シングルス1番手として登場したのは大田。リーグ戦10戦目となる今試合だったが、迎えるは今年度インカレで敗戦を喫した間中啓。リベンジを果たすべく、試合に臨んだ。ファーストセット。序盤から持ち味であるコートの隅を突く鋭いフォアハンドや、相手の姿勢を崩す効果的なサーブで得点を重ね3-1に。第4ゲームでは苦手とするバックハンドからの失点が続き、続く第5ゲームもファーストサーブが入らず悪い流れに。しかし悪い流れを引きずることなく、正確なストロークで得点を重ね6-2でセットをとった。続くセカンドセットも途中苦しい展開に。序盤はスライスやロブを織り込んだ緩急のある攻撃で流れを渡さず3-1とする。しかし疲れが出たのか甘い球での痛恨のミスやサーブミスがあり、3-3と並ばれてしまう。しかし仲間の声援やベンチコーチを務めた森田湧介(法4)の声掛けもあり、その後はミスのない試合運びを見せ6-3。見事インカレのリベンジを果たした。
シングルス2番手を任されたのはキャプテンの矢島淳揮。本日が公式戦最後の試合。有終の美を飾れるか。ファーストセット。第1ゲームからいきなりブレイクすると、そのままの勢いでゲームを連取。しかし相手も粘って、すぐさまブレイクバック。その後も体制を崩しながらなんとか返球していくも、立て直しきれず、ポイントを奪われる矢島。流れを奪われたまま、4-6となり、このセットを落とす。後がないセカンドセット。先程とは打って変わり、コーナーに鋭いショットが決まり出すなど勢いに乗る矢島。相手の攻めにも強気に対応し、ピンチをチャンスに変えていく。その後は緩急をつけたプレーが功を奏し、試合はファイナルセットまでもつれ込んだ。運命のファイナルセット。一進一退の攻防を見せ、試合は膠着状態に。しかし法大の熱のこもった応援に応えるべく、ネット前に出るなど攻めの姿勢を崩さない矢島。6-3でこのセットを奪い、勝利をつかんだ。
シングルス5番手として登場したのは森田。コンディション面で万全ではない中、攻撃を変化させながら相手を圧倒した。ファーストセット。序盤はミスが続き失点するも、粘りのプレーで簡単にゲームポイントを与えず、接戦に持ち込む。中盤以降は、余裕が出たのかラリー戦の中で緩急をつけ相手を翻弄(ほんろう)。5-2と大きくリードする展開に。しかし相手も簡単には引き下がらず、ミスを誘うネットギリギリのストロークで粘りを見せ5-4とする。追い込まれた森田だったが第10ゲームをデュースの末に取り、6-4でセットをとった。
続くセカンドセットでは流れを完全につかむ展開に。序盤からコートの隅を突く攻撃で連続得点を決め2-0に。第3ゲームでは激しいボレー戦となるも粘りのプレーでポイントを取ると、さらに勢いが増す。相手の焦りにつけ込むように鋭いストレートを打ち込み、6-0で勝利となった。
新井翼はシングルス6番手に登場した。昨年からリーグ戦に出場しているものの、まだ完璧な勝利を得ていないという新井。今日こそつかめるか。ファーストセット。鋭いサーブで相手のリターンミスを引き出し、着実にゲームを連取していく。その後激しいラリーになるも、隅を突くストロークで粘る新井。6-1でこのセットをものにした。続くセカンドセット。積極的に前に出て、相手の攻撃を自分のチャンスに変えていく。その後も左右に振られる場面もあったが、相手の隙を突いてポイントを奪取。6-2で快勝を決めた。 (取材:溝口真央、東夏紀)
選手コメント
植村直己 監督
―今大会の総評をお願いします
最近日大、筑波大とかの2部のレベルが上がってきているので、まず入れ替え戦にかかってはいけないと思っていました。その上で今大会は王座出場を目標にしていましたね。中でも今年はいつも競り合う明治戦と慶應戦に照準を合わせていました。結果として明治には体力勝ちをできましたね。最後のシングルス4人が全部勝ったんだよね。明治の子たちは疲労で4人とも足が痙攣してしまいましたが、うちはまだ元気だったのよ。そんな体力を作れたのは我々の自信になったね。あとは慶應戦でも暑い時間帯に法政がだんだん晩回してきましてね。勝てるかもしれないところまで行きましたが、そこはやはり慶應さんでした。残念ながら負けてしまいましたね。早稲田戦は大田がインカレベスト16の相手に勝ってくれました。そしてそれを見ていた部員に「まだいけるんじゃないか」と勇気を与えてね。最後は中央戦ですね。やはり3位と4位だと、これから入ってくれる高校生の見方も変わってくるんですよね。だからここは負けられないと思いました。そして本日勝って、ポイントが明治よりも1ポイント上回り、順位は3位になることができました。去年の借りを返したんです。だけどそれよりももっと上の目標があってね。まず王座出場しなきゃいけない。だから来年もっともっとフィジカルを鍛えて臨みたいと思います。早慶を見ていると怪我せず、シングルス、ダブルスともに5戦戦ってスタミナが落ちない選手を作らなきゃいけないと思いました。そのためにはフィジカルトレーニングはもちろん、学生以外の大会にどんどん出て、試合経験を積ませることもやらなければいけないです。課題が山積みですね。そして今大会は平井や加藤木のシングルスが非常に良かったり、大田が早大の池田選手に勝ったことで自信をつけたという収穫もありました。来年も強い1年生が2人くらい入って来るので、楽しみになると思います。あとは今年より全員が協力するチームが出来上がったので、その分多くの選手が育ってきたし、何より今年チームがちょっと明るくなったんだよね。来年が楽しみですよ。
