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【サッカー】4年生特別インタビュー⑥ 中谷優里マネージャー&安藤広大トレーナー 編

2021年12月16日(木)
法政大学多摩キャンパス
城山グラウンド

約1カ月前、法政大学体育会サッカー部の2021シーズンが終了しました。夏には総理大臣杯を制覇し、日本一を達成。リーグ戦やインカレなどのタイトルは逃したものの、最後まで懸命に戦い抜きました。そんなチームを支えたのは、15人の4年生でした。激動のラストシーズンを終え、最後のインタビューを実施。4年間を振り返り、ピッチ内外での思い出を語っていただきました。
今回は中谷優里マネージャー、安藤広大トレーナー 編です。

中谷優里(マネージャー)&安藤広大(学生トレーナー)

―4年間で印象に残っている試合はありますか
中谷:もちろん4年生の時の大臣杯の決勝は印象に残っているんですけど、2年生の時のIリーグのチャンピオンシップ準決勝の明大戦がすごく印象に残っています。最終的に5-3で勝ったんですけど、前半0-2で負けていて、その時にゴールを決めたのが同期の(安光)将作とか中井とか(松井)蓮之でした。それまでも活躍していたんですけど、初めて自分の同期がチームを勝たせるというのを目の当たりにした試合でした。その前日に私自身いろいろあってへこんでいたというのもあって、サッカーってすごいなと思わせてくれた試合だったので印象に残っています。

安藤:僕は1年生の冬のIリーグの全国大会が印象に残っています。初めてチームの遠征に参加させてもらって、そこでマッサージだとかテーピングだとかトレーナーの仕事を初めてひと通りやらせてもらえた大会だったんです。リーグ戦で1位通過できず、2位通過で何とか決勝トーナメントに行けたその流れ、ストーリーも重なって、チームとしてまとまった瞬間を遠征の中ですごく感じることができた大会でした。未だにその大会が思い出に残っています。

―4年間の思い出は
安藤:自分は練習後とかマッサージをやっていたので、そこで後輩や先輩、同期と練習以外の時間で話すことが多かったんです。今振り返ってみるとその時間は選手とコミュニケーションがとれましたし、先輩後輩関係なくいろんな人としゃべれる時間だったので、それが思い出ですかね。

中谷:私は、なんだろう…サッカー部で過ごした毎日が本当に濃くて、今年1年間は特に濃かったなと思います。自分がやらなきゃいけないことがたくさんあったので、マネ部屋っていう作業部屋に残ることも多くて。残って作業をしていると1年生が来たり、たまに同期が来て話したり、その時間は特に印象に残っています。

―マネージャーやトレーナー目線から見て、衝撃や影響を受けた方はいらっしゃいますか
安藤:4年の宮本優は本当にすごかったです。本人も言ってたかもしれないですけど、就活もがっつりやっていて、自分と同じ業界で一緒に就活していて、話をすることも多かったんです。今年プロに行った大卒の中でも一番ガッツリ就活してたんじゃないかな。その中で、プロへの道を最終的につかめたのは本人の諦めない心があったからだと思います。本当に努力しているのを見ていた選手なので、プロ内定が決まったことを報告された時は、みんなの時ももちろん嬉しかったですけど、より嬉しかったですし、自分も頑張ろうと刺激になりました。

中谷:私は安藤くん、後藤くん(審判員)含めて4年生全員すごかったなと思うんですけど、その中でもやっぱり蓮之がすごかったなと思っています。早い段階でフロンターレ入りが決まって、注目されていて、友達とかと話すときもみんな蓮之は知っていたり、「松井蓮之ってすごいよね」ってよく言われていました。私が耳にするくらいだったから、本人にはもっとそういう声が届いていただろうなって。そういう周囲の目はあっただろうけど、それに対して集中したいからといって耳を傾けないんじゃなくて、その期待をちゃんと受け止めて、自分の使命として戦ってきていました。プレッシャーとかあったと思うけど、負けずに1年間戦ってくれたし、私でも分かるくらいすごいプレーもあったし、すごいなと思います。ありがちな人をあげちゃったのが嫌だな(笑)。

安藤:意外といないんじゃない(笑)。

中谷:本当にすごかったなって。プレッシャーの中であんなにいろいろ結果を残してきてすごいなってつくづく思っていました。

―活動するうえで大変だったことは何かありますか
安藤:全部大変だったね。

中谷:いっぱいある(笑)。本当に大変なんですよ!

安藤:朝が早い!

