東日本選手権2021
2021年10月28日(木)~31日(日)
@ダイドードリンコアイスアリーナ(東伏見)
東京選手権が終わり、迎えた東日本選手権。法大からは、女子2名と男子2名、ジュニア男子に1名が出場した。東京選手権と同じダイドードリンコアイスアリーナで行われた今大会。前回よりステージが上がったこともあり、会場が一層緊張感に包まれていた。今回は男子選手の活躍をお届けする。
※インタビューは後日オンラインにて実施いたしました。
掲載が遅れてしまい、大変申し訳ございません。
試合結果
個人結果
クラス | 選手名(学部・学年) | 総合順位 | SP順位・得点 | FS順位・得点 |
---|---|---|---|---|
Sr.男子 | 鈴木楽人(営1) | 6位・145.26 | 6位・49.14 | 6位・81.84 |
〃 | 齋藤翔(営3) | 10位・127.21 | 9位・45.15 | 10位・64.98 |
Jr.男子 | 門脇慧丞(通経1) | 3位・160.98 | 3位・53.19 | 3位・107.79 |
Sr.女子 | 渡辺倫果(通経1) | 1位・172.34 | 5位・52.92 | 1位・119.42 |
〃 | 佐上黎(文4) | 18位・115.23 | 13位・42.76 | 18位・72.47 |
戦評
鈴木楽人(営1)
東京選手権ではミスが重なり悔しい演技となってしまった鈴木。その無念を晴らすため、コーチと力強く握手を交わしリンクへ駆け出した。冒頭は、3トウループ+2トウループのコンビネーションジャンプ。前回は着氷に失敗してしまったが、今回は見事余裕をもって着氷することができた。そこから勢いは止まらない。伸びやかなスケーティングでスピード感を保ちながら、ジャンプやスピンを成功させる。曲の雰囲気が一変し、演技後半。2アクセルは着氷に失敗したものの、演技からはみなぎる闘志が感じられた。その後も、ステップシークエンス、コンビネーションスピンを最後まで丁寧に滑りきりフィニッシュ。全体として安定した滑りをみせた。鈴木は大きく成長した。前回はジャンプミスの重複で演技が乱れてしまっていた。しかし、今回は一貫して力強く伸びやかなスケーティングだったと感じる。全体6位で終え、夢の全日本出場に向けてFSに臨む。
夢の全日本出場へ。SPを無事に終え、より自信のついた顔つきに変わったように感じる。そして、緊張感に包まれながらいざリンクへ。冒頭の2つのジャンプは着氷に失敗してしまい、次のジャンプでは少し回転軸が不安定になってしまった。しかし、鈴木の演技はそんな失敗に屈することはなかった。スタートからの覇気に富んだ演技はまだまだ続く。そして、演技中盤の3サルコウ+2トウループのコンビネーションジャンプ。これは見事成功させた。さらに、一変した曲調に合わせて表現がより豊かになり演技後半。勢いはそのままに、ジャンプも次々と成功させる。特に3トウループは、ジャンプの高さも十分にあった。次のシットスピンやステップシークエンスでは、体を大きく使い全身で表現した。最後はコンビネーションスピン。手先まで集中力を保ち、無事フィニッシュ。ミスをすることもあったが、今回のFSは気持ちののったエネルギッシュな演技だった。そして、鈴木にとっては初となる全日本大会出場を決めた。鈴木の伸びやかなスケーティングが見られることを楽しみにしている。(田中さや)
齋藤翔(営3)
まさにリッツを彷彿させるような、ストライプのパンツとコートをスタイリッシュに身に纏って登場した齋藤。『Puttin’ On the Ritz』のリズミカルな曲調に合わせた軽快なステップで演技が始まり、齋藤のステージが幕を開けた。演技冒頭の3フリップは、踏み切りが明確ではなかったものの成功。続くコンビネーションジャンプでは、1つ目の3トウループはきれいに決めるも、2つ目の3トウループでバランスを崩し転倒してしまう。最後のアクセルでは回転不足となり、基礎点が0点になるという悔しい結果に。だが、齋藤は最後までジャンプのミスを感じさせない華麗な滑りを見せた。東京選手権でも似たようなジャンプミスがあった齋藤は、演技終了直後から結果を見るまで、悔しい表情を浮かべ天を仰いでいた。