―4年生の方たちはどんな代でしたか
昨年の中川1人しかいない代と同じで矢島1人しかシングルスがいないと言われていてね。さらにこの代になったら日大とかの2部も強くなってきて、危ないんじゃないかというのがありました。なので昨年明大に負けた時、矢島は「テニス以外をきちんとしなければ」と考えたらしく、最初は毎日怒っていましたね。そのおかげで今は大分きちんとしたと思います。あとはコミュニケーションです。下級生が言いたいことをある程度言えるような雰囲気作りを頑張っていましたね。そこが良かったかなと思います。例えば、オーダー決める際には「いけるいける」ではなくて、「不安だったら、不安な気持ちを全部試合前に出す」ということも伝えていました。ミーティングをきちんとやってから来たので、去年より良い結果が出たのかなと思います。4年生同士もチーム全体も去年よりミーティングやコミュニケーション、役割もきちんと決めてやってくれたので、非常に部活の運営としてはスムーズでした。チームワークが本当に良かったので、4年生にはお疲れ様と言いたいですね。
矢島淳揮
―リーグ戦を総括して
今年も例年通りの3位になることができたのでホッとしています。入れ替え戦は法政が1部に上がってからは経験したことないですし、去年よりも弱いって言われたくなかったですしね。ですが目標は1位、2位になって王座行くことでした。なので3位でホッとしているようなチームになってしまったことはとても後悔してます。 そこだけが心残りですね。来年は後輩たちが頑張って優勝してくれると思うので、そこは期待して待ってます。
―学生時代最後の試合ということでしたが、いかがでしたか
まずダブルスは僕たちが不甲斐なくて、初黒星をチームに付けてしまいました。なのでシングルスは「何がなんでも勝たないとな」という思いで臨みました。そこでは最初固くなってしまい、自分からガツガツ積極的にプレーできませんでした。ですが最後は1年生から4年生、あとは植村監督、中澤部長、佐藤さん、前川さん、安田さんが応援コートの近くまで来て応援してくださいました。それにより「負けられない」という思いがプレーに出て、強気なプレーに繋がり、最後勝てたと思います。本当に良かったです。
―勝因はそこですかね
そうですね。個人戦だったら、多分勝てなかったと思います。
―後輩に向けて一言お願いします
3位でホッとしてしまうチームだったら、王座優勝は狙えないと思います。なのでもし来年3位になったとしても、「ホッとした」という感想より「1位、2位になれなくて悔しかった」ということを言えるようなチームになってほしいです。それだけです。「本気で早慶を倒して、王座優勝する」という気持ちを持ってほしいですね。テニスの実力とかは心配してないので、あとは3年生4人に託します。本当に期待しています。
守屋達貴・村田雄飛
―リーグ戦を振り返って
村田:明治戦と慶應戦が山場で。明治はインカレの成績を見ても戦力は負けているなと思っていたので、チーム力で勝とうという話をしていました。去年のチームは個人の力が強く僕たちの代より選手が集まっていたのですが、その分考え方が分かれることもあったので、今年は気持ちだけは統一しておこうという意識がありました。その意識の統一が選手やサポートに行き届いていて、最後空が勝ってくれて感動しました。 慶應戦も惜しかったのですが、さすが慶應だなと思わされた、強さが見えた1戦でした。その他の3戦も今までにないくらい選手がファイトしているのが見れたので、自分は選手として出ることができなかったですが、最後リーグ戦に参加できてよかったです。
守屋:僕は選手として出るという立場で、去年は3戦3敗だったので今年は勝ち越して終わりたいと思い臨みました。ただインカレの前に靭帯を切ってしまって、全然動けない状態での試合になりました。動けない状態でチームに迷惑をかけてしまったかなと思います。チーム力で3位という結果が出せたので良かったです。
―けがの状態は
守屋:リーグ期間は、試合と試合の間が中2日しかないので、痛みも取れず、リーグ戦重ねるごとに動きが悪くなってしまいました。
―最終戦は調子が良く見えました
守屋:今日のオーダーを決める時に加藤木のペアを大西か僕かどっちにするか話し合いがあったんですが、自分で出ると言ったので責任感が生まれ、良いプレーができたと思います。
