2022年3月18日(土)
オンライン
4月8日よりついに開幕する東京六大学野球春季リーグ戦。法大は開幕週から登場し、慶大と対戦する。着々と準備が進む中、弊会は対戦相手である慶大野球部にオンラインでインタビューを敢行した。今回は、指揮官である堀井哲也監督、主将を務める廣瀬隆太選手に話を伺った。
監督・選手インタビュー
堀井哲也 監督
―昨年を振り返って
春秋とももう一歩で天皇杯を逃すという、非常に悔しいシーズンでした。ただ、力いっぱいやった結果なので、悔しいし、課題は残るんですけど、卒業していった4年生の悔しさとか思いを、そういう姿勢を見ていた下級生たち、今年の4年生以下が「なんとか我々の代で」というふうに思ってくれる1年だったんじゃなかなと思ってます。
―実際に体感した足りなかった点とは
やはり六大学の優勝のレベルというのは非常に高いレベルにあると思います。なかなかそこに圧倒的な力で到達するチームはないと思うので、紙一重の戦いを勝ち切るもの、武器、特徴、そういうものが慶應の場合で言うと、足りなかったということだと思うんですよね。ですから、具体的に言うとチーム力ということになるんですけど、個々の能力が高い集団ではないと思ってますんで、チーム全体の力をまとめきれなかった私も含めての責任だと思っています。
―鹿児島や神栖で行ったキャンプでの調整具合は
鹿児島ではAチーム、この春のリーグ戦に向けてのチーム力を高めるキャンプで、大きなけが人もなく、そしてなおかつチームの骨格もできあがりました。あとは細かいところですね。具体的に言うと六大学のレベルにしっかりと適応できるレベルというのを最後の詰めとして取り組んだところです。神栖組はですね、これは夏以降の選手のためのキャンプですので、ここはとにかく基礎から、1からしっかりやっていくということで、これもまだ行って3日目ですけど(取材は3月18日に行われました)、順調にいっているという報告は受けています。
―今年の慶大のチームは
(昨年のチームから)ピッチャーを含めて7人ポジションが変わりましたので、正直経験不足は否めないと思うんですね。空いた7人のポジションへ向けての競争というのは11月以来非常に激しいポジション争いをしてきましたので、チームの活性化という意味では非常に楽しみなチーム。要は活性化から生まれる勢いだとか思わぬ選手の伸びというか力というかね、こういうところに期待したいシーズンだと思っています。
―廣瀬選手が主将に就任されました
主将就任は選手間で決めて私が承認するという形なのですが、廣瀬ということで選手から言ってきましたので、私もその通りだと。今まで一番実績のある、チームを引っ張ってきた人間が今年は主将を務めるべきじゃないかと思ってますし、文字通りというかキャプテンとしてやってもらうということに尽きると思います。ただ、廣瀬だけで勝てる試合というのは何試合もないんですよね。ですから、もちろん廣瀬が先頭に立ってチームづくりというのを行っていくんですけれども、廣瀬に頼らない部分、チーム力で戦っていく部分が大事なので、そこは選手には意識させています。
―廣瀬選手に頼らない部分という点で、廣瀬選手以外に軸として期待する選手は
ピッチャーで言うと4年生の森下(祐樹)と谷村(然)という2人の選手の仕上がりがすごく大事だと思っています。そして廣瀬に次いでリーグ戦経験のあるキャッチャーの宮崎(恭輔)、それからセンターの吉川(海斗)、セカンドの本間(颯太朗)とセンターラインにリーグ戦経験のある選手がいますので、ピッチャーを中心としたセンターラインというのが我々のチームにとっての軸ですね。
―法大の印象は
これは今年のチームに限ったことではないんですけど、選手の力があると。そして訓練されていると。毎年そういうチームを作ってきますけど、今年は尾﨑(完太、キャ4=滋賀学園)くん、篠木(健太郎、営4=木更津総合)くん、吉鶴(翔瑛、営4=木更津総合)くん、そこに塙(雄裕、法4=常総学院)くんと武冨(陸、営4=日大藤沢)くんと5枚がそろっていてすごく強力な投手陣だと思ってます。打線も今泉(颯太、法4=中京大中京)くんを中心に浦(和博、キャ4=鳴門)くんと中軸に座る子がいますので、非常に強敵ですよね(笑)。1週目から当たるとなると、相当な準備をしていく覚悟で我々もやっております。
―開幕の入り方、開幕戦への思いというのは