―寮生活ではないんですね
安藤:僕らは近くで一人暮らしをしています。

―朝は何時に起きるんですか
中谷:私は朝余裕を持ちたい人なので、4時半とかに起きていました。

安藤:僕は少しゆっくりで5時20分とかですかね。30分までに起きれば最悪間に合うので。感覚がおかしくなってますよね(笑)。

中谷:身体的な辛さは挙げればキリがないし、朝は早くて、基本部活が優先でお休みもそんなになくて、結構、精神的にもきてたかも。試合には出ないけれど、マネージャーやトレーナーもチームに入れてもらっているからには、チームが上手くいかなかったらちゃんと自分たちの行動も見つめ直さない。私はずっと同期がすごかった、素晴らしかったのでそれに自分が見合ってないというのが心の中で劣等感としてあって、それが私は辛かったなって思います。追いつきたかったけど、本当にすごい人たちだからなかなか追いつけなくて、情けないな悔しいなっていう日々を実は毎日過ごしていました。結果が出なかった時とかは、こんなにすごい人たちが結果を残せないのは私が足を引っ張っているからだ、とか思っていたから、そういうのも含めて私は精神的に辛かったです。

安藤:そういう時どうストレス解消してたの?

中谷:そういう時はプラスには考えられなかったから落ち込んで、でもずっと追いつきたかった。追いつけないというのはわかってたけど、でも絶対に追いつきたかったし、みんなを追い越したかった。本当に今だから言えるけど、私はみんなを追い越して日本一に連れていきたかったの。その気持ちはずっと消えなくて、消えたらもっと楽だったんだろうなって今は思います。だけど、私はどんなに辛くても、その野心だけは消えなかった。その気持ちを思い出して頑張ってました(笑)。

―辞めたいなと思ったことはありましたか
中谷:めちゃくちゃありました。

安藤:全然あったし、ミスしたり、怒られたり、上手くいかなかったときに、逃げたくなる瞬間もありました。でも特に今年は自分が話に行かないと解決しないなっていう瞬間は結構あったので、それは辛いというか、うわーってなりましたね。

中谷:本当に安藤くんは頑張ってきてくれたよね。

―そんな中で4年間続けられた原動力はどこにありましたか
安藤:自分はやっぱり選手ですね。(選手が)活躍したり、テーピング巻いたりマッサージが終わった後に「ありがとう」とか、試合後にも「今日は良いプレーできたよ」みたいなのを言ってくれたりするんです。その一言で何とか4年間続けられてきたかな。やっぱり選手の存在が、落ち込んだ時の「もう一回頑張ろう」っていう原動力になっていたと思います。

中谷:めっちゃ同期が好きで、(原動力は)ずっと同期だったんです。いろいろあったけど、ずっと同期に追いつきたかったので。なんか分からないんだけど、みんなすごい人たちだけど、私は追いついて追い越せる自信がずっとありました。日本一にさせられるってなぜかずっと思っていて、その自信がずっと原動力でした。

―この4年間を通してご自身が成長したなと思う点は
安藤:僕は高校までサッカーを選手として続けていたので、初めてスタッフ、トレーナーとしての立場でサッカーに関わりました。入学当初と比べて人と向き合う力は成長できたかなと思っています。トレーナーやスタッフの仕事は、人と人を繋ぐ仕事です。話さないと分からないこともやっぱりありますし、話しても信頼関係がないと相手の本心が出てこない経験も多くしてきたので、人と関わることの難しさを痛感しました。

中谷:成長した部分ですよね。あんま変わってないかも。私変わったかな?

安藤:強くなったんじゃない?

中谷:あー、それはすごい同期とかにも言われます。たくましくなりました!

安藤:めっちゃ変わったよ。こんなに話してなかったし。

中谷:ちゃんと伝えられるようになったかな。仕事は最初から出来てたんです(笑)。

安藤:自分で言うのかよ(笑)。

中谷:できてたんだけど、余裕はなかったかも。全部がむしゃらにやっていました。最初はとりあえず全部全力でやることが正しいと思ってたけど、それだと逆に周りが見えなくなっていることに徐々に気づいて。それに気づけたことが成長なのかな。それに気づけたことで余裕が出てきて、何が起きても冷静に対応できるようにもなるし、物怖じしなくなりました。

―高校でもサッカー部のマネージャーをやっていたんですか
中谷:マネージャーはやったことが無くて、大学になったらマネージャーやろうかなって感じで、ノリで入ったのがいけなかったんです(笑)。もともとサッカーは好きでした。

安藤:どうしてサッカー部に入ろうと思ったの?