―村田選手はベンチコーチとして意識していたことは
村田:その選手によって戦い方や性格が違うので、勝たせるのが難しいと感じていました。去年の王座決定トーナメントでも守屋・加藤木のベンチコーチに全て入っていたのですが、3敗してしまって。それをふまえて選手の性格も考えて乗っていけるような声掛けをしたり、熱くなっているなと思ったら「今こんな状況だよ」としっかり話して、自分のテニスができるようにというのを意識していました。あとは後ろにいる応援をどのように巻き込むか、そこも意識していました。
―お2人は今後は
守屋:僕はもしかしたらインドアに出るかもしれないです。後輩の子たちが出てほしいって言ってくれたら出るかもしれないです。
村田:地元だから応援行くね(笑)。
―後輩に向けて一言
村田:一言で言うと、王座をめざしてほしいということです。個人が実力を付けていけば自信にもなるので、個人戦を頑張り、来年こそは王座出場・優勝を達成してほしいなと思っています。
守屋:僕らの代は104代なんですけど、100年で一番弱い代と言われていました。「一番弱い代なのに着いてきてくれてありがとう」と言いたいですね。
引退を迎えた4年生たち
大田空・佐藤太耀
―ペアを組んだのは初めてですか
佐藤:春関のあとに、リーグ戦で組むかもという話が出たので、それに向けて一般の大会に出たのが初めてでした。
―今日の試合をふりかえって
佐藤:大事なところでは1本取れましたし、空に助けられました。大事なところでしっかり抑えられるようになったと思います。ほかの大会に出た時も僕らは1本が取れずセットポイントを逃したことが多かったのですが、リーグ戦を通して1本を取ることができるようになりました。
大田:ダブルスは負けてはいけない相手でした。その中で相手は体がピンピンしているのにこっちは2人とも満身創痍で、プレッシャーもありながらだったので厳しい試合が続きました。本調子とはかけ離れていましたし、コートもやったことも無いコートだったので立ち上がりが良くなかったです。『こなした』と言うと相手に失礼ですが勝ったというよりは、勝たなきゃいけない試合を何とか抑えたという感じでした。正直、僕ら次第なところが大きく、負けてもおかしくなかった中で、6-4,6-4というスコアは今の僕らの状態にしては頑張ったと思います。
―大田選手はシングルスでインカレのリベンジとなりました
大田:相手は独特の雰囲気を持っている選手でした。試合中相手を見る余裕はあまりないですが、相手の様子を見ると苦しくなると思ったので見ないようにしました。普段は相手の動きを見ながらボールを打つことが多いのですが、相手を視界から切ってボールに集中しよう、という話をベンチコーチの人ともしていました。それがファーストセットで出だし良くいけた要因だと思います。セカンドセットでは相手も対応してきて合わせてきたので、ゆっくりゆっくりラリーして打つところでしっかり打てたのでよかったと思います。
―独特の雰囲気とは
大田:打ってこない、攻めてこないからミスがないのと、ボール自体も遅かったり早かったりなんですが、浮いてこないボールでした。甘い球に見えて甘くないボールを打ってきて、でもこっちが甘い球を返してしまうとしっかり打ち込んでくるというタイプの選手です。つかみどころのない、良い意味でも悪い意味でもふわふわした選手でした。
―このリーグ戦では以前より闘志溢れる様子が多く見られました
大田:インカレでは、体が万全ではなく本戦に行くことが目標だったのですが、インカレの後に色々な人と話をして。ノンプレッシャーな状態で試合をするのが良くないなと。自分は苦しいんですが、プレッシャーをかけた方が強いということを監督やOB、OB会長と話す中で学べたので自分にプレッシャーを持ってやることにしました。
―佐藤選手は主将に・大田選手は副将になりました
大田:僕らの代は4人しかいない中での主将・副将なので、半分が役職につくという形になります。部の代表として立つのは主将、その次が副将というイメージになるんですが、僕が1年生の時の4年生も4人で。その代も誰が偉いとかがある訳ではなくみんなが頑張る中で主将・副将という形がある感じでした。その代ほどではないですが、実力的にも似ていてみんな選手なので、逆に後輩たちに迷惑をかけてしまうかなとも思っています。来年のリーグ戦では、今みたいにベンチコーチや外で盛り上げる4年生がいない可能性が高いので、試合に出ない後輩メンバーへの気遣いをどのようにしていこうかなと考えています。
佐藤:空も言っていましたが、僕らの代は4人で飲んだり、本音で話し合うのであまり主将・副将とかではなく、4人で1つになれればなと。頼れる3人がいて、自分1人で気負いそうな感じもしないので、4人で頑張っていきたいと思います。
―夏関や今後に向けて
佐藤:夏関はシングルスだけですが、優勝します!今後は4年生がいなくなって不安な部分もありますが、4人で頑張っていきます!
