東京六大学野球2024秋季リーグ戦 対慶大
2024年10月19日(土)、10月20日(日)
神宮球場
勝ち点4での優勝を目指す法大。次なる相手は、23年秋には4回戦、今春には3回戦を戦い、いずれも勝ち点を落とした宿敵・慶大だ。優勝のため、また今までの借りを返すためにも、15年春以来となる2連勝を決めて「血の法明戦」へ弾みをつけていきたい。
今季リーグ戦日程、順位表(第5週終了時点)
慶大戦展望
早大戦で勝ち点を落とし、優勝のためにはこれ以上負けられない状況で臨んだ東大戦だったが、結果は勝ち点こそ奪ったものの、第2戦ではまさかのサヨナラ負けを喫した。
法大の優勝条件はこうだ。まず、法大は自力優勝の可能性はなく、慶大、明大に4連勝が必須。次に早明戦で早大もしくは明大が2勝1敗で勝ち点を獲得→早明戦で早稲田が勝ち点の場合は最終週の早慶戦で慶大の2連勝での勝ち点→法早による優勝決定戦or明大が勝ち点の場合は早慶戦で慶大が勝ち点→法明による優勝決定戦。
いずれにせよ、これらの条件のうち1つでも欠けると、その時点で法大の優勝の可能性は消滅する。つまり、あと1敗で優勝の望みが絶たれるという、まさに崖っぷちの状況に立たされている。そんな法大の4カード目の相手は、今春にルーキーの劇的な代打サヨナラ本塁打で勝ち点を奪われた宿敵・慶大。優勝のためには、15年春以来となる2連勝を果たし、「血の法明戦」へ勢いをつけたい。
慶大の投手陣は、エースの外丸東眞(3年=前橋育英)を中心に、2、3年生で構成されている。エースの外丸は正確無比な制球力と、直球と見分けがつきにくい変化球が武器だ。法大は外丸から今春1回戦では5回2/3で3点を奪い見事ノックアウトを果たしたが、2回戦では最終回を完璧に、3回戦では8回1/3を1失点に抑えられた。勝ち点獲得には外丸の攻略が不可欠であり、第2戦、さらには明大戦へと勢いをつけるためにも、ぜひとも大量得点を奪いたい。第2先発には2年生左腕・渡辺和大(2年=高松商)が今秋から座る。法大との対戦経験は少ないが、ここまで36回を投げ、防御率1.50でリーグ2位につけている。渡辺和の注目すべき点はその奪三振能力だ。今秋の奪三振数46はリーグトップであり、2位の篠木健太郎(営4=木更津総合)が45回を投げて40個という数字と比較しても、その実力が際立つ。渡辺和から大量得点を奪うのは難しいため、第2戦は1点差を守り切る展開が予想される。なお今季はエース外丸がここまで4試合を投げ防御率4.32と不振に陥っている。ここでは第1戦は外丸が、第2戦は渡辺和が先発投手であると予想したが、立大戦、明大戦では外丸が、東大戦では渡辺和が第1戦の先発を務めており、どちらが第1戦に先発してくるかは不透明だ。だが第1戦どちらの投手が投げてこようと、今季も慶大戦は大熱戦になるであろう。
慶大の打線では、チームトップの打率.278を誇る安打製造機・水鳥遥貴(4年=慶應)、明大1回戦では9回裏に起死回生の同点ソロ本塁打を放った清原正吾(4年=慶應)、チームトップの打点を記録する横地広太(2年=慶應)が中軸を担っており、抜群の得点力を誇る。チーム打点の5割強はこの3人で稼いでいるため、彼らの前に走者を出さないことが僅差のゲームを制する鍵となるだろう。
一方、法大は、第2戦の先発として期待された野崎慎裕(営3=県岐阜商)が東大2回戦で2回降板と不安定。元々第2戦の先発を務めていた吉鶴翔瑛(営4=木更津総合)も「先発に戻りたい気持ちはもちろんある」と語るものの、第2先発の座は空席のままだ。さらに、不動のリリーバーとして活躍してきた安達壮汰(営4=桐光学園)が東大2回戦でサヨナラ適時打を浴びるなど、投手陣はエースの篠木に頼る状況が続いている。篠木は東大戦で計211球を投げるなど、負担が重くなっているため、慶大戦では篠木以外の投手の奮起が求められる。さらに東大戦3試合で打線が合計33残塁を記録し、好機での弱さが浮き彫りとなった。今一度、春から練習を重ねてきたチーム打撃を思い出し、好機で確実に1本を放つことが勝利への第一条件となる。
しかし、希望もある。東大戦3試合で熊谷陸(人1=花巻東)は15打数11安打、打率.733を記録。「だんだん思い切ってプレーできるようになってきた」と語る若武者が、法大打線を力強くけん引している。さらに、松下歩叶(営3=桐蔭学園)も3試合で2本塁打、7打点を記録。「まだ完璧とは言えませんが、状態は良くなってきています」と語るように、慶大戦でもその一発に期待がかかる。
チームとして厳しい状況にあるものの、優勝の可能性はまだ消えていない。慶大戦を2連勝で乗り切り、勝ち点4での優勝を目指したい。(中山達喜)