【フェンシング】第68回全日本フェンシング選手権大会(団体戦)~男女サーブル~ 男子サーブル、5冠ならず 警視庁の前に散り、準優勝 女子サーブルは若き精鋭に敗れ、準々決勝敗退
第68回全日本フェンシング選手権大会
2015年12月16日(水)
一之関市総合体育館
最終日はサーブル種目。学生4冠を達成した男子サーブルは5冠を目指す戦いとなった。決勝の警視庁戦、序盤はリードを奪うも力負け。大きな目標の達成はならなかった。リーグ以来のタイトルを狙った女子サーブルは、高校生チームのFJE選抜に敗れ、準々決勝敗退に終わった。
試合結果
種目 | 出場選手 | 試合詳細 | 成績 |
---|---|---|---|
男子サーブル | 安藤光平(法4)、大崎葵一(営3)、高橋優作(法2)、大槻達也(営2) |
○45-37北海道クラブ ○45-39FJE選抜 ○45-36中大 ●33-45警視庁 |
2位 |
女子サーブル | 栗本ひかる(社4)、福島史帆実(法2)、奥田彩野(文1) |
○45-26鹿児島南高 ●20-45FJE選抜 |
ベスト8 |
男子サーブル 戦評
男子サーブルは5冠達成に挑むトーナメントだ。
初戦の2回戦は北海道クラブとの対戦。トップの大崎葵一(営3)から得点を重ね、5回り目を終えて、25-17と主導権を握る。6回り目の大槻達也(営2)が26-30と点差を詰められるが、次の高橋優作(法2)が巻き返した。45-37、少々慌てる試合となったが、準々決勝進出を決める。
続くFJE選抜との準々決勝も苦しんだ。7回り目を終えて35-25と10点差をつけていた。しかし大崎の8回り目で9連続ポイントを奪われ、1点差に詰め寄られてしまう。それでも先に40点目を挙げ40-37。リードを保ち安藤光平(法4)にバトンが渡る。その安藤が勝負を決め準々決勝を突破した。
準決勝の相手はインカレの決勝で対戦した中大。大学のライバルチームにこの試合でも8回り目、大崎にブレーキがかかり6点差とされたが、安藤が逃げ切り勝利。昨年同様、決勝へ進む。
決勝の相手は警視庁。今季のチーム最後の試合にして、最も実力のある対戦相手だろう。
立ち上がりに流れをつかみにかかったのは法大。安藤が5-3とリードを先行させると、高橋は9-4まで差を広げた。だが、ここから5連取を許し、波にのることはできず。3回り目の大崎も13-10とするが、結果的には先に15点目を許した。高橋の4回り目は1ポイントも奪えず、点差は広がる。続く安藤は法大・前主将の吉田健人と対戦。一時は5点差まで詰め寄るも、追随は阻まれる。試合が進むにつれて徐々に広がる点差、勝機は薄くなっていく。31-40で迎えた最終セット。タイムアップのないサーブル、安藤は45点目をつかむべく足を動かした。しかし島村を前に33-45と及ばず、今年初の黒星を喫して全日本団体は幕を閉じた。
2回り目で一時は5点差をつけた高橋
5回り目、安藤は前主将の吉田(警視庁)と対戦
大崎、自分のスタイルを貫いた
敗戦後、涙を浮かべた安藤
勝負が決まった瞬間、安藤の目には涙が溢れた。今年も決勝で敗れ、5冠を達成することはできなかった。それでも最終的に点差こそ開いたが、序盤はリズムをつかみかけることができたのは、今季学生タイトルを全て掻っ攫った実力があってこそ。4冠の誇り、そしてこの悔しさを胸に来季のメンバーは戦ってくれるはずだ。今季初の敗戦で、安藤が率いたこのチームの戦いは、終わりを迎えた。(高津勇佑)
女子サーブル 戦評
リーグ戦以来タイトルから離れている女子サーブル。一年の集大成となる今大会こそ優勝の二文字だけを見据えて大勝負に挑んだ。
2回戦からの登場となった法大の相手は鹿児島南高。審判機の機械トラブルもあり、異様な雰囲気でスタートしたが、序盤から主導権を握り展開していく。福島史帆実(法2)が2度の5点連取で相手を封じるなど、自分たちのやりたい形を作り上げる。中盤に連続失点があったものの、危なげない試合運びでこのゲームをものにした。
続く準々決勝ではジュニア世代のナショナルチームのメンバーから選抜されたJFE選抜との一戦となった。若いチームだが、昨年度も準優勝を果たしている強敵だ。栗本ひかる(社2)が「すごく強い印象はあった」と語ったイメージそのままに、第1セットかきからリードを渡してしまう。「落ち着いて対処されてしまった」と、思うようなプレーをさせてもらえない。3セット目にして10点もの差がついてしまう。焦りが募るなか、打開策を見出だせずに、点差は広がる一方となる。普段から一緒に練習しているという福島もいつものように思い切った攻めをすることができない。エースも封じられ万事休すかと思われた第8セット。「まだ自分の中では負けていないと思った」とキャプテン栗本が鬼気迫るプレーでチームを鼓舞する。なかなか得点を取れていなかったが、このセットで初めて5得点を挙げ、最後を担った福島に繋いだ。だが、開いた点差は大きすぎた。終盤の猛攻も相手に届くことはなく、20-45と大差でFJE選抜の前に散った。