腰の金色のベルトが目を引く衣装の齋藤はSPとは真逆の雰囲気。『Swedish Rhapsody』の壮大な始まりに合わせて齋藤のショーが始まった。冒頭の3ルッツを綺麗な着氷で見事に決め、加点付きのジャンプとなる。続く2ループも難なく成功し、出だしは好調。SPではジャンプの転倒があったが、FSでは立ったミスがなかった。得点が1.1倍になる最後3つのジャンプの内、2フリップ、2トーループは着実に決めた。しかし、最後のアクセルは体力が持たなかったのかスピードが足りず、1回転半になってしまう。得点は82.86、総合10位の127.21。全日本出場に向けて、SPの9位から順位を上げたいところだったが、順位を一つ下げ出場権を逃した。この悔しさを胸に来年こそ念願の全日本出場を決めて欲しい。(閏間咲)
門脇慧丞(通経1)
今大会は、プログラムの構成を下げて安定した演技を目指す門脇。最初の3フリップは前回同様、踏み切りのエッジが不明確で、流れはあるものの加点の付かないジャンプとなってしまった。続く2アクセルは幅と高さがありきれいな仕上がりに。最後のコンビネーションジャンプは、調子が悪いことから急遽ルッツ+トウループのコンビネーションに予定を変更。しかし、3ルッツでバランスを崩し、セカンドジャンプを付けれなかった。ステップでは、ひとつひとつの音に合わせ、丁寧に全身を動かしていく。指先から足の先まで神経を通わせた演技に、門脇のスケーティングスキルの高さを感じられる。SPは全体3位。安定した演技とはならなかったものの、表彰台圏内でFS出場を決めた。
迎えた翌日のFS。『Mi Mancherai』のバイオリンの音色とともに滑らかに滑り出す。有川梨絵氏振り付けのこの曲は、門脇のスケーティングを堪能できるプログラムとなっている。リラックスした雰囲気の門脇は、最初の3トウループを軽々と成功。続く3ルッツ+3ループは、SPで失敗してしまったコンビネーションジャンプだ。ループでバランスを崩してしまうも、踏ん張り転倒することはなかった。「ルッツ+ループが立てたことが今回の収穫」と門脇は語る。演技後半、優しさ溢れる男性の歌声とともに、門脇はどんどんとスピードを上げていく。力強さの中にも繊細さを感じられ、見る者全てが魅了される。このまま大きなミスなく滑りきれるかと思った矢先、2アクセルをジャッジの目の前で転んでしまう。「2アクセルを転んでしまうのは予想外で、恥ずかしかった」と悔しさをにじませた。目標であるSP・FSともに安定した演技を見せることはできなかったが、収穫もあった今大会。総合3位で全日本ジュニア出場を決めている。右足首の骨折に加え、肋骨も骨折してしまったそうだが、無理のない範囲でクリーンな演技を行えるか。全日本ジュニアで好成績を残し、全日本総合出場への期待が高まる。(佐々木みのり)
インタビュー
門脇慧丞
―3位という結果について率直な感想を
3位になれたことは嬉しかったですけど、自分の納得のいく点数ではなかったので、メダルを取れた嬉しさよりも悔しさが勝ちました。
―SP全体を振り返って
最後のコンビネーションであるルッツ+トウループの調子が悪かったので、急遽ルッツループに変えようっていうのでやったんですけど、前回と同様でそのコンビネーションがはまらなくて点数が伸び悩みました。今ずっとその練習をしていてはまりつつあるので、全日本ジュニアまでに60点代後半、もしくは70点代に乗れるような演技ができればなと思っています。
―FSのキス&クライでのコーチとのお話から、アクセルの失敗がすごく悔しかったのが伝わってきました。FS全体を振り返って
2アクセル転倒したっていうのはやっぱり予想外だったので、普通に恥ずかしかったです。2アクセル転んだ人が3位になるのはちょっとどうかなと思いましたが、FSはルッツ+ループが立てたことが今回の収穫の一つです。6分間(練習)でそんなにきれいにはまるものがなかったので、本番の一本だけ集中して跳ぶっていう感じでした。4回転と3アクセルを入れてない分、今までの試合はリラックスしていましたが、(ルッツ+ループを入れることで)去年までの緊張感のある演技になったので、ルッツループを入れて良かったと思います。急遽構成を全て変えたので体力配分が難しく、絶対にミスしないであろう2アクセルで転んでしまいました。そこは今練習中なので、全日本ジュニアではもう少しクリーンな演技ができたらいいなと思っています。
