【フィギュア】第46回関東学生選手権 男子7、8級で小林建斗&宮田大地が入賞、女子では佐上黎が鮮烈デビュー!
第46回関東学生フィギュアスケート選手権大会
2018年5月19日(土)、20日(日)
東大和スケートセンター
法大からは6名の選手が出場した関東学生選手権。男子7、8級クラスでは小林建斗(文2)が5位入賞。昨年の大会では棄権という悔しい結果になった宮田大地(文4)も6位入賞を果たし、男子団体第一部では明大(63点)に次ぎ、48点で2位に輝いた。女子では7、8級クラスで佐上黎(文1)がデビュー。安定した滑りで会場を沸かせた。6級クラスでは阿部芙弓奈(キャ2)が6位入賞。今後の大会、インカレに向け大きな収穫となる大会となった。
試合結果
個人結果
クラス | 選手名(学部・学年) | 順位 | 得点 |
---|---|---|---|
男子7・8級 | 小林建斗(文2) | 5位 | 50.79点 |
〃 | 宮田大地(文4) | 6位 | 49.86点 |
〃 | 小林諒真(営2) | 10位 | 44.57点 |
女子7・8級 | 佐上黎(文1) | 9位 | 40.47点 |
女子6級 | 阿部芙弓奈(キャ2) | 5位 | 58.33点 |
女子4級 | 加藤真美子(通4) | 7位 | 33.40点 |
戦評
男子7、8級クラス
昨季は全日本出場を果たし飛躍の一年となった小林建斗(文2)。曲は『Anvil Chorus』。冒頭のジャンプ、3ルッツ+3トーループを予定していたが、最初のルッツで転倒。「まだ100%ではないが、この形を作りたい」と難易度の高いジャンプに果敢に挑戦するも、惜しくも失敗してしまう。しかし、ここから彼の成長が見られる。ファーストで逃したコンビネーションをセカンドジャンプの3フリップに3トーループをつける事でリカバリー。状況に応じて臨機応変に対応出来るところを見せた。その後は安定した滑りで最後まで演じきり、結果は50.79点で法大男子勢トップの5位。しかし、「スピンも良くなかったし、表情も久し振りで固かった」とこの結果にも全く納得いっていない様子。フリーには3アクセルを入れたいと語っており、更なるレベルアップに向け、向上心を忘れない彼の進化はとどまることを知らない。
今季が大学ラストイヤー、集大成の一年となる宮田大地(文4)。昨年6月に開催された同大会では直前に棄権し、その後も悔しさが残るシーズンとなった昨季。主将となった今季は、この大会を起点に有終の美を飾るべく復活の演技をみせ、またチームを支えていきたいところだ。曲は『四季「冬」』。序盤の3ルッツで着氷ミスをし、さらに足替えの部分で転倒して減点される。「滑り自体は悪くなかったと思うんですけど、久々の試合の緊張感から(ジャンプが)全体的にふわついてしまった」と試合後に振り返り、まだ本調子ではないということを明かした。それでもスケーティング技術はやはり一級品。前半のミスのリカバリーをしっかりと成功させ演技を締めくくった。結果は49.86点で6位、入賞を果たした。今季はこれまで氷に乗る時間を増やし調整を続けてきた宮田。「ラストシーズンにふさわしいような自分の滑りができるように頑張りたい」と意気込んだ。彼の『大学最終章』が幕を開けた。
昨年の関東学生選手権では3位、表彰台に上がった小林諒真(営2)。目標の全日本選手権には出場できず、今季はリベンジを果たしたいシーズンだ。今大会では曲を一新し、憧れるスケーターのジェフリー・バトル氏が使用した『Adios nonino』を採用。曲を変え、振り付けをしてからまだあまり時間が経っていなかったため滑り込めていなかった中で、自分ができるだけのことをしていこうと意気込み演技に臨んだ。演技開始前には曲が流れない音声トラブルもあり、気持ちを立て直さなければいけないというアクシデントにも襲われたが「動揺はあったが皆が応援してくれたのでそこまで気持ちは切れなかった」。序盤の連続ジャンプでは3ルッツは成功させるものの続く3トーループで惜しくも転倒。その後も終盤の3フリップの着地が安定せず、思うような演技ができない。しかし、変更したばかりの曲に、自分の世界観を一つずつ上手く合致させていこうとしている姿がよく見える演技となった。結果は44.57点で全体の10位。今季は3アクセルを演技内に入れられるようにしたいと話す小林諒。小林建とともに『小林黄金時代』を法大にもたらしたい。
女子7、8級クラス
