【アイスホッケー】北京五輪 日本史上初の決勝トーナメント進出! 法大OG床亜矢可、秦留可選手インタビュー

北京五輪6位 床亜矢可、秦留可選手インタビュー

2021年3月23日(水)
法政大学市ヶ谷キャンパスボアソナードタワー

2月4日~20日にかけて開催された北京2022オリンピック競技大会。弊会は女子アイスホッケー史上初の決勝リーグ進出に貢献したOGの床亜矢可(平29年度卒=SEIBUプリンセスラビッツ)、秦留可(平31年度卒=SEIBUプリンセスラビッツ)姉妹のインタビューを敢行。オリンピックについてのお話はもちろん、普段の生活や学生の皆さんへのメッセ―ジも伺った。
(取材・撮影/溝口真央、山中麻祐子)


笑顔で撮影に応じる床亜矢可さん(左)、床秦留可さん(右)

―北京五輪を振り返って
亜矢可:今回大会はメダルを目標としていました。そのためその目標に到達することができず、悔しい気持ちが大きいです。ですが平昌オリンピックよりも自分の中でトライすることができたので、得たものも大きかったです。

秦留可:まずは一次リーグB組で1位を取ることができたのは良かったです。ですが決勝トーナメントではトップチームとの大きな差感じたので、悔しい気持ちの方が大きいですね。

―1次リーグB組1位を決めた時のお気持ちは
亜矢可:1位通過はメダルを獲得するにあたって必須条件だとチームの中で言ってきました。そのため達成することができて嬉しいという気持ちとホッとした気持ちが大きかったです。

―試合中に印象に残っているシーンを教えてください
秦留可:チェコ戦で2得点をあげたところです。今まで得点力不足を課題としてきたので、2点を取ってチームの勝利に貢献できたのかなというふうには思います。

―お互いから見て亜矢可さん、秦留可さんはどのような選手ですか
亜矢可:センスの塊みたいな選手ですね。たくさん練習するタイプというよりかは感性とかでプレーしている感じがします。映像とかよく見ていますね。

秦留可:本当に頼りになる存在ですね。いつも声を出してサポートをしてくれます。あとは粘り強く守ってくれて、本当に決めなきゃいけないところで決めてくれます。

―本当にお互いのことがわかっているんですね

亜矢可:真逆だからわかるのかもしれないです。私がこれをしないから秦留可はするのかなとか。パスの時も「もしかしたら秦留可から来るかも」と思うのは自分ができないところとか、私が選ばない選択を秦留可がするからなんですよ。

―北京五輪で力になったことは

亜矢可:たくさんの人に応援していただいたことです。家族もそうですが、会社の人であったり、自分がアイスホッケー以外に逃げられる場所があるのは良いなと思っています。コロナ禍で練習できない時やオリンピックがあるのかわからない不安定な時期には心が折れそうになる瞬間も何度もあったんですよ。ですがそんな中で応援してくれてる人がいる、帰れる場所があると思うと、頑張ろうと思えましたね。たくさんの人の存在が自分の中で大きくあり続けたから頑張れたと思います。

秦留可:家族や会社の方々にサポートしてもらっていたから頑張ることができました。あとは友達とか、本当にたくさんの人の応援があったからですね。

―スマイルジャパンの集合写真に写っていた赤い旗に書かれた「できるぞ!やれるぞ!やったるぞ!」という言葉に込められた思いは
亜矢可:12月中旬くらいまでメンバー発表がされなかったので、2ヶ月くらいでチームをまとめなければいけなかったんですよ。そこで何か1つ大きなエンブレムを作った方が全員が同じ方向を向けるのではということで、その赤い旗ができました。デザインをチームの中で話し合った時に真ん中には自分たちがやる気が出る言葉、その周りは日の丸の円みたいに日本の強みで固めようと。そして隙間には4年間やってきた練習内容を書くということで最終的にまとまりました。

―今回見えてきた課題は
亜矢可:課題は決定力だと思いました。なのでこれからは細かい技術であったり、更にプレーの精度を高める練習を繰り返していかなければならないと思いました。あとは繊細さを上げる必要がありますね。

秦留可:課題は決定力不足だと感じています。平昌のときよりは点数も取れたので少しは克服できたとは思います。ですがまだまだチャンスを決め切ることができなかったので、FWとしての仕事を果たすという意味でもより精度を上げていきたいと思います。

―次のオリンピックに向けての目標を教えてください
亜矢可:メダルを獲得できる強いチームにしたいです。あとは自分自身もチームに貢献できる選手でなくてはならないと思います。今回は北京五輪に向け、自分なりに最大限の努力をしたつもりでした。ですがそれでもメダルを獲得できなかったので、今より強い自分で4年後はいたいと思います。

秦留可:メダルを目指して、この4年間やっていきます。今回感じたトップとの差を埋めなければいけないと思っています。

―次に亜矢可さん、秦留可さん自身についてお尋ねします。アイスホッケーを始めたきっかけは
亜矢可:父は男子選手だったので、娘にアイスホッケーをやらせるというのは自分の競技経験からあまり前向きではありませんでした。ただ幼稚園のスケートの授業で体験をしたところ、面白かったんですよ。そこからのめり込んでいきました。

