東京六大学準硬式野球木村杯新人戦
対早大戦
2022年11月6日(日)
早大東伏見グラウンド
昨年春以来の新人戦優勝が懸かった、早大との決勝戦。今年のリーグ戦を通して、第一先発を務めてきた藤中壮太(社2)がマウンドへ。1失点で完投を収める見事な投球に応え、打線も奮起。初回に押し出しで先制すると、4回に相手失策で2点、5回に連続適時二塁打で4点を奪い、早大を突き放す。さらに最後には関宮楓馬(社2)が適時二塁打で2点を追加。終始試合を法大ペースで進め、3季ぶりの優勝を勝ち取った。またチームの主将を務めた関宮が今大会のMVPを獲得。新しいチーム作りが始まるにあたり、実りのある結果となった。
試合結果
トータル試合結果
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 計 | H | E | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
法大 | 1 | 0 | 0 | 2 | 4 | 0 | 0 | 0 | 2 | 9 | 10 | 1 |
早大 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 9 | 4 |
(法大) ○藤中-小原
(早大) ●岡田、髙橋、大澤-阿部
二塁打:内田(5回)、栗島(5回)、関宮(9回)
盗塁:井岡(2回)
打撃成績
打順 | 位置 | 選手名 | 出身校 | 打数 | 安打 | 打点 | 四死球 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | DH | 内田遥己(人1) | 前橋商業 | 4 | 2 | 2 | 2 |
2 | (4) | 井岡皇雅(現2) | 健大高崎 | 3 | 0 | 0 | 1 |
PH | 石塚利玖(スポ2) | 法政 | 1 | 0 | 0 | 0 | |
4 | 茂木大樹(人2) | 前橋商業 | 1 | 0 | 0 | 0 | |
3 | (2) | 小原捷平(社1) | 札幌第一 | 4 | 1 | 0 | 2 |
4 | (7) | 関宮楓馬(社2) | 静岡 | 4 | 2 | 2 | 2 |
5 | (3) | 菊池開斗(社1) | 花巻東 | 5 | 0 | 0 | 0 |
DH3 | 安藤彩人(社2) | 明星 | 1 | 0 | 0 | 0 | |
6 | (5) | 須賀椋也(現2) | 新田 | 4 | 1 | 1 | 1 |
7 | (9) | 大塚海斗(社1) | 鳴門 | 5 | 1 | 0 | 0 |
8 | (8) | 森涼太(経1) | 三重 | 4 | 1 | 0 | 0 |
9 | (6) | 栗島駆(経2) | 花咲徳栄 | 3 | 2 | 2 | 0 |
P | (1) | 藤中壮太(社2) | 鳴門 | ー | ー | ー | ー |
投手成績
回 | 被安打 | 奪三振 | 四死球 | 自責点 | |
---|---|---|---|---|---|
藤中 | 9 | 9 | 5 | 2 | 0 |
戦評
3季ぶりの新人戦優勝へ。計19安打、12得点で大勝を飾った準決勝から一夜明け、秋晴れが広がる早大東伏見Gで決勝戦が行われた。相手は春季木村杯新人戦では大敗を喫し、秋季リーグ戦では涙をのんだ天敵・早大。昨日同様の破竹の勢いで勝利をつかみ取ることはできるのか。
初回、1番・内田遥己(人1)が四球で出塁すると、三者連続の四球により早々に無死満塁の好機が訪れる。後続が倒れるも、6番・須賀椋也(現2)がフルカウントから四球を選び、押し出しで先制を挙げた。2回裏には、先発・藤中壮太(社2)が2死満塁の危機を招くも冷静に投げ込み無失点に抑える。
