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【硬式野球】他大学インタビュー 東京大学野球部①~浜田一志監督、宇佐美舜也主将、三鍋秀悟選手~

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【硬式野球】他大学インタビュー 東京大学野球部①~浜田一志監督、宇佐美舜也主将、三鍋秀悟選手~

2018年3月23日(金)
東京大学野球部グラウンド

5月12日に東大戦を迎えるにあたり、東大野球部にインタビューを行った。第1回の今日は、チームの指揮を執る浜田一志監督、主将の宇佐美舜也選手、また今年の守備の要である正捕手・三鍋秀悟選手に話を伺った。

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今年東大の指揮を執る浜田監督

浜田 一志監督インタビュー

ー昨年を振り返って
昨年は勝ち点15年ぶりで、単独ではないけど早稲田と同率で5位だったと。94連敗という厳しい時代から監督をやっていて、1つの節目を迎えたなと思います。

ー昨年の勝ち点獲得の要因は
宮台(康平=現日本ハム)と楠田(創)、この2人の個の力が全体に波及したというチームでした。

ー具体的にどう波及したのですか 
宮台は肩を壊して復活してから連投ができるようになって、「俺に任せろ」とエースに君臨した。つまり大黒柱があるということで、他は安心して守っていられる。もう1つの3番バッターの楠田。こいつは初球からフルスイングをして、結果を出してる。そうすると周りも「楠田さんを見習ってやろう」ということで、力強く自信のある打線になりました。

ー現在のチームの調子は
ざっくり言うと投手力は50点、打力の方は30点ですね。目標はまた勝ち点を狙うことなんですが、今エースになっている宮本(直輝)はしっかりできているんですけど、もう1枚がいない。つまり、2つ勝たないといけない中で、1人しかピッチャーを用意できていないという意味で50点。それから、バッティングについては、まず初球からしっかりと振りましょう、追い込まれて三振しないように粘りましょう、それからその上で戦術でヒットエンドランとかチームバッティングをやりましょうという3段階があるわけですよ。その最初のしかできていない。だから30点です。

ーオープン戦でも完投勝利の試合を見せている宮本選手ですが伸びてきた要因とは
下半身が粘り強くなりましたね。昔は肩もそんな強くなかったんですけど、走り込みと食事によって全体的に体力がついたと思います。昔は50球超えてくると疲れが出て来て身体が開いてきて、ボールが流れてしまってシュート回転して真ん中に集まってしまっていたのが、しっかり150球を超えても粘れるようになってきた。そこですね。

ー打線は楠田選手や田口(耕造)選手など軸が抜けた印象です
多分持ち直さないですね。あの長打力は戻らないので、もうコツコツと一丸となって、打てない分走塁をやって、点数を取ろうかなというチームです。 相手が嫌がるような、一か八かのことをやろうかなと思っています。

ーチームのキーマンはどの選手でしょうか
1番バッターの辻居(新平)とやはり宮本ですね。

ー今季はその選手を中心にどのように戦っていきたいですか
普通に打ってもあまり打てるチームではないので、成功したら点数入るけど、失敗したら『バカな監督』と思われてしまうようなことをやろうと思っています。一か八か賭けに出るような戦術を使っていきます。

ー昨年はデータも有効活用していた印象ですが、今年はデータの方は
(昨年は)データは機能しましたね。何に機能したかというと、ピッチャーの配球だったりそういったもので。初球にストレートがくるか変化球がくるかというのを狙うわけですよ。ただ、今年はそれ(データ分析)は今まで通りできているんだけど、その狙った球を打つ能力がまだ無い。去年は田口とか楠田が狙った球をホームランにしていたけど、今年はその狙った球を打ち損じてファールにしちゃうから。それだけやはり差があります。

ー同じデータ量でも難しいのですね
もちろんもちろん。良い車でも運転が下手ならぶつけちゃうからさ。

ー法政大学野球部はどのような印象ですか
多分最強でしょ、六大学の中で。多分青木(久典)監督はこの4年生の代で優勝するチームを作ってきたのではないのかなと思っています。最強です。だからもう東大に負けることはないでしょう。 