唯一の女子7.8級に出場したのは、今年入学した佐上黎(文1)。「初めてだったので、緊張で足が震えた」と初々しさを見せたものの、小さな体を大きく使い堂々とした滑りを披露した。曲には以前より使いたいと思っていたと話す『hallelujah』を採用。冒頭の3トーループ+2トーループのコンビネーションジャンプは見事着氷したものの、続く3ループは惜しくも転倒。しかしその後は慌てる事なく落ち着いて演技をまとめた。結果は40.47で9位。「スケーティングやステップはしっかりやっている」と語る通りの滑らかな滑りで周囲を虜にした佐上。シーズンまでにどのように仕上げてくるか、開幕への期待が高まる滑りを見せた。まだまだあどけない期待の新星から目が離せない。
女子6級クラス
女子6級クラスに登場したのは阿部芙弓奈(キャ2)。昨季はインカレ出場を果たせず、あと一歩のところで涙を飲んだ。2年生となる今季はさらに成長した姿でインカレ出場まで駒を進めたいところだ。曲はイギリスの物理学者、スティーブン・ホーキング博士を題材にした映画の『The theory of everything』を使用した。序盤のアクセルが抜けてしまい、本人は「あっと思った」と振り返ったが、その後しっかりと立て直す。気持ちを切り替え、中盤の連続ジャンプを安定させてこなしていく。後半は疲れもある中、「それ以上にとにかく滑らなくてはという気持ちでした。終わった後に疲れがどっと来た」。技を成功させることに集中し、序盤のミスだけに抑え、演技を締めくくる。結果は58.33点で全体5位となり入賞を果たした。今後は3回転を成功させ、スケーティングを上達させていきたいと話した阿部。今後の演技に注目だ。
女子4級クラス
女子4級に登場したのは加藤真美子(通4)。彼女が曲に採用したのは「ずっと引退シーズンに使いたいと思っていた」と語った『Phantom of the Opera』。曲を変え、心機一転、ラストシーズンの初戦に挑んだ。演技では、清らかな雰囲気に乗せ、表現力を遺憾なく発揮した。ジャンプも全て着氷し安定していたが、本人は「1月にケガをしてから調子が戻らず2回転ジャンプが入れられていない。絶賛練習中です」とダブルジャンプにも意欲を見せている。結果は33.40で7位。目標とするインカレで有終の美を飾れるか、彼女のラストシーズンに注目だ。
(文・撮影:岡﨑祐平、湯浅駿)
インタビュー
小林建斗
ー今日の演技を振り返って
先シーズンよりも難易度の高いジャンプをプログラムに組み込んで、より上に行けるように3ルッツ、3トーループのコンビネーションを入れて練習してきました。まだ100%の形にはなっていないですけど、まずは回転不足でもこの形を作るという目標を立てていたんですけど、ファーストジャンプで転倒してしまって。なんとか3回転のコンビネーションを入れてリカバリーしようと思って、セカンドにトリプルがつけられたのは百歩譲って良かったのかなって思います。
ールッツの練習での感じはいかがですか
何本かは3回転のコンビネーションで決めれていたんですけど、飛び方のくせが出てしまって失敗することがあるので真剣に直さないとなと思います。
ー今季初の試合となりました。大学の2シーズン目ですが、1年目との違いを感じたりはしますか
後輩ができた事で、スケートはもちろん人間としてもしっかりしなきゃなと思います。後輩に良いところが見せれるように頑張りたいです。
ー1月の全日本氷上からしばらく期間がありましたが、その間に重点的に練習した事はありますか
先シーズンは調子の波があったので無くして安定させられるように、飛び方やスケーティングのコツを重点的に練習して克服に努めていました。
ー以前と比べて滑りなどで意識的に変えた部分はありますか
姿勢が後半になるにつれて曲がってしまって見栄えが良くないと指摘されていたので、意識して滑りました。
ーショートの曲は昨季と同じでしたが、今後変更の予定はありますか
ショートはもう1年この曲でやって来年変えようと思います。フリーは今年から変えます。
ー今日の演技を振り返って、現時点でのショートの完成度はどれくらいと考えていますか
まだまだ全然ですね。スピンも良くなかったですし。去年も滑っているショートなので、納得いってないです。
ー反省点としてはどこを挙げますか
最初のルッツ、トーループを形に出来なかったことと、スピンがもっと完成度高く出来ると思っていたのに出来なかったことですね。久しぶりの試合で余裕がなくて表情が固かったのも反省点です。
ー次回の試合までにまずは何を重点的に直していきますか
まずはルッツ、トーループを練習して、試合で成功を重ねられるように。加えて、演技力を付けていけるようにしたいです。
ー世界的には4回転の時代が到来していますが、今後4回転を組み込んでいくという考えはありますか
その前に3アクセルを飛べるようにならないと次に行けないかなとコーチとも話しているので、先走らずにやっていこうと思います。アクセルは苦手なジャンプなのでなかなか成功しないですけど、フリーは3アクセルを想定した構成になっているのでシーズンには入れたいです。
ー最後に、今季の目標をお願いします