中谷:入学したときはサッカー部が法政にあることすら知らなかったんです。充実した大学生活を送るためには部活だと思って、駅伝部に入ろうと思ったんです。でも駅伝部は女子マネージャーを募集してなくて。そしたらたまたま蓮之が同じクラスでサッカー部って言っていて、サッカー部あるんだ、ちょっと行ってみようかなみたいな感じで来ちゃいました。突発的に行動しちゃいました。

安藤:僕は高校までサッカーをやっていて、怪我が多かったので、大学はそういったトレーナーの勉強したいなと思っていました。現役で落ちちゃって、浪人したんです。その浪人期間には大学サッカーのトレーナーはやりたいなと思っていました。大学サッカーのトレーナーを募集していて、かつトレーナーの勉強ができるところを受けて、いくつかの大学に受かったんですけど、法政にビビっと来たんです。選手のことは(飯島)陸はちょっと知っていたくらいで、(田部井)涼とかは同い年ではないので全然知らなかったんですが。

中谷:同期で選んでたんだ!

安藤:あのゲキサカは今でも覚えてるんだよね。記事見て、これは法政来るなって。

―プレーヤーではないお二人から見た大学サッカーでプレーする意義は
中谷:やっぱり人間性だと思います。もともと注目されてきた世代だったけど、私たちから見ても1年の時とはまるで違うくらい、写真の顔つきからも違うし、話す言葉も違ったし、上からになっちゃうけど本当に成長したなと思う。

安藤:あんなにしゃべれなかったのにね。

中谷:本当にしゃべらなかったのに今はかっこいいこと言うよね。4年になったらそういう場面が増えてきて、そういう意味では本当に人間性が高められる世界だなと思う。

安藤:高卒でプロになれなかった子も多いと思うので、これも人間力になっちゃうんですけど、なんでプロになれなかったのかっていうのを4年間見つめて、真剣に自分と向き合える時間です。その4年間のおかげで、人として一枚厚みが出るんじゃないかなと思います。

中谷:本当にサッカー人生を懸けていて、今後も0ではないけど、大学サッカーがほぼ最後のプロへの挑戦だから、高校サッカーにはない責任とかも4年生を見ると芽生えているなと思います。各学年違う責任があって、1年生はすごいのびのびとやって4年生になるとびっくりするくらいみんな責任を持ってプレーしている。そうやって学年ごとに違う色があるのが魅力かなと今思いました。

―後輩に期待することは
安藤:普段は抜けているようでも、サッカーになると頼もしい選手がいっぱいいます。後輩たちのおかげで勝てた試合もありましたし、感謝しています。

中谷:4年生になって後輩が支えてくれる偉大さに気付きました。ただ4年生が抜けるからこそ、逆にのびのびやってくれるんじゃないかなという期待があります。しかも来年は創部100周年ですし、気合が入ってるんじゃないですかね。4年生の背中を見て、ちゃんとついてきてくれたからこそ、かなりのものを得ていると私は確信してるから、それを存分に発揮してくれれば結果もついてくると思うので、期待してますし、応援しています。

―来季以降注目の選手は
中谷:私は伊藤綾汰(現福3=尚志)。クールで、私でも上手いなって思うプレーもするし、なによりも私は綾汰がピッチ外で話している言葉が好き。悪いけどだらけてそうな感じなのに、考えてることはすごい素直で素敵なんですよ。3年になって時間に余裕ができたから、本を読むことにしたんです。とか、お金について学ぼうかな。とか言うだけじゃなくてちゃんとやってるんです。当たり前のことだけど、それをちゃんと実行できているのがすごいなと思います。夢を素直に言えて、それをちゃんと行動に移せているのがすごいなと。そこが綾汰の魅力だなと思っています。

安藤:今は怪我しているんですけど3年の佐藤将太郎(社3=法政二)です。リハビリの努力が報われてほしいなと思っていて、どんな形でも来年の4年生の中でキーマンにはなるのかなと思います。ピッチの中でも外でも、将太郎には期待しています。

―同期の存在について
中谷:私は同期が本当に大好きで、この同期で良かったなと思いますし、幸せでした。でもさっきも言ったように、素晴らしすぎる分、その同期に自分が見合ってないのが嫌で情けなかった。好きだったけど、息苦しい存在だったなと今振り返ると思います。女子は私一人だし、マネージャーだしとか、みんながすごいから逃げ出そうと思ったときもあったんですけど、追いつきたいとかそういう野心は消えませんでした。本当に追いつきたいな、追い越したいなって思いたくなる同期でした、感謝の気持ちでいっぱいだけど、本当にこの1年に関しては本当に申し訳ない気持ちでいっぱいだったかなと思う。本当にみんなすごいんですよ。

