【バスケ】U-19W杯で世界10位の快挙! 帰国直後の代表戦士水野に独占インタビュー
2017年7月13日(木)
法政第二高等学校
先日開催されたU-19ワールドカップにおいて10位という史上最高の成績をおさめた日本代表。そのメンバーとして世界と戦った水野幹太(営1)に、大会で得た刺激や感想、そして法大のガードとしての決意、将来の展望まで詳細に語ってもらった。
選手インタビュー
「歴史をつくったメンバーになれてうれしい」
水野幹太(営1)
—U-19W杯を終えて、率直な感想をお願いします
日本で10位というのは初めてのことで、歴史をつくったメンバーになれてとてもうれしいです。
—グループリーグではスペイン、カナダといった強豪と対戦しました。特に印象に残っている場面は
カナダが最終的に優勝ということで、力の差もわかりました。エースが高校生で年下だったので、「そういう人間もいるんだな」と思いました。
—カナダが他チームより抜きんでていた部分はどこだと思いますか
やはり能力ですね。ハンドリングもそうだし、ジャンプ力が違いますね。ガードの選手で塁さん(八村=ゴンザガ大)をブロックする人だっていましたし、外国人はすごいなと思いました。
—トーナメント1回戦でのイタリア戦はブザービーター負けと、大変悔しい思いをしたと思います
イタリアは戦えないレベルではないと思っていました。ブザービーター負けになりましたけど、塁さんが最後連続でスリーを決めてくれて頼りになりました。自分たちはそれを見ることしかできませんでしたが、あの経験があったからこそ、順位決定戦でもがんばれたのではないかと思います。
—最終的にイタリアは準優勝でした。自分たちも決勝のステージに行けたという思いはありますか
そうですね。
—激戦となった9-16位決定戦の韓国戦では値千金のスリーポイントを沈めました
グループリーグのマリ戦あたりから調子が悪くてプレータイムも少なかったんですけど、今回は負けてる場面で出してもらったので、ここが見せ場だと思っていました。(そのスリーポイントは)打った瞬間入ると思いました。「俺が流れを変えてやる」と思ってやってたんで、それがうまくできて良かったと思います。
—韓国戦では劣勢から第4Qに怒涛の追い上げを見せました。それを可能とした要因は
流れじゃないですかね。韓国には負けちゃいけないと思ってたし、向こうもそう思っていたと思います。アジアでは1位にならなければいけないという気持ちと、あの流れが勝負を決めたと思います。
—順位決定戦が連戦で続く中、疲れもあったと思います
(9位決定戦の)プエルトリコ戦はだらけちゃった部分もあったし、本当は9位で終われた試合だったと思いますが、またブザービーター負けになってしまいました。疲れはあったと思います。
「『俺が流れを変えてやる』と思った」
—大会前のインタビューで「自分はディフェンスで起用されている」とおっしゃっていましたが、今大会の自身のディフェンスはいかがでしたか
すごく良かったと思います。コーチにも「お前はディフェンスが良いから使う」と言ってもらえたし、パスコースを読んでカットする場面もいくつかあったので、良いところは出ていたと思います。
—PGとして出場して
日本のPGは点を取ることよりゲームメイクとリーダーシップ、アシストをすることが求められると思います。海外のガードは自分で行く選手が多かったので、そこが違うなと思いました。
—水野選手は日本のゲームメイク中心のスタイル、海外のスコアリング中心のスタイルのどちらをリスペクトされていますか
(ゲームを)崩さずにやる方がいいと思うし、そうすれば日本も戦えると思うので、そういう意味では(今のスタイルで)問題ないかなと思います。
—日本代表はやはり八村選手の活躍が目立ちました。彼のプレーを間近で見ていかがでしたが
もう怪物だと思いました(笑)。塁さんはリーダーシップもあって、コートでもよく声をかけてくれます。彼はこれからNBAに行く選手だと思っているので、とても光栄でした。
—八村選手はパスでも会場を沸かせました。ガードの選手として負けられないという思いはありましたか
彼は大きくてパスも見えてて、能力もあってシュートも内外打ててほぼ完璧だと思います。ただディフェンスは自分の持ち味なので、負けられないなと思いました。
—今回日本はシェーファー・アヴィ幸樹選手(ブリュースターアカデミー)をはじめ、例年以上にサイズのあるチームでした。インサイドはかなり効果的に守れていたという印象ですか
