【アメフト】新幹部インタビュー 〜前編〜

新幹部取材
2023年5月5日(金)法政二高グラウンド

今年度の新チームが始動した。主将はWR滝沢叡(文4)。副将はRB新井優太(営4)、LB伊藤右徳(現4)、DL山田晋義(営3)だ。『日本一』という目標を持ち、突き進む法政ORANGEから目が離せない。選手たちはどのような思いを胸に抱き今季に挑むのか。今回は、幹部に就任した4名に話を伺った。本インタビューは前編、後編に分けてお届けする。

2023年度の新幹部メンバー 左から伊藤、山田、滝沢、新井

 2023年度幹部

役職 名前
主将 滝沢叡(文4・WR)
副将 新井優太(営4・RB)
副将 伊藤右徳(現4・LB)
副将 山田晋義(営3・DL)

選手インタビュー

※滝沢選手、伊藤選手は合同での取材だったため、伊藤選手のインタビュー内でも滝沢選手に回答していただきました。

WR 滝沢叡(たきざわ・あきら)

ー主将となった今の気持ちは
このチームで日本一になる姿を何度も考えているんですけど、すごく楽しみだなと思っています。

ー昨年までと心境に変化はありますか
大きくありますね。まず挙げられるのは、自分だけではできないことがたくさんあるんだなというのがあります。今まで4年生にどれだけ頼っていたか、ぶら下がっていたかというのを1番知りました。
今年は主将としてチームを引っ張らなければいけないし、「3年生の時にぶら下がっていたな」という思いを今の3年生にして欲しくないので、3年生に今のチームのことを伝えないといけないということを考えるようになったのが心境の変化としてありました。
あとは、主将になって最初の方は『こうあるべきだ』と思っていた姿がありました。でも副将など何人かから言われて、主将になってから自分らしさを失っていたことに気がつきました。今はもうないんですけど、その辺りは心境の変化だったかなと思います。

ーもともと主将になることは予想していましたか
2年生から学年リーダーではあったので、ある程度僕が主将になろうと思いながら練習していました。

ー前主将である山田選手と何かお話はされましたか
そうですね。食事も一緒にして、去年山田主将がどのようなことを考えてシーズンを過ごしていたかということを結構聞くことができました。その時まではそんなに深い交流はなかったので、自分の知らないことや「こんなことを考えていたんだ」ということを知れたし、大変な思いをされていたことを聞いて、不安な気持ちもありましたが楽しみになりました。

ー高校時代も主将を務められていたとのことでした
高校時代と1番違うところは人数ですね。そもそも選手の人数も多いし、選手だけでなくマネージャーもトレーナーも大人のコーチも含めてマネジメントをするということだったので、高校と比べてなんでもできるわけではないという点は難しいなと思っています。

ー高校時代には日本選抜としてインターナショナルボウルで米国代表と対戦されていたと思います 大学入学前に世界と戦ったことで何か心境に変化はありましたか
それは大きかったですね。ひとつは、アメリカ選手と戦ったということよりも、全国の日本代表レベルの選手と1週間練習したことが大きくて。個性がすごく強い選手ばかりで、考えも強いしプレーのスタイルも「そんなことあるの?」と思うような人がいっぱいいました。日本選抜はおそらく国内で1番強いチームだと思うので、あれを大学で作っていかないと日本一にはなれないんだなと思いました。高校の時も自由にやっていたつもりではあったんですけど、それ以上にとらわれないフットボールを目指すこともできるんだなというのを味方から感じました。
アメリカ選手はみんな1つ年下だったんですけど、とにかく大きかったです。大きいし腕は長いしで、「これがアメフトなんだな」と思いました。高校では日本代表だったのですが、やはり本場は全然違うなと思いました。全然違ったアメフトの面白さも感じることができたのは、自分の中で大きな経験だったなと思います。

ー大学に入学されてからはコロナ禍での活動だったと思います 大変だったことは
できていたかは別として、コロナ禍でもみんなで何かをやることをずっと意識しようと思っていて。僕はもともとニ高だったので、ニ高出身のアメフト部はたくさんいて。そこと疎遠になるのももったいないし、これから4年間チームメイトとしてやっていくメンバーもスポーツ推薦でたくさんいたので、そことのつながりも作りながら、色んなことをやっていきたいなと思っていました。難しかったわけではないけれど、その点はある意味頑張ったことかなと思っています。
どこかで集まってフットボールをやろうという機会を設けていたし、そこでだいぶ交流は深まったと思います。新井(優太)とは1年生からずっと仲良くしているんですけど、そこで仲が深まりました。1年生の夏頃だっけ?集まったのは夏か秋だったんですけど、その頃には顔見知りになれたので、そこはコロナ禍で頑張ったこととしてありますね。