去年の全日本で悔しい思いをしたので、ショートを通過するのはもちろん、シーズンベストが更新できるように、もっと有名になれるように頑張ります。
宮田大地
―今日の演技を振り返って
もう、ダメでしたね。全体的に、しっかり氷に乗り切れていなかったなと感じていました。それでジャンプもふらついていたなと思います。
―試合前のコンディションは
今週は滑り自体は悪くなかったと思うんですけど、試合の緊張感だったりが久々だったので、ちょっとふわついてしまったかなと思います。
―氷に乗り切れていなかったというお話がありましたが、今日のジャンプの精度は
試合で跳べるジャンプでは無かったと感じました。
―ステップやスピンはどうだったでしょうか
スピンは最初のやつが失敗してしまって、まあ2個目もポジションが二つしかできなくて、そんなによくなかったです。
―ミスの後の立て直しはいかがでしたか
ミスが続いて、その後に最後のフリップが跳べたのが収穫かなと思うんですけど、やっぱりもう少し滑り込んだ方がいいと思いましたね。
―今シーズンはここまでどんなことに重点を置いて練習してきましたか
とりあえずひたすら滑り込んできましたね。氷に乗る時間をすごく増やして、スケーティングの基礎からとりあえずやり筒という感じですね。
―インカレから期間が空きましたが、実践感覚は
ジャンプはダメでしたけど、滑っている感じは悪くはなかったと思います。
―今季は最上級生となりますが、どのような滑りをしていきたいですか
しっかりチームを引っ張るような滑りをしないとなと思います。
―今季のプログラムについて
FSは変えていこうと思っています。
―スポホウ読者に向けて今季の意気込み、目標を
今シーズンがラストになるので、ラストシーズンにふさわしいような自分の滑りができるように頑張ります。よかったら応援よろしくお願いします。
小林諒真
―今日の演技を振り返って
悔しかったですね。曲をつくってまだ時間が経っていないので、滑り込めていないのはそうなんですけど、自分ができる限りのことはやらなければいけない状態だったので、そこでSPでジャンプを2つミスというのはすごく痛いかなと思います。
―曲を変えられた理由は
元々変える予定だったんですけど、色々いい曲が無いか探したりしていて決まらなくて、今回の大会も前の曲で行こうか迷ったんですけど、やっぱり新しい曲の方がモチベーションも上がるので変更しました。
―どういった世界観をイメージしながら演技しましたか
まだ具体的に想像もできていなくて、手探りの状態なんですけど、これを使っていたジェフリー・バトル選手に憧れているので、その選手をよく研究してやっていきたいなと思います。
―今日のスピンやステップの精度は
ステップはまだまだ踏めていないところがあるんですけど、スピンはフライングキャメル以外は多分とれたのかなと思います。
―今日は演技前に音声トラブルがありました
ちょっと動揺はしたんですけど、みんなが応援してくれたので、助けられてそこまで気持ちは切れませんでした。
―終盤、体力的な疲労などは
まだまだこれからですね。
―インカレ終了後からここまで、どこに重点を置いて練習したか
けがはしないようにするということと、トレーニングをして課題の3アクセルを今シーズンは入れられるようにしたいなと思って練習しています。
―大学2年目のシーズンとなりますが、今シーズンに向けて意気込みを
主将(宮田)が最後のシーズンなので、インカレは大学で優勝したいと思っているので、頑張りたいです。
佐上黎
ー今日の演技を振り返って
6分間練習は良く動けたんですけど、初めてだったので緊張して足が震えました。ループはこけちゃったけどその他はまとめられたと思います。
ー高校との違いは何か感じましたか
高校は自分のためにやっていたんですけど、大学はチームのために頑張らなきゃという気持ちになります。
ー法政に入学すると決めた理由はありますか
他の大学よりマイペースな感じがして、自分の雰囲気に合っているかなと思ったからです。兄が明治にいるので明治も考えましたけど、強いのでインカレも頑張らないと厳しいので。インカレに出るのが1つの目標なので法政にしました。
ー演技するにあたって意識した事はありますか
ショートはジャンプが3つしかないので、転ばないこととパンクしない事を意識しました。
ーショートの曲に選んだ「hallelujah」はいつから使っていますか
2年前くらいから使いたい言っていたんですけど、先生がこの曲は表現力が無いと音に負けちゃうからと言われていて。そろそろいいんじゃないかという事で今回使いました。
ー演技前に周りからどのような声をかけられましたか
緊張しているかもしれないけど頑張れと言ってもらいました。
ー反省点は何を挙げますか
