東京六大学野球2025秋季リーグ戦 対明大
2024年10月11日(土)、10月12日(日)
神宮球場
23年春ぶりに早大から勝ち点を挙げ、優勝が現実味を帯びてきた法大の次戦は10月11日(土)第1試合の明大戦だ。この記事では明大の戦力分析と、法大の注目選手を紹介する。

順位表(第4週終了時点)
「血の法明戦」の鍵を握るは3年生外野手コンビ“チーム松下”支える執念の打撃を見せ天皇杯を一気に手繰り寄せろ/東京六大学リーグ戦明大戦展望
3〜5日に行われた早稲田戦では、計20失点を喫した投手陣を上回る計28得点をあげ、優勝候補から2勝1敗で勝ち点を獲得した法大。その圧倒的な得点力から“打の法政”をより強く印象付けることになったわけだが、次戦の相手は同じく優勝候補である宿敵・明治大学。リーグ開幕から4連勝を記録し勢いに乗る彼らから、19年秋ぶりに勝ち点を獲得し雪辱を果たせるか。今一度相手戦力を分析したいと思う。
優勝候補・明大を支える投打の柱
明大の強さは「総合力の高さ」で成り立っている。投打ともに明確なウィークポイントがなく、付け入る隙が無い。そんなチームをけん引してきた毛利海大(4年=福岡大大濠)と小島大河(4年=東海大相模)にまず注目するべきだろう。昨季にリーグ最多タイの6勝と最優秀防御率に輝いた毛利は、今季も依然として安定した投球を続けている。春は3安打完封を許し敗戦しただけに、これ以上は負けられない。プロ注目の最速150キロ左腕を絶好調の法大打線が打ち崩せるかが勝ち点獲得に直結するだろう。昨季ケガを負いながらも3本塁打を放った小島は、今季も打率.538のリーグ1位の打率でありながら1発を放つ長打力も兼ね備えるリーグ屈指の好打者として立ちはだかる。安易にチャンスで回すと持ち前の集中力で致命傷になりかねない一打を浴びる恐れがあり、油断禁物だ。
他にも、昨季に立大の山形球道(4年=興南)と首位打者争いを演じた宮田知弥(4年=横浜)やストッパーとして活躍を見せている大川慈英(4年=常総学院)、慶大2回戦にて3回を投げ、1安打無失点で切り抜けた大室亮満(2年=高松商)など、良い選手を挙げると枚挙にいとまがない点が明大の強さを物語っている。
法明戦では大記録更新も見えてきた藤森康淳(営3=天理)と現在打点王の 片山悠真 (文3=八王子学園 )に注目
一方の法大だが、勝つためには「打って打って打ちまくる」しかないと考える。実際、明大の毛利を除いた投手陣の中で、第二先発の座を手に入れた選手は未だおらず、ブルペンデーを行っているのが現状だ。そのため現在の法大打線の状態ならば第2試合を打ち勝つ実力は十分に存在すると言えよう。なので、繰り返しにはなるが勝ち点獲得の鍵を握るのは「1試合目の毛利をいかに早く打ち崩せるか」にかかっている。同じくリーグを代表する投手・伊藤樹から6点を挙げた強力打線は果たして通用するのか。目が離せない。
そんな野手陣を引っ張る選手を2人紹介する。
まずは、頼れる4番・松下歩叶(営4=桐蔭学園)の前を打つ3番・藤森康淳(営3=天理)に注目したい。藤森康の凄さはなんといっても安打数だ。その数21本。対戦相手を2校残している状態で、昨季の最多安打である立大・山形球道の24本に迫る記録を叩き出していることからも、驚異的な数字であることがわかるだろう。リーグ戦のシーズン最多安打記録は山村泰弘(慶大)が持つ30本。昭和24年秋から破られていない大記録であり、更新すれば76年ぶりの快挙となることも頭に入れておきたい。また、安打数だけではなく打率の高さも見逃せない。現在打率は.538でリーグ1位タイ。明大の小島と首位打者の座を争っているわけだが、藤森康の打席数は現時点で48。対する小島の打席数が17である事からも、リーグ開幕から高打率を維持し続けていることが窺える。明大戦でも確実にチャンスメイクを成功させ、チームの勝利に貢献することを期待したい。

現在安打数は21本の藤森康。24本の法大記録更新は確実か
3人目は 片山悠真 (文3= 八王子学園 )である。今季は5番として中軸を担い、立大2回戦では右方向に突き刺さるリーグ戦初本塁打を放つなど、大器の片鱗が垣間見える活躍を続けている。早稲田戦でもその力を存分に発揮し、3回戦では4打数4安打2打点と大爆発。打点10を記録しリーグトップに躍り出た。4番・松下との勝負を避けたとしても、シュアなバッティングで走者を返す片山は、相手投手にとって嫌な存在であるに違いない。明大戦でも適時打を量産し、見惚れるような活躍を願う。

文字通り早大戦で打ちまくり、勝ち点獲得の立役者となった片山
クリーンナップを形成する3年生外野手コンビが、神宮をオレンジに染めあげる。「血の法明戦」の名にふさわしい打撃戦を制し、優勝戦線へ名乗りを上げたい。
(加納正義)