ーチームメイトと関わる時に意識している点はありますか
挙げるとしたら、『主将っぽくない』ということですかね。話している時も、主将としてというよりもWRの滝沢として話すようにしていますね。主将として連絡をしたり叱ったりということはありますが、日常会話にも主将感が出てしまうと現場の意見が聞けなくなってしまうので、自分の弱みをさらけ出しつつ、相手の意見を聞くというのをなるべくするようにしています。

ー滝沢選手から見て法大はどのようなチームだと思いますか
型にとらわれないと思っていて、ひとつは今年からではないですけど、『自由と進歩のフットボール』というのを掲げていて。自分たちで何かを考えて行動していこうという風潮がありますし、なんとなく他の大学と比べると楽しそうという雰囲気があるので、そういう校風が感じられるのかなと思っています。あとは毎年違う雰囲気がチームだと思っています。去年は特に堅かったけれど、その前は和やかだったかなと思っていますし、僕が高校の時の大学生もすごく和やかでした。1年生から4年生まで関係なくやっているチームだなと思っていたので、良い意味でも悪い意味でもコロコロ変わると思います。色々なプレーもするし、チームメイトもいるというのが法政の印象かなと思います。

ー注目している選手はいらっしゃいますか
なるほど。まあ高津佐(隼世)はみんな注目しているので、高津佐以外だと、3年DB南雲(昇太)ですね。南雲とはいつも戦っていますけど、僕は嫌なので、相手にも同じ思いをしてほしいなと思います(笑)。

ーその理由は
とにかくタフで。体も気持ちもタフな男で、普段は温厚なんですけど、グラウンドに入ると熱いタイプで、フットボールを体現している男だと思います。フィジカルで勝って、気持ちで突っ込むみたいな。そこがすごく好きだなと僕は思います。たまに荒っぽいところもありますけど、そこもフットボールだと思うので、そこで法政のフットボールらしさを見せてほしいなと思います。

ー昨シーズンを振り返って
昨シーズンは結果が関東2位で終わって、なかなか満足いかない結果ではありました。それでも、法政でフットボールをする理由を学べたなというところでは実りあるシーズンになったかなと思います。
去年の課題としては、チーム力ですかね。4年生がすごく強かったので、3年生はそこに乗っかって、流れゆくままにいっていたというのが僕の印象でした。実際僕が主将になった時にチームのことを何も知らなかったなと思っていて、チームに今何が起きているのか、やっていることに対してどんな理由があるのかというのをもっと共有して、チーム一丸となって目的や目標に対して取り組んでいくのが今年1番の課題かなと思っています。チームが始まった最初の頃にそれを掲げて、やるようにしています。

ーチーム強化のために滝沢選手の役割はどのようなところでしょうか
僕の役割はとにかく情報共有かなと思っています。主将なので、選手の中で1番情報を持っていると思います。なのでそれを出していこうかなと思っていて。チームなので、何かしら考えが違うことがあるとうまく回らなくなってしまうと思うので、自分の意見も言いつつ、コーチたちの意見も汲みつつというのを考えています。自分が出していけば、あとは周りもそれに対して言ってくれると思うので、そのあたりは常に心がけてやっています。

ー最後にファンの皆様へ
今年は法政ORANGEが少し変わったというか、一新しているところはたくさんあるので、今までの伝統を残しつつも、新しい法政ORANGEの活躍に期待して、ぜひ試合を見てくださったらなと思います。

(取材:芦川有)

LB 伊藤右徳(いとう・ゆうとく)

ー副主将を任された時の率直な気持ちは
自分がなんとなくチームの中心として関わっていたいなという気持ちはあったので、任された分以上にしっかりと責任感を持って、役割を果たそうかなと思いました。

ープレッシャーはありませんでしたか
プレッシャーは、言っても副将なので、主将は比べ物にならないくらいあると思うけれど、ある程度自由にやらせてもらっている部分もあるので、そこまでプレッシャーは感じていなかったです。

ー新シーズンが始まって現在の心境は
初めはまさか負けると思っていなかったタイミングで負けてしまって、チームが始まったので、どうしようかなという気持ちはありましたが、今は叡中心に色々なことに挑戦してきています。長いスパンで調整している最中なので、結果はまだなんとも言えませんが、すごく楽しくというか、楽しみながらフットボールができているというのは感じています。

