atarimaeni CUP 準決勝 法大ー早大
2021年1月21日(木)味の素フィールド西が丘
ここまで圧倒的な攻撃力と堅い守備で、他を寄せつけず勝ち上がってきた難敵・早大との試合。そんな相手をもってしても今の法大の勢いを止めることはできなかった。前半から試合を掌握しチャンスを作るが、先制点をあげることはできず、スコアレスで試合を折り返す。51分、細かいパスで右サイドを崩すと、関口が左足を振りぬき、チームに待望の先制点をもたらした。さらに関口は、79分にもミドルシュートを突き刺し、勝利を決定づける追加点をあげる。法大は攻守にパーフェクトな試合運びで快勝し、23日に行われる東海大との決勝へと駒を進めた。
試合結果
トータル試合結果
2 法政大学 |
0 | 前半 | 0 | 0 早稲田大学 |
---|---|---|---|---|
2 | 後半 | 0 |
試合スタッツ
時間 | 経過 | 大学 | 選手名 | 得点経過 |
---|---|---|---|---|
51分 | 得点 | 法大 | 関口 | 1-0 |
67分 | 交代 | 法大 | 服部→竹本 | |
72分 | 交代 | 法大 | 佐藤大→飯島 | |
79分 | 得点 | 法大 | 関口 | 2-0 |
81分 | 交代 | 法大 | 平山→田中 | |
87分 | 交代 | 法大 | 田部井→宮部 | |
91分 | 交代 | 法大 | 長谷川→今泉 |
スターティングメンバー
背番号 | ポジション | 選手名 | 学部・出身校 |
1 | GK | 中野小次郎 | 経済4・徳島ヴォルティスY |
3 | DF | 高木友也 | 経済4・法政二高 |
13 | DF | 城和隼颯 | 社会4・柏レイソルU18 |
2 | DF | 森岡陸 | 現福4・ジュビロ磐田U18 |
23 | DF | 関口正大 | 現福4・新潟明訓高 |
14 | MF | 田部井涼 | 経済3・前橋育英高 |
6 | MF | 松井蓮之 | スポ3・矢板中央高 |
10 | MF | 長谷川元希 | 現福4・大宮アルディージャY |
11 | MF | 服部剛大 | 社会4・横浜FC Y |
9 | MF | 平山駿 | 経済4・三菱養和SC Y |
20 | FW | 佐藤大樹 | 経済3・北海道コンサドーレ札幌U18 |
サブメンバー | |||
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12 | GK | 大塚紀人 | 経済3・三菱養和SC Y |
5 | DF | 宮部大己 | 経済4・法政二高 |
16 | DF | 陶山勇磨 | 現福3・帝京長岡高 |
4 | DF | 鳥居俊 | 理工4・東京ヴェルディY |
8 | MF | 今泉富 | 現福4・浜松開誠館高 |
28 | MF | 佐野陸人 | 現福2・清水エスパルスY |
7 | MF | 竹本大輝 | 経済4・成立学園高 |
15 | FW | 飯島陸 | 経済3・前橋育英高 |
17 | FW | 田中和樹 | 社会3・浦和学院高 |
マッチレポート
10日に行われた第3回戦から少し日が空き、中10日で迎えた準決勝。法大は1部リーグ2位の早大と対戦。12月19日のリーグ戦では2ー0と勝利した相手だが、1部リーグトップの総得点48得点を記録するなど、高い得点力を誇る難敵に決勝進出をかけて挑んだ。
法大は前半から主導権を握り、両サイドから果敢に攻撃を仕掛け相手陣を攻め込んだ。20分、佐藤大樹(経3)がPA手前から高い弾道のシュートを放つもポストに嫌われ得点とならず。続いて31分にも、CKからのこぼれ球を田部井涼(経3)が右サイドから拾い、強烈なシュート放ったが、ゴールラインを割ることはできなかった。その後も早大の堅い守備を破ることができずに、0ー0で前半を折り返した。
迎えた後半、先制点を奪ったのは法大だった。51分、右サイドからPAに切り込んだ関口正大(現4)が佐藤大との息のあったワンツーでボールを押し込み、先制点を挙げた。その後も前半同様、相手陣を攻め続けた法大。79分にも長谷川元希(現4)のパスを右サイドから走り込んだ関口が拾い、強烈なミドルシュートを放ち得点を挙げた。頼れる主将のこの日2得点目となるゴールで追加点を挙げた法大は、そのままリードを守りきり2ー0で勝利。決勝に駒を進めた。
「いろんな方に迷惑かけていたのでそういうことを学生自身が、サッカーで恩返しするとなった時に、結果で恩返しするというのが理解できていました」。新型コロナウイルスの集団感染による活動休止を経て臨んだ中大戦後、指揮官である長山一也監督はこう語った。その言葉通り、活動休止明けのリーグ戦で多くの白星を積み重ね、#atarimaeni CUP出場の切符を勝ち取った法大。感謝と恩返しを胸に、『奪還』を果たす瞬間はもうそこまで迫っている。