―どうして今のポジションを選んだのですか
亜矢可:私はもともとはFWでした。父はDFで「DFは報われることがない。得点したらFWが注目されるし、無失点で守り切ってもGK注目される。それに失点したらDFが責められる。良いことがないからFWを絶対やってほしいし、見ていて気が楽」って言われてました。ですがある日突然急にDFがやりたくなったので、小学4年生の時にコーチに直談判しに行ってDFになりました。

秦留可:ゴールに向かっていくのが好きで、始めた頃からずっとFWです。守ることとかは絶対嫌だったんですよ。

―ご自身のポジションの魅力を教えてください
亜矢可:一つ一つ仕事をこなしてる感が良いんですよ。DFは本当に地味ですが、常にプレーの中で取捨選択して、仕事をチマチマ繰り返す。でもそれが最終的に得点とかに結び付いたら嬉しいですし、試合を俯瞰(ふかん)して見られるのが自分にとっては魅力的です。

秦留可:ゴールに向かって入れるのがFWの仕事です。ミスをしても、後ろにDFがいるので、どんどんゴールに向かっていけるところが魅力だと思います。

―大学生活と競技の両立はいかがでしたか
亜矢可:結構大変でした。授業が終わったら、すぐにバスに乗って帰らないと間に合わなかったりしました。なのでタイムマネジメントが1番大変でしたね。

秦留可:所属だけじゃなく、代表合宿にも参加していた時が本当に大変でした。授業に出られなかったり、テストを受けれずレポートにしてもらったりしました。両立には苦労しましたね。

―大学生活の思い出は
亜矢可:卒業式も出られなかったり、卒業旅行も友達を見送るみたいな生活でした。大学生で楽しみにしていたものは軒並み出られなかったんですけど、そんな中で学食で友達と一緒に食べたり、お話ししたのは楽しかったですね。

秦留可:私も大きなイベントは出られませんでした。ですが授業で助け合ったり、そういう友達と過ごす時間は思い出に残っています。

―現在の法大アイスホッケー部には弟の勇大可さんが所属しているそうですね
亜矢可:小さい頃から「お姉ちゃんたちはすごいんだよ」と言われたり、周りからいじられることもあったと思いますが、そういうのに負けず、謙虚に努力し続けているのは本当にすごいなと思います。

秦留可:今まで所属していた東京のチームは練習環境の面でも、レベルの面でも十分ではなかったと思います。ですがそういった環境から大学の1部リーグで1年生から試合にも出させていただいて、本当に頑張っていると思います。

―座右の銘や大切にしていることを教えてください
亜矢可:根という漢字。「粘り強く戦う」というのを「粘る」じゃなくて「根を張る」というふうに思って常に戦っています。というのも根はなかなか見ることがないじゃないですか。でも根をしっかり張っていれば、いつか綺麗な花が咲きますよね。それと同様に私もDFなので日の目を見ることはあまりありませんが、チームを支える存在として勝利に貢献して結果を出していこうと思っています。なので「根張り続けて戦う」ということを大切にしています。

秦留可:座右の銘とか、ルーティンとか、そういうのは気にしないようにしています。

―今後の目標やビジョンを教えてください

亜矢可:毎日楽しいを更新していきたいと思っています。自分自身だけじゃなく、自分の周りの人もそうなれるように努力していきたいです。これまでたくさんの人に支えられて好きなことをやらせてもらってるので、積み重ねてきた経験や得たものを周りの人に還元していきたいと思っています。そして今日が最高じゃなくて、さらにその先のもっとすごい良いことを起こしていきたいと思っています。

秦留可:何かすることが大好きなので、何でもチャレンジしていきたいです。そして出来ること増やして、人生楽しみたいと思っています。

―ご自身にとってアイスホッケーとは
亜矢可:自分自身の可能性を広げてくれたものという表現が1番近いですね。自分の夢や目標はアイスホッケーの中に常にありましたし、アイスホッケーを通して出会ったものや感じたことで私の可能性は広がったと思います。そしてどんなに歳を取ってもアイスホッケーで得た経験がその時の可能性に繋がっていくとも思っています。

秦留可:人生と言ったら大きくなってしまいますが、アイスホッケーは私自身を作ってくれたものです。アイスホッケーを通して友達やたくさんの経験をすることができたと思います。なのでアイスホッケーは私自身を成長させてくれた存在であるとも思っています。

―学生のみなさんに向けてメッセージをお願いします
亜矢可:何かにチャレンジすること、何かを叶えることは自分の中に信念があったからできたことだと思います。自分の信念とか自分の大きな軸は大切にしつつ、今だと思ったら飛び込むことが大事だと思います。

秦留可:いろんなことに挑戦してみてほしいです。大学生のうちしかできないことを楽しむこと、そしてその積み重ねでまた新しい経験もしていけると思います。なのでたくさんのことに挑戦してほしいです。

床 亜矢可(とこ・あやか)
生年月日:1994年8月22日生まれ
趣味:陶芸
オリンピック期間中に聞いていた曲:できっこないをやらなくちゃ(サンボマスター)
好きな食べ物:お肉

床 秦留可(とこ・はるか)
生年月日:1997年3月16日生まれ
趣味:パン作り
オリンピック期間中に聞いていたアーティスト:ワン・ダイレクション
好きな食べ物:いちご

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