ー特に注目している選手などは
中山(翔太、人4)くん、菅野(秀哉、キャ4)くんかなぁ。この2人が調子付くと本当に手に負えない。だから、僕は(2人が調子の良い時は)ベンチでちーんとして座ってると思う。ただ、その2人が調子悪いときはチャンスになるから、そのときは「よっしゃー頑張るぞ!」と。

ー今後調整してきたいことはありますか 
まず、選手のコンディショニングですね。あとは、色んなことやるというよりも、狙い球を1発で仕留める練習をしつこくやったり、難しい球を取る練習より真正面にきた球をエラーしない練習とか。当たり前のことを当たり前にやろうと思います。 

ー今季の目標をお願いします
勝ち点を取って、単独最下位脱出ですね。

ー最後に今季への意気込みをお願いします
平常心を大事にしたいと思います!
(取材:中西陽香)
hamadakantoku
浜田 一志(はまだ・かずし)
1964年9月11日生まれ
高知県・土佐高→東大
『東大野球部では外野手としてプレーし、4年次は主将も務めた。その後大学院修士課程終了後、新日鉄に就職し、’94年には独立し「Ai 西武学院」を設立。’13年に東大野球部に就任し94連敗を止め、昨季はチームを15年ぶりの勝ち点奪取へ導いた』

☆取材の小話~でんぐり返し☆

 東大球場に着くと、楽しそうな掛け声が聞こえてきた。掛け声の聞こえてきた方に目を向けると、選手たちが行っていたのは『でんぐり返し』。和気あいあいとした雰囲気のなか、笑顔も垣間見える。一見すると、練習終わりに遊んでいるようにしか見えないのだが、実はちゃんとした守備練習だ。
具体的に『でんぐり返し』がどのような練習かというと、守備時にとる受け身のためのもの。柔道で言う『前回り受け身』のようなものだと思われる。「飛び込んだときにけがをしないようにやっています」と三鍋選手。野球に限らずスポーツにおいてけがは時に選手生命を脅かすもの。こうした練習で少しでも防げるけがを防ぐ努力を怠らないことは大切である。
守備時の受け身などは流れの中であまりに自然に行われるため普段は注目していない部分。だが、その自然さも練習あってのこと。いつもと違った視点で、選手の守備にも目を向けてみよう。

選手インタビュー

宇佐美 舜也 主将

ー昨年を振り返って、チームと個人ではどんな1年だったか
チームは春リーグで10連敗をして、本当に苦しいというか結果が出なかったシーズンでした。昨季は目標としていた勝ち点を取ることができて、チームとして1年を経て成長したというのをすごく実感しました。個人としては最初のカードで肩をけがしてしまって、戦力として全く貢献できなかったんですけど、秋の勝ち点を取った試合をベンチで見ていて嬉しかったですし、1つの壁を越えられたというか。そこから今年こそは最下位を脱出しようという目標を立てられたと思います。

ー秋の法大戦では2連勝で勝ち点を取りましたが、チームから感じたこと
チームの雰囲気がとても良くて、試合の展開も先制してロースコアで逃げ切るような理想の試合を作ることができましたし、第1戦に勝った後に次の試合で勝ち点を取るというような雰囲気ができていて、2戦目も初回から徹底的にというか完全に乗り切ろうという雰囲気がありましたね。僕が入部したころから、勝ち点を取るということが六大学に所属する意味だと思っていました。連敗を脱出して勝った時もそうだったんですけど、勝ち点を取ったことによってステップアップというか、次に最下位脱出や順位争いにつながるような気がします。勝ち点を取ることはどういうことかチーム内で理解できて、実感できたことが今後の練習に生きてくるのかなと思っています。