―東京選手権のときは、スケート靴の調整がうまくいっていないと話していました。その後スケート靴の調子は
あと2週間ですし、靴を変えるというのは急遽にはできないので本当に微調整しかできなくて、そこでも合ったり合わなかったりというのがあります。今も苦戦しながら練習しているのですが、東日本ではいつもははまらないジャンプがはまっていたり、結構演技自体に集中してできていました。なので試合での集中力を高めれば、やっぱり試合でもはまるのではないかなと思っています。練習では調子は悪いけど、本番ではしっかり決めるという集中力は大事にしたいなと思っています。
―右足首の調子は
やっぱりもう全日本ジュニアまでに治りはしないです。それから新たに肋骨を骨折してしまいました。東日本の前の朝練で胸から落ちるような転び方をして、ずっと痛かったんですけど、そこまで気にせずにそのまま東日本に出ました。練習通りにできたんですけど、やっぱり試合後に違和感があったので整形に行ったらしっかり肋骨骨折と言われました。そこまで今影響はないですし、右足首の痛みも最初より慣れてきて、ここまでは大丈夫、これ以上は危ないなとかはこの2ヶ月ぐらいで分かってきたので、自分で調節しながらやっています。
―「東日本大会までは4回転と3アクセルを回避して、全日本ジュニアからは跳びたい」と話していましたが、そうなると全日本ジュニアでもまだ厳しいですかね?
ちょっと難しいかなあというのはあるかもしれないです。なので、4回転がない分迫力が欠けるかもしれないんですけど、自分の持ち味であるスケーティングであったり全体の流れをもっと練習して、引けをとらないぐらいの演技をしたいなと思っています。
―難しい状況ではあると思いますが改めて全日本ジュニアの目標を
SPに関しては、他の選手は3アクセルを跳ぶので点差が開くかもしれません。FSではどの選手でも結構ミスが出ると思うので、そこで自分がどれだけきれいな演技をするかにかかっていると思います。とにかくSP・FSともにノーミスに近い安定した演技ができればいいなと思っています。
(取材日:11月8日)
鈴木楽人
ー今回の結果について、率直な感想を
内容的にはすごく悪かったんですけれども、結果として全日本選手権に出られたのは良かったです。
ー具体的には悪かった点は
SPは、冒頭の3トウループ+3トウループのコンビネーションジャンプが3T+2Tのコンビネーションジャンプになってしまった点です。FPでは、冒頭2つのジャンプとスピンにミスがあり、そこが反省点かなと思います。
ー前回大会から意識を変えて練習した点は
SPは特に変えなかったです。FPに関しては後半のジャンプをしっかり飛べるように、特に後半の練習をたくさんしました。
ーなぜ後半のジャンプに意識を向けたのか
疲れていても(ジャンプを)しっかり飛べるような状態に仕上げたかったからです。。
ーでは、(後半のジャンプは成功していたので)その練習の成果が表れたのですね
そうですね、結構飛べて良かったです。
ーFPで壁にぶつかってしまったジャンプがありましたが、その点について
もともと予定していたジャンプじゃないものを実施したので、距離が足りなかったのだと思います。練習の時は、ぶつからなかったので大丈夫かなと思ったんですけど、ぶつかっちゃいました…。
ーなぜ予定していたジャンプを変えたのか
もともと予定していたジャンプは飛べる確率が低かったので、それよりかは確率の良いジャンプをもっていこうとコーチと話し合っていました。
ーSPとFPのお気に入りの箇所はどこか
SPもFPもステップが気に入っています。具体的には、SPは音をとりながらどんどん優しく丁寧に表現していくところが好きで、FPは最後かっこ良さを表現できるところが好きです。
ー初めての全日本への意気込みを
初めて全日本という大きな大会で滑るので、周りに流されないように自分のペースをしっかり守って、できることを丁寧に落ち着いてやることが目標です。
(取材日:11月8日)