非常に強力なチーム相手ですので、一冬やってきたことをまず出し切ると。次の2カード以降のことを考えずに、この開幕の2試合に全て出し切るというつもりでやっていきたいと思っています。
―今シーズンに向けての意気込みをお願いします
もちろん天皇杯獲得を目指してやりますけども、六大学の伝統である対抗戦という意識という意味で法政戦から今までやってきたことを出し切る。そういうカードにしていきたいと思っています。一戦一戦、一戦必勝、一カード一カード、対抗戦に勝っていくという気持ちで、大学野球の中でも六大学が最高峰だと思ってますので、そこに恩返しというか、ありがたい舞台が用意されていることに対する感謝の気持ちをゲームの結果に出せたらいいなという気持ちで、とにかく全力で出し切りたいなと思っております。
(取材:皆川真輝)
堀井 哲也(ほりい・てつや)
韮山→慶應義塾大学→三菱自動車川崎→三菱自動車岡崎→JR東日本
『慶大野球部在籍時は外野手としてプレー。1988年に現役を退くと、三菱自動車川崎、三菱自動車岡崎、JR東日本の3社にわたってコーチ、監督を務め、多くのプロ野球選手を輩出。また、JR東日本監督時代の11年には都市対抗野球大会でチームを同大会初優勝に導いた。19年12月1日付で慶大野球部監督に就任すると、21年には春秋連覇を成し遂げた。フレッシュな戦力を巧みに導き、王座奪還を目指す。』
廣瀬隆太 主将
―昨季を振り返って
チームとしては(春)2位、(秋)3位と勝ちきれなかったところが非常に悔しかったです。
―慶大の強みとは
去年からメンバーがかなり変わってはいるのですが、粘り強さが強みかなと思います。
―現在のチームの雰囲気は
チーム内の競争が激しくて、活気のあるチームかなと思います。
―今季からは主将に就任しましたが、これまでと変化したことは
主将どうこうより、最上級生としてチームを引っ張らないといけない存在なので、今まで以上に周りの選手のお手本にならないといけないと感じています
―今季の個人の目標を教えてください
三冠王です。
―オフシーズンに特に力を入れたことは
守備ですね。
―ご自身の強みは
自分はバッティングで勝負する選手なので、いかにチャンスで打てるかが重要になってくる思います。
―主軸の萩尾匡也選手(現読売)が抜け、廣瀬選手に対するマークが厳しくなると思われます
マークが厳しい中で、勝負してくると思うのですが、相手ピッチャーの失投を確実に捉えたいなと思います。
―昨年は大学日本代表に選ばれました
非常にレベルの高い選手たちと野球ができたのはいい経験になりました。また、自分よりも上手い選手ばかりで、自分ももっと頑張らないといけないと刺激をもらいました。
―六大学の本塁打記録の更新は意識していますか
そこまで意識はしていないのですが、全力でやった結果超えられたらいいなと思っています。
―プロに指名されると、慶應幼稚舎出身者として初めてのプロ野球選手となります
幼稚舎出身で初めてということで、快挙を成し遂げたいという気持ちがあります。
―卒業後の目標は
お金持ちですかね(笑)。
―それはプロを目指されるということですか
もちろんそうですね。
―他大で意識している選手は
やはり明治の上田(希由翔)選手ですね。上田も1年生の時から主軸を打っていて、下級生の時から意識しあっています。日本代表でも一緒でしたし、負けたくないと思っています。
―法大の印象は
法政は毎年いい選手がいて、戦力にムラがない印象があります。今年も選手が揃っていると感じています。
―法大で警戒している選手は
今泉ですね。非常にパンチ力のある選手なのでホームランを打たれないように警戒しています。
―慶大で期待している選手は
外丸(東眞)ですね。去年からリーグ戦を経験していて、その経験を活かして、エースとして頑張ってもらいたいです。
―ファンの方に向けてメッセージをお願いします
今年もリーグ優勝、日本一、そして早稲田に勝つという目標に向かって、チーム全員で頑張っていきます。応援よろしくお願いします。
(取材:盛岡惟吹)
廣瀬 隆太 (ひろせ・りゅうた)
商学部4年 2001年4月7日生まれ
慶応義塾
182㎝91kg・右投右打
昨季成績:14試合 67打席 59打数 15安打 3本塁打 7打点 7四死球 20三振 打率.254
『豪快なフルスイングから打球を彼方へと飛ばす六大学No.1スラッガー。主将に就任した今年も打棒でチームをけん引する。』