ーどのような経緯で副主将に決まったのでしょうか
伊藤:僕は変な感じだったよね。
滝沢:難しいね。そもそも投票制で。
伊藤:投票制と立候補制みたいなものをどっちも取っていて。まずは投票をして結果を見て、ある程度僕にも票が集まっていて、主将をやるか副将をやるかみたいな流れになって。でも正直、主将のプレッシャーは計り知れないなと僕も高校生の時にキャプテンをやって感じていたので、どうしようかなと悩んでいました。あと、当時は自分たちの代の主将に向いていないというか、叡もいて自由度が求められている中で、僕は堅い性分の人間なので、主将というよりも、みんなが自由にやるところを締めるというのが求められている役割なのかなと思って。悩んだけれど、副将という形で収まったという感じです。

ー高校の時のキャプテンとしての関わり方と、副将としての関わり方で変えていることは
高校の時はいかに僕が情熱的に引っ張るかということを重視していましたが、今は自分以外のリーダーが多いので、一歩引いて俯瞰して見て、ただただ熱くというよりは、僕が何か言ったときにみんなが納得できるように論理的に、足りないところを補完する形で関わっていけるように心がけています。

ー監督から何か言われたことはありますか
このメンバーを伝えに行くときに、僕が「自分はあまり合っていないんじゃないかな」と思っていた話もしていて。ただ、それを自分で決めつけていた部分もあったので、そのあたりもみんなで話し合ってチームの方向性を決めていくことがいかに大事か、という話をされました。そこは自分で決めつけていたということに気がついたし、1年間チームを引っ張っていくメンバーとして、周りの意見も聞きながら、固執せずにやっていかないといけないということを気付かされました。

ーメンバー決めに監督は関わらないのですか
伊藤:基本的に4年生と学年リーダーのメンバーを集めて最後に投票するという形です。でも僕はそのとき体調を崩していて。僕はzoom参加で喉がガラガラだったんですよね(笑)
滝沢:そうそう、張本人はね。

ーその状況で投票が集まっていたということなんですね
滝沢:投票は全員だけどね。投票を全員でしたあとに、そこから話し合いをするのが、さっき言っていた4年生と各学年のリーダーっていう感じですね。
伊藤:懐かしいね。
滝沢:だいぶ前だね。

ーちなみに決まったのはいつ頃ですか
滝沢:決まったのと正式決定はまた違うんだよね。
伊藤:そうそう。暫定でメンバーは決まっていて、このメンバーで変わっていないですが、本当にこの組織体制でやっていくのかといった話もして、正式に決まったのが2月の終わりですね。
滝沢:1ヶ月くらいは暫定っていう感じでやっていましたね。

ー今年はどのようなチームにしていきたいですか
今年は『自由と進歩のフットボール』という1番掲げている理念を体現できる年かなと思っていて。そういう意味でも1人1人が自走していく上でリーダーは足りていないかなと思っています。日本一を取るためには、どれだけリーダーが増えていくかが大事だと僕は思うので、そこを頑張りたいと思います。

ーその雰囲気を作るために伊藤選手の役割は
自由度とは僕はかけ離れているというか、チームの中では結構遠い存在なので、叡が好きなだけ自由にやってくれる分、僕はそこの軌道修正みたいなところを任されていると思っていて。自由になりすぎてもチームが崩壊する可能性もあるので、そこでしっかり自分が締めるところは締めて、軌道修正をすることが役割だと思います。

ー後輩とのコミュニケーションを取る上で意識していることは
これは副将になる前からずっとそうなんですけど、しょうもない会話をどれだけするかが大事かなと思っています。真剣な話をしたいなと思える人間になることが1番大切だと思っているので、そのための関係性づくりとして、日頃からアメフトと関係のない雑談をすることを心がけています。

ー昨年までの副主将の選手方と何かお話はされましたか
思っていたよりも自由にやっていいという話はしてもらいました。言っても自分たちは学生で、上にはコーチがいるので、そのあたりのしがらみはあると考えてしまいがちなんですね。でも大人を使うというか、日本一を目指すためのサポートは待っていてもしてもらえるわけではないし、本当に目指したいのであればコーチ陣など大人も巻き込みながらやっていかなければいけないという話になりました。『大人だから』『コーチだから』ではなくて、そのあたりにも要求をしていくことは重要だという話をしてもらいました。

ー法政のLBはどのような強みがあると思いますか
伊藤:1番は熱いパッションじゃないですかね。
滝沢:気持ちはね、強いね。
伊藤:ディフェンスのリーダー、司令塔のようなポジションなので、1番ハードにタックルをして、クレバーにプレーをすることを求められているので、そういう意味で負けてはいけないというか、強いハートはみんな持ち合わせているかなと思います。

