながったとのことですが、どの辺で焦りましたか
2番障害で障害を落下させて馬が少し躓いた時点で「あっ!」と思って、そこからどんどん焦ってしまいました。
-終盤で反抗したとき、どんなことを思いましたか
「次跳ばないとヤバい」と思いました。(反抗したのは)人が悪かったからなのですが、馬に「ちゃんと跳ばないとダメ」と言い聞かせて、跳ばせました。でも(連続障害の)2つ目の障害でも「踏み切りが合わない」と思ってバチバチ叩いて跳ばせて…。という感じだったので…。
-結構、無理矢理でしたね
はい(笑)
-そのほか跳んでいる中で気づいたことはありますか
癖なのですが、人が「行こう行こう」と思って前かがみになってしまうことですね。馬は前かがみになってしまうと、跳び上がれなくなってしまうので、人も馬も(上体が)起きていて、後ろ脚にしっかりと体重をかけることを心がけないといけないなと感じました。障害が高くなると前傾姿勢では跳べないので、しっかり体を起こして跳ばせられるようにするのが課題です。後ろ脚に体重をかけたいです。
-昨年卒業された日高さんがいらしていましたが、指導を受けたりしましたか
もう1から10まで(笑)一人で馬を誘導して跳ばせることがなかなかできないので、キャリアが上の日高先輩にいろいろやってもらいました。
-出田選手とはお話はされましたか
第1回走行のあとに「(失権せず)帰って来れたし、減点も少なく抑えられたからいいんじゃないかな」という会話はしていました。
-次の主要大会は9月の全日本選手権です。北海道の大会に出場された経験はありますか
ないんですよ(笑)だから、楽しめればいいなと思います。大会も、北海道も。
-では、全日本選手権に向けて一言お願いします
最後の選手権です。知らない土地の知らない馬に乗ることになりますが、馬も人もけがの無いように楽しみたいと思います。
最終障害を終える網重と法永
-第1回走行を振り返って
馬が障害を嫌がっていました。結果はそれほど悪くはなかったんですけど、僕が求める内容には程遠かったです。
-第1回走行の練習では全く跳べていませんでした
本当に跳びませんでしたね。
-本番は跳びましたね
ちょっと…。だいぶひっ叩いたので(笑)
-第2回走行はいかがでしたか
練習で雰囲気を変えることができたので、すごく良くなりました。僕が求める内容に近いものができるようになってきました。ただペースが遅かったので(完歩の距離が縮まるため)、連続障害の間が届かなくて止まってしまって。もともと障害が嫌いな馬なので、1回止まってしまうともう跳ばないので。1回の僕のミスが仇になりました。
-失権してしまったときはどんな気持ちでしたか
僕のミスなので、馬に申し訳なかったなと思います。1度ミスをすればこのように結果に影響してくるので。
-馬自体の調子は
良くもなく悪くもなく。そこまで良くはなかったですかね。
-走行の前に不安などは無かったのですか
特に無かったですね。いつも跳ばないので(笑)もともと跳ばない馬ですし。低いクラスでも失権ばかりだったので。つい最近このクラスでやっとゴールできるようになったくらいなんです。長い目で見ています。まだまだこのクラスで通用する馬ではないので、仕方がないですね。ただ、もう少しできたかと言われれば、できたと思います。
-人馬ともに成長していくには
馬の素質自体は良いので、夏場にしっかりと理に適ったトレーニングをしたいです。それを引き出すことが僕の仕事なので、必要になってくるのかなと思います。
-他の選手とお話はされましたか
特にしませんでした。馬が気持ちよく跳んでくれればいいかなと思っていたので。跳ぶのは馬なので、「跳ぼう、跳ぼう」ともしませんでした。
-網重選手はどんな存在ですか
一番成績を出しているので、ウチの「看板」じゃないですかね。
-来年は出田選手が主将になるかと思いますが、理想の主将像はありますか
「一番馬術が上手で成績を出せて、目標とされるような大きな存在」ですかね
-応援して下さるみなさんに向けて一言
今年はダメでしたが、来年は何か大きな大会を獲ろうと目論んでいるので(笑)、まだまだ弱い法政ですが期待していてください。
フォトギャラリー
- 練習で笑顔を見せる出田
- 日高(右)と網重・法永コンビ
- 汗で馬体が光る法泉