大田:夏関は、個人戦であまり勝てていないので思い切ってやって負けたらしょうがないかなくらいの気持ちでやろうかなと思います。ただこの大会が終わったら、そんなにガッツリはやらないと思うけど、就活前のひと区切りなのでこのまま良いテニスをしていきたいです。 夏関の後は僕は4年生がいなくなってからの不安よりも楽しみの方が勝っていますね。自分たちの色に染められるのが良い機会ですが、悪い方に染まる可能性もあって。今まではあまり下に関与していなかったので伸び伸びできましたが、それだと早慶に勝てないと思います。縛るところというか、教えるところはきちんと教えて、自由にやらせるところは自由にやらせていきたいと思っています。逆に僕たちが悪い影響を与えてしまうと、これだけ今年戦えていても来年2部に落ちてしまう可能性もあります。4人しかいないからこそ一人一人が今までの代より影響力を持っていると思うので、しっかりとやっていきたいです。
森田凌矢
―リーグ戦を振り返って
僕はインカレから上がっているなと思われていたので、期待に応えるために、全勝するために、下の番手で出させてもらっていました。途中出られなかったこともありましたが、明治戦で負けてしまい3勝1敗という結果でした。リーグ戦は2日空くので、連日のトーナメントの試合より体調や士気を保つのが難しかったです。やるぞ!という気持ちを1度消沈させて、また上げるの繰り返しなので難しかったです。
―リーグ戦通して見つかった課題は
1番大きく感じたことはけがをして1試合出られなかったことです。体の硬さや日頃のケア面が不足していたなと感じました。あとはサーブ力ですね。1部校の選手はみんなサーブが強くて、戦った相手全員僕より良いサーブを打っていてそこの差を感じました。
―夏関に向けて意気込みをお願いします
リーグ戦を見た時にシングルスの強さが全員均等だったので、それが良さである反面、相手校に絶対取れない1本というか、威圧を与えられなかったという悪さがありました。夏関では僕が勝つのはもちろん、同期の誰かがベスト8には入る、それが自分であったらなお良いなと思います。
新井翼
―今日の試合を振り返ってください
全てのリーグ戦で初めてきちんと勝った気がします。僕は1年生からリーグ戦出ていて、今日が7試合目なんですよ。ですが今まできちんした勝ちがありませんでした。今日はしっかりチームに貢献できたかなって思います。あとは正直あまり勝ていなかったので、今日も勝つ自信が全然なかったんですよ。ですがみんなはそれでも僕を推して、「いけるよ」と応援してくれたので勝てました。少しは4年生に花を持たせられたかなと思いますね。
―今年はどのようなリーグ戦でしたか
今年はアジア戦から始まって、勝てはしましたがあまり良いテニスではありませんでした。そして大事な明治戦では勝たなければいけないところで、ファイナルセットを落としてしまい、勝てませんでした。総括して、今年は勝たなければいけないところで、勝てませんでした。なので来年こそは「お前なら勝ってくれる」とチームに思ってもらえる選手になりたいです。
―4年生の方は今日で引退です。今のお気持ちは
僕は4年生の先輩と結構仲良くしていたので、思うことはたくさんあります。今後はテニスで結果を出して、恩返しをしたいと思います。
―夏関に向けて一言お願いします
去年は2次予選で負けて、今年は本戦に行くことができました。なので、まずは1個ずつ勝っていきたいです。そして優勝する気持ちを忘れずに戦います。