ー今季は個人としてはどんなところに重点を置いて練習しているか
まずは、昨季肩をけがしてしまったので、それを万全に直して試合に臨みたいというのが自分の中で大事にしていたことです。それに加えて打撃の面で下級生の頃から試合に出させてもらっている立場ですが、まだ貢献できていないので、打撃は一番力を入れて取り組んでいます。

ーここまでのご自身の調子やけがの状態は
けがの方は今のところ順調に治ってきています。打撃はまだまだ、チームとして得点力のある選手が抜けた中で、結果として安打というか数字として残さなければいけないので、追い求めていかなければならないなと思っています。

ー開幕までにチームとして取り組んでいきたいことは
一番に取り組んでいることは守備を最優先にやっていて、自滅しないということをテーマとして、守備の流れから攻撃の流れに持ち込むということを考えています。あとは昨季の勝ち点を取った一番の要因である強く振るということを全員で意識していて。他の5大学の投手の球をしっかり打ち返すという意識の前提になるのは強く振るということだと思っているので(そこに)重点を置いて、リーグ戦でそれができればと思っています。

ー今年から主将に就任。思い浮かべる『主将像』は
僕が一番主将としてやるべきだなと思っているのは、東大自身が上手くいかないというか連勝していくというのは難しいところがあって、でも負けている時とか不利な状況の時に、チームのメンバーを上に向いていさせられる、諦めていないという姿を、背中や言葉で引っ張っていければという風に思っています。

ーご自身が目標としている野球選手は
野球を始めた時からイチロー選手(=現マリナーズ会長付特別補佐)に憧れを持っていて。野球にあそこまでストイックだったり厳しく真剣に向き合う選手はいないと思っています。今まで野球をやってきて一番影響されている選手ですし、同じ外野手としても学ぶ部分は多いと思います。

ーご自身のプレーでのアピールポイントは
この冬、打撃に力を入れて取り組んできたので、ラストイヤーに打撃で結果を残したいと思っています。

ー東大で今年キーマンとなりそうな選手は
投手だったら宮本ですね。宮台康平さんが抜けた後で第1戦、エースとして誰が投げるかのが一番の新チームの課題だったんですけど、オープン戦を通して彼が一番結果も出ていますし、エースとしての自覚も一番持っているので、彼がどれだけ良い投球をするかが勝利に直結すると思っています。打撃は、3年の岡(俊希)がキーマンだと思っていて、昨季も何打席か代打で出場しているんですけど、彼が打線の中軸を打つ可能性が高い中で、東大の勝利は彼の打撃によって左右するんじゃないかなと思っています。

ー法大に対する印象は
法大の選手は、本当に個人のポテンシャルというか、野球の能力は他の大学に比べて優れていると思いますし、個人個人がのびのびとやっているというか個の力として圧倒的なものを持っているなと思っています。

ー東大野球部が他大学に比べて誇れるところは
一番は『考える集団』というか、個人個人が自分はどういう役割でどういう風に試合に貢献したいということをよく考えているなということは、主将をしていて思います。その中でこだわりというか自分がこういう練習をするとか、人一倍トレーニングをするとか、負けず嫌いな思いはとても強く持っていると思います。

ー読者に向けて今季の意気込みを
今季の目標は最下位脱出を掲げていて。昨秋にようやく15年ぶりの勝ち点を取った中で、今年こそ複数勝ち点を取って順位争いに絡む戦いをしたいと思って練習してきたので、今季も頑張ります。勝ちます。
(取材:岡﨑祐平)
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宇佐美 舜也(うさみ・しゅんや)
法学部4年 1995年5月7日生まれ
東京都出身・桐朋
175㎝78kg 右投左打
『1年春からリーグ戦に出場し、今季からは主将に就任。巧打の左打者としてチームを牽引する。昨季、勝ち点奪取を経験し、今季は複数の勝ち点奪取と最下位脱出を目標にリーグ戦に臨む』