(記事/撮影・五嶋健/宮川昇)
選手コメント
長山一也監督
ー今日の試合を振り返って
まずは、連盟の方をはじめ、たくさんの方の尽力のおかげで、またこうして東京の大学サッカーの聖地である西が丘サッカー場でサッカーができることに感謝しようと学生にも話しました。早稲田さんもすごい守備組織の固いチームですので、前半すごくブロックを固められて、なかなか点を取ることはできなかったですが、後半は工夫して点を取ることができて、最後勝つことができて、また最後までサッカーができる状況を作れてよかったと思います。
ー後半工夫した点とは
ブロックを作られている状況がありましたので、そこのスペースを誰が使うのかっていうところと、どうやって(スペースを)開けるのかっていうところを、ハーフタイムも含めて話しました。最後は関口がうまくスペースを見つけて、ワンタッチで崩してっていう形で1点目を取りましたし、そういう形を作れたっていうところはよかったかなと思います。
ー3回戦から準決勝まで日が開きましたが
まず3回戦が終わった段階でオフにして、しっかり休ませて、後はチームとしての狙いだとか、やらなければいけないことはある程度共有できているので、あとはセットプレーの準備だったりとか、あとは守備組織の再確認っていうところをしてきました。
ー4年連続の決勝進出となりましたが、トーナメントの戦い方を分かっているのでは
今そう言っていただいて4年連続だったんだ、と改めて気づきました。ただやっぱりトーナメントは連戦になるので、総力戦になる中で、チーム力、選手層の厚さというところはチームの強みだと思うので、そういった誰が出てもいい状況で戦えるチームなのかなと思います。
ー4年生を多く起用した意図は
準備している段階で調子の良い選手をこの準決勝のところで起用したという部分。あとは、4年生の今までの思いというところも汲みながらですね。
ーセンターバックとダブルボランチのいい距離感によってサイドが生きたと思います
相手が自陣でブロック引いていたっていう部分もあるかと思うんですけど、そのボランチとセンターバックのところで、長い展開するボールも入れるし、ボランチにつけて展開するっていう、良いバランスで相手を上手くいなしながらプレーできていたんじゃないかなと思います。
ーサイドバックで2得点の関口への評価は
日頃から自分の課題も含めて、すごくトレーニングに真摯に取り組んでいましたし、点の取れるサイドバックっていうのは要求していた部分でもあるので、その意識がこういう大事な試合で結果として出せているので、素晴らしいなと、今日テクニカルエリアで見ていて思いました。タフな選手なので、自己管理も徹底していたり、彼の良さはそういうところもあるので、信頼してます。
ー良い守備で決定機を作らせませんでした
早稲田さんも自陣からビルドアップしてくるチームでしたので、全員守備というところは常々言っていまして、前線の選手が連動してスライドして限定してというところは、チーム全体の狙いとして意識していました。ただ、奪うところだけではなくて、奪った後に繋ぐというところも今日はできたので、いい守備から攻撃につながったかなと思います。
ーディフェンスラインのコーチングについて
(中野)小次郎がボールに触るシーンは一回くらいで、守る状況ではなかったと思うんですけど、やっぱりコーチングは守備組織を作る上で大事になってくるので、そこは森岡と城和がしっかりとコーチングしながら連動して限定するっていう形を作れていましたし、ボールに直接関わらないところでもいい状況がコーチングによって作れていたかなと思います。
ー中野選手への評価は
4年生はプロに内定している選手も多くて、日本一を取って、後輩に置き土産を残してというところは言ってくれています。小次郎もプレーする機会は少なかったですけど、決勝もしっかり活躍してほしいなと思います。
森岡陸
ー今日の試合を振り返って
前半はしっかり耐えてというところは達成できました。後半もしっかり耐えていれば、前が点をとってくれると思っていたので、今日は後ろの選手と協力してできました。
ー城和選手との役割の使い分けはどう意識されていますか
城和はビルドアップが得意で、僕は対人が得意なので、しっかり僕が潰して、城和が回収するっていう役割分担っていうのはできていると思います。
ープロになるにあたって意識していること
自分の対人やインターセプトの部分では通用すると思うんですけど、プロに行ったらそれ以外のビルドアップやクリアの質だったり、いろんなところが求められていくと思うので、そこを高めていければと思います。あとは、セットプレーでの得点を増やしたいっていうのと、体は線が細いので、徐々に太くしていけたらいいかなと思います。
ー決勝に向けて
