【水泳】第63回日本選手権(25m) 1日目 1年生の神 偉雄が400M個人メドレーで8位入賞を果たす！4年間で「一平さん越え」目指す！！

ガッツポーズで入場する宮本

宮本は平泳ぎでトップに立った

神は隣で泳ぐ宮本を懸命に追った

記事

神 偉雄

自身初のシニアの全国大会決勝で、隣のレーンを泳ぐのは、入学時から背中を追ってきた「(宮本)一平さん」だった。先輩の宮本が自己ベストを更新して4位入賞を果たす一方で、神は「決勝を泳げるだけで満足してしまった。少しでも一平さんに近づこうとする努力さが足りなかった」と、8位入賞という結果にも、悔しさをにじませた。

午前中の予選は、300㍍から400㍍の区間を全体トップのタイムで泳いだ。午後の決勝ではラスト100㍍のラップをさらに1秒上げるつもりだったが、ハイペースにのまれて予選よりもタイムを落とす泳ぎになった。「イメージ通りに泳げていれば、順位もタイムも上がっていただけに悔しい」と反省しきりだった。

夏以降、取り組んできたテーマは「頑張らずに楽に泳ぐ」だった。尊敬する宮本からの助言を受け、「速いタイムだけを狙う練習」をやめて、「力を抜いて、楽をして泳ぐ練習」を取り入れた。その結果、400㍍個人メドレーでは得意のラスト100㍍で、温存したパワーを爆発できるようになったという。一時期落としていた調子も復調し、インカレでの活躍や、今大会の決勝進出に繋がった。

今後は、来年3月に開催される国際大会の代表選考会に照準を合わせて練習する。不完全燃焼で終わった神の胸に、宮本の言葉が響いた。「これからは2回目で戦うという意識を持って、練習しような」。大先輩の背中をどこまでも追いかけていく覚悟が決まった。（根本 成）

選手インタビュー

神 偉雄

ー 8位という成績は率直にいかがですか
今回決勝に進出できたのは、予選で僕より上だった選手が失格をしたからでした。奇跡的に残れて、2回泳ぐチャンスを頂いたので、決勝でもう一回タイムを上げていきたいと思っていました。ですが今回が初めてのシニアの全国大会の決勝で、緊張してしまった部分がありました。自分の泳ぎができず、タイムを落としてしまったので、とても悔しい気持ちです。

ー 他の大会とは緊張が違いましたか
周りのメンバーはみんな決勝の常連で、レース前の表情に余裕があるように見えました。招集場の段階で、気迫や集中力に圧倒されてしまって、そういった選手との違いを感じていました。

ー 強いメンバーと泳げた感想は
泳ぐこと自体は、楽しむことができました。

ー 予選、決勝ともに宮本選手の隣で泳ぎました
予選前はとにかく「2本、一平さんと泳ぎたい」という気持ちでした。なんなら泳いでる最中もそれしか考えていなかったと思います。それで、奇跡的に決勝に残れましたが、2本泳ぐことが目標だったので、決勝を泳げるだけで満足してしまった部分がありました。決勝で少しでも一平さんに近づこうとする努力さが足りなかったと反省しています。

ー 予選、決勝ともにラストのフリーが素晴らしかったと思います
本来の僕のベストラップであれば、予選からさらに1秒上がる計算でした。今大会は特にラストのフリーにかけていたので、予選は変に力んでしまいました。決勝はそれを修正して、気持ちよく上がったつもりでしたが、決勝独特の雰囲気であったり、300mまでで置いていかれたというのがあり、自分のレースができなかったです。ラストのフリーがイメージ通りに泳げていれば、順位もタイムも上がっていただけに、悔しいです。

ー 予選の56秒台でも満足はしてないと
正直、56秒台は僕の中では全然強いとは思っていません。短水路のレースで僕がイメージしているのは、最後のフリーで全員抜いて勝つということです。いつもの練習においてもそういうイメージで取り組んでいます。56秒台では、1秒くらいしか詰めることができないので、もっと速く泳ぐ必要がありました。

ー フリーの強さの秘訣は
強さの秘訣は最後、誰よりも出し切れることだと思います。400mでも気持ちで負けずにラストの100mを泳ぎ切ることができます。

ー 普段からラストを上げる練習をしていますか
どんな練習でもラスト1本は、1番速いタイムで来るっていうのを目標としてやっています。ラスト前で死ぬほどキツくても絶対にラスト1本だけは、力を出し切って、タイムを上げて終わるというのを常に意識しています。

ー 長水路でも1分を割って帰ってきますが、ラストの部分はまだまだ伸びる要素はありますか
僕の憧れであるマイケル・フェルプス選手は、長水路でラスト100mを56秒8という脅威的なタイムで泳いでいます。同じ人間が56秒台で来ているので、まだまだ後3秒はいけるなという気持ちです。

ー 1年目のインカレはどんな大会になりましたか
周りの同期は、かなり緊張してプレッシャーで呑まれていたと思います。ですが、僕は全くプレッシャーを感じていませんでした。やはり一平さんの存在がすごい大きかったです。一平さんが必ず点数を取ってきてくれるから、自分は伸び伸びと楽しくレースしようという気持ちになれました。結果として、自己ベストも更新できたので楽しいインカレになったと感じています。来年からは一平さんが卒業されていないので、次は自分が一平さんのように周りのプレッシャーを背負って、決勝で戦っていかなければいけないなと覚悟が決まった試合でもありました。

ー 宮本選手から学べたことは
一平さんはどんな選手よりも考えて競技に取り組んでいる選手です。自分が速い秘訣とかを惜しみなく後輩に伝えてくれます。自分の武器すらも教えていて、後輩に速くなってほしい、そしてチームとして強くなってほしいという思いを感じ取ることができました。エースとしてもキャプテンとしても、人としても背中が大きくて、たくさん学ばせて頂きました。

ー アドバイス等は
練習の意識としては、「練習を頑張るな」と言われました。

ー どういった意味ですか
400m個人メドレーというのは、ペース配分がすごく大事になってきて、力んだらそこで終わってしまいます。変に力んで飛ばしてもダメですし、かといってダラダラと泳ぐのもダメです。法政に入ってから8月くらいまでは僕も速いタイムだけを狙って、頑張るだけの練習をしていました。ですが、一平さんと一緒に練習する機会があって、そこで力を抜いて、できるだけ楽をして泳ぐ練習を教わりました。インカレ直前の合宿でも頑張らずに楽に泳ぐように意識をしていました。その結果、インカレでは楽に300mまで泳ぎ切れて、ラストの得意なフリーに繋がったかなと思います。

ー 短水路選手権の後にかけられた言葉は
今回は2回泳ぐ経験をしたんだから、次からは2回目で戦うという意識を持って、これからは練習しようなって言って頂きました。先を見た声かけをして頂いたことがすごい嬉しかったです。

ー 今後の課題は
僕はラストのフリーにかけている分、前半が圧倒的に遅れています。特に一平さんとも前半だけで、5秒くらい差があります。5秒の大半は背泳ぎにあたるので、背泳ぎのフォームを変えながら、来年までにラップを最低4秒は上げたいなと思っています。

ー 4年間で達成したい目標は
在学中に200m個人メドレーと400m個人メドレーで一平さんが持っている法政記録を越えたいなと思っています。

ー 今後の目標は
3月にある国際大会の選考会で4分18秒台に乗せたいと思っています。18秒台に乗ると、決勝も見えてくると思うので、それまでに1日2本全力で泳げるように練習していきます。