第98回日本選手権
2022年4月28日(木)〜5月1日(日)
横浜国際プール
不調から抜け出した男が日本選手権初入賞を果たした。50㍍と100㍍の背泳ぎに出場した由良柾貴(社3)は、50㍍の予選で自己ベストを更新し決勝に進出。決勝では6位に入る活躍を見せた。
記事
由良柾貴
「ベストは出せる」と手応えをつかんでいた由良が躍動した。50㍍背泳ぎの予選第2組。スタートでやや出遅れるも、浮き上がりからの鋭い加速で他の選手を抜き去り1着でフィニッシュ。従来の記録(26秒20)を大幅に上回る25秒84をマークし、日本選手権で初めての決勝進出を決めた。「タイム的にはギリギリだったので不安だったが、決まった瞬間はとてもうれしかった」と振り返った。
決勝は予選よりもタイムを落とす25秒93で6位。「緊張で泳ぎが力んでしまった」と悔やむも、「今後は雰囲気にも慣れていきたい」と顔を上げた。
この種目では1年以上ベストを更新できず、焦りもあったという。自信を失いかけたが、悩み抜いた末に、ウエイトトレーニングに注力するようになった。パワーが増し「一回のストロークで進む距離がこれまでよりも伸びた」ことで殻を破ることに成功した。
夏のインカレに向けては100㍍をメインに取り組んでいく。「54秒15を出して優勝することを目指している。スピードは付いているので、あとはスタミナを付けていけば見えてくる」と由良。学生王者へ至る道筋が視界にはっきりと映ったようだ。(根本成)
選手インタビュー
由良柾貴
ー 大会を終えて今の気持ちはいかがですか
決勝進出を目標にしていたので、達成することができて安心しています。
ー 50mで決勝進出が分かったときはどういった気持ちでしたか
タイム的にはギリギリだったので、決まるまでは不安でしたが、決まった瞬間はとても嬉しかったです。
ー 3月の選考会の時はどういった状態でしたか
足首を怪我していたので、まともに泳げる状況ではなかったです。選考会の1週間ほど前に捻挫をしてしまって、そこから完治するまで3週間ほどかかりました。
ー 選手権前はベストが出せるという手応えはありましたか
怪我があり不安でしたが、練習のタイムは上がってきていて、実力が付いているという感覚がありました。なのでベストは出せるのではないかと考えてました。
ー 特にどういったトレーニングの手応えが良かったですか
ウエイトトレーニングです。重量がかなり上がっていてパワーが付いている感覚があったので、それが自信になっています。
ー 50mの予選では大幅に自己ベストを更新されましたが、どのあたりが良かったですか
15mを過ぎたあたりからが僕の強みなので、そこからの追い上げがいつもよりも良かったと思います。
ー スピードを生んでいる要因は
腕の掻きです。ストロークの回転は遅いんですが、一掻きで進む距離が他の選手よりも長いのでその点がスピードを生んでいると思います。ウエイトの成果もあって、一回のストロークで進む距離がこれまでよりも伸びていると思います。
ー 選手権決勝の雰囲気はどうでしたか
初めての決勝ということもあり、かなり緊張したんですが、楽しむことができました。レースを振り返ると緊張で泳ぎが力んでしまった部分があります。なのでそういった雰囲気にも今後は慣れていきたいなと思います。
ー 100mも含め、今後の課題は
今回の100mの前半は速く入ることができて良かったんですが、スタミナがなくて後半に落ちてしまったのでこれからの強化期間でスタミナを付けていけたらと思います。
ー ここまでの大学での競技生活を振り返って
今回ベストを出すことができましたが、以前のベストが1年前のものだったので、伸び悩んだ感じはあります。何も考えずに練習を頑張っていただけでしたが、ウエイトトレーニングでパワーを付けることを意識し始めてからは調子が上がってきました。
ー インカレの目標は
インカレではインターナショナルCの標準記録である54秒15を出して優勝することを目指しています。
ー 現段階での手応えはありますか
今回の試合で前半はいい感じで入ることができていました。スピードは付いているので、あとはスタミナを付けていけば見えてくると思ってます。