1-0と痺れる空気が漂う4回、先頭の8番・森涼太(経1)の安打から流れをつくり2点を追加した。さらに5回には、先頭の6番・須賀、7番・大塚海斗(社2)の連続安打などで無死満塁となり、続く9番・栗島駆(経2)が値千金の適時二塁打を決める。好機は続き、無死二、三塁で1番・内田も適時二塁打を決めた。先頭打者が出塁し得点する理想的な流れで、この回4得点し7-0とリードを広げる。
しかしその裏、内野安打で先頭打者を出塁させると暴投と四球が絡み無死一、二塁に。ここで内野手陣に連携ミスが生まれ、流れを止められず1得点を許した。
6回以降は両チーム無得点に終わり、6点リードで迎えた9回。法大は攻撃の手を緩めず、先頭の9番・栗島、1番・内田が安打で出塁し無死一、二塁に。さらに4番・関宮が走者一掃の二塁打を放ち、最終回にダメ押しの2点を奪取した。
9-1と8点リードで迎えたその裏、マウンドにはこの日先発の藤中の姿が。2死一、二塁の危機を背負う場面もあったが、1年間エースを務めた藤中は最後まで丁寧に腕を振った。最終打者を2Sまで追い込むと、気迫の一球で打者を空振り三振に抑え込む。天を仰ぎ雄叫びをあげた藤中に、今大会スタメンマスクを被り投手陣を懸命にリードした小原捷平(社1)、堅実な守備でチームを支えた内野手陣、前に出て声援を送り続けたベンチの選手、バットでみせた外野手陣、全員が一堂にマウンドに集まり歓喜した。
「(秋季リーグ最終戦の敗戦で)先輩の涙も目の前で見ました。今大会では先輩の分までやろうという気持ちでやった」。そう語った新人主将・関宮を筆頭に、チーム一丸となってつかみ取った新人戦優勝。伝統的に強さを誇る法大準硬式野球部は、今後もぐんぐん成長していくことだろう。来季も彼らの躍動から目が離せない。
(記事:田中さや/写真:熊谷芽歩季)
関宮は9打数7安打の大活躍で、今大会のMVPに選ばれた
選手インタビュー
関宮楓馬
―今日を振り返って
昨日あのような感じで大差で勝つことができて、今日は早稲田との対戦で前回(の春季新人戦)は負けている相手でした。今日はロースコアで厳しい戦いになるかなと思っていたんですけど、逆にそういう気持ちで試合に入れたからこそ前半からチャンスもうまくつくれて点も取れて、楽に試合を運べたかなと思います。
―優勝を受けた率直な気持ちは
春の新人戦は初戦で負けていたので、今回リベンジマッチという形で早稲田さんとやらせてもらって。勝つことができて、結果的に優勝につながったのでよかったです。
―主将として今大会への特別な思いは
一番大きいのは、リーグ戦で優勝を目前にして早稲田に2連敗して優勝を逃してしまったということです。やっぱり先輩達が頑張ってきた姿を知っているので、敵討ちじゃないですけど、似たようなことを思っていて。4年生、特に学生コーチの飯田(隼、社4)さんは4年生が抜けた後も来てくださっていたので、恩返しをしたいという気持ちで臨みました。
―打撃面の評価がMVP獲得につながったと思うが、意識したことは
リーグ戦の期間中は全然打てなくて、スタメンも外されてしまって。そんな時、リーグ戦でも試合に出られたり打つことのできている人を見た時に、どうしたら打てるようになるかなとか、そういうことを含めて考えて練習をしてきました。その結果が今回の成績につながっていると思います。
―1、2年生のチームの雰囲気は、春季新人戦の時に比べて変化はありましたか
春の新人戦はまさかあのように初戦で負けるとは思っていなくて。やっぱり負けた時の気持ちがダメージとして心の中に残っていて、秋はやってやるぞという気持ちがずっとあったと思います。そのような点が、今回このチームがうまく勝つことができた理由だと思います。
―秋季を通して見つかった課題は
今頑張ってヒットが打てているんですけど、春のリーグ戦や新人戦、全日(全日本大学選手権)、秋のリーグ戦など1年間を通して打つことができたとは全然言える結果では無いので、今日のような打率をいつも続けられるように、この冬(の練習)を頑張っていきたいなと思います。