まずは、大学サッカー関係者の方々に、このコロナの状況でサッカーをやらせてもらえているということを忘れずに、法政の関係者を含め、いろんな人に恩返しできるように、決勝はしっかり勝って終わりたいと思います。
関口正大
ー今日の試合を振り返って
試合の入りからボールをにぎる展開が多いながらもなかなか点が入らない中で、自分たちはゴールを目指しつづけようと話していました。前半は0点に抑えられましたが、後半は勢いを持って入っていって、2得点チームとしては取ることができました。
ー2得点とも振り抜いて決めたゴールでした。振り返ってみていかがですか
1点目はハーフタイムにFWとサイドハーフと関係を持ちながら中に入っていくように言われていて、そこができたいい形だったかなと思います。2点目はファーに(ボールが)流れてくるかなと思っていて、前で竹本(大輝、経4)がつぶれてくれたので、ふかさないことを意識して振り抜いた結果いいコースに飛んでくれました
ー得点後はベンチに真っ先に向かう姿が印象的でした。主将としてここまでチームを引っ張り決勝に臨めることについていかがですか
元々法政のサッカー部が少数精鋭でやっているところもあって、ここに来れていないメンバーのことも考えて、普段からチーム全員でやろうと、僕自身もそうですが(長山)監督も言っているところがあります。ピッチの11人以外の力も感じているので、僕が取ったゴールだったのですが、みんなで分かち合いたいなと思ってベンチに向かいました。
―前半はサイドに張って、後半は中に入っていくシーンが増えました。長山監督の指示もあったとは思いますが、ご自身としてはどのようにプレーを変化させましたか
前半は外からクロスをあげていたのですが、相手のセンターバックもヘディングが強い選手だったので、これは一筋縄ではいかない、工夫してやらないといけないと感じていたので、変化を加える意味でも中に入っていこうと意識しました。サイドハーフやボランチの選手の組み合わせで自分のプレーを変えられることが、この4年間で成長できた点だと感じています。
―理想的なサイドバックとしての活躍を見せていますが、大学4年間を振り返っていかがですか
元々大学に入った時点で、僕はそんなにうまい選手ではないので、運動量で勝負しようとは思っていたので、攻守においてより多くのチャンスを演出することは意識して取り組んできました。3年次はアシストをすることを目標にやってきたのですが、4年次になって、ゴールを奪いきるところまで意識してやり始めて、常に結果を求めてやり続けたことが、今日の結果につながっていると思います。戦って走ってより多くのチャンスを作って、対人で負けないことが今の(理想の)プレースタイルだと思っていますね。
ー関口選手はここまでほとんどけがをしてきていないですが、連戦が続いてもけがをしない秘訣はどのようなことがありますか
プレースタイルのこともあって、僕自身けがをしたら終わりの選手だと思っています。本当に自分はうまい選手ではないので、自分を客観視した結果、けがをしない体を作ることを学んだ1年でした。けがをして学ぶこともあるかもしれませんが、ピッチの中で学ぶことのほうが多いと思うので、サッカー以外の時間を大切にしようと常に4年間意識してやってきたつもりです。
ー内定先のヴァンフォーレ甲府はキャンプが始まっています。そちらに参加したい思いと大学で戦いたい思いで複雑だとは思いますが、率直な今の気持ちは
(キャンプに)いきたい気持ちもありますが、まずは大学できちんとやりきることを第一に考えて言いますし、この大会で結果を残すこと以上に後輩に何を残すかを意識してプレーしているので、僕のプレーを見ている後輩たちがなにかを感じ取って、それが来年以降部の歴史として語り継がれる選手になりたいと思っています。
ー後輩に何かを残したいと思うようになったのは何か理由はありますか
このご時世で僕たちがサッカーをできているのは奇跡のようなもので、協力してくださった流通経済大の中野(雄二)さんやほかの多くの人たちなど、僕たち以上にもっと大学サッカーに貢献してくださっている方がたくさんいるので、優勝という結果はもちろんほしいですが、それ以上に後輩たちに残すことが大切だと僕は思いました。
―この世代は上田綺世選手(鹿島アントラーズ)がいる世代で、2018年のインカレで日本一になった代ですが、彼がいなくなって(今年)日本一を取ることには意味のあることだと思うのですが、その点に関してはどのように感じられていますか
良くも悪くも彼に頼りすぎてしまうところがあったのですが、彼がステップアップしていって僕たち同期は負けてられない気持ちがありましたし、日本一をとることは、僕たちにとっても大きいですが、綺世自身にとっても刺激になると思うので、お互い意識しながら成長してこれたと感じています。
(取材・磯田健太郎/宮川昇)