 三鍋 秀悟 捕手

ー昨年を振り返って
春は悔しい結果に終わってしまいましたが、秋に15年ぶりの勝ち点を取ることができたという点では大きく成長できたシーズンだったと思います。最終的に、秋はチームとしてまとまることができて、このような結果を残せたのだと思います。

ー昨季は初めて規定打席に到達しました
秋にスタメンで出るようになって、試合に毎回出続ける大変さというのはかなり感じて。精神的にも身体的にも疲労が溜まっていく中でしっかりパフォーマンスを出さなければいけないので、リーグ戦を戦っていく上で貴重な経験ができたシーズンだったと思っています。

ー現在の調子は
強くスイングすることを意識していて、その点では少しずつできつつあると思いますが、まだまだ粗いところがあるので、そこをリーグ戦までに詰めていけたら良いなと思っています。

ー東大の投手陣の調子は
宮台(康平)さんと柴田(叡宙=現JR東日本)さんという4年生が抜けた中でも、下級生の経験のあるピッチャーが残っていて、そのピッチャーを中心に、自分たちの代のピッチャーもだんだんとオープン戦でも投げられるようになってきました。実力を発揮することができればしっかりと抑えてくれると思っているので、それを引き出せるように自分は頑張っていきたいと思います。

ー投手の力を引き出すために意識していることは
そのピッチャーができることをしっかりと把握して、できる以上のことは要求しないように。できる範囲内でピッチングをさせるようにというのは常に意識して、配球や声がけをやっています。

ー今季期待する投手は
最近のオープン戦では宮本(直輝)の調子が良くて、しっかりと試合を作る能力があり、コントロールができるピッチャーの分、自分の配球など、そういった面でしっかりサポートができると思うので、期待をしています。

ー法大投手陣の印象は
法政のイメージとしては全体的に身体能力が高いというか、能力が高いピッチャーが多いというイメージがあって、菅野(秀哉、キャ4)選手を中心に多分今シーズンも来ると思いますが、やっぱりストレートもそうですし、変化球も多彩で、単純に自分たちの実力で勝負するだけでは打てないと思うので、しっかり対策を練ってやっていきたいと思っています。

ー法大打線の印象は
中山(翔太、人4)選手はやはりホームランがあるという点で、ホームランだけは打たれたくないと思っているので、その点で警戒は大きくしています。

ー昨季は法大から勝ち点を取りました
得意意識はありませんが、こっちの方が実力では劣っている分、隙を見せてはいけないと思うので、逆にこっちが相手の隙をつけるようにという姿勢で、常に戦うようにはしていました。

ー今年は副将を任されています
自分が落ち着いていないと、チーム全体としても焦ってしまうと思うので、常に落ち着いて、冷静に判断できるようにというのは心がけて、その上で指示を出せるようには意識してやっています。

ー個人目標は
まず、守備面でパスボールをゼロにしたいというのが目標にあって。昨シーズンにかなりパスボールでランナーを進めてピンチにしてしまっていたので、そこをしっかりとやりたいです。また、昨季で抜けてしまった、主力で打ってきた選手たちの代わりに自分がしっかり打って、打率は3割を目指し、特に得点圏で打てるように頑張っていきたいと思います。

ーチームの目標は
勝ち点2と、そして最下位脱出という目標を持って、昨年の勝ち点1を越えられるような成績を残していきたいと思っています。

ー最後に今季の意気込みをお願いします
自分たちのできることをしっかりやるしかないと思うので、自分たちの実力を出せるようにリーグ戦に向けて取り組んでいきたいと思います。
(取材:山﨑有馬) 
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三鍋 秀悟(みなべ・しゅうご)

工学部4年 1995年8月20日生まれ
神奈川県出身・川和
177cm85kg 右投左打 
『昨秋は初の規定打席に到達。東大の扇の要として15年ぶりの勝ち点獲得に大きく貢献した。今年は副将の立場でチームをまとめ、打線でも中核を担う存在としてその実力を発揮する』

 

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