スピードが落ちていて、ジャンプのタイミングも悪かったかなと思うので、練習からスピードを出して滑っていきたいです。
ー自身のアピールポイントは
スケーティングが他の選手よりもしっかりやっていると思うし、ステップのエッジの使い方もできているところです。
ー大学生活も始まってしばらく経ちますがどうですか
スポーツ推薦で入って、スポーツの授業とかも受けています。レポートがあったりすると大変ですけど楽しいです。
ー練習頻度はどれくらいでやっていますか
週6です。朝練は練習日毎日、水曜と土曜以外に夜練をやっています。
ー先輩たちとはどんな関係ですか
よくいじってもらいます。宮田くん、小林建斗くん、阿部茉弓奈ちゃんは一緒のリンクで練習しているので特に仲良くしてもらっています。
ー大学でのフィギュアへの意気込みをお願いします
今ループとルッツを課題としていて、練習では何度も降りれているので本番で決められるように頑張りたいです。
阿部芙弓奈
―今日の演技を振り返って
1本目のアクセルが抜けてしまって、そこで「あっ」と思ったんですけど、その後切り替えて跳ぶことができたのでよかったかなと思います。
―演技前など緊張は
はい、緊張していました。でも、法大の選手たちが笑顔で立っていてくれるので、すごく温かい気持ちになれました。
―曲はどんなことをイメージして滑りましたか
先日亡くなったスティーブン・ホーキング博士の人生を題材にした映画の曲なんですけど、物理学者の時の顔と家庭に見せる顔が全然違っているというのを映画で見て感じて、温かさをイメージしました。
―ジャンプの精度を振り返って
練習でも安定していて大丈夫かなと思っていたんですけど、でも本番でも悪くはなかったと思います。
―ステップやスピンの出来は
ステップやスピンはもうちょっと練習が必要かなと思いました。
―終盤になるにつれて疲れは
疲れてからその後にステップをやってジャンプ2つという、一度疲れてからさらにまた来るので、とにかく滑りきらなきゃという気持ちで。なので疲れというか、終わった後にどっと来たという感じです。
―今季はここまでどういったことに重点を置いて練習してきたか
ジャンプの成功する確率を上げることや、新しくプログラムを変えているので滑り込むようにしました。
―今後はどのような部分を改善しながら夏以降取り組んでいきたいか
まずはトリプルを大会の演技で入れて降りられるようにすることと、あとはスピンやステップのレベルを上げて、スケーティングなどジャンプ以外のところも頑張りたいです。
―昨年の関東学生が大学での初の大会でしたが、1年前の自分と比べて成長したなと感じるところは
1年前はノーミスだったんです。なので悔しいです(笑)。気持ちは強くなっていると思います。
―これからの大会に向けて意気込みを
もうあっという間に2年生になって、のこりの春関も2回になったので、1個1個の試合を大切に頑張りたいです。
加藤真美子
ー今日の演技を振り返って
演技の構成で本当はアクセルを2回入れていたんですけど、演技途中で1回勝手に抜いてしまって。弱い部分が出てしまったので反省しています。
ーPhantom of the Opera を採用しました
1ヶ月前に新しくしました。引退シーズンに使いたいとずっと思っていたので、この曲にしました。
ージャンプはミスなくまとめました
アクセル以外はシングルだったので落ち着いて飛びました。
ー今後ダブルのジャンプを組み込んでいく予定はありますか
1月にケガをしてからジャンプの調子が全然戻らなくなってしまって、今練習中です。
ー1月のインカレから期間が空きましたが、その間何を重点的に練習してきましたか
曲の中で安定したスピンができるように意識して練習しました。
ー反省点としては何を挙げますか
ジャンプを抜いてしまったことの他には、最後のコンビネーションスピンのレベルが1つ落ちてしまったことです。
ー今後の練習は何を重点的にやっていきますか
ジャンプの感覚を戻すことと、レベルの取れるスピンをするために回転をしっかり回る練習をしていきたいです。
ー今シーズンの目標、意気込みをお願いします
東日本インカレ、インカレに出場することが目標です。最後なので悔いのない演技ができるようにしたいと思います。
フォトギャラリー
- 大学初の大会。仲間たちの声援を背に、競技に挑んだ佐上
- 透明感あるスケーティングで会場を魅了した
- 2年目のシーズン。まとまった演技をみせた小林建
- 今季が大学ラストイヤーとなる宮田
- 課題が見つかったと話した今大会。集大成の舞台を笑顔で飾りたい
- 新プログラムで挑んだ小林諒。今後の大会での演技に注目だ
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- 昨年の9位から5位にランクを上げ、スキルの高い滑りをみせた阿部