増田さん(啓介=筑波大)は4番としてはサイズが小さくて、大きい選手に攻められたときに苦しんでいたので、塁さんとアヴィが出たときはディフェンスのカバーの必要がなくて楽に守れました。ただ増田さんはオフェンスがうまいので、状況に合わせて起用されていたという印象です。
—日本代表の選手で印象に残っているのは
西田(優大=東海大)や天昇(杉本=日大)は得点力がありましたね。
—同じポジションの選手として、重冨周希選手(専大)の活躍はどう映りましたか
周希は足が速くてパスもうまいですし、彼のドライブに相手がついてこれない場面もかなりありました。自分も負けないようにと思っていましたが、出たときはしっかり流れを変えられていたと思うので、そこは良かったと思います。
—今大会でのプレーは水野選手にとって自身のつくものになったのではないでしょうか
最後の方は自分が流れを変えるべき場面で出て、流れを変えられていたと思うし、いいプレーもたくさんできたと思います。今大会で悔しいと思う場面もありましたが、いい経験になったという部分が大きいです。
—大会史上最高成績を残した日本代表ですが、チームとしてどういったことを意識して大会にのぞみましたか
ディフェンスですね。そこを崩さなければ勝てるという話をしていて、現にそれが出ていた試合は勝っているので、リバウンドとディフェンスをしっかりやっていこうという話はしていました。どの世代も日本の欠点はそこだと思うので、チームとして意識していました。
—大会中の練習はどのように行っていましたか
45分だけやっていました。練習時間は向こうで45分と設定されていたので、その短い時間で相手のオフェンスとかを分析してやっていました。
「オリンピックに出たい。現実的には24年か28年」
—代表チームと法大の選手では経験や実力にも差があり、ゲームコントロールも前者の方が容易だと思われます。新人戦ではフラストレーションをためている場面が見られましたが、リーグ戦以降のゲームメイクをどうお考えですか
こっち(法大)に合わせるという訳ではないですが、代表は代表、こっちはこっちで合わせつつも、なるべく日本代表に近づけるプレーを目指していきたいです。でも法政大学自体はみんな能力のある選手ばかりだし、自分がそれを生かしてチームの勝利に貢献できるかが鍵だと思っています。自分がチームの鍵だと思っているので。それで秋も完全優勝して、2部との入れ替え戦も全勝する勢いでやっていかなければいけないと思っています。
—うまくいかない部分も出てくる中、メンタルを保つことも重要になってくると思います
何もかもうまくいく訳ではないと思うので、そこをいかにコントロールするかがポイントだと思います。メンタル的に自問自答しながらやっていきたいです。3部のレベルに合わせてはいけないので、他の選手にもきつく言わないといけない部分もあるし、逆に良いところがあれば褒めていかないといけないし、まずは自分自身がどのレベルにいなきゃいけないかを考えていきたいです。
—そういった経験は将来的なコーチとしての生活に生きてくるのではないでしょうか
父親を見て(コーチ業を)やりたいと思ったので、自分もこうやれば父よりうまく指導できるんじゃないかという部分もあります。父親は人に好かれやすいというか、自分もしてあげるし、向こうもしてくれるという関係性を築ける人なので、自分も人間性を磨いていきたいです。自分の人生のなかではプロも大事ですが教職がメインなので、良い先生にならなければ自分が今までやってきたことが台無しだと思うので、そういうところで生かしていけるんじゃないかと思います。
—オリンピック出場への思い
また違う世界が見れるし、次元の違う舞台なので、出たいなと思っています。実現するかどうかは難しいですが、夢を見ないと実現はできないので、それまで備えておきたいと思います。東京オリンピックは現実的に厳しいと思うので、その次かまたその次あたりに、プロを続けていれば出たいと思います。
—将来的な展望
プロには絶対入りたいです。プロに入って10年後ぐらいには教職につきたいと思っています。
—改めて、リーグ戦に向けての抱負をお願いします
3部リーグで、自分たちはこの場所にいちゃいけないというのを見せつけて、2部でも勝ってまた1部に、という風に目標をつなげていきたいです。
フォトギャラリー
- 「歴史をつくったメンバー」となった水野(写真は関東大学新人戦・対玉川大)
- 「自分が流れを変えられた」という言葉からも、今大会で彼が得た自信と充足感が感じ取れる
- 日本代表選出、ガードとして3部から1部へ押しあげるといった経験は全て「教師としての人間性」につながってくる