ーそれは伊藤選手を筆頭に、ですか
伊藤:もちろんです。これ今言わされた?(笑)
滝沢:もちろん強いハートは持ってますよね?みたいにね(笑)。

ー特に注目している選手は
意外と迷いますね…いっぱいいますが、2学年下で同じポジション(LB)の内山綾太には注目しています。

ーその理由は
昨シーズンまでプレーをする機会があったというわけではなくて、結構本人の事情もあって活動があまりできていなかったんですよね。でも今年は思い切りよく、勢いよくプレーをしているので、思い切りのいいプレーを今求めている中でそこにすごく合わせて頑張っている姿が見られるからですかね。

ー昨シーズンを振り返って、良かった点や課題は
昨シーズンは正直本当にすごく良いチームだったなと思っていて。実際負けたときにもなぜ負けたのか分からないくらい、絶対に勝てるなと思っていたんですけど、裏を返せばそれがすごく良くなかったというか、誰も疑っていなくて。やはり主将がやることだったり、上級生がやることに対して「これは違うんじゃないか」とか、「もっとこれができるのではないか」ということを、僕たちの学年からもアプローチできていたら、もう少し結果は変わっていたのかなと思います。叡も言っていましたが一体感の部分においては上級生頼りになっていた点が課題かなと思います。日本一を目指す上で、どれだけ上級生や下級生関係なく巻き込めるかという部分が大事かなと思っています。

ー先日はシルバースターとの試合があったと思います チーム初戦としての手応えは
僕たちは今年フィジカルにプレーをするということで、社会人にも負けない強いフットボールを目指していて。そういう部分に関してはまだまだやりきれていないなというところで、マンパワーで社会人に勝つという部分は課題があるなと感じました。それでも、社会人のレベルに臆する姿勢はチーム全体としてなかったので、そういった意味ではすごく良かったなと思います。

ーちなみに隣にいらっしゃる滝沢選手はどう振り返りますか
滝沢:基本的には今のままなんですけど、強いていうならば、結果的には勝っていないけれど、少なくとも僕が思っていた期待よりはずっと戦えていて。僕たちがやってきたことに対して少し自信が持てたというか、このまま戦っていけば秋には何か必ず成果が出るのではないかという期待を個人的に感じられたと思います。

ー今シーズン強化していきたい点は
自分のこととしては、フィジカルですね。体を大きくしたいなと思っています。チームに関してもフィジカルかなと思いますね。強く、速くみたいなところは1年でどうにかなるか分かりませんが、強化していきたい部分ですし、フィジカルで勝負をするというところを文化になっていけば、1年よりも2年、3年、4年かけてトレーニングして強くなった選手の方が活躍の場が増えると思うので、そう言ったカルチャーも一緒に作っていけたらなと思います。

ー体を大きくするとはどのように
伊藤:筋トレして、ご飯をめちゃくちゃ食べて、フィールドで体を動かして、みたいな感じですかね。あと何かある?
滝沢:あとは休むことだね。寝ること。

ーお二人は1食でどのくらい召し上がりますか
伊藤:夜はお米を3から5合食べています。でも体重は増えないんですよね。
滝沢:僕はたくさん食べるようにしています。量よりも回数ですかね。あとよく2リットル弁当とかありますけど、あれよりは間違いなく食べますね。でも食べるだけではダメだからね。休むのが大変ですね。ミーティングもあるし、授業もあるので。それでも今年はだいぶ休めている方だと思います。体を大きくするために休む、というのは新しく変えたことではあると思います。

ー体のために休むというのは今年から変えたのですか
そうですね、本当はGW中は2部練(朝から夜まで)があるんですけど、今年からはなるべく練習時間を削って、その中で濃いものをやって、しっかり休む日は休むようにしています。そのあたりのメリハリは、今年からですが、そこは圧倒的に変わっていると思います。

ーそこは幹部の皆さんで話し合って決まったことなのですか
監督とコーチを含め、幹部で決めましたね。コーチの方針があって、それに僕たちも納得して、こんな取り組みをしますという形で決まりました。

ー最後にファンの方へメッセージを
今年は『自由と進歩のフットボール』を体現する年になるかなと思っているので、自分たちがフィールドでどれだけ自由に楽しくフットボールをしているかお見せします。そしてそこにしっかり勝利が結びついてくるようなチームにできるように頑張るので、これからもご声援のほど、よろしくお願いいたします。

(取材:芦川有)

『主将らしくない主将』を意識しているという滝沢と、自身を『堅い性分』だと表現する伊藤。性格の異なる二人だが、取材中にも積極的にコミュニケーションをとっている姿からは雰囲気の良さが感じられた。技術的な部分だけでなく、普段の練習や練習以外の面でも意識を高めている法大アメフト部。選手たちの活躍、そして普段の雰囲気の良さにも注目していきたい。

2023年度幹部取材 後編はこちら https://sports-hosei.net/66315/

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