安藤:それ言うの今日何回目(笑)。

中谷:過去の4年生と比べても、どこの大学と比べても、4年生という自覚と責任を強く感じていて、その使命を果たそうと本当に毎日頑張っていまっした。周りも「最近の法政いいね」ってすごく持ち上げるんです。それでもも驕ることなく、威張ることなく、ずっと謙虚でいて、結果が出なくなったら自分たちの責任って自分たちにベクトルを向け続けていて、私は頑張りすぎなんじゃないかなとずっと思っていました。そんなに背負い込まなくていいのに、もう大丈夫だよって思ってずっと心配だったんですけど、私はみんなに追いつけていないと感じていたから、そういう言葉をみんなに言うこともできず。私も私で仕事に手いっぱいで、みんなの負担を減らすような手助けもできずに終わっちゃたから申し訳なかったなって。この同期だったら絶対どのタイトルも取れただろうし、日本一も何個も取れたなって私は思うからこそ、力を最大限に発揮出来るサポートが出来なかったのは申し訳なかったなと思います。でも、本当にこの同期でよかったなというのが今の気持ちです。

安藤:終わってみると、法政のサッカー部に入ってよかったなと思っています。なんでかなと考えたときに、同期の存在がすべてかなと思っています。みんな優しいんです。選手とスタッフだとどこかに壁があったり、選手が盛り上がっているところに入っていきづらい瞬間が下級生のころはあったんです。ただ、そういう時に誰かが気づいて僕らスタッフを輪の中に入れてくれるような同期でした。その温かさがこの学年のすべてかな。これからもずっと関係を続けていきたいなって思えるような人たちです。

―長山監督、井上コーチはお二人にとってどういう存在でしたか
中谷:怖かったな、、、(笑)。そんなところに気付くんだってくらい、いい意味で本当にいろんなところを見ている人でした。ピッチ外の行ないとか、そこまで気付くかって何度も思わされました。気付かれる前にやれるか、気付かれたとしてもいかにすぐに対応できるかは大変だったよね。

安藤:あ~。って納得できるところをいつも突かれました。

中谷:でも、全部正しかったから。成長させてもらったなってつくづく思います。

安藤:2人とも細かいところまで気づくし、気を配れる人だなって思います。

―怒られたことなどはありましたか
安藤:めちゃくちゃありますよ。

中谷:スタッフは怒られないとか他大とかはあると思うんですけど、私たちは選手と同じくらい怒られてきたかなと思います(笑)。やっぱり間違っていることは指摘されて、注意を受けることもあったし。

安藤:落ち込むけど、やっぱり考えると大事なことだし、大切なことを教えてもらいました。うちは大人のスタッフが少ないので、他の大学だと大人がやる仕事も自分たちが任せてもらえていました。責任も大きい分、怒られることも多いんですけど、そういう仕事を与えてくれていたのはありがたかったですし、見守ってくれていたので、懐が広い監督とコーチでした。

中谷:いろんなことをやらせてもらえたのは本当にいい経験だったなと思います。普通は記者会見の司会なんてやらせてもらえないのに、「任せるよ」ってやらせてもらいました。大変だったけどやって良かったと思いますし、成長させてもらえました。

―この4年間の経験を社会でどう活かしていきたいですか
安藤:僕はトレーナー目指してこの大学に入ってきたんですけど、一旦その道からは離れて一般企業に進むつもりでいます。その業界を就職活動で見てきた中で、人と人の繋がりや関係性が大きなウェイトを占めるような仕事になってくると思いました。4年間で学んだことや、トレーナーとしていろんな人と関わってきた力は社会人になっても十分通用するんじゃないかなと思っています。4年間で培ってきたものを、より一層社会人になってからも磨きをかけていきたいなと思っています。

中谷:私も一般企業に進みますが、業種的にも人間性が一番重要になると感じています。だからこそ、サッカー部の4年間で培ってきた、選手が何考えているかを考えて行動することが、お客様の考えていることを汲んで行動するというのに結びついてくると思います。経験したことを最大限に発揮しつつ、成長する心を忘れずに、野心を忘れずにやっていきたいなと思います。

(取材・二瓶堅太)

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