1年目のシーズンを終えた奥田
福島、対戦経験のある相手に苦戦
8回り目に挽回した栗本主将
女子サーブル、秋は無冠に終わった
これで4年の栗本は女子サーブル団体から離れることになる。強い後輩を率いてチームとして戦い抜くことは並大抵の苦労では無かっただろう。最後まで目標を達成することは出来なかったが、来季もインカレ優勝の福島をはじめ、多くの後輩たちが残る。栗本は「これからはもっと柔軟に楽しんでほしい」と後輩たちに思いを託した。その思いを繋いで来季こそは活躍を期待したい。(向井知優)
選手のコメント
栗本ひかる 女子サーブル主将
―大学最後の団体戦となりましたが
リーグは優勝したんですけど、そこから関カレ、インカレで全然タイトルを取れなくて、団体戦において結果が出ていなかったということに焦りはありました。
インカレの時も関カレで取れなかったから今度こそって思ってたのに取れなくて、全日本は何がなんでも優勝って思ってたんですけど…。今回もダメでしたね。
―準々決勝のFJE選抜の印象は
年下なんですけど、海外の大会にも出ていて、3人ともすごく強い印象はありました。
―今までに対戦されたことはあったのですか
個人戦だと結構当たったりしてました。ただ、FJE選抜という形で3人が揃うことはなかなか無いので、団体戦で戦うことは初めてでしたね。高校生に負けたくないっていう意地はありました。
―準々決勝では入りからおされてしまいましたが
福島が日頃相手の選手たちと練習を一緒にしているんですよね。そういうのもあってか、あっちには落ち着いて対処されてしまったというのはあったかなと思います。もうひとひねりしたプレーができれば差も縮まったというか、うまく良い滑り出しができたのかなと思います。
―そんな中でも8セット目には怒濤の追い上げもありました
あの時は、1回目に自分の思ったプレーができなくて、2回目も反省したのに上手くいかなくて、3回目はもう最後の最後だし、点差は結構あったんですけど、自分の中ではまだ負けてないと思って取りに行きました。自分のプレーで次の福島にも繋がればいいなという思いだけでしたね。正直戦略とかは何も考えていなくて、得点もあの時は見てなかったです(笑)。取れれば取るという感じだったので。
―法大フェンシング部で過ごした4年間を振り返って
1,2年の時はジュニアの大会に1つ上の先輩とかも一緒に出ていたんですけど、自分だけすぐ負けて、他の3人が勝ち上がって表彰されているところを毎回写真に撮る係みたいになってて、すごく悔しい思いがありました。初めて3年生のインカレの時に2位になれて、今までの悔しさから毎日必死に練習してつかんだ結果だったので、すごくうれしかったですね。4年生になってからは、またちょっと上手くいかなくて…。最後もだめだったんですけど、まあ、大学では人生上手くいくことばっかじゃないんだなということを学びましたね(笑)。
―インカレを制覇した福島選手など強い後輩を率いていくことにプレッシャーもありましたか
それはありました。練習とかでも「先輩だから勝たなきゃいけない」みたいに変な風に思ってしまって、上手くいかなくなった部分はあったと思います。自分の気持ちを抑えるというか、気持ちのコントロールが難しかったですね。でも、福島も奥田も割と話しやすいので、関係的には恵まれてたかなと思いますね。
―今年の女子サーブルはどんなチームでしたか
最初からそうなんですけど、まとまっては無かったですね(笑)。でも、まとまってないなりにバランスが良かったというか、そういう意味では面白いチームだったと思います。今までの代からあんまりミーティングとかすることも無かったし、細かく詰めたりそういうのは無かったんですけど、今はもうちょっとミーティングとかもするべきだったかなと反省してます。考えすぎるのは良くないのかなと思ってたんですけど、チームとして戦う上で、相手の情報とかはやっぱりたくさん共有した方がいいかなと思ったので。
―女子サーブルの後輩たちに対して伝えたいことは
個人戦は自分の頑張りを出すところですけど、団体戦はどうやったら相手の点を取れるかとか考えながらも、自分以外にもやってくれる仲間がいる訳だからもっと楽しんでも良いんじゃないかなと思いますね。二人とも真面目すぎて、きれいにまとめようとしちゃうんですよ。でも、そういうところから上手く相手にやられてしまっているところもあるので。これからはそこをもっと柔軟に頭を使って、思い付いたら動くっていうこともやっていった方がいいかなと思いますね。
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- 最後の団体戦を戦った女子サーブル