東京六大学野球2025春季リーグ戦 対慶大
2024年5月17日(土)、5月18日(日)
神宮球場
連日熱戦が繰り広げられている東京六大学春季リーグ。法大の次なる敵は5月17日(土)より戦うこととなる慶大。この記事では慶大の戦力分析と、わずかに残された優勝可能性をめぐる攻防の展望を紹介する。

今季リーグ戦日程、順位表(第5週終了時点)

慶大戦展望
前カードでは東大に2連勝し、今春初の勝ち点を獲得した法大。勢いそのままに慶大からも勝ち点を獲得したいところだ。慶大は現在4勝3敗1分の3位。しかしエースの外丸東眞(4年=前橋育英)を始めとした充実した投手陣や、現在リーグ戦本塁打数1位の重量級打線など、投打共にバランスの取れたチームである。決して容易に勝てる相手ではない。
対する法大は、去年秋にサヨナラ勝ちを含む2連勝で勝ち点を獲得している。さらに先週の東大戦は、エースの渡辺向輝(4年=海城)を打ち崩すなど打線の好調さを感じられた試合内容であった。好調の打線が慶大の投手陣からどれだけ得点を挙げることが出来るのかが焦点である。
慶大の誇る左右の”Wエース”を撃破せよ!
現在慶大の投手陣を支えている選手は、外丸東眞(4年=前橋育英)、渡辺和大(3年=高松商)の“Wエース”だろう。今年慶大の主将となった外丸は、現在5試合を投げ3勝1敗、防御率2.78と安定した活躍を見せている。特に、今春開幕戦である対立大1回戦では、9回を1失点にまとめる好投をしてみせた。また、昨春の法大3回戦では三連投ながらも8回1/3を無失点と、手も足も出なかった相手であるだけに何としてもリベンジを果たしたい相手だ。

今季より戦線復帰の外丸
渡辺は昨秋2年生ながらも9試合を投げ、3勝2敗、2完投、防御率1.17の圧巻の成績で最優秀防御率を獲得した本格左腕だ。その実力は今春のリーグ戦でもいかんなく発揮されており、奪三振数は24個で3位、防御率は1.59で2位と素晴らしい成績を収めている。5月3日の対東大2回戦で、9回を1安打14奪三振無失点で完投勝利を飾ったことも納得だ。さらに彼は打撃も上手く、4月27日の対明大2回戦でも先制の適時打を放つなど昨秋打率.357の打棒にも注意したいところだ。
昨秋の法大戦では外丸のケガの影響もあり1戦目で先発した。今春は外丸が復帰したものの、成績を鑑みて1戦目での先発は十分に予想できる。投手陣は最小失点に抑え、野手陣は球数を稼いで早い段階での降板を狙いたい。
今期の慶大打線はチーム本塁打リーグ1位と破壊力抜群
現在リーグ戦本塁打数一位の打線をけん引する選手は常松広太郎(4年=慶應湘南藤沢)だろう。188cm,83kgの恵体から繰り出される打撃は、.303と打率を残しながらも、本塁打数はリーグ2位の3本と隙のない成績を残している。特に今春開幕戦の対立大1回戦では、初回に相手エースの小畠一心(4年=智弁学園)から左越え本塁打を放つと、最終回にも中越え本塁打を放ち、1試合2本の活躍をしてみせた。
さらに、長打力なら中塚遥翔(2年=智弁和歌山)も負けてはいない。4月27日の対明大戦では、2死一、三塁から土壇場の適時三塁打を放ちこの試合を引き分けに持ち込んだ。長打力だけでなく勝負強い打撃も彼の持ち味の一つだ。したがって彼らの長打力には十分に警戒しながら投球する必要があるだろう。
脅威となる選手は彼らだけではない。慶大打線の1、2番を任されている今津慶介(3年=旭川東)、小原大和(3年=花巻東)は、どちらも打率が3割を超える好打者だ。5月4日の対東大戦で小原は適時打を含む2安打を放ち、チームトップの打率.345。5月3日の対東大戦では今津が均衡を破る2ラン本塁打を放ち、先制点を獲得していることからも好調を維持していることがわかる。この二人を出塁させずに、常松・中塚らの中軸で返させないことが慶大打線攻略の鍵となるだろう。他にも、今年度副将を任されている今泉将(4年=慶應)や、昨春の対法大3回戦で初出場初打席ながらもサヨナラ本塁打を放った渡辺憩(2年=慶應)など強者揃いだ。
対する法大の開幕カード注目選手
対する法大のキーマンは永野司(営4=倉敷商)だ。スライダーを駆使して三振の山を築く変則左腕は、4月27日の対早大2回戦では2回を4奪三振無失点。5月11日の対東大2回戦では2回を3奪三振無失点と安定した投球を続けている。昨秋の対慶大1回戦では7回まで慶大がリードしていたものの、8回で同点に追いつき、9回で逆転し勝利を収めている。今回も投手戦になることが予想されるため、終盤に流れを引き寄せるためにも永野の「勝ちを引き寄せるピッチング」には期待したいところだ。

永野の”流れを引き寄せるピッチング”に注目
先に述べた通り、好調の打線の奮起にも期待したい。1人目は熊谷陸(人2=花巻東)だ。今春開幕後から主に3番を打っていたが、5月10日の対東大1回戦では6番に打順が変わり、この采配が的中。この試合熊谷は3安打6打点と大暴れ。相手エースの渡辺向輝(4年=海城)からも適時打を放った。東大戦終了時点で打率は.345。この調子を維持して慶大戦でも活躍を期待したい。また、小原選手と同じ花巻東の出身でもある。現在どちらも結果を残しているだけに、この2人の対決は注目だ。

東大戦では計8打点と当たっている熊谷
2人目は藤森康淳(営3=天理)だ。昨秋の慶大1回戦では9回に勝ち越しとなるソロ本塁打を放ち、さらに慶大2回戦では、延長10回でのサヨナラ適時打で勝ち点獲得に貢献するなどその活躍っぷりはまさに“慶應キラー”。今春は1番・中堅として試合に出場し、気持ちを出すプレイングでリードオフマンの役割を全うしている。5月11日の対東大2回戦では猛打賞となる3安打3打点を記録していることからも準備は万端。慶大戦でも.372の高出塁率を武器に、後続の境亮陽 (営1= 大阪桐蔭 ) や松下歩叶(営4=桐蔭学園)などにつなぎ、チームを勝利に導きたい。

昨年は2試合連続決勝打と”慶應キラー”の藤森康
まとめ
10季ぶりの優勝のためにはもう負けることのできない法大。しかし東大戦に対して2試合とも大勝し、勝利の感覚を取り戻しつつある。もちろん“Wエース”や慶大打線の攻略なくして、勝ち点を取ることはできないが、このカードを勝利し、実力を証明したい(加納正義)