栗島駆
―今日を振り返って
自分的には優勝できたのが一番うれしかったです。春は負けてしまっていたので、どんな内容であろうとも勝つことを意識して戦いました。勝つことができてよかったです。
―優勝した今の気持ちは
もうめちゃくちゃうれしいです。同期たちも後輩たちもみんな仲がいいし大好きなので、自分たちの代で優勝できたことがすごくうれしいです。
―昨日今日と攻守での活躍がありました。ご自身の活躍は
守備は、エラーなしで、取れるアウトは取るという意識でやっていました。常に緊迫した状況になると想定していたことでむしろ冷静になれて、結果的に意識していたプレーができたのでよかったです。バッティングは、とにかくつなぐことを意識しました。9番打者だったので、いい打者のいる上位打線につなぐことを意識して、狙い球を絞ってしっかり1球で仕留められるように打席に立ちました。
―今大会でのチームの雰囲気は
ベンチの中はめちゃくちゃいい雰囲気で。試合に出ている9人だけではなくてベンチにいる一人一人が声を出していて、全員で戦っているという雰囲気がありました。本当に全員で戦い抜けたと思います。
―栗島選手が選ぶチームのMVPは
キャプテンの関宮(楓馬、社2)です。1試合目も2試合目もキャプテンとしてチームを引っ張って、自身もバッティングや守備でチームに貢献してくれました。試合中もベンチの中でも、誰よりも声を出していて、集合前にもチームが勢いづくような言葉をかけてくれました。
―来季アピールしていきたいことは
守備です。信頼できる選手を目標にしているので、取れるアウトを確実にアウトにしていきたいです。あとは勝負強いバッティングも頑張って、仲間からの信頼が厚い選手になりたいです。
小原捷平
―今日を振り返って
自分は、結構初回が大事だなと思っていました。全然チームとして仕上がっていないので、初回の流れというか法政大学のペースでできるなというのがあれば良いなと思いながら入りました。結果的に良い形でできたので、それがよかったと思います。
―優勝を受けた率直な気持ちは
春に大敗してしまって自分自身も打撃や守備が結構ダメな感じでした。何とか今日勝って優勝したいという中で、良い形で点も取れて、失点も少なく勝てたのでよかったなと思います。
ーキャッチャーとしてのスタメン起用について
この大会が始まる前から藤中(壮太、社2)さんも古川端(晴輝、社2)さんも経験値の高い人たちなので、自分は2人の捕球をいつも球を受けている澤野(智哉、社3)さんと協力しながら、投手に合わせていこうかなと思って(試合に)入りました。
―2打点の活躍だったが、打撃の面で意識していることは
3番を打たせてもらいました。あまりいい打球は打てなかったんですけど、(3番は)チャンスメイクもチャンスで返すこともどっちも大事な打順だと思うので、そこを意識しました。前日の試合で4番の関宮(楓馬、社2)さんが結構打っていたので、どちらかというとつなぎの意識の方が大事になると思っていて、自分的にはフォアボールとかを取れてよかったかなと思っています。
―1年生の中で特に注目している選手は
1番バッターの内田遥己(社1)です。リーグ戦はまだ出たことがなくてベンチも入っていなかったと思うんですけど、自分の中ではすごくいい選手だと思っています。今は肩をけがしていて守備は全然できていないんですけど、セカンドの守備とかもすごいうまくて打撃もいいバッターなので、自分的には注目選手だなと思います。
―今季で見つかった課題は
早稲田の先発ピッチャーなどのいいピッチャーにギアを上げられて速い球や厳しい球を投げられると、お手上げというか全然打てていなかったので、もう一ランク上のピッチャーが来た時でもちゃんと打てるような打撃の練習が大事かなと思います。